えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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4章 三国鼎立

成都事変

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 劉焉と劉瑁が病気療養から帰ってくるという知らせは、劉璋に虐げられてきた民たちにとって希望の光となるはずだった。しかし、そうはならなかった。その日劉璋はとんでもない計画を起こしたのだ。側近である王累・高沛・楊懐・冷苞レイホウ劉璝リュウカイ劉晙リュウシュン馬漢バカンらと謀り、家族水入らずということで人払いをして、行動を起こした。
 民老「劉焉様が帰ってくるそうじゃ。これでワシらもようやくあの男の圧政から解放されよう」
 民女「行方不明になった私の娘もきっと浮かばれる」
 民婆「逆らって社会されてしもうた息子や孫も浮かばれるであろう」
 民男「劉延様、お戻りをお待ちしております」
 農夫「作っても作ってもあの男に搾取される」
 商人「物にかける関税とやらが高すぎる」
 兵士「あの男に逆らった俺の友は、粛清されてしまった。いつかあの男に天罰を」
 しかし民たちがどんなに待望しようとも劉焉が返り咲くことはない。この日、劉璋は政変を起こしたのだ。家族水入らずということで裏からひっそりと入城した劉焉・劉瑁父子と劉瑁の妻である呉莧は、高沛たちに捕らえられた。
 劉焉「これは何事じゃ。璋よ」
 劉璋「これはこれはクソジジイと贔屓されてるクソ兄貴、お前らが帰ってくるこの日を首を長ーくして待っていたぞ」
 劉瑁「どうしたんだい璋?優しかった君に5年の間に何があったんだい?」
 劉璋「クソ兄貴は少し黙ってろ!俺は今からこのクソジジイに確認しなきゃならねぇことがあんだ。ムカつくテメェは、その後だ!」
 劉璋は懐から木簡を取り出し、ヒラヒラと劉焉に見せる。
 劉焉「それは!?璋、お前はワシの部屋に入ったのか!入るなと申しつけていたであろうが!」
 劉璋「そりゃ入られたら困るよな。だって、こんなものが見つかったんだからよ。声に出して読んでやろうか?」
 劉焉「やめよ!」
 劉璋「えーっと何々『ワシが張衡との嫁争いに破れて数年が経つがワシは張姜子を忘れることができぬ。そして、今日張衡が死んだと報告を受けたワシはとんでもない計画を実行に移した』どんな計画なんだろうな」
 劉焉「やめよと申しておるだろうが!」
 劉璋「次はと『張姜子を忘れられなかったワシは、似た女だった費水ヒスイと婚姻した。他の女のことを忘れられないワシに尽くしてくれる素晴らしい女だ。3人の息子にも恵まれた。妻には申し訳ないがやはりこの好機を見過ごすことなどできん。今日決行する』このクソジジイは、母さんに黙って悪いことするんだぜクソ兄貴、続き聞きたいよなぁ」
 劉瑁「璋、やめるんだ。それ以上、読むんじゃない。そこにはお前の出自が」
 劉璋「へぇ。どんな出自なんだろうな。気になるぜ」
 劉焉「全てはワシの落ち度だ。費水には、捨てられていたお前を拾ってきたと。だが、このことを知ったアイツは、お前を連れて自殺しようとしていたのじゃ」
 劉璋「やっぱりクソジジイにはそう見えてたようだな。母さんは自殺なんてしようとしていなかった。崖の淵に立って頭を冷やしていただけだ。落ちそうになった俺を身を挺して助けてくれた。自分の息子でもない俺を。そんな母さんにお前はとんでもないことをしでかしたんだ。許せると思うか?安心しろ、クソジジイ、テメェは殺さないでいてやるよ。俺がぶっ殺したいのはテメェだよクソ兄貴。テメェ、その口ぶりは全部知ってたんだろう」
 劉瑁「知らない。僕は何も知らない」
 呉莧「劉璋様。いずれにしても話し合いをしたいのであれば、この縄を解いてください」
 劉璋「話し合い?違うな。俺はコイツらを断罪している。さて次はどんな計画を実行に移したかだな。何々『ワシは張姜子と張衡の息子である張魯を誘拐して、返して欲しくば、ワシとの子を産めと言った。張姜子は張魯のため。1人でワシの元へとやってきて、提案を飲みよった。これで我が悲願が成就する。愛しい女との間に子を作るというワシの悲願が。だが張姜子はとんでもない条件を突きつけてきた』どんな条件なんだろうな?」
 劉焉「もうやめよ!それ以上はならん」
 劉璋「えーっとなんだっけ。そうそう『張姜子の出してきた提案は、劉焉との間に子を成すことを許可する代わりに漢中で五斗米道という教えを広めることを認知すること。その程度のことで良いならとワシは喜んで受けた。その程度で張姜子も自分のものにできるのだ。側室とすれば張衡の漢中をも得ることができる。一石二鳥だ。張姜子は、あっそうと言い。事務的にやるだけだった。このようなのを求めていたのではない。なんとか声を出させようとしたがまるで歯が立たなかった。ワシはお願いをした。すると張姜子はニヤリと笑いながら次の条件は出した。劉焉が当主の間は漢中を攻めないこと。五斗米道の教会を成都にも配置すること。このような提案飲めようはずもない。だが、ワシは愛のある行為のためにこれを享受した。するとさっきとはまるで別人かのように恋人同士の愛ある行為をしてくれた。そうして生まれたのが末子の』」
 劉焉「えぇい、やめよと言っておる!全ての責はワシにある。ワシを殺したいのであれば、そうすれば良い!」
 劉璋「違うなぁ。俺はクソジジイもクソ兄貴も許せねぇんだよ」
 劉瑁「どうして僕なんだ?」
 劉璋「それはテメェがこの事を初めから知っていたからに決まってんだろ」
 劉瑁「!?どうして」
 劉璋「母さんが崖から落ちていくとき、俺に言ったんだよ『ごめんね、瑁は許してくれなかった』ってさ」
 劉瑁「!?そうか、母さんが。誤解しないで欲しい。俺が許さなかったのは母さんがお前と共に家を出ることだ」
 劉璋「さぁ、どうだかなぁ。死人に口なし。好きに言えるもんなぁ。ってことで、俺はクソ兄貴を殺す」
 その言葉が終わると共に、劉璋は持っていた剣で、劉焉と呉莧の目の前で劉瑁を斬り捨てたのだった。
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