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4章 三国鼎立

後継者に選ばれたのは

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 ヨシカタ塾に通う子供達の投票が終わった。
 義賢「皆、投票したな。では、発表する。だが、前もって言っておくべきことがある。後継者を決めるなどと皆に緊張感を持たせたことを謝る。実際、こんなことで後継者を決めるということはない。だが皆1人1人考えてもらいたかったのだ。民が選ぶ当主とはどういったものなのかを。では、発表する。総票数1000票のうち700票近くが1人に集中した。とても面白い結果だった。皆、お前が当主がいいそうだぞ阿斗」
 阿斗「!?なっなっなっ何かの間違いですよね叔父上」
 義賢「いやいや。冗談なんかじゃないぞ。それに、俺は今の今まで、これが後継者を決めるデモンストレーションだなんて言ってないからな」
 阿斗「ですが叔父上、いやなんで僕」
 孫堅「ハッハッハ。やはり何もわかっておらんかったか。お前は自ずと民が求める当主として必要なことを言っておったのだ」
 阿斗「???」
 諸葛亮「この国の民を守るためなら降伏も辞さないですか。成程、確かに自分が犠牲になってでも民を守るという強い想いとお見受けしました。ですが、降伏という言葉はいただけませんがその歳でそのお考えは及第点と言えましょう」
 荀彧「えぇ、そうならないために我々臣下が力を貸し、阿斗様の言うような世界を構築できる日を作れば良いのです。民だけでなく我々文官や武官・兵士たちも笑い合える世界ですか。そのような未来、とても楽しみです」
 阿斗「待って待って待って、いやいやいや。降伏とかね。ダメじゃん。ねっあり得ないでしょ。うん、これは何かの間違いだ。そうでしょ叔父上」
 義賢「ハッハッハ。そう狼狽えるな阿斗。先ほど言った通り、これは単なるデモンストレーションだ。そうなると決まったわけではない。あくまで最終決定権は兄上にあるのだからな」
 阿斗「良かった。父上がこんな僕を当主に選ぶわけが」
 劉備「グッときた。そうか民の中には我々も含まれていたのだったな。我々も笑い合える世界か。実に良い。息子の成長を感じられて、父は嬉しいぞ。決めた文若・孔明」
 荀彧「それが良いかと」
 諸葛亮「異論はありません」
 劉備「感謝する。この場でこの劉玄徳の名の元に宣言する。私の後継者を阿斗とする。ここにいる文若・孔明の両名はその言葉の見届け人だ」
 孫堅「そういうことならこの孫文台も見届け人となろう。実に良い演説だった。身に染みてしまった礼だ」
 劉備「孫堅殿、感謝する」
 阿斗「えっえっええええええええ!!!あわわわわわわわ。こんなの何かの間違いだーーーーーーー」
 義賢「俺も阿斗は当主に向いていると思う」
 阿斗「なぜですか叔父上?」
 義賢「お前が1番平凡で凡愚だからだ。何者にも染まっていないお前の言葉だからこそ多くの者に響いたのだろうさ」
 阿斗「凡愚に当主を任せちゃダメでしょうが」
 義賢「フフフ。阿斗よ。これは俺の夢の話なのだが。見たこともない大軍で寡兵の城を包囲している圧倒的状況でありながら民のために力を尽くした男の話だ。その男はとある大名家に仕えている人の甥っ子だった。叔父とその後継者が大名家に援軍に行っていてな。その時に大軍に囲まれたそうだ。降伏を決めていたようなんだが何を思ったのか民のため兵のためにと立ち上がり、仕えている大名家の方が先に陥落したそうだ。その男はなのぼうと民たちから呼ばれていたようだ」
 阿斗「のぼう?」
 義賢「木偶の坊という意味だ。お前にもそんな魅力が眠っている。そう感じている。叔父として、お前のことをずっと見てきた単なる叔父馬鹿であるがな」
 阿斗「それこそ役たたずの僕に任せちゃダメでしょうが」
 義賢「なーに、お前にとっても悪いことではあるまい。なんたって、女好きのお前だ。後継者ともなれば、色んな女性との出会いがあるかもしれんぞ」
 阿斗「なります。僕後継者になります」
 義賢「ハッハッハ。もう決められたのだがな」
 阿斗「後継者になったから尚香お姉ちゃんを父から貰います」
 義賢「それは却下だ」
 阿斗「えーーーーーーなんで叔父上が却下するんですか」
 義賢「それより、翼徳の娘とはどうなんだ?」
 阿斗「あんな乱暴者の女なんか知るか!」
 ???「あら聞き捨て成りませんわね。それに、孫尚香様を劉備叔父様から貰い受けるですって、覚悟はできているんでしょうね」
 阿斗「張敬哀チョウケイアイ!?なんでここに?」
 張敬哀「あら、私もヨシカタ塾の生徒ですわよ。当然、投票にも参加していました。劉丁叔父様、ご機嫌麗しゅう」
 義賢「相変わらず。この美貌。翼徳からどうしてこんなに美人な娘が」
 張敬哀「母の血が強いんです!」
 義賢「そういうことにしておこう。月姫殿は、超がつくほどの美人であるからな。どうして、あのような美人が翼徳の妻に?」
 張敬哀「ガサツそうに見えて父は愛妻家ですのよ。娘に護身術と称して、武芸を仕込む人ですけど」
 義賢「まぁ、戦えるに越したことは無いからな」
 張敬哀「えぇ、妹の翼姫ヨクキは毎日父からの稽古を楽しみにしていますけど私はこのように阿斗を殴れるぐらいで十分です」
 阿斗「この乱暴女。お前なんか、誰にも嫁にもらってもらえなくて行き遅れるんだ」
 張敬哀「劉丁叔父様、これから起こることをお許しください」
 義賢「これは阿斗が悪いな。良いぞ」
 張敬哀「ありがとうございます」
 張敬哀により、ボコボコにされる阿斗であった。 義賢は、阿斗の中に何を見たのか。疲弊する民を安んじ民の命を守るため徹底抗戦を主張する麒麟児を背に降伏を決める阿斗。その心中は、本当に国のことをどうでも良いと考えていたのだろうか。いや違う。きっとそうすることが1番多くの民を守ることに繋がると。遊興に耽っていたのはいただけないがこの世界に来て阿斗と触れて、女好きなら仕方ないなんて考える義賢であった。
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