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4章 三国鼎立

士祇の計略

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 ここは士祇の治める南海城の外壁部分の様子。
 ???「オラァ。働け働け。働かないものに飯はでねぇぞ!」
 民老「もうダメじゃ」
 バタッと倒れる老人にも容赦なく鞭が突き刺さる。
 ???「テメェら死にたいわけじゃねぇよなぁ。士祇様は、オメェたち弱い奴らを守るためにここを要塞化しようとしてるんだぞ。それを何か?オメェらは劉備の娼婦となって、あんあん喘いで、猛獣の餌になりたいとそう言ってんのか?アァン」
 民老「そんなことは言ってないじゃろ。少し休憩させてくれとそう申しているだけじゃ。休憩したら働きますから。なっこの通りですじゃ」
 ???「ウルセェ。このボケ老人が!」
 その腕を止める男。
 ???「そのように手荒なことをして良いと士祇にぃさんは言ってないはずだよ。獄卒ゴクソツ
 獄卒「これは、士幹様にお見苦しいところをですがコヤツは先ほどから休んでばかりでして」
 士幹「そうなのかい。ひょっとしたらお爺さんには辛いのかもしれないね。ところで話は変わるけど料理は作れるかい?」
 民老「料理ですか?やったことはありませんが」
 士幹「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。お爺さん自身が食材だ。とかじゃないんだからさ。それにここよりは簡単だよ(作るのは料理という名の樽爆弾だけどね)」
 民老「ではそちらに」
 士幹「はーい」
 士幹は獄卒に耳打ちする。
 士幹「こういうダメなジジイは、ここでは使い物にならないんだからもっと若い奴隷を回してあげるって言ったのにさ。こういうダメになったやつはこっちに回してくれるかい?代わりにイキの良い奴隷を回すからさ」
 獄卒「はっ士幹様」
 士幹「宜しく。後、やりすぎたら士祇にぃさんの支持率に影響するんだからさ程々に頼むよ」
 獄卒「かしこまりました」
 士幹「重ね重ね宜しく~」
 南海城には、雁門と彭虎が呼ばれていた。
 雁門「お呼びですか士祇様」
 士祇「士徽が亡くなったことは聞いたな?」
 雁門「はい。惜しい方を亡くしました。それが何か?」
 士祇「いや、士徽の奴も我々のために耐えてくれたのだが劉備軍には及ばなくてな。想定以上に劉備の動きが早い。だが、生憎、奴らの通る道はわかっている。ここだ。高涼の外れのここに兵を伏せ。通った劉備軍を急襲せよ」
 雁門「それがこの交州のためになるのですな?」
 士祇「あぁ。さっきからなんだ言いたいことがあるのならはっきりといえ!」
 雁門「では、僭越ながら、士徽様は寝返ろうとされたのでは?それを暗殺して、討ち死に扱いにした。違いますか?」
 士祇「さぁな。俺が受けた報告は、劉備軍と死闘を演じて、一歩及ばず討ち取られたとな」
 雁門「そうですか。話す気は無いと。命令なのでお引き受けしますが貴方の行いがこの交州を誰かに譲り渡す算段なのだとしたら、許しませんぞ」
 彭虎「約束通り孫策を滅ぼすのに協力してくれんだろうな?今更、そんな話は知らんとか言うつもりならこちらにも考えがあるぞ」
 士祇「お前たちの目に俺がどう映っているかようわかった。この俺が真の売国奴だと。お前たちはそう言いたいのだな?ほぉ、ならどうして要塞を作る必要がある?この要塞こそがこの交州を守ろうとしている男の姿だと何故わからん。それに彭虎よ。交州を守れなければ孫策を討つことなど叶わぬと何故わからん。もう良い、そこまで俺を悪者にしたいのであれば、お前たちには頼まん。とっとと出ていくが良い」
 雁門「試すようなことをして、申し訳なかった。士徽様が身内に殺されたのではないかと不安だったのだ。その疑いも今の言葉で無くなり申した。交州のためその任務を必ず成功させましょうぞ」
 彭虎「申し訳なかった。敗戦の報告を聞くたびに不安になっていたのだ。失礼した」
 2人が出ていく。
 士祇「士徽の馬鹿も余計な男を残していってくれたな。呼び戻さずに討死させておくべきだったか?いや、この策のためにあやつの武が必要だったのだ仕方あるまい。それに馴れ馴れしい厳白虎の敵など知るか。孫策にまだ倒れられては困る。アヤツも馬鹿だから目先の利益にすぐ飛びつくからな。その結果、最終的に喰われる南が疲弊するならそれで良い。俺の役目は曹操様の天下のため。華北の雌雄が決するまで時間を稼ぐだけのことよ」
 指示された場所に向かう2人。
 彭虎「雁門、この戦い勝てるよな?」
 雁門「わからん。我らは劉備を怒らせすぎたのかもしれん。関羽が居なければ迅速に行かんと思っていたが。蓋を開けてみれば確実に確実に歩みを進めている。それも初めこそ歩みが遅かったものの合浦・高涼と攻略が早かった。我々がここで少しでも痛手を与えて、歩みを遅くせねば、要塞が完成する前に南海へと辿り着いてしまうだろう」
 彭虎「でもよ。こんなところ、本当に劉備が通るのか?他にも道があるだろうに」
 雁門「わからん。だが命じられた通り、ここで待つしかあるまい」
 そして、ここで劉備軍が野営に入ったのである。
 彭虎「マジかよ?本当に来た。しかも野営なら寝静まってから仕掛けたら劉備の首取れるんじゃねぇか?」
 雁門「待て、獣の匂いがする。奴らは夜目が効く。馬鹿な考えは捨てた方が身のためだ。あの遠くにあるあそこの陣、あれだけを迅速に襲撃して、獣たちが来る前に撤退する」
 彭虎「マジかよ。劉備は獣まで従えてるってのかよ(俺、付く相手を間違えたんじゃね。劉備に付いてれば、孫策ともやりあえたんじゃ?どこで間違えた。クソッ。民の死を1番に嫌う劉備が虐殺に関わった俺を許すわけねぇ。クソッ。だから嫌だったんだ)」
 こうして、外れの外れに作られた陣だけが雁門・彭虎の急襲に遭い甚大な被害を受けたのである。その数、人数にして2000人。そのうち部隊の指揮を取れる指揮官20人である。これがいかに痛いことかお分かり頂けるだろう。部隊の再編成、それに時間を取られ、進軍に日数を要してしまうのである。そして、夜襲を警戒するようになり、気の休まるところがない。そんな状態で蒼梧へと辿り着く劉備軍であった。
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