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4章 三国鼎立
士祇の狙いにようやく気付く
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日も暮れかかってきたので、野営の準備に取り掛かる。警戒は夜目の聞く動物たちが担当してくれるらしく。スヤスヤと眠りにつく劉備を動物たちの唸り声が響き、起こされる。
劉備「まさか!夜襲か!」
虎熊「殿、御無事ですか?士祇軍の奴ら、夜襲を仕掛けてきやがった」
諸葛亮「殿、やられました。伝令の1人が向こうの間者だった模様。この野営場所がバレてしまい。虎吉殿たちが警戒をしてくれたお陰で事なきを得られそうですが、それでも警戒の外にいた兵たちには甚大な被害が出ているようです」
劉備「まさか追い詰められている相手が奇襲を仕掛けてくるとはな。相手はわかるか?」
諸葛亮「あいにく、虎吉殿たちしか警戒に充てて居ませんでしたので、申し訳ありません殿」
劉備「負けたわけではない。そう謝るな孔明。お前でも読みきれない事があっただけのこと」
諸葛亮「(いや、奇襲はないと考えていました。伝令の中に間者が紛れ込む機会もなかったはずです。しかし現実は、伝令の1人が間者であることがわかり、奇襲も行われました。ここはまだ高涼の外れだというのに。明らかにここに的を絞って伏せてた節がある。こちらの行動が読まれている?)殿、士祇という男、案外侮れないかもしれません」
孫堅「これが士祇の策だと?あり得ない、あの男は士燮殿の影に隠れて居ただけの男だ。こんな策を弄するなど」
諸葛亮「ですが、士燮殿への謀反の犯人だと思われていた士徽は自害したかのようでしたがアレも装われたとしたら。自分たちの体裁を保つために、我らに討ち取られたことにするように。事実、そう見えなくもなかったではありませんか?」
孫堅「ふむぅ。あの士祇が?士徽に付き従っているだけだと思っていたが」
黄蓋「能ある鷹は爪を隠すと言いますなぁ。ガッハッハ」
程普「黄蓋、そういう雰囲気ではなかろうが!」
韓当「程普、細かいことばっかり気にしてると俺みたいに禿げるぞ」
程普「禿げん。ワシは絶対に禿げん。そういう話ではなかろう!諸葛亮殿の申す通りだとして、士祇はどうやって、我々の進路を予測しているというのだ?」
諸葛亮「恐らく、何かしらの誘導が行われていたのです。思えば、初めから妙でした。南海だけを厳重に固めて、周りは疎かでした。それを逆手に取り、我々は手薄なところから制圧に取り掛かりました。その結果、殿に精神的な打撃を多く与えてしまいました」
劉備「気にするな孔明。頼もしき仲間をあることもできたのだ。刀流に虎熊とな」
刀流「有難き御言葉、救われた恩を返すため尽力致す所存」
虎熊「兄貴のため。殿のため。何でもやるぜ」
劉備「あぁ、頼りにしている」
諸葛亮「確かに刀流殿に関しては、遅れて居ては、最悪の事態もあったかもしれません。ですが、我らは結果、その足取りが重くなった。そして、合浦を落とした時、攻め先は2つあったのです。ですが我々は迷わず。高涼へと向かった。まるで何かに惹きつけられるかのように」
劉備「まさか孔明は、我々の行動全てが士祇の掌の上で踊っていたとそう言いたいのか?」
諸葛亮「あくまで可能性としてですが。そうなると士祇の頭は、かつて項羽に仕えた参謀の范増に劣らぬ才覚の持ち主やも知れません」
孫堅「それは買い被りすぎであろう。ただ諸葛亮殿が読み間違えただけのこと。それを全て誘導にハマっていたと」
程普「いえ、殿。それは違うかと。ワシにも思い当たる時がある。交州に居た時、士燮殿の息子たちの謀反を知らせに来た伝令が豹変した時の事だ。あの時、どうして、わざわざ身分を明かし我々を逃す必要があった?我々を劉備軍へと合流させ、この戦いを起こすことが目的だったのではないか?」
諸葛亮「なんと!?まさか!?そのような!?殿、我々はしてやられたかもしれません。我々は多少、無理をしてもあの時早急に南海を落とすべきだったのです。これは全て、時間稼ぎ。恐らく士祇は曹操と手を組んでいます」
劉備「それはない。曹操殿は約束を違える男ではない」
孫堅「あぁ。俺もそう思う。そんな回りくどいことをやるぐらいならとっとと献帝様を廃して、自分が皇帝に付いているだろう。だが、曹操殿は、未だ献帝様を表向きは立てている」
諸葛亮「かつて共に黄巾の乱の収束に協力した仲間を信じたい気持ちはわかりますが徐州で虐殺を働く男です」
劉備「それも俄かには信じられないのだ。確かに、虐殺していたのは曹操の部下たちだった。だがそれを曹操が命令するとはどうしても思えない」
諸葛亮「何故、言い切れるのです!」
劉備「私が初めてお会いした時に英雄とはこういう人のことを言うのかと憧れたからだ。だがその思想には共感できなかった。力で力無きものを屈服させるという思想には。私は徳を持って広く治めたいとそう考えていたからだ。やっていることは真逆だが。目的のためには自らの手を進んで汚しているのだからな」
諸葛亮「そうですか。徐州で両親を殺されたので熱くなってしまいました。失礼しました殿。ですが、曹操ではなくとも誰かと結んでいるのは明らかです。この奇襲は、恐らく。我々の足取りを少し遅らせることです。士祇にとって高涼の陥落は想定以上に早かったということでしょう。我々は得ていた優位性を今ので失ったかもしれません」
劉備「孔明がそういうのならそうなのだろう。だが負けたわけではない。また次、上回れば良いだけのことだ」
孫堅「うむ。そうだな」
諸葛亮のいう通り、士祇は奇襲を行ったわけではない。この場所にあらかじめ、あの2人を伏せていたのだ。雁門と彭虎である。
劉備「まさか!夜襲か!」
虎熊「殿、御無事ですか?士祇軍の奴ら、夜襲を仕掛けてきやがった」
諸葛亮「殿、やられました。伝令の1人が向こうの間者だった模様。この野営場所がバレてしまい。虎吉殿たちが警戒をしてくれたお陰で事なきを得られそうですが、それでも警戒の外にいた兵たちには甚大な被害が出ているようです」
劉備「まさか追い詰められている相手が奇襲を仕掛けてくるとはな。相手はわかるか?」
諸葛亮「あいにく、虎吉殿たちしか警戒に充てて居ませんでしたので、申し訳ありません殿」
劉備「負けたわけではない。そう謝るな孔明。お前でも読みきれない事があっただけのこと」
諸葛亮「(いや、奇襲はないと考えていました。伝令の中に間者が紛れ込む機会もなかったはずです。しかし現実は、伝令の1人が間者であることがわかり、奇襲も行われました。ここはまだ高涼の外れだというのに。明らかにここに的を絞って伏せてた節がある。こちらの行動が読まれている?)殿、士祇という男、案外侮れないかもしれません」
孫堅「これが士祇の策だと?あり得ない、あの男は士燮殿の影に隠れて居ただけの男だ。こんな策を弄するなど」
諸葛亮「ですが、士燮殿への謀反の犯人だと思われていた士徽は自害したかのようでしたがアレも装われたとしたら。自分たちの体裁を保つために、我らに討ち取られたことにするように。事実、そう見えなくもなかったではありませんか?」
孫堅「ふむぅ。あの士祇が?士徽に付き従っているだけだと思っていたが」
黄蓋「能ある鷹は爪を隠すと言いますなぁ。ガッハッハ」
程普「黄蓋、そういう雰囲気ではなかろうが!」
韓当「程普、細かいことばっかり気にしてると俺みたいに禿げるぞ」
程普「禿げん。ワシは絶対に禿げん。そういう話ではなかろう!諸葛亮殿の申す通りだとして、士祇はどうやって、我々の進路を予測しているというのだ?」
諸葛亮「恐らく、何かしらの誘導が行われていたのです。思えば、初めから妙でした。南海だけを厳重に固めて、周りは疎かでした。それを逆手に取り、我々は手薄なところから制圧に取り掛かりました。その結果、殿に精神的な打撃を多く与えてしまいました」
劉備「気にするな孔明。頼もしき仲間をあることもできたのだ。刀流に虎熊とな」
刀流「有難き御言葉、救われた恩を返すため尽力致す所存」
虎熊「兄貴のため。殿のため。何でもやるぜ」
劉備「あぁ、頼りにしている」
諸葛亮「確かに刀流殿に関しては、遅れて居ては、最悪の事態もあったかもしれません。ですが、我らは結果、その足取りが重くなった。そして、合浦を落とした時、攻め先は2つあったのです。ですが我々は迷わず。高涼へと向かった。まるで何かに惹きつけられるかのように」
劉備「まさか孔明は、我々の行動全てが士祇の掌の上で踊っていたとそう言いたいのか?」
諸葛亮「あくまで可能性としてですが。そうなると士祇の頭は、かつて項羽に仕えた参謀の范増に劣らぬ才覚の持ち主やも知れません」
孫堅「それは買い被りすぎであろう。ただ諸葛亮殿が読み間違えただけのこと。それを全て誘導にハマっていたと」
程普「いえ、殿。それは違うかと。ワシにも思い当たる時がある。交州に居た時、士燮殿の息子たちの謀反を知らせに来た伝令が豹変した時の事だ。あの時、どうして、わざわざ身分を明かし我々を逃す必要があった?我々を劉備軍へと合流させ、この戦いを起こすことが目的だったのではないか?」
諸葛亮「なんと!?まさか!?そのような!?殿、我々はしてやられたかもしれません。我々は多少、無理をしてもあの時早急に南海を落とすべきだったのです。これは全て、時間稼ぎ。恐らく士祇は曹操と手を組んでいます」
劉備「それはない。曹操殿は約束を違える男ではない」
孫堅「あぁ。俺もそう思う。そんな回りくどいことをやるぐらいならとっとと献帝様を廃して、自分が皇帝に付いているだろう。だが、曹操殿は、未だ献帝様を表向きは立てている」
諸葛亮「かつて共に黄巾の乱の収束に協力した仲間を信じたい気持ちはわかりますが徐州で虐殺を働く男です」
劉備「それも俄かには信じられないのだ。確かに、虐殺していたのは曹操の部下たちだった。だがそれを曹操が命令するとはどうしても思えない」
諸葛亮「何故、言い切れるのです!」
劉備「私が初めてお会いした時に英雄とはこういう人のことを言うのかと憧れたからだ。だがその思想には共感できなかった。力で力無きものを屈服させるという思想には。私は徳を持って広く治めたいとそう考えていたからだ。やっていることは真逆だが。目的のためには自らの手を進んで汚しているのだからな」
諸葛亮「そうですか。徐州で両親を殺されたので熱くなってしまいました。失礼しました殿。ですが、曹操ではなくとも誰かと結んでいるのは明らかです。この奇襲は、恐らく。我々の足取りを少し遅らせることです。士祇にとって高涼の陥落は想定以上に早かったということでしょう。我々は得ていた優位性を今ので失ったかもしれません」
劉備「孔明がそういうのならそうなのだろう。だが負けたわけではない。また次、上回れば良いだけのことだ」
孫堅「うむ。そうだな」
諸葛亮のいう通り、士祇は奇襲を行ったわけではない。この場所にあらかじめ、あの2人を伏せていたのだ。雁門と彭虎である。
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