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4章 三国鼎立

論功行賞(後編)

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 襄陽にて、論功行賞が続いていた。
 劉備「論功行賞の第二功は非常に悩んだ。ごく僅差だが、こちらの方を上と判断させてもらった。まだ、ヨシカタ塾の生徒でありながら劉璋軍の将を4人討ち劉璋軍を追い返した張嶷・龔禄・姚伷の3人だ。3人とも、前へ」
 張嶷・龔禄・姚伷「はっ」
 劉備「お前たちがしたことは確かに褒められたことではないかもしれん。敵であっても人の死を侮辱してはならない。そのことは肝に銘じるのだ龔禄よ」
 龔禄「民への被害を最小限に減らすための策でした。劉備様に言われたことを肝に銘じます」
 劉備「うむ。姚伷よ。張嶷のことをよく補佐してくれた。これからも期待している」
 姚伷「はっ。謹んで御言葉を頂戴致します」
 劉備「そして張嶷よ。敵でありながら慈悲の心を失わず。弔ってくれたこと感謝する。お前たちの行動がなければ、我々の領土の半分は劉璋の手に落ちていただろう。勇気ある行動に最大限の感謝を」
 張嶷「おやめください。元々、益州出身であった俺に道を示してくださったのは、劉備様の弟君である劉丁様です。その恩に報いるのは当然のこと。願わくば、我らを将として取り立ててくださいませぬか?」
 劉備「それが褒美で良いのだな?」
 張嶷・龔禄・姚伷「はい」
 劉備「そう目を輝かされては、認めるしかないな。但し、しっかりとヨシカタ塾を卒業するように、その暁には3人を将として採用すると約束しよう」
 張嶷・龔禄・姚伷「有難き幸せ」
 劉備「うむ。では、下がって良い」
 3人が求めたのは、金や名誉ではなく。劉備の元で働くことであった。これをヨシカタ塾の卒業と同時に認めることにした。
 劉備「そして忘れてはならない第三功は、諸葛瑾をいち早く救出する過程で、孫策軍の動きを察知し、奇襲を仕掛けてその動きを遅らせた徐栄。前へ」
 徐栄「奇襲とあればこの徐栄にお任せを。皆が無事と知りこちらも安堵致した。劉備様もよくぞご無事で」
 劉備「ありがとう。お前のお陰で、孫策は戦場で血を吐き撤退したと聞いた。お前が居なければ、襄陽が戦果に晒されていたであろう。皆を代表して感謝する」
 徐栄「領主様とあろうものが軽々と頭を下げるものではない。だがそれが劉備様の良いところでもあるな。謹んでお受けしよう」
 劉備「そう言ってもらえると助かる。最後にこの城を守り抜いてくれた文若と我が弟、劉丁に」
 荀彧「殿、申し訳ありません。劉丁殿は、辞退されました。なんの手柄も上げていないのに位が上がるのは下のものに示しがつかないと。それは私も同じ気持ちです。此度の戦、彼らが持ち場で頑張ってくれたからこその大戦果です。我らの分は彼らに分配してあげてください」
 劉備「文若がそういうのなら承知した。それにしても我が弟にも困ったものだ。自分で言わず文若に任せるとはな」
 諸葛亮「全くです。勝手な行動は許されてはなりません」
 荀彧「牝愛殿が3歳にもなるというのに歩いたり言葉を発することもできず心配なのでしょう。今日も真っ先に帰りましたから」
 劉備「そうかもう3歳になるのか。大きくなっているのだろうな。ん?歩いたり言葉を発せないだと!?それは何かの病気なのではないのか?丁は、何をしているのだ。すぐに張角先生を呼ぶのだ」
 荀彧「落ち着いてください殿。どうやら成長が遅いだけでどこにも異常は見当たらないとのこと。だから劉丁殿も心配されているのでしょう」
 劉備「そうであったか。ならば良いが」
 諸葛亮「その話は取り敢えず置いておきましょう。次は、交州攻略組の論功行賞を始めねばなりません」
 劉備「うむ。そうだな。第一功は」
 と言いかけたところで皆が口々に言う。
 劉備「私が第一功だと。それはないだろう。しかし皆にここまで言われては仕方がない。第ニ功は」
 と言いかけたところでこれも口々に皆が言う。
 劉備「孫堅殿を相手他にいないと確かにそうだな。では、第三功は」
 と言いかけたところでまたも皆が口々に言う。
 劉備「似たり寄ったりだからまとめてで構わない?いやいやそれでは私の気が済まない。その気持ちだけで十分だと。わかった。では、高涼城の背後を回るために襲いかかってきた虎熊を降伏させた魏延を兵卒から士卒とする」
 魏延「謹んでお受けいたします」
 劉備「次に、高涼の民を安心させたり、奇襲を早急に察知し被害を最小限に抑えるだけでなく、猛獣部隊を率いて、大いに奮戦してくれた虎熊を新たに増設する猛獣部隊の将軍に任命する」
 虎熊「俺なんかが魏延の兄貴よりも上の身分だなんて勿体ねぇ。俺は魏延の兄貴の下で」
 魏延「殿がここまで評価してくれたのだ。それにお前はもう俺がいなくても大丈夫だ。お受けせよ」
 虎熊「兄貴、わかった。謹んでお受けいたす」
 劉備「次に、南海にて、負傷はしたものの敵将を排除した趙雲と張郃。趙雲の後を引き継ぎ張郃の配下たちをも指揮して、数々の危機を救った夏侯蘭を将軍に」
 趙雲「殿、最後までお役に立てませんでした。このようなものは勿体無い。気持ちだけもらっておきます」
 張郃「私もです。殿には女の身であることを打ち明けてからも変わらず兵を任せてもらえているだけで感謝しています」
 夏侯蘭「俺も」
 その後を遮る2人。
 趙雲「夏侯蘭、お前は当然の権利だ。お受けするのだ」
 張郃「えぇあの癖の強いうちの部隊をも見事に率いたと副将として欲しいぐらいですわ」
 夏侯蘭「全く、子龍に言われては仕方ない。張郃殿も感謝する。謹んでお受けする」
 劉備「最後に今回は久々だったのに地味な仕事ばかりさせたな翼徳」
 張飛「何言ってんだ。大兄者のいるところが俺の居場所だってんだ。でもよ評価してくれてありがとよ。後は関羽の兄者が無事に帰ってくるだけだな」
 劉備「あぁ、また義兄弟3人で、戦場に出たいものだ」
 張飛「おぅよ」
 こうして論功行賞が終わって、魏延は義賢の家へと槃李杏を迎えに来るのだった。
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