えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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4章 三国鼎立

武都攻防戦(後編)

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 解放された1000人を暖かく迎え入れようとする千万率いる氐族9万だったが、彼らは驚きと混乱に陥る。1000人の氐族兵がこちらに牙を剥いたのだ。
 千万「一体、中で何があったんだ?どうして、同じ氐族同士で争わねばならんのだ」
 強端「そのようなことを言っている暇ではないぞ。コイツらの目、明らかに俺たちを殺しにかかってる」
 中端「味方を殺す許可をくれ」
 弱端「そもそもこれは明確な裏切りだ。裏切り者には死を」
 千万「やむ終えまい、向かってきた氐族1000を殲滅せよ」
 初動が遅れたことにより、少なからず被害は出たが終息させることに成功した千万軍。
 千万「幽鬼・亜喜良・陳風・陳酪・鵜窶嫵・滋慧歩、どうやら趙昂とやらに謀られたようだ。こうなっては致し方ない力押しにて、早々に決着を付けさせてもらおう。6万で踏み潰してこい」
 幽鬼「はっ我らが王よ。我らにお任せを」
 先ほどと違い6万もの大群が城へと迫っていた。対する王異軍は、籠城戦の準備を整え終わっていた。
 王異「ありったけの弓と矢をここに、無駄撃ちは禁止。よーく狙って確実に仕留めること良いわね」
 武都兵「はい。うー緊張する」
 王異「大丈夫よ。みんなには、この王異が付いてるわ」
 武都兵「うおーーーーーーーーーー」
 歓声が進軍している幽鬼たちにも聞こえる。
 幽鬼「士気をあげたところでどうにもなるまいこの兵を前に圧倒的な力で踏み潰してくれるわ」
 亜喜良「幽鬼兄さん、あんまり1人で突っ走らないで、危ないから」
 そこに弓が飛んでくる。
 幽鬼「うおっ」
 亜喜良「だから言ったんだよ。ここからは弓が飛んでくるよ。盾を前に構えて、進軍再開」
 陳風「父さん、無理してない?」
 陳酪「まだまだ年寄り扱いするでないわ」
 鵜窶嫵「滋慧歩と組むのも久しぶりだな」
 滋慧歩「おぅよ。暴れてやろうぜ兄弟」
 氐族がきちんと対策してきたことに王異も驚く。
 王異「くっ。盾を構えて進軍されたら、無駄に矢を消費するしか」
 韋康「お待ちください。閻行殿には何か策がある様子」
 その頃下では閻行が次なる手を打っていた。閻行と共にかつて韓遂に仕えていた頼れる男、成公英の率いる5千が援軍としてこちらに向かってきていた。それと足並みを揃えて1万3千で打って出て、挟撃したのである。6万を2万にも満たない兵で挟撃。悪手のようにも思えるが突然門が開いて兵が飛び出してくるのである。正確な数など分かりようがない。そして、後ろからも兵が迫ってきていたのだ。思いの外、大混乱に陥れることに成功した。
 幽鬼「前から打って出てきやがった。これは好都合だ」
 亜喜良「待って兄さん、後ろからも敵が」
 陳酪「ハァハァハァハァ」
 陳風「父さん、だから歳だから気をつけてと」
 陳酪「煩いわい。鵜窶嫵・滋慧歩、ちょっと手を貸すのじゃ」
 鵜窶嫵「陳酪爺さん、了解した」
 滋慧歩「後ろは俺たちが引き受けた。陳風は幽鬼と亜喜良と共に前に当たれ」
 陳風「わかった。父さんのことは頼みましたよ」
 幽鬼・亜喜良・陳風は、閻行と。陳酪・鵜窶嫵・滋慧歩は成公英と相対する。
 幽鬼「やってくれたな。まさか挟撃とは」
 亜喜良「アイツを殺せば問題ないよ」
 陳風「やっと追いついた」
 閻行「敵将っぽいのが3人ってことは3万か、成公英のやつだいぶ惹きつけてくれたな。助かるぜ」
 幽鬼「三万なら楽勝だと聞こえるが」
 閻行「違う違う三人なら楽勝ってことだ。お前ら、兵どもを喰らい尽くしてやれ」
 元梁双兵「こうなったらやけだ。全軍、閻行様のため。敵を食い止めるぞ。突撃ーーーー」
 亜喜良「兄さん、来るよ」
 幽鬼「軽くもんでやるぜ。ガハッ」
 閻行は出会い頭に槍を投げ付けた。それが見事に幽鬼に突き刺さったのだ。
 閻行「普通はこうなるんだけどよ。やっぱり馬超は一味違ったなぁと再認識させられたな」
 亜喜良「兄さーーーーーん、よくもよくも兄さんを」
 怒り狂って突撃してきた亜喜良をいとも簡単に交わすと振り向き様に斬った。
 亜喜良「こんなに強いのがいるなんてき、い、て、な、い」
 閻行「はい2人目だ。後はお前だけだな」
 陳風はあまりにも突然の光景に腰を抜かし、閻行に斬られた。
 陳風「うわぁ。待て待て待て来るなーーーーーぐわぁ」
 閻行「張り合いが無さすぎる。やはり馬超との戦が1番楽しかったな。さぁ、お前らにも選択肢をやろう。俺に降伏するか?ここで死ぬか?選べ」
 氐族兵「降伏するから命だけは助けてくれ」
 閻行「良し、ではお前たちの忠節を示せ。三万で反転攻撃だ」
 元氐族兵「はぃーーーー」
 元氐族兵たちは閻行たちに押し寄せられるように、後ろの陳酪・鵜窶嫵・滋慧歩に襲いかかるのだった。
 陳酪「どういうことじゃ。前で何があったというんじゃ。まさか息子の身に何か」
 鵜窶嫵「陳酪爺さん、余所見している暇なんて。ガハッ」
 成公英「敵を前にして、油断するとは。5千なら楽勝とでも思ったか?舐められたものだな。俺も閻行程ではないが、名の知られている方だと思っていたのだが」
 陳酪「閻行じゃと!?馬超と互角に戦ったと称される閻行か。馬鹿な!?アヤツは韓遂が亡くなった時に共に殉死したと。まさかお前は成公英だというのか!?」
 成公英「御名答、やっと知っているものがいて何よりだ。確かに俺たちは一度死んだ。そして、今一度、生を受けた。馬超様には感謝しても足りん。留守だから簡単に奪えると思ったか。お前らのその浅はかさを打ち砕いてくれるわ」
 滋慧歩「陳酪爺さん、ここは俺が、このことを早く千万様に、全滅したら敵の中にコイツらがいることがわからなくなる」
 陳酪「すまぬ滋慧歩よ」
 陳酪がとんでもない速度で撤退するのと同時に成公英が軽々と滋慧歩を討ち取っていた。
 滋慧歩「このような力を持つものがい、よ、う、と、は」
 成公英「どうやらあの爺さん以外は、俺と閻行のことは知らなかったみたいだが。厄介な男を逃した。千万とか言ってたよな?あの千万か?阿貴の腰巾着だったと小物の。偉くなったもんだな。取り敢えず、残ったお前たちはどうする?」
 氐族兵「こっ降伏しますーーーーー」
 こうして、閻行と成公英により、簡単に氐族兵が半壊してしまったのである。これには王異ですら、こう呟いたとされる。『馬超様が私を庇って死ななくて本当に良かった。彼らが未だに敵だったらと思うとゾッとする。馬超様の器の広さに改めて敬意を評したい』と。
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