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4章 三国鼎立

今日のヨシカタ塾のテーマは後継者

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 義賢が立ち直ってから数ヶ月が経過していた。劉備は交州征伐の準備に追われたり、荊州の守りに対して日夜荀彧や諸葛亮と議論を交わしていた。そんな中、義賢はヨシカタ塾にて、烏桓族や子供達。街に住む民たちと3グループに分けて、読み書きを教えていた。
 蹋頓「あー、分かっんねぇってんだよ。こんなの書けるか、クソッ」
 楼班「蹋頓叔父上、文句ばかりで手が動いていませんが」
 蹋頓「楼班、お前は一言余計なんだよ。ったく。こんなのがなんの役に立つってんだ。やってらんねぇぜ」
 楼班「烏桓族は、父上しか読み書きできませんからね」
 烏桓兵「劉丁様、これで合ってるでしょうか?」
 義賢「うんバッチグーだよ」
 烏桓兵「ありがとうございます。勉強がこんなに楽しいものだとは、人生で初めての経験です」
 義賢「うんうん。読めるようになると嬉しいよね。立札に何が書いてあるとか。読めない人間にこっそりと悪口書いたりとか」
 烏桓兵「劉丁様もそのようなことを!?安心しました。蹋頓様は特に人遣いが荒いですから、今度試してみます」
 義賢「うんうん。読める側だけの特典だからね」
 蹋頓「ムカつくぜ。奴らが文字でどんな会話してんのか全くワカンねぇ」
 楼班「蹋頓叔父上、頑張らないと損しますよ(読み書きできないと兵たちから紙で悪口を書いたやつを渡されるのか。このままだと気にしない蹋頓叔父上の反応を見て楽しむ烏桓兵が多くなりそうだ。それは自分にも言えるのでは!?より一層励まねば)」
 蹋頓「楼班、どうしたんだよ。さっきよりも勢いが増してんじゃねぇか。ったくよ。1時間もこの木の机だか椅子だかに座って、このドリルとやらと向き合うなんざ性に合わねぇってんだよ」
 義賢「蹋頓殿、きちんと読み書きができるようになったら組み手への参加資格を俺から与えても良いんですが」
 蹋頓「マジかよ。頑張るぜ。うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
 義賢は丘力居との約束通り、早朝から烏桓兵たちに必要最低限の読み書きを教えていた。そして、昼になると弁当を持って劉備の子供達・臣下の子供達がやってくるのだった。
 関興「フン。張飛叔父上を打ち負かしたからと貴方のことを認めたわけではない。だが、これも必要なこと」
 関索「興兄!その口の聞き方はダメだって」
 関興「フン、同僚に敬語を使うつもりなど毛頭ない」
 関索「いや、でも劉丁様は、劉備様の弟なんだよ」
 関興「知るか所詮、親の七光ならぬ兄の七光で役職を与えられていただけの男だ」
 義賢「全く、痛いところを突いてくるなぁ。その通りだから何も言い返せないんだけどさ」
 関興「ほら見ろ索、俺の勝ちだな」
 関索「いや劉丁様が大人の対応をしてくれただけだよ」
 張苞「劉丁叔父上、どうすれば父に勝てますか!」
 張昭「あっ兄上、唐突に何を!?」
 義賢「うーん、それは酒の話?それとも武の話?」
 張苞「酒は嫌だ。酒は嫌だ。酒は嫌だ」
 義賢「ごめんって、そんな気持ちじゃなかったんだよ(翼徳の奴、家でどんな飲み方してんだ?子供にトラウマ植え付けてんじゃねぇよ!)」
 張昭「劉丁叔父上、兄に酒の話は御遠慮願います。いつも酔って、絡む父上の介抱をさせられていまして。母上が側に居てくれれば1発なのですが。その、最近は外に良い店を見つけたらしくて」
 義賢「わかった。皆まで言うな昭(というか月姫殿は、どうやって暴れてる翼徳の手綱を握っているんだろう。そこはすごーく気になるな)」
 阿斗「叔父上~」
 義賢「阿斗、きちんと孫尚香殿は連れてきたか?」
 阿斗「ほら」
 義賢が目やると明らかに大人ぐらいの赤い服を着た男が居た。
 義賢「孫堅殿じゃねぇか!」
 阿斗「うん。尚香お姉ちゃんの家に言ったらさおっちゃんが居て、一緒に連れてけって」
 孫堅「おっちゃん?俺はお前のおっちゃんになったつもりはなーい」
 阿斗「ヒイッ」
 義賢「こちらに身を寄せていることは聞いておりました。御挨拶が遅くなり申し訳ありません孫堅殿」
 孫堅「こちらも色々あったことは劉備殿から聞いている。その姿を見る限り立ち直ったようだな」
 義賢「なんとか。今でもふと夢でうなされることはありますが」
 孫堅「俺もだ。夢の中に祖茂が出てくる。お前が命をかけてまで守る必要が俺にあったのか。いつも考えている。だが尚のこと前に進まねばならん。祖茂の想いを無駄にせんためにもな」
 義賢「この時代の人たちは精神的に強いですね」
 孫堅「この時代?」
 義賢「いや、他意はありません。俺と違って精神的にみんな強いなと」
 孫堅「そうか。それより、もっときちんとしたところで教えているのかと思っていたがこんな青空の元、伸び伸びと教えているとはな」
 義賢「開放的で良いでしょう。その分、雨にはよく泣かされますが。ハハハ」
 孫堅「であろうな」
 義賢「それより孫堅殿、どうしてこちらに」
 孫堅「娘が学んでいる場所がどんなところか見ておきたいと思ってな。見学していても構わんか?」
 義賢「構いませんよ。ちょうど、今日の議題に良いかもしれませんから」
 孫堅「議題?」
 義賢「後継者に相応しいのは誰か」
 孫堅「!?成程、興味がある(コイツ、この場で俺に次期後継者を決めるのを見ておけと。冷や汗が止まらぬ。俺の意図を一瞬で見破ったというのか。それとも偶然か。見極めさせてもらうとしよう)」
 ヨシカタ塾にて、今後を揺るがしかねない事が起ころうとしているのだった。
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