えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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4章 三国鼎立

趙雲隊vs馬雲緑隊(後編)

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 前線が次々と突破されて、頭を抱える趙雲の妻で軍事を務める樊玉鳳。

 趙雲「流石、馬超殿の妹君だな。こうも見事に、前線を崩されるとは」

 樊玉鳳「子龍、感心してる場合じゃないわよ。あそこは鮑隆の持ち場であの丘は陳応の持ち場、即ち、2人が負けたことを意味してるんですよ」

 趙雲「焦ったところで仕方ない。名乗りが聞こえたわけではないから2人とも取り敢えずは無事だろう」

 樊玉鳳「子龍、それって即ち、捕虜にされたってことなのよ。非常にまずい状況よ。それに子龍は、前の戦いで受けた傷が完全に治ったわけじゃないのだから」

 趙雲「全くうちの妻ときたら揃いも揃って、心配性だな。この通り動くのだから問題ない」

 樊玉鳳「軟ちゃんに私がどれだけ頼まれたとお思いですか」

 趙雲「はぁ。全く、無事に帰ったら覚悟しておけ」

 樊玉鳳「そういうことじゃない!」

 趙雲「怒りやすいのは、欲求不満が原因だと劉丁殿に聞いたのだが違うのか?」

 樊玉鳳「劉丁様は、何を吹き込んだのよ。もう、それだけ軽口が叩けるのなら安心ね。って、割り切れたら良いんだけどね」

 趙雲「ん?」

 樊玉鳳「なんでもないわよ」

 趙雲兵士D「趙雲様、何やらすごい勢いでこちらに馬が突っ込んできます。うわぁ」

 馬雲緑「あちゃー、またやっちった。んーと、どっちが樊玉鳳殿かな?」

 樊玉鳳「全く、後先考えない人のようですね」

 馬雲緑「それ、よく爺やに言われてるんだけど、どういう意味かわかんないや。エヘヘ」

 樊玉鳳「頭も馬鹿ときましたか。良くそれで今まで生き残れましたね」

 馬雲緑「ちょっと、それ酷いよぉ。馬雲緑ちゃん、怒っちゃったもんね」

 樊玉鳳「貴方が馬雲緑ですって!?」

 馬雲緑「そうだよ~馬超兄様の可愛い妹、馬雲緑ちゃんとは、私のことなのだ~。エッヘン」

 樊玉鳳「なんか、天真爛漫というのかしら、調子が狂うわね」

 馬雲緑「あっ、あああああ」

 樊玉鳳「どうしたのよ突然!?」

 馬雲緑「ごめんなさい。君達、大丈夫?」

 馬雲緑の背後では、2人の男が完全に伸びていた。

 馬雲緑「うわ~ん。死んだら嫌だよぉ~。目を覚ましてよ~」

 鮑隆「はっ。ここは天国か!?むっ胸!?暫くこのままで」

 陳応「はっ。ここは天国か!?なんとフカフカで気持ち良いのだ。まるで、女性に抱きしめられているかのような。むっ胸!?こんなの抗えない。暫くこのまま」

 樊玉鳳「アンタたち、何やってんの!」

 鮑隆「うわっ。すみませんすみません。って、ここは、あっキモチイイ。でも樊玉鳳様の声が聞こえるってことは、うっうわーーーー。離せ」

 陳応「樊玉鳳様、申し訳。って、あっキモチイイ。うっうわーーーーー。離してくれ」

 馬雲緑「良かった。良かったよぉ。2人とも無事で」

 鮑隆「そんな泣かなくても、こんな気持ちいいのを邪魔する樊玉鳳様が」

 陳応「そうです。泣かないでください。樊玉鳳様が」

 樊玉鳳「私が何よ?アンタたち覚悟できてんでしょうね!」

 馬雲緑「そんな恫喝するなんて酷い。捕虜なのに暴れないいい子達なのに、許さないんだからね」

 鮑隆「そうだそうだ。やっちまってください馬雲緑ちゃーん」

 陳応「樊玉鳳様なんて、やっつけちゃえ!馬雲緑ちゃーん」

 趙雲「ハッハッハッハ。いやぁ久々に笑った。こうも簡単に敵の懐に入り込み懐柔できる女が居ようとは。失礼した。劉備軍、趙雲隊の隊長を務めている常山の趙子龍と申す。馬雲緑殿でしたな。良ければ、お手合わせ願いたい」

 樊玉鳳「ちょっと子龍。この子の相手は私が。もーう、どうなっても知らないわよ」

 馬雲緑「えっえっえっ、貴方が趙雲殿なの!?古の龍をも倒しそうな大きな槍に真っ白な白馬。カッカッコいい。私でよければ是非、でも一騎討ちするなら何か賭けないとね。あっそうだ。私が勝ったら趙雲殿のお嫁さんになります」

 趙雲「ん?それは賭けなのであろうか?」

 鮑隆「なんだって趙雲様ばっかり」

 陳応「そう気を落とすな。我らの馬雲緑ちゃんが」

 樊玉鳳「アンタたちはどっちの味方なのよ!」

 鮑隆「おっぱいの味方です!」

 陳応「おっぱいは、地球を救う!」

 樊玉鳳「ほとほと呆れるわ!」

 趙雲「ハハハ。いやぁ、兵たちがここまでほんわかするとはな。願ってもない。なら、俺が勝ったら馬雲緑殿を嫁にいただく。覚悟は良いな!」

 馬雲緑「負けないんだから。ん?勝っても趙雲殿のお嫁さんになって、負けても趙雲殿のお嫁さんになれる。えっ?何、この役得~。馬雲緑ちゃん、頑張っちゃうぞ」

 趙雲の槍と馬雲緑の槍が何度も打ち合う。

 趙雲「ハハハ、流石馬超殿の妹君、素晴らしい動きだ」

 馬雲緑「趙雲殿もね。でも、なんだか動きがぎこちない気がするなぁ。ひょっとして、怪我してるのかな?」

 趙雲「心配御無用ですよ。劉備殿のため、槍を奮うのが我が喜びですから」

 樊玉鳳「あの子、かなりできる。私と同等かそれ以上の武を持っている。子龍の怪我を見抜く洞察力も。戦神に愛されてるのかしら。まずいわね」

 もう一度、2人の槍が交差する。

 馬雲緑「やっぱりぎこちない気がするからやーめた。この勝負、お預けだね。私は充分楽しめたし、馬超兄様のところに帰ろっと」

 趙雲「待て、勝負はまだ」

 馬雲緑「付いてるよ。怪我したところよく見て」

 趙雲は怪我したところにまるで槍の柄で突かれたかのような赤い丸が付いているのを見て、驚愕していた。

 趙雲「これは、いつの間に!?」

 馬雲緑「そんな身体で無理しちゃダメだよ。樊玉鳳ちゃんの言うことはよく聞かないとね。じゃあね。今度は、正々堂々とやりましょ。バイバーイ」

 風のように颯爽と去っていく馬雲緑。趙雲は、その後ろ姿を見て、笑う。

 趙雲「全く、ここは戦場だぞ。玉鳳のいう通り、調子が狂う、な」

 ドサリと倒れる趙雲。駆け寄る樊玉鳳。その両脇を抱える鮑隆と陳応。無理をしすぎた結果、限界が来たのである。この勝負、趙雲の負けである。
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