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4章 三国鼎立

蒼梧の戦い(承)

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 蒼梧城へと辿り着いた劉備に大声が轟く。
 桓治「我が名は桓治。蒼梧城を預かる士祇の配下よ。民に虐殺を働き、その身を喰らう凶暴な獣どもよ。この城に貴様に屈する奴など誰1人もおらんわ」
 劉備「桓治とやら。総大将の劉玄徳である。色々と誤解があるようだが我らは虐殺などしていない。それに喰らったこともない。我らは交州を士祇の圧政から解放するために立ち上がったのだ。降伏するなら命だけは助けよう」
 桓鄰「ハハハハハ。我が名は桓鄰。桓治の弟である。貴様が悪名高き劉玄徳とはなぁ。その風貌、まるで悪魔のようだ。口ではなんとでも言える。証明したいのであれば、態度で示すが良い」
 劉備「降伏するつもりはないと。あくまで戦うと。これ以上、血を流すことに何の意味がある!」
 このやりとりを聞いている雁門と彭虎。
 雁門「桓治殿がやる気のようで安心した。昔、士徽様との間でわだかまりがあったからな心配していた。死んだのだから水に流したということか」
 彭虎「(おいおいおいおい、何してくれちゃってんの。あんな挑発したら劉備軍が大挙しちゃうじゃねぇの。俺は厳白虎様の敵を取るため孫策を討つために協力を求めただけじゃねぇか。こんなの見返りが少なすぎる。やってられるか。今からでも遅くないよな。降伏したら許してくれるよな。いや、虐殺をした俺だ。許してくれるわけがねぇ。でもこんなところで死ぬわけには。そうだ逃げよう。隙を見て逃げよう。他の山越の者たちと合流できれば、孫策を討つ機会にも恵まれよう)」
 雁門「どうして黙って?」
 彭虎「なんでもねぇよ。武者震いしてただけだ」
 雁門「そうか」
 劉備の言葉を受けて桓治が言葉を返す。
 桓治「ほぉ。虐殺王の言葉としては、何とも面白い答えだ。血を見るのが好きだから民を無差別に殺したのであろう。いや血は血でも女の血の方が好きなのだったな強姦王よ」
 劉備「そのような出所不明の噂を信じているなどお前たちこそどうかしている!」
 琥珀姫「聞きなさい!私は朱崖郡の村の生き残りよ。人を食べていたのは劉備様ではないわ。朱崖郡を束ねていたお父様。いえ蟹張よ」
 桓鄰「これは傑作だ。劉備は、自慢のイチモツで、朱崖郡での行いを籠絡した女の父のせいにしたそうだ」
 兵士たちの苦笑する声が聞こえる。
 琥珀姫「なっなんですって!私が籠絡されたですって。ふざけないで事実を話しているだけよ!」
 諸葛亮「おやめなさい。言い返せばそれだけ、玄徳殿が危機に陥ることになるでしょう」
 琥珀姫「でも」
 劉備「良いのだ。お前だけが知っていれば」
 琥珀姫「ポッ」
 桓治「皆の者、見た通りだ。あの男は、自分のやった行いを他人のせいにして、あまつさえ、籠絡した女の父のせいにするような男だ。あのような男にこの蒼梧を私でも良いと思うか?」
 蒼梧兵たち「思いません!」
 桓鄰「奴らは獣の集まりだ。女と子供と老人は、家に篭って終わるまで鍵をかけておれ」
 民女「いや~ん、どうしましょう~。劉備様に攫われちゃったら~」
 民老「くれぐれも気をつけなされ」
 子供「僕ももう少し大人だったら武器を持って戦えたのに」
 言いながら家に入り鍵のかける音が聞こえる。まぁ鍵といってもかんぬきをはめる音だが。劉備軍と桓治率いる蒼梧軍の戦いが始まった。
 桓治「雁門、表は任せたぞ。得意の騎馬隊で劉備軍を混乱させるのだ」
 雁門「了解した。行くぞ彭虎」
 彭虎「おぅ(早速逃げる好機が到来したぜ。まだ死にたくないのでな。後は勝手にやってろ)」
 雁門と一緒に飛び出した彭虎率いる山越騎馬隊は、反対方向へと走り出し、そのまま闇の中へと消えていった。
 彭虎「すまねぇな雁門のおっさん。孫策を殺すまで死ぬわけにはいかねぇんだ。あばよ」
 雁門「彭虎待て。馬鹿な!敵前逃亡をするなど。士祇様が許すわけが無かろう。ええぃ。あんな奴らの助力など必要ないわ。我が騎馬隊の力を見るがいい」
 琥珀姫「お馬さんには悪いけど玄徳様では試せなかったアレの餌食になってもらうわよ~ん。ゴホン。もらいます」
 突撃した雁門の騎馬隊が突如現れた棘の柵に次々とぶつかっていく。
 交州騎馬隊A「うおっ。へっ?柵。止まれ止まれって言ってんだろこの駄馬が!がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 交州騎馬隊B「おい、お前どうしたんだ?待て待て待て、止まれ止まれ止まれ。なんで止まらないんだ。この駄馬が!死んじまうだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 諸葛亮「あれが我が軍に猛威を奮っていたとしたらとても恐ろしい」
 趙雲「白龍、お前があぁならなくて良かったよ」
 白龍「ヒヒーン(子龍様ったら心配してくれるなんて嬉しい。でも私駄馬じゃないから鼻でわかるもん。一流の馬には一流の人が乗るものなんだから。子龍様といられて幸せ~)」
 張郃「騎馬隊の天敵ですね」
 高覧「儁乂、心配すんな。お前のことは俺が死んでも守ってやっからよ。この重装歩兵隊の隊長としてよ」
 張郃「はぁ。話しかけないでって言ったよね?まだ許してないんだから」
 高覧「ちょっとちょっと、アレは本当に悪かったって。もういい加減機嫌直してくれよ~」
 走り出した馬は止まらない。次々と地面から現れる棘の柵の餌食となって、串刺しとなっていく雁門の騎馬隊。
 交州騎馬隊C「馬はもうダメだ。飛び降りて俺たちだけでも助かるんだ。へっ。どんなもんだ。えっ?白兎?」
 ???「なんだこの服が白兎に見えたのか?これにしてもアンタ運が悪いな。飛んだところが俺達のところだなんてよ。俺たちは劉備様の親衛隊、白毦兵さ。あばよ。運の悪い騎馬隊さんよぉ」
 交州騎馬隊C「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 ???「和蘭小人《ワランショウニン》、勝手に飛び出すなといつも言っているだろう。我らの目的は殿の護衛だと」
 和蘭小人「陳到隊長だって、昔は暴れ回ってたってよく聞きますぜ」
 陳到「あくまで殿の許可があった時だけだ」
 和蘭小人「硬いことは言わんでくださいや。初めての実戦でウズウズしてんだ」
 陳到「気持ちはわかるが我らは殿の親衛隊なのだ。何よりも優先するべきは殿の安全。それだけは肝に銘じよ」
 和蘭小人「了解ですぜ隊長」
 劉備「叔至、苦労しているみたいだな」
 陳到「殿!?いささか前線に出過ぎかと」
 劉備「背中は安心して任せられるお前がいるのだ。これぐらいは良かろう」
 陳到「勿体なき御言葉。あやつの躾はこちらでしておきます。全く、最近血の気の多いやつが多くて困りますよ」
 劉備「昔の自分を見ているようでか?」
 陳到「殿、まぁそうですな」
 このように串刺しになる直前に飛んだ奴らも適度に配置されている部隊によって串刺しとなり、形勢不利とみた雁門は、蒼梧城へと撤退した。
 劉備「皆の者、ようやった。琥珀姫、お前のお陰だ」
 琥珀姫「キャッ。そんなみんなの前で、また2人の時に~」
 劉備「わかったわかった。この恥ずかしがり屋さんめ」
 琥珀姫「ポッ」
 劉備「次は蒼梧城内部へと進軍し、桓治・桓鄰兄弟を討ち取るのだ」
 劉備軍兵士たち「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
 劉備軍が城内を目指して進軍を開始するのだった。
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