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4章 三国鼎立

趙雲隊vs馬雲緑隊(前編)

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 劉備軍の先鋒の趙雲隊vs馬超軍の先鋒の馬雲緑隊が激しく打ち合っていた。当初、馬超は、先鋒として馬休を出すつもりであった。それを、横から勝手に飛び出したのが馬雲緑であった。

 馬雲緑「馬休兄様には悪いけど、あんなにかっこよくて強そうな人、譲れないよね」

 爺や「ですが姫様、相対する趙雲殿は、歴戦の猛将ですぞ。如何、なされるおつもりか?」

 馬雲緑「もう、爺やったら私のことが心配なのはわかるけど黙ってて、楽しみたいんだから」

 爺や「それで、命を失っては、元も子もありませんぞ。それに姫様は、馬超様のいうことを聞かず。全く姫様ときたら、くどくど」

 以下、話が長すぎるので略。馬雲緑に爺やと呼ばれているのは、馬騰の正規兵として各地の戦場を渡り歩いた歴戦の兵であり、馬雲緑の傅役を任されている初老の男性で、名を狒々ヒヒと言う。以下、狒々と表記する。

 馬雲緑「だって、こんな楽しいこと早々ないじゃない。常山の英雄で、劉備殿に5本の指に数えられる地位を与えられていて、別名を龍槍白馬《りゅうそうはくば》将軍、カッコよくて、絶対に戦いたかったんだもん」

 狒々「だからですぞ!全く、若様が先鋒を御命じになるのを無視して飛び出すのですからな。これだから、姫様は、くどくど」

 馬雲緑「もう爺やは、話が長いんだってば!」

 とにかく話が長いのである。それも馬雲緑の身を案じるからなのではあるが。

 馬雲緑兵士A「姫様、アイツら中々やりますぜ。歯応えがあらぁ」

 馬雲緑「えっ。うそうそ、何自分たちだけ楽しんでるのよ~。私も行く~」

 狒々「姫様、話は終わっておりませんぞ。全く、どうしてあんなにじゃじゃ馬なのかの。こんなことならとっとと引退しておくんでしたわい。全く、姫様ときたら、くどくど」

 何かぶつぶつと言ってるが馬雲緑はどこ吹く風である。兵士たちに混じって、前線で武を奮っていた。こうなると押されるのは趙雲軍である。

 趙雲兵士A「クソッ。この女、強い。グハッ」

 馬雲緑兵士A「おぅおぅ。うちの姫様に見惚れて、隙だらけだねぇ」

 鮑隆「これが馬超軍か、よく精錬されている。だが、我々も負けていない」

 馬雲緑兵士A「次はお前だ。ガハッ」

 鮑隆「フン。この鮑隆、そう易々と遅れは取らん」

 馬雲緑「ねぇねぇ、趙雲殿に会いたいんだけど、君捕まえたら、助けに来てくれるかなぁ。ねぇねぇ」

 鮑隆「馬鹿な!?いつの間に背後に!?」

 馬雲緑「良い反応だけどまだまだかなぁ」

 鮑隆が刃を春よりも先に馬雲緑が槍の柄で刺突を繰り出し、鮑隆を気絶させて捕虜にする。

 鮑隆「不覚!敵将に捕まろうとは」

 趙雲兵士B「そんな、鮑隆様が一撃で!?」

 馬雲緑「ねぇねぇ、他に名のある将は何処にいるの?」

 趙雲兵士B「敵に何を聞かれても答えないぞ!」

 馬雲緑「えー、答えてくれたら後でいいことしてあげようと思ったのになぁ」

 趙雲兵士B「そ、そんな。誘惑にく、屈さないぞ」

 馬雲緑「えー、これでもぉ」

 趙雲兵士B「な、な、なんて、破廉恥な。た、堪らん。あ、あ、抗うことなどできん。向こうに鮑隆様の親友であり、弓隊を率いる陳応様が居られます」

 馬雲緑「ありがと。いい子いい子してあげるね。目瞑って」

 趙雲兵士B「エヘヘ。これがフカフカのおっぱい。いや、何か違ーう」

 馬雲緑「えっ!?気持ち良くなかった。水袋、コロコロ。うちの子たちには、大人気なのになぁ。あっ、情報ありがとうね。少し眠っててね」

 趙雲兵士B「こんなのあんまりだぁ。はふっ」

 馬雲緑兵士B「ひょっとして、俺たちもいつもそれだったので?」

 馬雲緑「うん。そうだよ~」

 馬雲緑兵士B「姫様のおっぱいじゃなかったのか」

 馬雲緑「あれれ、どしたの?次に行こう」

 馬雲緑兵士B「はぃ」

 馬雲緑兵士Bのやる気が露骨に落ちたのは言うまでもない。いつも目を瞑って、姫様からのご褒美として、おっぱいで顔をパフパフされるのが楽しみだったのだ。その正体がまさか袋に水を入れただけと知ったのだから。

 それはともかく、彼らは趙雲隊の兵士からの情報を元に丘の上にいるという陳応という将を狙う。

 趙雲兵士C「陳応様、何やら一団がこちらに来ます」

 陳応「鮑隆が突破されたのか?それとも、まさか鮑隆の身に何か?ええぃ近づかせるで無いぞ」

 趙雲兵士C「承知しました。ゴフッ」

 馬雲緑兵士B「敵に後ろを見せるなんざ。ダメダメだなぁ。ぎゃぁ」

 陳応「近付かれれば弓が撃てないとでも。すまん。敵は取ったぞ」

 馬雲緑「すご~い。弓の腕前が良いって本当なんだね。ねぇねぇ。趙雲殿に会いたいんだけど協力してくれる?」

 陳応「女!?その後ろにいるのは、鮑隆!?貴様、許さんぞ」

 馬雲緑「あっ、弓隊って聞いてたけど君が陳応なんだね?よーし、捕まえちゃおう」

 陳応「この陳応、易々と捕まらんぞ」

 近づかれたら陳応は弓を背中にしまうと剣を抜く。

 馬雲緑「無理しちゃダメだよ。使い慣れてない武器なんか使っても、良い結果なんて、出ないんだからね」

 陳応「心配など不要、この陳応、剣も使いこなせるわ」

 しかし、次の瞬間、斬りかかった陳応の剣が空高く飛び、近くの地面に突き刺さった。

 陳応「馬鹿な!?なんという力だ。これは、樊玉鳳様に匹敵するやもしれん」

 馬雲緑「へぇ。良いこと聞いちゃった。ありがと~。じゃあね」

 陳応「申し訳ございません趙雲様。俺は、ここまでのようです。はぐぅ」

 馬雲緑は、槍の切先を変えて、柄で刺突して、陳応を気絶させる。

 馬雲緑「よーし、これで2人目だよ~」

 馬雲緑兵士C「姫様、どうして殺されないので?」

 馬雲緑「えっ?そんなの決まってるじゃない。趙雲殿に逢いたいからよ」

 馬雲緑兵士D「なぁなぁ。これ、ひょっとして姫様は憧れを通り越して、恋してるなんてことは?」

 馬雲緑兵士C「何言ってんだ。姫様に限って、そんなこと。だって、俺たちに御褒美としてパフパフしてくれる人だぞ」

 馬雲緑兵士D「そうだよな。貞操観念緩々の姫様に限って、そんなことねぇよな」

 馬雲緑兵士C「あるわけねぇ。あるわけ」

 馬雲緑「ほら、皆~いっくよ~」

 馬雲緑隊の動きは凄まじく、終始押されていたのは趙雲隊であった。
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