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4章 三国鼎立

緊急手術!?

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 孫堅たちが祖茂を抱えて、外に出てくると声が聞こえてきた。
 ???「父上~、叔父上~。クソ、士祇の奴めここまでやるとは、これでは父上と叔父上は」
 孫堅「士祇だと!?まだ残党が居たのか。今は祖茂の命が最優先だ。見つかってはならん」
 黄蓋「しかし殿、残党なら殺しておかないとまたこのようなことが起こるのではありませんかな?」
 程普「黄蓋、何を言う。今は一刻を争う状況だ。早く祖茂の奴を医者に見せねばならんのだ」
 祖茂「ゴフッ」
 韓当「祖茂の奴が苦しそうだ」
 孫堅「やむおえん。強行突破するしかない」
 孫堅が剣を抜き躍り出る。
 ???「待って、待って、貴方は確か叔父上がお世話になっていた孫堅殿。俺です。士壱の息子の士匡シキョウです。その抱えられている方は、とてもひどい怪我だ。お急ぎのところでしたか!こちらのことは構わず行ってください」
 孫堅「士匡殿だったか。無事だったのだな。良かった。今は一刻を争うのでこれで失礼する。士燮殿たちなら地下にいる」
 士匡「ありがとうございます」
 孫堅たちは士匡と別れて、祖茂を運ぶ。
 黄蓋「殿、どうされるおつもりで」
 孫堅「尚香から聞いたことがある。この近くで腕のいい診療所があると。それを運営しているのは、劉備殿なのだそうだ。そこに向かおう」
 程普「場所はご存知なのでしょうな?」
 孫堅「あぁ、交州と荊州の山間部の間でひっそりと営んでいると聞いた」
 祖茂「ゴホッゴホッ」
 韓当「殿、祖茂の奴が」
 孫堅「わかっている。行くぞ。お前たちは、劉備殿に事の次第の報告と俺たちのことを報告しておいてくれ」
 孫堅軍兵士たち「了解しました」
 幸いここからそう遠くないところにその診療所はあった。しかし、孫堅は看板を見て唖然とする。
 孫堅「張角診療所?まさかな?」
 張梁「おい、うちに何か用かって、お前はそそそそ、孫堅!」
 孫堅「お前、張梁なのか?生きていたのか?貴様らこのようなところに潜伏していたのか!」
 張曼成「待て、俺たちは今はここでどんな患者であろうが治療する診療所を営んでいるんだ」
 馬元義「早く、その血だらけの男を運び込め。死んじまうぞ!」
 孫堅「背に腹は変えられん」
 中に入ると受付にはお団子頭にしている可愛い女性が居た。
 ???「何々、血だらけなんですけど!張角先生!華佗先生!今日の登板ってどっちだったっけ?まっいっか、どっちか居ませんかーー」
 張角が疲れた顔をしてやってきた。
 張角「やれやれ椿や。どうしたんじゃ」
 張梁たちに抱えられている重病人を見て驚く張角。
 張角「うおっ。なんちゅう怪我をしとる。すぐにこちらに運ぶのだ張梁」
 張梁にそう命ずると慌てて華佗を呼ぶ。
 張角「華佗殿!華佗殿!」
 張梁「兄貴、合点だ」
 その騒ぎを聞きつけ欠伸をしながら華佗が出てきた。
 華佗「張角よ。まだ交代の時間では無かろうが。何じゃ、起こして」
 張角「急患じゃ。ひどい怪我をしておる」
 華佗「なんじゃと!それをはよう言わんか!」
 直ぐに手術室に運ばれる。その後をズカズカと入ろうとする孫堅たちを止める椿。
 椿「これ以上はご遠慮ください」
 孫堅「何を言っている!得体の知れない奴らに祖茂のことを預けられると思っているのか!失礼させてもらう!」
 椿「ダメです!そんな汚れた服で入っては感染症などの危険性があるんですぅ」
 黄蓋「この女、ワシらが汚いと申すか!そこに直れ!」
 その騒ぎを聞いて張角が出てきて事情を説明する。
 張角「うちの従業員を虐めんでくれんか孫堅殿。久しいですな。黄巾の乱の頃に顔を合わせた以来ですかな?」
 孫堅「やはりお前は張角なのだな?どうして、黄巾の乱を引き起こした首謀者を劉備は匿っている!納得できる説明をしてもらおうか?」
 張角「お連れの方の怪我は酷い。華佗殿が弟子と共に執刀に当たられている。ワシは外科的医療は専門外でしてな。良いでしょう。お話ししましょう。それにしても、最近は懐かしい方によくお会いする。曹操殿といい。孫堅殿といい。全く、やはり天は、我の罪をお許しにはなられませんのかな」
 張角は寂しそうにそう呟いた。
 孫堅「そんなのは当然であろう。民を凶行に走らせ国を乱した国罪を誰が許すというのだ!」
 張角「確かにそうですな。あの頃のワシは、病を治せる幻の医書のため躍起になっておった。そんなワシを担ぐよからぬ輩が多かった。国のため彼らの一掃のため霊帝様と共謀して、事を起こしたのが黄巾の乱じゃ。霊帝様は民の朝廷に対する支持率の低下を回復させるため、ワシはよからぬ輩の一掃のため。それは、ワシが朝廷に殺されるまで続くはずじゃった」
 孫堅「あれが霊帝様の意思だったと?」
 ???「そういうことじゃ孫堅よ。そう張角を責めんでやってくれ。此奴は朝廷のために汚れ役を引き受け、短い命を燃やそうとしておった。それが于吉という男のかけた呪いとも知らずにな」
 孫堅「霊帝様!?どうしてこちらに?」
 霊帝「ホッホッホ。張角と同じじゃ。お前たちに命を救われたあの後、この地にて、酷い目に遭わされる女たちの駆け込み寺を始めた。今や、100人もの女たちがここで暮らしていてな。人手が足りないとかで何人か張角のところで仕事をしているものもいるわい」
 孫堅「まだ御健在でしたか。御挨拶にも伺わず大変失礼しました」
 霊帝「良い良い。息子が必死に耐えてるんじゃ。労ってやるまで死ねんのでな。孫堅よ。ワシが断言する張角は良い医者だ。今は任せて大人しくそこで待つんじゃ」
 孫堅「わかりました」
 程普「こんな奴らに祖茂を任せて良いのですか殿!」
 孫堅「信じて待つ他あるまい」
 孫堅たちは手術室の前にあるソファーと呼ばれる椅子に腰を掛けて、使用中の赤い明滅が消えるのを待っていた。
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