えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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4章 三国鼎立

遼東征伐の前に障害を排除

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 守りを任された曹丕が急に洛陽から消えていては、不審に思われることから曹植には、流行病に罹ったため、移しては悪いから絶対な入るなと厳命し、遼東征伐に向かう曹丕・司馬懿・ 朱鑠シュシャク呉質ゴシツを加えた4人と兵10万を動員した。
 曹丕「朱鑠・呉質、よく来てくれた」
 朱鑠「友として当然だ」
 呉質「それにしても遼東征伐とは大きく出たもんだ」
 司馬懿「曹丕様に跡を継いでもらうためには曹昂様よりも手柄を上げる必要があります。曹昂様は、帝の護衛を任されているにもかかわらず曹丕様に与えられた命は」
 朱鑠「曹植の補佐として、この荒れ果てた洛陽を守れだもんな」
 呉質「それに曹丕のもう1人の弟である曹彰は従軍を許されたとか。ここまで兄弟の中でも冷遇されるとはな」
 曹丕「父上は俺が気に食わないのだ。仕官を拒否した司馬懿を抱え込んだ俺に嫌がらせをしているのさ」
 司馬懿「私のせいで申し訳ございません」
 曹丕「何を言っている。お前のせいなわけが無いだろう。此度もこうして俺のために策を練ってくれた。これをものにして、曹昂兄上よりも優位に立つぞ」
 司馬懿「曹丕様、気合を入れるのは結構ですがここにも障害があります」
 曹丕「堅物の植のことだろう。父上から何を頼まれたのか。俺のことを監視してやがる」
 司馬懿「あれでは、曹丕様が外に出ようものならすぐに密告されるでしょう」
 曹丕「どうしたものか」
 司馬懿「曹植様は詩を嗜んでおられましたな?」
 曹丕「それがどうかしたか?」
 司馬懿「曹丕様は病気ということにして、詩の祭りを開催させましょう。幸い私は詩には疎くて」
 曹丕「俺が病気?どうしてだ?」
 司馬懿「大好きな詩を曹植様に思う存分楽しんでもらうためですよ。曹丕様が病気で面会謝絶と知れば、監視が緩みましょう」
 曹丕「成程な。そういうことなら詩の得意なものに数人声をかけておくとしよう」
 司馬懿「それが良いかと」
 曹丕はすぐに行動に移した。詩の得意な役人を集めた。
 役人「曹丕様、どうされたのですか?」
 曹丕「よく来てくれたな。毎日頑張っている植のことを労ってやりたいと思っていてな。アイツの好きな詩の祭りを開催してやろうと思ってな。お前たちにも協力してもらいたいのだ」
 役人「そういうことでしたら。我々にお任せください」
 詩の祭りの開催を取り付けた曹丕は曹植の元に向かう。
 曹丕「植、失礼するぞ」
 曹植「あっあっ曹丕兄上!こっこれは」
 ???「曹植様~、私はこっちですよ~」
 曹丕「崔恋サイレン殿、何をしているのですか?」
 崔恋「ひゃっ!?曹丕様、申し訳ありません。曹植様とちょっとした遊びを」
 曹丕「成程。で植、いつまで目隠しをしているつもりだ!」
 曹植「ひっ。きゅ、キャ、急にた、た、訪ねてくるなんて酷いじゃ無いか。せっかく、恋と楽しいひと時を過ごしていたのに台無しだよ」
 崔恋「曹植様ったら曹丕様にそのような口の聞き方、ダメですよ~また後でしてあげますから」
 曹植「かぁぁぁぁぁぁぁ。ということなのでとっとと帰ってください曹丕兄上は」
 曹丕「せっかく良い話を持ってきたというのに聞かなくて良いのかな?」
 曹植「なんですか。その勿体ぶった言い方は気になるじゃ無いですか。特別に言うことを許可しますよ。いや、今はぼっ僕の方が立場が上なんだ。話してください命令です」
 曹丕「フン。頑張ってる植を労ってやろうと思ってな。詩の祭りを開催することにした」
 曹植「曹丕兄上が僕の慰労会だなんて、どういう風の吹き回しですか?」
 曹丕「その言い方はまるで俺が植のことをよく思っていないみたいな言い方じゃないか」
 曹植「そう思ってるけど違うの?」
 曹丕「生意気なやつだ。わかったわかった。そんなこと言うならもう良い!俺の文才のがお前より上だしな」
 曹植「その言葉は、カチーンときたわ。そこまで言うならその慰労会、有り難く出てあげるよ。曹丕兄上と詩の勝負の場としてだけどね!」
 曹丕「おぅおぅ。この俺の詩に勝てるってんなら良い度胸じゃねぇか。相手してやるよ!」
 売り言葉に買い言葉とはまさにこのことである。曹丕は当初の目的も忘れて、曹植と詩の勝負をする約束をしてしまった。そして帰路につきこのことを司馬懿に話す。
 司馬懿「曹丕様、何を考えているのです?詩の勝負などと!我々の目的を理解しているのですか?」
 曹丕「別に良いだろう。それにしても植の奴、ムカつくぜ。絶対に祭りの席で、アッと言わせてやるからな」
 司馬懿「遼東征伐はどうするのですかな?」
 曹丕「はっ!?!?!?」
 司馬懿「曹丕様、その短気なところは直さねばなりませんよ」
 曹丕「いや、しかし。今更、引くに引けないのだが」
 司馬懿「曹昂様に跡を継がれて良いのですか?」
 曹丕「それはごめんだな」
 曹丕は流行病で寝込んだと噂を流した。見舞いに訪れる曹植。
 曹植「曹丕兄上が病に倒れるとは」
 曹丕「植、か、俺、は、こ、の、通、り、だ。詩、の、勝、負、は、お、預、け、だ、な」
 曹植「お祭り自体、取りやめねば」
 曹丕「そ、れ、は、な、ら、ん。父、上、か、ら、何、を、言、わ、れ、た、か、知、ら、な、い、が、植、を、労、い、た、い、気、持、ち、に、嘘、は、な、い」
 曹植「わかりました。わかりましたから。その気持ちだけで」
 曹丕「植、に、移、る、と、悪、い。こ、こ、に、も、暫、く、来、る、な」
 曹植「はい(本当にしんどそうだ。急だから嘘かも知れないと思ったが。この状態でも僕の好きな詩の祭りのことを考えてくれるなんて、曹丕兄上の想いを無駄にするわけにはいかないな)」
 こうして、曹丕の病を信じた曹植はしばらくの間、監視を無くしたのだった。
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