339 / 589
4章 三国鼎立
海戦前の静けさ
しおりを挟む
劉琮の就任お披露目が終わった翌日、川を降って、江夏へと上陸しようとする一団が現れ慌ただしくなる。
劉琮「やはり来ましたか。孫策軍でしょう」
甘寧「あぁ、間違いねぇだろうな。ったく、もうちょっとゆっくりさせてやりたかったんだけどよ」
劉琮「良いのです甘寧叔父上。太守として初めての業務がまさか孫策軍の迎撃だなんて、腕がなるじゃないですか」
文聘「劉琮様の御身はこの文聘がお守りいたしますぞ」
劉琮「頼りにしているよ仲業。黄祖・蔡瑁・張允はすぐに水軍を率いて迎撃を」
黄祖「呉軍水軍なんぞ。恐れるにたりませんわい」
蔡瑁「油断してはならん黄祖殿」
張允「まぁ、相手さんもまさかすぐに迎撃してくるなんて思ってねぇだろ。有利なのはこちらさ」
蒯越「やれやれ劉琮様が太守に就任した途端にこの有様とはな」
蒯良「兄上とこちらの補佐に来て正解でしたな」
劉琮「蒯越に蒯良!劉備様が寄越してくださら予定だった軍師って2人のことだったんだね」
黄祖「なんじゃ、こんなに劉表軍閥が集まって、まるで同窓会では無いか。ガッハッハ」
蒯越「相変わらずだな黄祖。だがお前の水軍の腕は頼りにしておる」
蒯良「迎撃するのなら荊州と揚州の玄関口である下雉県にて迎撃するのが良いでしょうな」
甘寧「あぁ、そうだろうな。そもそもそこ抜かれたら江夏各地に戦果が拡大しちまう。そこで水軍戦に持ち込むのが良いだろう」
蒯越「孫策が傷で寝込んでいる間に周瑜は水軍強化に力を入れていたそうだ。その頃から荊州に対して、攻め込む算段を付けていたのは明白」
蒯良「強化された呉の水軍を侮ってはならんぞ黄祖」
黄祖「蒯越・蒯良、ワシはな。陸での戦闘はダメダメじゃ。凡人素人も良いところじゃ。じゃがな海での戦いは負け知らずじゃ。呉の水軍を何度も沈めてきた。しかしな。ワシは一度だって、油断したことはないのじゃ。向こうが鍛える以上にワシは水軍を調練した。凡人素人のワシが唯一勝てるのがそれだけだったんじゃ。ワシの原動力はな。海運業を営んでいた父を海賊に殺されたことじゃ。守ってやれる強い軍隊が居たら海運業はもっと発展する。ワシが鍛え上げた海の男たちは、皆揃いも揃って血気盛ん暴れん坊者共よ。だがな海を愛し、国を守る意思を誰よりも持っておる。そんなワシらがビビってどうするんじゃ」
蒯越「すまぬ黄祖よ。弟が失言をした」
黄祖「失言?いや、最もな意見じゃよ。ワシはな。用心深いんじゃ。じゃから敵を侮ることはない。どんな敵にも真っ向勝負からの搦手よ」
蒯良「そうであったな。嫌なことでも国のためならと進んでやるのがお前の良いところでもあり悪いところでもあったな」
黄祖「忠告は感謝しておる。ワシとてまだ死ぬつもりは無いから安心せい。ガッハッハ」
蒯越「死なれてはこちらが困る。お前程海を知り尽くして、水軍の調練が上手い人間は居ないのだからな」
黄祖「凡人のワシには勿体無い言葉よな」
蔡瑁・張允・黄祖の3人が先んじて、迎撃に向かう。続けて、中軍に甘寧・蘇飛、最後尾に劉琮・文聘・蒯越・蒯良とした。一方、その頃、荊州水軍の動きを制するためこの場を任されたのは孫策より前もって、これが交州への援軍ではなく荊州攻略だと命じられていた呉の水軍を率いる面々である。
董襲「進め進め。気付かないうちに江夏を孫策様のものとするのだ」
蒋欽「我らの動きを知る由もない劉備軍に何ができようぞ」
???「お二人とも油断は禁物」
董襲「何言ってんだよ賀斉」
賀斉「この戦の要は、この呉水軍。迎撃が無いのは良いことですが油断していては足元を救われかねませんぞ」
???「賀斉殿のおっしゃる通り」
蒋欽「闞沢、お前まで臆病風にでも吹かれてんじゃねぇのか。勢いに任せて突撃して蹂躙して、江夏をぶんどっちまえば良いんだよ」
???「臆病風などではなく警戒を怠るべきでは無いと言っているだけでは無いか」
董襲「吾粲もかよ。これだから政治畑の奴らは国で大人しくしてろってんだよ」
???「政治畑だの軍畑だのとお互い言い合うからダメなのだ。お互いの良いところを見ようとなぜしない」
蒋欽「顧雍、戦のことなど何もわからない奴らが徒党を組んでしゃしゃり出てくるからだ」
顧雍「そちらも政治のことなど何もわかろうとしないでは無いか」
???「政治で解決できりゃ苦労なんてしないんだよ」
蒋欽「周善の言う通りだぜ」
孫権「私も武門の兄と違い政治畑出身と言えると思うが信用できんか?」
董襲「そんな孫権様を信じられないなんてそんなこと」
孫権「なら、この話はここまでにせよ」
???「孫権様のお陰でなんとかなりましたな。収拾が付かず困っておりました」
孫権「こんな時だけ呼ぶのはやめてくれよ朱桓」
朱桓「ハハハ。それにしても相も変わらず政治畑だの軍畑だのとよくやるもんですよ」
孫権「そんなこと言わずに仲良くやれたら良いのだが。酒は無いか?」
周泰「駄目だ」
孫権「ケチめ」
朱桓「ハハハ(いや、アンタ政治畑とかさっきドヤ顔で言ってたけど。酔って1番暴れるから軍畑に同じ穴のムジナだって思われてんですよ)」
???「従兄上、こちらにおられましたか」
朱桓「朱拠では無いか。何かあったか?」
朱拠「何やら前方に船影が。その数、こちらの倍はある模様。恐らく荊州水軍かと」
孫権「!?こちらの動きが劉備軍に気付かれていたというのか!」
朱桓「ですがこんなに早く気付かれるもんですかね。実は演習なわけないよなぁ。まぁ、出てきたもんは仕方ない撃破して、中に入り込んで江夏を奪取するしかないでしょう」
孫権「あぁ、全軍、陣形を整えるのだ。ここを抜き江夏を取るぞ」
海戦前の静かさが一変して、双方とも陣を整え、交戦を開始するのだった。
劉琮「やはり来ましたか。孫策軍でしょう」
甘寧「あぁ、間違いねぇだろうな。ったく、もうちょっとゆっくりさせてやりたかったんだけどよ」
劉琮「良いのです甘寧叔父上。太守として初めての業務がまさか孫策軍の迎撃だなんて、腕がなるじゃないですか」
文聘「劉琮様の御身はこの文聘がお守りいたしますぞ」
劉琮「頼りにしているよ仲業。黄祖・蔡瑁・張允はすぐに水軍を率いて迎撃を」
黄祖「呉軍水軍なんぞ。恐れるにたりませんわい」
蔡瑁「油断してはならん黄祖殿」
張允「まぁ、相手さんもまさかすぐに迎撃してくるなんて思ってねぇだろ。有利なのはこちらさ」
蒯越「やれやれ劉琮様が太守に就任した途端にこの有様とはな」
蒯良「兄上とこちらの補佐に来て正解でしたな」
劉琮「蒯越に蒯良!劉備様が寄越してくださら予定だった軍師って2人のことだったんだね」
黄祖「なんじゃ、こんなに劉表軍閥が集まって、まるで同窓会では無いか。ガッハッハ」
蒯越「相変わらずだな黄祖。だがお前の水軍の腕は頼りにしておる」
蒯良「迎撃するのなら荊州と揚州の玄関口である下雉県にて迎撃するのが良いでしょうな」
甘寧「あぁ、そうだろうな。そもそもそこ抜かれたら江夏各地に戦果が拡大しちまう。そこで水軍戦に持ち込むのが良いだろう」
蒯越「孫策が傷で寝込んでいる間に周瑜は水軍強化に力を入れていたそうだ。その頃から荊州に対して、攻め込む算段を付けていたのは明白」
蒯良「強化された呉の水軍を侮ってはならんぞ黄祖」
黄祖「蒯越・蒯良、ワシはな。陸での戦闘はダメダメじゃ。凡人素人も良いところじゃ。じゃがな海での戦いは負け知らずじゃ。呉の水軍を何度も沈めてきた。しかしな。ワシは一度だって、油断したことはないのじゃ。向こうが鍛える以上にワシは水軍を調練した。凡人素人のワシが唯一勝てるのがそれだけだったんじゃ。ワシの原動力はな。海運業を営んでいた父を海賊に殺されたことじゃ。守ってやれる強い軍隊が居たら海運業はもっと発展する。ワシが鍛え上げた海の男たちは、皆揃いも揃って血気盛ん暴れん坊者共よ。だがな海を愛し、国を守る意思を誰よりも持っておる。そんなワシらがビビってどうするんじゃ」
蒯越「すまぬ黄祖よ。弟が失言をした」
黄祖「失言?いや、最もな意見じゃよ。ワシはな。用心深いんじゃ。じゃから敵を侮ることはない。どんな敵にも真っ向勝負からの搦手よ」
蒯良「そうであったな。嫌なことでも国のためならと進んでやるのがお前の良いところでもあり悪いところでもあったな」
黄祖「忠告は感謝しておる。ワシとてまだ死ぬつもりは無いから安心せい。ガッハッハ」
蒯越「死なれてはこちらが困る。お前程海を知り尽くして、水軍の調練が上手い人間は居ないのだからな」
黄祖「凡人のワシには勿体無い言葉よな」
蔡瑁・張允・黄祖の3人が先んじて、迎撃に向かう。続けて、中軍に甘寧・蘇飛、最後尾に劉琮・文聘・蒯越・蒯良とした。一方、その頃、荊州水軍の動きを制するためこの場を任されたのは孫策より前もって、これが交州への援軍ではなく荊州攻略だと命じられていた呉の水軍を率いる面々である。
董襲「進め進め。気付かないうちに江夏を孫策様のものとするのだ」
蒋欽「我らの動きを知る由もない劉備軍に何ができようぞ」
???「お二人とも油断は禁物」
董襲「何言ってんだよ賀斉」
賀斉「この戦の要は、この呉水軍。迎撃が無いのは良いことですが油断していては足元を救われかねませんぞ」
???「賀斉殿のおっしゃる通り」
蒋欽「闞沢、お前まで臆病風にでも吹かれてんじゃねぇのか。勢いに任せて突撃して蹂躙して、江夏をぶんどっちまえば良いんだよ」
???「臆病風などではなく警戒を怠るべきでは無いと言っているだけでは無いか」
董襲「吾粲もかよ。これだから政治畑の奴らは国で大人しくしてろってんだよ」
???「政治畑だの軍畑だのとお互い言い合うからダメなのだ。お互いの良いところを見ようとなぜしない」
蒋欽「顧雍、戦のことなど何もわからない奴らが徒党を組んでしゃしゃり出てくるからだ」
顧雍「そちらも政治のことなど何もわかろうとしないでは無いか」
???「政治で解決できりゃ苦労なんてしないんだよ」
蒋欽「周善の言う通りだぜ」
孫権「私も武門の兄と違い政治畑出身と言えると思うが信用できんか?」
董襲「そんな孫権様を信じられないなんてそんなこと」
孫権「なら、この話はここまでにせよ」
???「孫権様のお陰でなんとかなりましたな。収拾が付かず困っておりました」
孫権「こんな時だけ呼ぶのはやめてくれよ朱桓」
朱桓「ハハハ。それにしても相も変わらず政治畑だの軍畑だのとよくやるもんですよ」
孫権「そんなこと言わずに仲良くやれたら良いのだが。酒は無いか?」
周泰「駄目だ」
孫権「ケチめ」
朱桓「ハハハ(いや、アンタ政治畑とかさっきドヤ顔で言ってたけど。酔って1番暴れるから軍畑に同じ穴のムジナだって思われてんですよ)」
???「従兄上、こちらにおられましたか」
朱桓「朱拠では無いか。何かあったか?」
朱拠「何やら前方に船影が。その数、こちらの倍はある模様。恐らく荊州水軍かと」
孫権「!?こちらの動きが劉備軍に気付かれていたというのか!」
朱桓「ですがこんなに早く気付かれるもんですかね。実は演習なわけないよなぁ。まぁ、出てきたもんは仕方ない撃破して、中に入り込んで江夏を奪取するしかないでしょう」
孫権「あぁ、全軍、陣形を整えるのだ。ここを抜き江夏を取るぞ」
海戦前の静かさが一変して、双方とも陣を整え、交戦を開始するのだった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。補足説明と登場人物の設定資料
揚惇命
SF
『えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。』という作品の世界観の説明補足と各勢力の登場人物の設定資料となります。
本編のネタバレを含むため本編を読んでからお読みください。
※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
日本が危機に?第二次日露戦争
杏
歴史・時代
2023年2月24日ロシアのウクライナ侵攻の開始から一年たった。その日ロシアの極東地域で大きな動きがあった。それはロシア海軍太平洋艦隊が黒海艦隊の援助のために主力を引き連れてウラジオストクを離れた。それと同時に日本とアメリカを牽制する為にロシアは3つの種類の新しい極超音速ミサイルの発射実験を行った。そこで事故が起きた。それはこの事故によって発生した戦争の物語である。ただし3発も間違えた方向に飛ぶのは故意だと思われた。実際には事故だったがそもそも飛ばす場所をセッティングした将校は日本に向けて飛ばすようにセッティングをわざとしていた。これは太平洋艦隊の司令官の命令だ。司令官は黒海艦隊を支援するのが不服でこれを企んだのだ。ただ実際に戦争をするとは考えていなかったし過激な思想を持っていた為普通に海の上を進んでいた。
なろう、カクヨムでも連載しています。
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる