上 下
422 / 589
4章 三国鼎立

牂牁郡にて相対する馬超と劉備

しおりを挟む
 牂牁郡に、劉備軍が迫っていると報告を受ける馬超。

 馬鉄「馬超兄上、劉備軍が間も無くここに現れるとのこと」

 馬超「わかった。まさか、このようなことになろうとは、な」

 馬雲緑「安心してよ馬超兄様、みーんな、私が叩き潰してあげるんだから」

 王異「雲緑は、もうちょっと女の子らしくしないと貰い手が居なくなっちゃうわよ」

 馬雲緑「ぶぅ。王異義姉様に言われたくないなぁ。戦場で命懸けで救われただけで馬超兄様に堕ちちゃったんだよねぇ?」

 王異「うっ。それは関係ないでしょ。もーう」

 馬月「とうちゃま~かぁちゃま~、僕も戦うです~」

 馬英「おにぃちゃん、ずるい。私も私も」

 王異「馬月と馬英は、まだ8歳なんだから戦のことなんて気にしなくていいのよ」

 馬超「全く、馬家の子供として相応しいな」

 王異「そうやって孟起様が甘やかすから」

 馬超「俺とお前の子だ。これぐらいの気概が無ければな」

 王異「そうやって、また誤魔化して、孟起様が優しいからこうして私が厳しくしないとダメなんですからね」

 馬超「わかったわかった」

 姜維が罰が悪そうにあたふたしながら話しかける。

 姜維「馬超様!あっ、家族団欒の時をお邪魔して、も、申し訳ありませんでしたー。出直しますー」

 馬超「姜維よ。気にするな。戦場で気を抜いていたのは、俺の方だ。話せ」

 姜維「はっ。劉備軍の全容ですが、総大将の劉備を筆頭に義弟の関羽・張飛、将軍として兵を率いる趙雲・黄忠・張郃・夏侯蘭・魏延、軍師として龐統・徐庶、無名の若者ですが警戒すべき対象として陸遜。それと特殊兵種として、猛獣部隊を率いる虎熊という将も気をつけるべきかと」

 馬超「ん?劉備殿と関羽殿と張飛殿がいて、劉丁殿は居ないのか?」

 姜維「劉丁殿?いえ、そのような将が帯同しているとは聞いていませんね」

 韋康「馬超様が気になされる程の人なのですか?」

 馬超「うむ。俺がかつて呂布と戦った時、その知勇を持って、俺と劉備殿・関羽殿・張飛殿、そして趙雲殿と黄忠殿を繋ぎ合わせた人だ。あんなにお互いが動きやすい戦は初めてであった。何故、劉丁殿が居ない?考えても仕方ないか。斜め上を行くような策を思いつくような人だ。居ないことを喜ぶべきか」

 姜維「劉備軍も大所帯です。荊州に残ったのかもしれません」

 馬超「そうなんだろうな」

 楊笙鈴「馬超様が気になさっていられる方が居ないのは好都合ですわね」

 馬超「どのような形であれ、再会できないのは残念ではあるがな。妙に記憶に残る人だったのでな」

 姜維「それは置いておいて、劉備軍の兵力はこちらの2倍。そのことからも劉備軍の本気の度合いがわかるかと」

 馬超「うむ。だが劉備殿が同族の劉璋殿ではなく、反乱軍を助ける意味はわからぬが、劉璋殿に手を貸すと決めた以上、ここを死守せねば」

 姜維「劉璋にきな臭い噂があるからかと」

 馬超「劉璋殿が部下の妻を監禁し、娘を人質に取っているという噂か。真なら許されることはないが」

 姜維「火のないところに煙は立たぬと言いますから用心しておくことに越したことはないかと」

 馬休が急ぎ足で駆け込んでくる。

 馬休「兄貴~、来ちまった。劉備軍が来ちまったぞ!」

 馬超「休、化け物が来たみたいに言われては、劉備殿が可哀想であろう」

 馬休「兄貴、すまねぇ」

 馬超「行くとするか。王異・笙鈴、子供たちのことを頼んだぞ」

 王異「お任せください」

 楊笙鈴「戦勝をお祈りしております」

 その頃の劉備軍の様子。

 劉備「まさか、馬超殿程の男が劉璋殿に協力するとは、やはり間違えているのは、私なのか?」

 龐統「そう心配しなさんな。殿は間違えていやせんよ」

 徐庶「劉備殿、そう心配する必要はありませんよ。劉璋が民に対して圧政を敷いているのは明らか」

 陸遜「馬超という男は義理堅いと聞きます。騙されて涼州を失い、助けてもらった恩を返そうとしているのでしょう」

 関羽「兄者。帰ってきてばかりでまた駆り出されるとは思いませんでしたぞ」

 劉備「雲長、すまないな。私の我儘に付き合わせて」

 関羽「なーに、兄者の我儘は今に始まったことではありませんからな。それに、某も兄者と翼徳と共に戦場にでられて、嬉しい限り」

 張飛「流石、関羽の兄者だぜ。なっ、大兄者、言った通りだろ」

 劉備「そうだな翼徳」

 関羽「それにしても義賢が精神を病んで、民に落ちたと聞いた時は肝が冷えましたぞ」

 義賢「雲長。いや関羽将軍にまで、御心配をおかけした」

 関羽「えぇい、やめい。やめい。雲長で構わん」

 義賢「そうですか?雲長らしくないなぁ。いつも兵卒に厳しいのに」

 関羽「ほぉ。義賢は、厳しくしてほしいと。そういうことで構わんか?」

 義賢「ひっ」

 劉備「ハハハハハ。懐かしいな」

 関羽「そうですな」

 張飛「違いねぇ」

 そして、馬超の守る牂牁郡にて、相対する両雄。

 劉備「馬超殿、我が軍を通してはくれないか?」

 馬超「劉璋殿には、寄る辺の無くした我らを迎えくれてもらった恩がある。その話は聞けぬ」

 劉備「こちらとしても益州の民を救うという大義がある。力づくでも通らせてもらう」

 馬超「益州の民を救うのなら劉璋殿に手を貸し、反乱軍を倒すべきであろう。もう言葉は必要ない。お互いの信じるもののため刃で語り合いましょうぞ」

 劉備「それもやむなしか。趙雲、先鋒はお前に任せる!」

 馬超「こちらは、馬て」

 馬雲緑「馬超兄様、先陣は私に任せといて!」

 馬超「おい雲緑、待て」

 聞く耳を持たずに飛び出していく馬雲緑と劉備軍の中で、並ぶものなし槍の名将、趙雲。初戦は、この両軍による戦いとなる。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。補足説明と登場人物の設定資料

揚惇命
SF
『えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。』という作品の世界観の説明補足と各勢力の登場人物の設定資料となります。 本編のネタバレを含むため本編を読んでからお読みください。 ※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本が危機に?第二次日露戦争

歴史・時代
2023年2月24日ロシアのウクライナ侵攻の開始から一年たった。その日ロシアの極東地域で大きな動きがあった。それはロシア海軍太平洋艦隊が黒海艦隊の援助のために主力を引き連れてウラジオストクを離れた。それと同時に日本とアメリカを牽制する為にロシアは3つの種類の新しい極超音速ミサイルの発射実験を行った。そこで事故が起きた。それはこの事故によって発生した戦争の物語である。ただし3発も間違えた方向に飛ぶのは故意だと思われた。実際には事故だったがそもそも飛ばす場所をセッティングした将校は日本に向けて飛ばすようにセッティングをわざとしていた。これは太平洋艦隊の司令官の命令だ。司令官は黒海艦隊を支援するのが不服でこれを企んだのだ。ただ実際に戦争をするとは考えていなかったし過激な思想を持っていた為普通に海の上を進んでいた。 なろう、カクヨムでも連載しています。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

処理中です...