えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
上 下
306 / 633
4章 三国鼎立

遼東征伐の前に障害を排除

しおりを挟む
 守りを任された曹丕が急に洛陽から消えていては、不審に思われることから曹植には、流行病に罹ったため、移しては悪いから絶対な入るなと厳命し、遼東征伐に向かう曹丕・司馬懿・ 朱鑠シュシャク呉質ゴシツを加えた4人と兵10万を動員した。
 曹丕「朱鑠・呉質、よく来てくれた」
 朱鑠「友として当然だ」
 呉質「それにしても遼東征伐とは大きく出たもんだ」
 司馬懿「曹丕様に跡を継いでもらうためには曹昂様よりも手柄を上げる必要があります。曹昂様は、帝の護衛を任されているにもかかわらず曹丕様に与えられた命は」
 朱鑠「曹植の補佐として、この荒れ果てた洛陽を守れだもんな」
 呉質「それに曹丕のもう1人の弟である曹彰は従軍を許されたとか。ここまで兄弟の中でも冷遇されるとはな」
 曹丕「父上は俺が気に食わないのだ。仕官を拒否した司馬懿を抱え込んだ俺に嫌がらせをしているのさ」
 司馬懿「私のせいで申し訳ございません」
 曹丕「何を言っている。お前のせいなわけが無いだろう。此度もこうして俺のために策を練ってくれた。これをものにして、曹昂兄上よりも優位に立つぞ」
 司馬懿「曹丕様、気合を入れるのは結構ですがここにも障害があります」
 曹丕「堅物の植のことだろう。父上から何を頼まれたのか。俺のことを監視してやがる」
 司馬懿「あれでは、曹丕様が外に出ようものならすぐに密告されるでしょう」
 曹丕「どうしたものか」
 司馬懿「曹植様は詩を嗜んでおられましたな?」
 曹丕「それがどうかしたか?」
 司馬懿「曹丕様は病気ということにして、詩の祭りを開催させましょう。幸い私は詩には疎くて」
 曹丕「俺が病気?どうしてだ?」
 司馬懿「大好きな詩を曹植様に思う存分楽しんでもらうためですよ。曹丕様が病気で面会謝絶と知れば、監視が緩みましょう」
 曹丕「成程な。そういうことなら詩の得意なものに数人声をかけておくとしよう」
 司馬懿「それが良いかと」
 曹丕はすぐに行動に移した。詩の得意な役人を集めた。
 役人「曹丕様、どうされたのですか?」
 曹丕「よく来てくれたな。毎日頑張っている植のことを労ってやりたいと思っていてな。アイツの好きな詩の祭りを開催してやろうと思ってな。お前たちにも協力してもらいたいのだ」
 役人「そういうことでしたら。我々にお任せください」
 詩の祭りの開催を取り付けた曹丕は曹植の元に向かう。
 曹丕「植、失礼するぞ」
 曹植「あっあっ曹丕兄上!こっこれは」
 ???「曹植様~、私はこっちですよ~」
 曹丕「崔恋サイレン殿、何をしているのですか?」
 崔恋「ひゃっ!?曹丕様、申し訳ありません。曹植様とちょっとした遊びを」
 曹丕「成程。で植、いつまで目隠しをしているつもりだ!」
 曹植「ひっ。きゅ、キャ、急にた、た、訪ねてくるなんて酷いじゃ無いか。せっかく、恋と楽しいひと時を過ごしていたのに台無しだよ」
 崔恋「曹植様ったら曹丕様にそのような口の聞き方、ダメですよ~また後でしてあげますから」
 曹植「かぁぁぁぁぁぁぁ。ということなのでとっとと帰ってください曹丕兄上は」
 曹丕「せっかく良い話を持ってきたというのに聞かなくて良いのかな?」
 曹植「なんですか。その勿体ぶった言い方は気になるじゃ無いですか。特別に言うことを許可しますよ。いや、今はぼっ僕の方が立場が上なんだ。話してください命令です」
 曹丕「フン。頑張ってる植を労ってやろうと思ってな。詩の祭りを開催することにした」
 曹植「曹丕兄上が僕の慰労会だなんて、どういう風の吹き回しですか?」
 曹丕「その言い方はまるで俺が植のことをよく思っていないみたいな言い方じゃないか」
 曹植「そう思ってるけど違うの?」
 曹丕「生意気なやつだ。わかったわかった。そんなこと言うならもう良い!俺の文才のがお前より上だしな」
 曹植「その言葉は、カチーンときたわ。そこまで言うならその慰労会、有り難く出てあげるよ。曹丕兄上と詩の勝負の場としてだけどね!」
 曹丕「おぅおぅ。この俺の詩に勝てるってんなら良い度胸じゃねぇか。相手してやるよ!」
 売り言葉に買い言葉とはまさにこのことである。曹丕は当初の目的も忘れて、曹植と詩の勝負をする約束をしてしまった。そして帰路につきこのことを司馬懿に話す。
 司馬懿「曹丕様、何を考えているのです?詩の勝負などと!我々の目的を理解しているのですか?」
 曹丕「別に良いだろう。それにしても植の奴、ムカつくぜ。絶対に祭りの席で、アッと言わせてやるからな」
 司馬懿「遼東征伐はどうするのですかな?」
 曹丕「はっ!?!?!?」
 司馬懿「曹丕様、その短気なところは直さねばなりませんよ」
 曹丕「いや、しかし。今更、引くに引けないのだが」
 司馬懿「曹昂様に跡を継がれて良いのですか?」
 曹丕「それはごめんだな」
 曹丕は流行病で寝込んだと噂を流した。見舞いに訪れる曹植。
 曹植「曹丕兄上が病に倒れるとは」
 曹丕「植、か、俺、は、こ、の、通、り、だ。詩、の、勝、負、は、お、預、け、だ、な」
 曹植「お祭り自体、取りやめねば」
 曹丕「そ、れ、は、な、ら、ん。父、上、か、ら、何、を、言、わ、れ、た、か、知、ら、な、い、が、植、を、労、い、た、い、気、持、ち、に、嘘、は、な、い」
 曹植「わかりました。わかりましたから。その気持ちだけで」
 曹丕「植、に、移、る、と、悪、い。こ、こ、に、も、暫、く、来、る、な」
 曹植「はい(本当にしんどそうだ。急だから嘘かも知れないと思ったが。この状態でも僕の好きな詩の祭りのことを考えてくれるなんて、曹丕兄上の想いを無駄にするわけにはいかないな)」
 こうして、曹丕の病を信じた曹植はしばらくの間、監視を無くしたのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。補足説明と登場人物の設定資料

揚惇命
SF
『えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。』という作品の世界観の説明補足と各勢力の登場人物の設定資料となります。 本編のネタバレを含むため本編を読んでからお読みください。 ※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。 地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!? 異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部

山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。 これからどうかよろしくお願い致します! ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

日本国転生

北乃大空
SF
 女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。  或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。  ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。  その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。  ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。  その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。

本能のままに

揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください! ※更新は不定期になると思います。

処理中です...