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4章 三国鼎立

久々のヨシカタ塾

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 翌日、麗美に引っ張られてヨシカタ塾へと向かう義賢。ここで、少しおさらいをしよう。劉備が治める土地で将来有望な若者を育てるために識字能力や他の類稀なる才能を伸ばすため開かれた青空塾。義賢が現実世界の名前であるヨシカタという名前を付けて、ヨシカタ塾という。一期生には、関平・劉封・公孫続・袁燿・黄叙・袁紅姫などがいる。他にも多くの学んだ子供たちが各分野で活躍していたりするのだがそれはここで話すべきことではない。今ここに在籍しているのは、第一次ベビーブームと呼ばれた。第二次徐州の戦い以降に産まれた子供達である。義賢がいない間の学長代理を務めてくれていたのは、荀彧や諸葛亮ではなく荀攸であった。
 麗美「劉丁先生、早く早く、こっちこっち~」
 義賢「走ったら危ないよ麗美」
 荀攸「ようやく立ち直られたようですな。張り合いが無くてつまらなかったと言っておきましょう」
 義賢「減らず口は相変わらずのようだな荀攸。だが、学長代理を務めてくれたこと感謝する」
 荀攸「簡単に頭を下げなさいますな。ここでは民では無く貴方が学長なのだからな」
 義賢「あぁ、そうだな。ゴホン。長らくお休みをもらい申し訳なかった」
 関興「叔父上、謝る暇があるのならとっとと授業を始めるが良い」
 関索「関興兄さん、そんな言い方は」
 関興「フン、1年も引き篭もっていた男だ。父上はこの男のせいで、華北の戦線に駆り出されているのだぞ」
 関索「でも、それは劉備叔父上のためだよ。劉丁叔父上のせいではないよ」
 関興「父上が南に向かい。コイツが北に向かっていれば良かったのだ。父上なら蛮族だろうが遅れなど取らん」
 義賢「確かに関興の言う通りかもしれないな返す言葉がないよ。雲長のことは俺も聞いている。お前たちに寂しい思いをさせてしまい申し訳ない」
 関興「寂しい?そっそっそんなわけがないであろう」
 関索「関興兄さんは素直じゃないからなぁ」
 関興「一言多いんだ関索は」
 阿斗「叔父上がいない間、父上がとても寂しがっていました」
 義賢「そうか。兄上が」
 劉虎龍「叔父上、聞きましたぞ。将軍を目指すと言うのは本当ですか?だったら、翼徳叔父さんにも褒められたこの俺と是非手合わせを」
 義賢「翼徳がな。時間がある時にお受けしよう。今日は、挨拶に来ただけだからな」
 劉虎龍「そうですか。残念ですが今は引いておきましょう」
 劉鈴「叔父上~、おかえりなさいませ」
 劉蘭華「叔父上~、この文字がわからないのですが」
 劉范「叔父上、俺にも文字を教えてください」
 張苞「劉叔父上、父上が拗ねておりましたぞ。最近劉丁叔父上や関羽叔父上ばかり贔屓にされていると」
 張昭「父上が家で酒を飲む頻度も増えて困っております」
 義賢「わかったわかった。だが今や俺は一兵卒の身分。翼徳のことで兄上に何か言える身分ではないのだが」
 華槌「父上に従って戦に参加したのに、相手がすぐに降伏して鬱憤が溜まってるのだが」
 徐襲「仕方ないだろう。あれは董白様案件なんだから」
 義賢「ん?董白案件?宛城の件か。その節は妻が迷惑をかけてすまなかった。だが、その歳で戦に出るのはいけないことだ。この塾で多くを学ぶと良い」
 華槌・徐襲「了解した」
 黄羽「劉丁先生、おかえりをお待ちしていました」
 趙統「劉丁先生」
 趙風鈴「劉丁先生」
 義賢「こんなに集まってくれてありがとう」
 そこに張飛がやってきた。
 張飛「おぅおぅおぅ、引き篭もり野郎の義賢じゃねぇか。大兄者の前で、将軍を目指すと啖呵を切ったそうだな。面白え、この俺様が見定めてやらぁ。お前たちも見たいよなぁ。俺様と義賢の武稽古を」
 女性陣は張飛が義賢にダル絡みしてると白けているが男性陣は湧き立っていた。
 関興「流石、翼徳おじさんだ。あんな奴、叩きのめして身の程を解らせてやってください」
 関索「こんなのよくないことだけど。でも張飛叔父さんと劉丁叔父さんの一騎討ちは見てみたいと僕の中にも流れる父上の血が騒いでいる」
 張苞「父上、また昼間から酒を勘弁してくれ。劉丁叔父上、遠慮なく叩きのめしてやってください」
 張昭「母上になんと言えば良いんでしょうか?」
 華槌「劉備軍最強と言われる猛者である張飛先生と弓を射らせたら並大抵ではないと称される劉丁先生の一騎討ちとは武人としてこれほど心踊らぬことはない」
 徐襲「全く、その通りだな」
 黄羽「劉丁先生の弓の腕前、しかとこの目に焼き付けさせてもらいます」
 趙統「これは楽しみな戦いですね」
 張飛「どうした引き篭もり野郎の義賢。さては俺様に怖気付いたか。それで将軍を目指せるとは、甘く見られたもんだなぁ」
 義賢「言わせておけば好き放題言ってくれやがって翼徳。良いだろう、その挑発に乗ってやる。木刀を取れよ。返り討ちにしてやる」
 張飛「得意の弓じゃ無くて良いのか?それともやってる俺なら木刀でも勝てるとか思ってんじゃねぇだろうなぁ。こんなの酔ったうちに入らねぇからよ。気を遣わずに弓を取れや」
 義賢「弓なら俺の勝ちは確定だろう。だから翼徳の土俵で勝負してやるってんだ。感謝しろよ」
 張飛「言ってくれるじゃねぇか。その言葉、後悔させてやるよ」
 義賢と張飛が木刀を片手に打ち込み合う。
 張飛「へぇ、なかなか筋がいいじゃねぇか。弓だけだと思ってたがこの一年、サボってたわけでないようだな」
 義賢「翼徳は強引なんだ。俺のことを舐めてる奴に思い知らせてやろうって策だろ。特に関興辺りに。翼徳こそ、この一年で策を弄すようになるなんて進歩してるじゃねぇか」
 張飛「ケッ言ってろ。まだまだ太刀筋の甘いお前に色々と伝授してやろうと思っただけだ」
 義賢「御教授、感謝するよ翼徳」
 張飛と互角に打ち合う様を見て、全員が黙り込む。そして決着がつかぬまま、引き分けとなった。
 張飛「腕が鈍ってねぇようで何よりだ。ようやく帰ってきたんだな。義弟よ」
 義賢「えっ?俺が1番下なの?」
 張飛「そりゃそうだろ。大兄者・兄者・俺・義賢だ」
 義賢「そうか。まぁ、それなら翼徳兄さんって呼ばないとなぁ」
 張飛「なんかむず痒いな。それより、孫堅が交州を追われて大兄者を頼ったことは知ってっか?」
 義賢「いや、聞いてない」
 張飛「簡雍の奴、仕事サボりやがったな。ったくよ」
 義賢「憲和なら家に来てる。そうだった!これから話を聞くんだった。可愛い麗美に連れ去られて、忘れてた!」
 張飛「しっかりしてくれよ。じゃあ、とっとと帰るんだな」
 義賢「おぅ」
 こうして、急いで義賢は家へと帰るのだった。
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