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4章 三国鼎立

突然の来訪

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 黝廉に似た馬の話を聞き終わる。
 義賢「黝廉が出会った時に実は殺されそうになっていただなんて、うっうぅ。俺と出会えたおかげで黝廉は第二の人生を歩めていたんだな。うっうぅ。俺は黝廉とずっと一緒にいるものだと勝手に思っていた。失ってから気付くものもあるのだな。士仁・麋芳・張達・范疆、良い話を聞かせてくれてありがとう。黝廉が俺といて幸せだったかはわからないが、婿探しぐらいはしてやるんだったと後悔している。だって黝廉の子供なら可愛かっただろうからな」
 董白「親馬鹿ならぬ馬馬鹿ね。私から見ると黝廉は幸せだったと思うわ。だって、亡くなってもずっと義賢に想ってもらえるんだから」
 士仁「えぇ、馬屋の男も言ってました。『名前を与えられるぐらい大事にしてもらえたのならあの時身を挺して助けた僕も救われる』と」
 義賢「そうか。しかしこの黝廉mark2も良い馬だ。黝廉には劣るけどな」
 黝廉「ヒヒーン(前の馬と比べるなんて、失礼な御主人様ね)」
 義賢「そんなに怒るなよ。悪かったって黝廉mark2。お前は俺より先に逝かないでくれよ」
 黝廉「ヒヒーン、ブルブル(私の気持ちを見透かしたの!?こんな御主人様にずっと想われる私と同じ名前の馬はさぞかし幸せだったんだろうなぁ。大丈夫よ。私は御主人様を絶対に悲しませないわ)」
 義賢「そうかそうか。お前は優しい良い馬だな」
 黝廉「ヒヒーン(もしかしてわかるの馬の言葉が!?)」
 義賢「そんなに驚くなよ黝廉mark2」
 士仁「本当に馬と会話しているように見えるのですが」
 董白「黝廉の時もあぁやって語りかけていたわ。ひょっとしたら義賢には馬の言葉がわかるのかもね」
 麋芳「そんなわけなかろう。人に馬の言葉などわかるわけが」
 范疆「オラ、優しい劉丁様なら可能な気がするだよ」
 張達「あんだけ喜んでもらえるとよ。頑張った甲斐があるってもんだぜ。劉丁様の泣きっ面も拝めたしよ」
 士仁「麋芳は夢がないのだな。俺は信じるさ。劉丁様は馬の言葉がわかるのだと」
 そんな楽しげな雰囲気をぶち壊す扉の音が聞こえる。
 董白「はーい、どちら様でしょうか?」
 ???「簡憲和が来たと伝えてくれるかい義賢の奥方さんよ」
 董白「外交顧問の簡雍殿!?これは大変失礼しました。すぐに扉を開けますね」
 簡雍「そんなに畏る必要なんてないよ。アッシと義賢の仲じゃないか。ヒック」
 義賢「憲和、お前酒臭いぞ!昼間から酒か?酔ってるのか?」
 簡雍「お前がやっと立ち直ったんだ。飲まずに居られるかってんだよい。ヒック」
 義賢「相変わらずだな。で、どうした。一緒に飲もうってことか?」
 簡雍「まぁ、そんなところさ。と言いたいところなんだが玄徳に頼まれちまってな。お前が荊州南郡の制圧に向かってからの世界情勢について、話してやってくれってさ。ヒック」
 義賢「前は、もう殿なんだから兄上のことを字で呼ばないと言ってた奴がどんな心境があったのかね」
 簡雍「いちいち細かいことを突くなよい。玄徳の奴が嫌がるのさ。公な場以外では友人として話してくれってさ。ヒック」
 義賢「兄上らしいな。だが簡雍、話は酒が抜けてから明日にでも聞くとしよう。せっかく来てくれたんだ。うちの妻の美味しい手料理食べていくだろ?麗と麗美も招けばいい」
 簡雍「そこまで言われちゃ仕方がないねぇ」
 麗「鼻っからそのつもりだったでしょうお前様は」
 バシーンと鈍い音がして簡雍の頭が殴られる。
 麗美「劉丁先生~、会いたかったの~」
 義賢に抱き付く麗美。
 義賢「大きくなっても甘えん坊さんだなぁ麗美は。それにしても麗と麗美も来てたなんて」
 麗「酒飲んで、劉丁様のところに行くって言うからどうせ話になんないだろうって、だから今日は劉丁様の復帰祝いにしようってね。なのに、この人ったらお前たちはここで待ってろですって」
 簡雍「義賢のことを驚かしてやろうとしただけなんだがね。ヒック」
 義賢「麗美はもう何歳になったんだい?」
 麗美「うーんとね。10歳になったの~」
 義賢「そっかそっか。相変わらずちいちゃくて可愛いなぁ」
 麗美「エヘヘ。劉丁先生に一年も会えなくて寂しかったの~」
 義賢「ごめんね~。もう劉丁おじちゃんは大丈夫だよ~。明日からヨシカタ塾にも顔出すからね~」
 麗美「わーい。嬉しいの~」
 麗「劉丁様、同年代の子よりだいぶ小さい麗美に寄り添ってくださり、ありがとうございます」
 簡雍「小人症って病気だって聞いた時は驚いたさ。そんな病気があるなんて、知らなかったからさ」
 義賢「まぁ、麗美の場合は、成長ホルモンの分泌が不全していることによる低身長症だと思うので、そんなに思い詰めることないですよ。大きくならないってだけです。僕は、可愛いから大好きですけど」
 麗美「麗美も劉丁おじちゃんのこと好き~」
 麗「こら麗美、劉丁様を困らせてどうするの。椅子に座るわよ」
 麗美「はーい、ママ」
 簡雍「麗美は嫁にやりませんよ」
 義賢「何、本気にしてんの!?俺は董白だけだよ生涯ね」
 簡雍「一途も良いとは思いますが玄徳のように妾を抱えるつもりはないのか?」
 義賢「子供が多くなったらいつか俺の子孫と兄上の子孫が揉めた時、悲しくなるだろ。それに董卓の孫娘だぞ。妾を暗殺するかもしれないぞ」
 簡雍「まさか、流石に董白でもそれは?」
 ひゅっと包丁が俺と簡雍の間に飛んでくる。
 董白「ごめんごめん。手が滑っちゃった~てへっ」
 義賢「もう、そんな董白も可愛いんだから~」
 簡雍「肝が冷えたのだが、義賢も苦労しているのだな」
 麗「お前様も早く席に座りなさいな」
 簡雍「あっはい」
 こうして、士仁・麋芳・張達・范疆に簡雍・麗・麗美を加えた大人数で、復帰を祝ってもらう義賢であった。
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