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4章 三国鼎立

董白、義賢の正妻となる

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 扉が開いて董白が出てくる。
 義賢「董白、元気だったか?」
 董白「アンタ、ホント馬鹿よね。昔っからそういうところは全然変わらない。でもね。私はもう帰らない。アンタが傷付いている時、逃げ出した私にアンタの側に居て良い資格なんて無いでしょ。わかったら。これ以上、殴られずに帰ってよ。帰ってったら」
 義賢「すまない。俺がお前を追い込んでいたんだな。俺はお前よりも長く一緒にいた黝廉を亡くし、悲嘆で周りに対して気を遣うことができなくなっていた。死にたい、死にたい、実際何度も死んだんだけどな」
 董白「えぇ、知ってる。だから逃げ出したんだもの。何度も死ぬ義賢のことを見ているのが辛かった」
 これを聞いている毌丘毅・毌丘興は頭がポカーンとしていた。
 毌丘毅「??????さっきから2人は何を言っているのじゃ?」
 劉宏「毌丘毅、良いのじゃ。2人にだけわかることなのであろう」
 毌丘毅「はぁ、まぁ劉宏様がそうおっしゃるのなら」
 毌丘興「何度も死んだ?何かの比喩なのでしょうか?」
 王栄「深く詮索してはダメよ」
 毌丘興「はっ王栄様」
 董白の心の叫びを受け止める義賢。
 義賢「董白、お前、俺のこと好き過ぎだろ」
 董白「そうよ。悪い。大好きよ。だから、また一緒にいて傷付けるのが怖いのよ」
 義賢「お前に傷付けられるなら本望だ。お前が俺を好き過ぎるように、俺も董白。お前のことが大好きなんだ。今まで、忙しいと側に居てやれる時間が少なくてごめん。これからは側にいる時間を増やす。なんて言ったらお前、俺が自分を犠牲にしてるとか言うよな。董白、俺はもう一度兄上のために働くことを決めた。民からの再出発だ。身分違いなんてことはもう無い。それどころか今は俺がお前に身分違いの恋をしている。先代皇帝霊帝様の孫娘であるお前にな。こんな何も無い俺だが董白、俺の正妻になって支えてくれないか。頼む」
 董白「馬鹿!?馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿、バーカ。なんで、義賢はいつも唐突なのよ。私は義賢の側に居られるだけで良いのに、そんな私が正妻で良いの?王栄様みたいに寛大じゃ無いよ。義賢に側室が増えたり第二夫人が増えたらイケズするかもしれないよ」
 義賢「あぁ、民になった俺の元に嫁ぎたいなんて女いないさ」
 董白「義賢、アンタのそういうところよ。鈍過ぎるところ。アンタがあんなになって、何人の女が泣いたと思ってるのよ」
 義賢「えっ?なんだって、最後の方、よく聞こえないんだけど」
 董白「私がいないとホントダメねって言ったのよ」
 義賢「あぁ、俺は家に董白が居てくれないと飯もろくに食べられない男だ」
 董白「あの自信満々で言わないでくれる?」
 義賢「掃除もできねぇし、風呂も沸かせられねぇ」
 董白「私は家政婦じゃないんだからね!」
 義賢「董白と愛し合うこともできねぇ」
 董白「ちょ、ちょ、マジでやめて、恥ずかしいから」
 義賢「でも1番辛かったのは、一緒に悲しんだり楽しんだりしてくれる存在が居なくなった家にいることだった」
 董白「馬鹿ね。帰るわよ義賢」
 ???「バブー」
 董白「あらあら、起きちゃいましたか。パパとママでうるちゃくしてごめんなちゃいね。ご飯でちゅか?」
 ???「バブ。チューチュー。ゴクゴク」
 義賢は目の前の光景に驚き何も言えずに立ち尽くしていた。
 義賢「えっええええええ!?董白、お前まさか、浮気?」
 董白「馬鹿!正真正銘、貴方との娘よ。沈んでた貴方を慰めようとしたあの日に妊娠したのよ!」
 義賢「そうなのか。俺の娘。そういえば、黝廉は牝馬だったな。人間として生まれ変わってたりしてな」
 董白「黝廉なら不思議とあり得そうな気がするわね。なんたって、義賢のことが大好きだったからね。また、義賢の元に帰って来たとしても不思議ではないかも。名前は黝廉にするの?」
 義賢「馬鹿!俺の新しい馬も黝廉なのに黝廉だらけになるわ」
 董白「新しい馬?」
 義賢「おぅ。おいで黝廉」
 黝廉「ヒヒーン(誰、この綺麗な人、見惚れちゃう)」
 董白「まぁ、黝廉そっくりね。まさかまた馬として帰ってきてたりとか」
 義賢「いや、無いな。確かに走りも黝廉のそれとは似ているけど、どこか違う」
 董白「そう。でも義賢が立ち直ってくれて本当に良かったわ。でも民から劉備様のために働くって、何をする気なの?」
 義賢「今度は、先頭に立つ武将を目指すつもりだ。そのための面々も揃った。後は、愛しいお前が側に居てくれれば盤石ってことだ」
 董白「もう、皆んな見てる前でやめてよ」
 劉宏「無事、仲直りできて何よりじゃが、孫婿殿、ちょっとこっちへ来てくれんか?」
 義賢「心得ました」
 劉宏は近付いてきた義賢は力いっぱい殴り付ける。
 義賢「ガハッ」
 董白「お爺様!?」
 劉宏「ワシは董白を泣かせるなと言うたな。これは泣かせた罰じゃ。そして、ほれ手を出さぬか?」
 義賢「今度は何を?」
 劉宏は手を出している。その手を掴む義賢。
 劉宏「仲直りの握手じゃ。孫娘に会えなくなるのは嫌なのでな」
 義賢「はい。妻が私のせいで御迷惑をおかけしました」
 王栄「良いのよ。久々に劉宏様も会えて、楽しそうでしたから」
 劉宏「これ、栄。何を言う。ワシは、最高に嬉しかった。そこんとこを間違えるでない。まだまだ息子に会うまでは死ねぬゆえな。劉備殿にも宜しく言うておいてくれ。ワシが死ぬまでに必ず漢王朝をお助けせよとな」
 義賢「はい。兄上に必ずお伝えします」
 董白「で、娘の名前はどうするの?」
 義賢「それは、もう決めている。牝愛ヒメだ」
 董白「牝愛、良いわね。私たちの可愛いヒメちゃん」
 義賢「まぁ。もう一つの意味もあるけどな(黝廉、俺の大事な愛馬であり牝馬だったお前の名前を娘につけられないからそこから牝馬から牝を愛馬から愛を取って、牝愛ってな)」
 牝愛「バブ」
 董白「喜んでるみたい」
 義賢「あぁ、そう見えるな」
 劉白「あの父上?母上?僕のこと、忘れてませんか?僕も妹を見たいのですが!」
 義賢「すっかり忘れていた。すまない劉白」
 董白「あらあら、嫉妬してるの?私の可愛い天使ちゃん」
 劉白「おやめください母上」
 義賢たち4人の顔に笑顔が戻っていた。こうして、完全復活を果たした。義賢を待ち構えている次なる荒波は、間近に迫っているのだった。
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