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4章 三国鼎立
逃げるが勝ち
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丘力居がここまで逃げてきた経緯を話し始める。
丘力居「ここで戦っていては、曹操からの援軍があるかもしれん。やむおえんがここは劉虞様に頭を下げ、劉備殿の世話になることとする。皆、全速力で、幽州を突っ切り青洲を抜け徐州を目指す」
蹋頓「叔父貴、了解した」
楼班「父上、匈奴共の動きが精錬されている。あの女軍師、なかなかの手だれです」
丘力居「このようなところでやられるわけにはいかん。皆生きて徐州を目指すぞ」
逃げる烏桓族を見て蔡文姫が匈奴に指示を出す。
蔡文姫「逃しはしません。羌渠・於夫羅、2人は包囲を狭めて」
羌渠「承知。於夫羅よ。行くぞ」
於夫羅「父よ。心得た」
蔡文姫「呼廚泉、あなたは追撃を」
呼廚泉「烏桓を1人残らず刈り取ってくれよう」
蔡文姫「劉豹様は。きゃっ。なっ何を」
劉豹「文姫よ。そう気負うな。俺も一緒にな」
蔡文姫「はい。あの。その。他の者たちが見ていますから」
匈奴兵「いやぁお頭。熱々っすね」
劉豹「茶化すで無い。とっとと烏桓共を追え」
匈奴兵「お頭~そりゃないですぜ」
逃げる烏桓を追ってくる匈奴。
蹋頓「叔父貴、アイツら追ってきてやがる」
丘力居「ここまで匈奴が本気とはな。俺が足止めを」
蹋頓「叔父貴、何言ってんだ。足止めなら俺が」
難楼「蹋頓様、今までありがとうございました。なんとしても無事に逃げてください。この難楼、敵を足止めして見せようぞ。者共、ここで待機だ」
蹋頓「難楼、馬鹿言うんじゃねぇ。一緒に」
難楼「逃げ切れますか?無理です。蹋頓様は、丘力居様をお守りください。ここはこの難楼だけで充分。蘇僕延・烏延・速附丸、後は頼んだぞ」
そう言って難楼はその場に残った。そこにやってくる呼廚泉。
呼廚泉「お前たち雑魚は任せた。俺はコイツをやる」
匈奴兵「了解しました」
烏桓兵「難楼様を守るのだ」
難楼「我が名は難楼。腕に覚えがあるのならかかってくるが良い」
呼廚泉「ほぅ。言ってくれる。貴様を殺す男の名前だ深く刻み込め。呼廚泉の名をな」
足止めをする難楼であったが呼廚泉の武は遥かに上回っていた。パキッと剣が折れる。
難楼「俺の剣が」
呼廚泉「所詮、烏桓など俺の足元にも及ばぬ。この俺はいずれ匈奴を束ねる男だ。この俺の伝説の礎となれ」
難楼「グハァ(蹋頓様・丘力居様、どうかどうかお逃げくだされ)」
烏桓兵「難楼様がやられた。アイツらよくも。1人でも多く道連れにしてやれ」
匈奴兵「おいおい嘘だろ。将がやられても向かってくるなんてよ。コイツら死兵かよ」
呼廚泉たちが難楼率いる烏桓兵を駆逐して、追撃を再開する。丘力居たちは幽州を抜ける頃、追いつかれるのだった。
蹋頓「アイツ、まだ追ってきてやがるってことは、難楼の奴。クソッ」
丘力居「今は悲しんでいる時では無い。蹋頓、難楼の分まで我らは生きねばならん」
蹋頓「叔父貴、わかってる。楼班、大丈夫か?」
楼班「だ、大丈夫。ずっと逃げてて疲れただけだから」
丘力居「楼班、頑張るのだ」
楼班「うん」
蘇僕延「烏延よ。ここは我らで凌ぐぞ」
烏延「承知した兄上」
蹋頓「お前らまで何言ってんだ。とっとと逃げるんだよ」
蘇僕延「追いつかれれば全滅する。全滅すれば烏桓の歴史が終わる。生きていれば丘力居様から蹋頓様、そして若様へと受け継がれていく。そのためならこの命など惜しくは無い」
烏延「その通りだ。丘力居様たちが生きてくれることが大事なんだ。蹋頓様、受けた恩ってのは、いつか返さなきゃなんねぇ。俺たちがここで助けた恩、いつか返してくれよな」
丘力居「すまぬ。この俺が匈奴を友だと思っていたばかりに」
蹋頓「これだけは約束しろ。死ぬんじゃねぇぞ」
楼班「嫌だよ。蘇僕延・烏延、一緒に逃げようよ」
蘇僕延「若様、わかってください。これが最善なんです」
烏延「若様、丘力居様と蹋頓様のこと、頼みましたよ」
2人の決意は固く説得は困難だった。丘力居たちは青州を目指して、進軍した。そこにあの男がやってくる。
呼廚泉「ほぅ今度は先程の2倍を残したか。蹴散らしてやれ」
匈奴兵「お任せを」
烏桓兵「蘇僕延様と烏延様を守るのだ」
呼廚泉「では、2人がかりというのも一興よな」
蘇僕延「舐めてくれるなよ。この簒奪者が」
烏延「兄上、2人で必ず討ち取ろう」
2人を相手にしても呼廚泉は、全く息が乱れない。それに引き換え蘇僕延と烏延はもう息も絶え絶えである。
呼廚泉「どうしたどうした。その程度か。烏桓など所詮は雑魚の集まりよ。この呼廚泉の相手にもならんわ」
蘇僕延「ガハッ(蹋頓様、約束を果たせず申し訳ありません。どうか御無事で)」
烏延「グワァー(ここで丘力居様たちを守った恩を返してくれる日を冥土でお待ちしています)」
呼廚泉「フン。たわいもない。死兵と化した烏桓兵共を皆殺しにしろ」
匈奴兵「おおおおおおーーーーー」
烏桓兵たちを踏み潰して、さらに追撃の手を止めない。青州方面へと向かう。そして、この2人の足止めにより青州を抜け、まもなく劉備の治める徐州へと到達するその時、またも追いつかれるのである。
呼廚泉「観念しやがれ」
蹋頓「アイツ、蘇僕延と烏延もやられたってのか。チクショーが。アイツだけは許さねぇ。この俺が討ち取ってやる」
速附丸「お待ちください。やれやれ蹋頓四天王と称されし最後の砦、この俺が不甲斐ないアイツらに変わって、天誅を降してやりますよ。だから蹋頓様は丘力居様と若様を連れて、とっとと徐州へ入ってください。アイツらもまさか劉備様の領土は通って追わないでしょうから」
蹋頓「速附丸、何言ってやがる。アイツは俺の獲物だ」
丘力居「蹋頓!皆の命を無駄にするな。そう思うのなら、強くなれば良い。劉備様のところには呂布殿を初め歴戦の猛者たちがいる。鍛えて貰えば良い。今は、皆を守ることだけを考えるのだ!」
蹋頓「!?すまねぇ叔父貴。速附丸、頼んだ」
速附丸「えぇ、お任せを」
速附丸がその場に残り、呼廚泉を迎え撃つ。
速附丸「散々やってくれましたね。蹋頓四天王が最後の1人、速附丸がお相手いたしましょう」
呼廚泉「意味わからねぇことばかり呟いてる暇があるなら腕を磨くことだな。雑魚が」
速附丸「言ってくれますね。俺をあいつらと一緒だと思わない方が良いですよ」
しかし、あっという間に討ち取られる速附丸。
呼廚泉「同じどころが1番な雑魚だな」
速附丸「ギャァ(これで良い。こちらは丘力居様と蹋頓様・若様が逃げ切れば勝ちなのだからな)」
匈奴兵「呼廚泉様、烏桓兵が劉備領へ、これ以上の追撃は不可能かと」
呼廚泉「うむぅ。関係ないと言いたいところだが今、劉備と揉めるのは、よろしくない。ここはひとまず撤退する」
こうして、蹋頓の部下たちの決死の足止めにより、逃げ切ることができたのである。
丘力居「ここで戦っていては、曹操からの援軍があるかもしれん。やむおえんがここは劉虞様に頭を下げ、劉備殿の世話になることとする。皆、全速力で、幽州を突っ切り青洲を抜け徐州を目指す」
蹋頓「叔父貴、了解した」
楼班「父上、匈奴共の動きが精錬されている。あの女軍師、なかなかの手だれです」
丘力居「このようなところでやられるわけにはいかん。皆生きて徐州を目指すぞ」
逃げる烏桓族を見て蔡文姫が匈奴に指示を出す。
蔡文姫「逃しはしません。羌渠・於夫羅、2人は包囲を狭めて」
羌渠「承知。於夫羅よ。行くぞ」
於夫羅「父よ。心得た」
蔡文姫「呼廚泉、あなたは追撃を」
呼廚泉「烏桓を1人残らず刈り取ってくれよう」
蔡文姫「劉豹様は。きゃっ。なっ何を」
劉豹「文姫よ。そう気負うな。俺も一緒にな」
蔡文姫「はい。あの。その。他の者たちが見ていますから」
匈奴兵「いやぁお頭。熱々っすね」
劉豹「茶化すで無い。とっとと烏桓共を追え」
匈奴兵「お頭~そりゃないですぜ」
逃げる烏桓を追ってくる匈奴。
蹋頓「叔父貴、アイツら追ってきてやがる」
丘力居「ここまで匈奴が本気とはな。俺が足止めを」
蹋頓「叔父貴、何言ってんだ。足止めなら俺が」
難楼「蹋頓様、今までありがとうございました。なんとしても無事に逃げてください。この難楼、敵を足止めして見せようぞ。者共、ここで待機だ」
蹋頓「難楼、馬鹿言うんじゃねぇ。一緒に」
難楼「逃げ切れますか?無理です。蹋頓様は、丘力居様をお守りください。ここはこの難楼だけで充分。蘇僕延・烏延・速附丸、後は頼んだぞ」
そう言って難楼はその場に残った。そこにやってくる呼廚泉。
呼廚泉「お前たち雑魚は任せた。俺はコイツをやる」
匈奴兵「了解しました」
烏桓兵「難楼様を守るのだ」
難楼「我が名は難楼。腕に覚えがあるのならかかってくるが良い」
呼廚泉「ほぅ。言ってくれる。貴様を殺す男の名前だ深く刻み込め。呼廚泉の名をな」
足止めをする難楼であったが呼廚泉の武は遥かに上回っていた。パキッと剣が折れる。
難楼「俺の剣が」
呼廚泉「所詮、烏桓など俺の足元にも及ばぬ。この俺はいずれ匈奴を束ねる男だ。この俺の伝説の礎となれ」
難楼「グハァ(蹋頓様・丘力居様、どうかどうかお逃げくだされ)」
烏桓兵「難楼様がやられた。アイツらよくも。1人でも多く道連れにしてやれ」
匈奴兵「おいおい嘘だろ。将がやられても向かってくるなんてよ。コイツら死兵かよ」
呼廚泉たちが難楼率いる烏桓兵を駆逐して、追撃を再開する。丘力居たちは幽州を抜ける頃、追いつかれるのだった。
蹋頓「アイツ、まだ追ってきてやがるってことは、難楼の奴。クソッ」
丘力居「今は悲しんでいる時では無い。蹋頓、難楼の分まで我らは生きねばならん」
蹋頓「叔父貴、わかってる。楼班、大丈夫か?」
楼班「だ、大丈夫。ずっと逃げてて疲れただけだから」
丘力居「楼班、頑張るのだ」
楼班「うん」
蘇僕延「烏延よ。ここは我らで凌ぐぞ」
烏延「承知した兄上」
蹋頓「お前らまで何言ってんだ。とっとと逃げるんだよ」
蘇僕延「追いつかれれば全滅する。全滅すれば烏桓の歴史が終わる。生きていれば丘力居様から蹋頓様、そして若様へと受け継がれていく。そのためならこの命など惜しくは無い」
烏延「その通りだ。丘力居様たちが生きてくれることが大事なんだ。蹋頓様、受けた恩ってのは、いつか返さなきゃなんねぇ。俺たちがここで助けた恩、いつか返してくれよな」
丘力居「すまぬ。この俺が匈奴を友だと思っていたばかりに」
蹋頓「これだけは約束しろ。死ぬんじゃねぇぞ」
楼班「嫌だよ。蘇僕延・烏延、一緒に逃げようよ」
蘇僕延「若様、わかってください。これが最善なんです」
烏延「若様、丘力居様と蹋頓様のこと、頼みましたよ」
2人の決意は固く説得は困難だった。丘力居たちは青州を目指して、進軍した。そこにあの男がやってくる。
呼廚泉「ほぅ今度は先程の2倍を残したか。蹴散らしてやれ」
匈奴兵「お任せを」
烏桓兵「蘇僕延様と烏延様を守るのだ」
呼廚泉「では、2人がかりというのも一興よな」
蘇僕延「舐めてくれるなよ。この簒奪者が」
烏延「兄上、2人で必ず討ち取ろう」
2人を相手にしても呼廚泉は、全く息が乱れない。それに引き換え蘇僕延と烏延はもう息も絶え絶えである。
呼廚泉「どうしたどうした。その程度か。烏桓など所詮は雑魚の集まりよ。この呼廚泉の相手にもならんわ」
蘇僕延「ガハッ(蹋頓様、約束を果たせず申し訳ありません。どうか御無事で)」
烏延「グワァー(ここで丘力居様たちを守った恩を返してくれる日を冥土でお待ちしています)」
呼廚泉「フン。たわいもない。死兵と化した烏桓兵共を皆殺しにしろ」
匈奴兵「おおおおおおーーーーー」
烏桓兵たちを踏み潰して、さらに追撃の手を止めない。青州方面へと向かう。そして、この2人の足止めにより青州を抜け、まもなく劉備の治める徐州へと到達するその時、またも追いつかれるのである。
呼廚泉「観念しやがれ」
蹋頓「アイツ、蘇僕延と烏延もやられたってのか。チクショーが。アイツだけは許さねぇ。この俺が討ち取ってやる」
速附丸「お待ちください。やれやれ蹋頓四天王と称されし最後の砦、この俺が不甲斐ないアイツらに変わって、天誅を降してやりますよ。だから蹋頓様は丘力居様と若様を連れて、とっとと徐州へ入ってください。アイツらもまさか劉備様の領土は通って追わないでしょうから」
蹋頓「速附丸、何言ってやがる。アイツは俺の獲物だ」
丘力居「蹋頓!皆の命を無駄にするな。そう思うのなら、強くなれば良い。劉備様のところには呂布殿を初め歴戦の猛者たちがいる。鍛えて貰えば良い。今は、皆を守ることだけを考えるのだ!」
蹋頓「!?すまねぇ叔父貴。速附丸、頼んだ」
速附丸「えぇ、お任せを」
速附丸がその場に残り、呼廚泉を迎え撃つ。
速附丸「散々やってくれましたね。蹋頓四天王が最後の1人、速附丸がお相手いたしましょう」
呼廚泉「意味わからねぇことばかり呟いてる暇があるなら腕を磨くことだな。雑魚が」
速附丸「言ってくれますね。俺をあいつらと一緒だと思わない方が良いですよ」
しかし、あっという間に討ち取られる速附丸。
呼廚泉「同じどころが1番な雑魚だな」
速附丸「ギャァ(これで良い。こちらは丘力居様と蹋頓様・若様が逃げ切れば勝ちなのだからな)」
匈奴兵「呼廚泉様、烏桓兵が劉備領へ、これ以上の追撃は不可能かと」
呼廚泉「うむぅ。関係ないと言いたいところだが今、劉備と揉めるのは、よろしくない。ここはひとまず撤退する」
こうして、蹋頓の部下たちの決死の足止めにより、逃げ切ることができたのである。
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