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4章 三国鼎立
桂陽奪還作戦(破②)
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こちらは、高覧を先に行かせた麹義と藩鳳の様子。飂は最初、飛刀という武器で遠くから麹義を狙っていたが麹義の持つ大きな盾により、その攻撃を防がれたことから拳による乱撃に切り替え、盾の破壊を試みていた。
飂「俺は別に2人相手でも構わなかったんだが」
麹義「へっお前の相手は、俺だけで十分だ。それにしても、お前、どんな化け物だよ。拳で俺の盾を砕きにくるなんて。それに、全然疲れてねぇのか。ハァハァハァ」
飂「この程度で、疲れることはない。それにしても、ここまで乱撃を加えて盾が壊れなかったのは貴様が初めてだ。もっと楽しませてもらおう」
麹義「ハァハァハァハァ(ヤバいな。流石に、だが最悪相打ち覚悟でもここでコイツを倒す。倒し損ねたら張郃殿を助けに向かった高覧が危機に陥っちまうからな。俺の愛用の盾がここまでボコボコにされちまうとは、好機は一瞬だ。アイツが乱撃を加えるその刹那の隙に眉間に弩を撃ち込む。これしか俺の勝ち筋は無い)」
飂「さて、そろそろ終わりにしよう。その盾も限界だろう。よく、俺の攻撃にここまで耐えた。お前は、俺の歴史に刻まれる。俺の名は飂。貴様も名を言え」
麹義「そうかい。そりゃ嫌な歴史になるな。張郃軍、特殊歩兵隊の隊長、麹義だ。ハァハァハァ」
飂「そうか、麹義よ。実に面白い試合であったわ」
麹義「(ここだ。失敗すれば、俺が死ぬ。一か八かの大博打。でも成功させるしか無い)」
飂が高覧に近付き拳による乱撃を放つ刹那の隙、麹義は盾の中にずっと隠していた弩を盾を落とした瞬間に撃ち込む。その時間、刹那。
飂「うぐっ。まさかこんな隠し玉を残していようとは、だが残念ながら仕留め損なったようだな」
麹義「そうでも無いさ。お前の腕、動かないだろう」
飂「!?何故」
麹義「腱を断ち切ったからな。使い物にならなくなったその身体だと力が全ての蛮族に居場所は無いだろう?ハァハァハァ」
飂「フフフ。アーハッハッハ。久々に笑ったさね。確かに、この腕じゃ任務の続行は無理さね。アタイの負けさね」
麹義「というか、お前、普通に話せたんだな。しかも声が高い。そうか。良かった。つ・か・れ・た」
麹義は安堵して、その場に倒れ込む。
飂「全く、腕の腱を切られたとは言え、絶命していない相手の側で、倒れるかね。全く、面白い男さね。もしかしたら、この人達なら本当に慚戯を討てるかもしれないね。あの、欲望と権力に取り憑かれた暴君を(アンタ、アタイの役目もこれで果たせたかな。南蛮の名を汚した零陵蛮を壊滅させるために潜入だなんて、しかも男のフリしてって。全くうちの人も何考えてんだろうね。でも、そういう人や民を大事にするアンタだからこそ。アタイは結婚したんだけどね。でも、この腕はどう説明するさね。確か、荊州の奥地に名医が居るって話してたのを逃してあげた民から聞いたね。ここは、取り敢えず大丈夫さね。アタイも早く建寧に戻るため、そこに行ってみるさね)」
その頃、藩鳳と犇鱓の戦いも決着を迎えようとしていた。
犇鱓「俺様のこの全身棘鎧の体当たりにここまで耐えたやつは、お前が初めて」
藩鳳「耐えたか。笑えるな。俺がお前の体当たりを盾で受け止めていただけだとでも?」
犇鱓「馬鹿な!?この鋼鉄の棘鎧が割れてるだと!?」
藩鳳「(いや、アイツ馬鹿かよ。紐切っただけだっての。でも、割れてるって誤解してくれてるなら。良いか)どうした、その棘鎧が無ければお得意の体当たりはできないのか?」
犇鱓「馬鹿にしよって。そんなにお望みなら見せてやろう」
藩鳳「(アイツ、馬鹿だ。じゃあ、今持ってる盾を突進に合わせて、これを押すんだったよな。俺の新兵器、串刺盾、下邳の城下町にいる腕利の鍛治師の姐さんに作ってもらったんだなぁ。あの姐さん、可愛かったなぁ)」
下邳での一幕。
藩鳳「アンタが腕利の鍛治師か?」
舞「腕利かどうかは知らない。でも、劉備軍の御用達なのは確か。で、何の用?」
藩鳳「(愛想が無い。でも、そこが妙に良い。かっ可愛い)」
舞「で、何の用?って聞いてんだけど」
藩鳳「あっすまない。盾を作って欲しいんだ。俺は、重装歩兵隊の隊長をしていて、盾で攻撃できたらって考えてよ。こんなの作れないか?」
舞は藩鳳の描いてきた設計図らしいのを受け取ると目を輝かせる。
舞「良い。これ良い。作れる。でも、みたところ安月給そうだけど、金払える?」
藩鳳「でっできるなら。なっ何とかする」
舞「じゃあ、作る。1ヶ月後、取りに来て、名前は?」
藩鳳「藩鳳と言う。わかった必ず受け取りに行く」
1ヶ月経ち、注文の品を取りに来る藩鳳。
舞「あっ藩鳳!できてるよ。最高傑作の盾が。早く、こっちこっち」
藩鳳「(今度は、愛想が良すぎる。そこも良い。最高だ)うむ」
舞「じゃあ、説明するね。これが藩鳳の新しい盾、串刺盾だよ。普段は、普通の盾として使えて、軽くて硬いから壊れない。そして相手が近付いてきたらこの凹凸を押す。するとあら不思議、棘が飛び出してきて、相手を串刺しにしちゃうんだ。ねっ凄いでしょ」
藩鳳「あっあぁ。だが値段なのだが(武器の事となるとこんなに饒舌になるんだな。だがそこも良い。凄く良い)」
舞「こんなに良い物を作らせてくれたのは藩鳳のお陰だよ~。料金は、1ヶ月の給料の3割で良いよ」
藩鳳「本当に?それだけでいいのか?」
舞「うんうん。その代わり、また面白いの思い付いたら教えてね」
藩鳳「うむ(これって脈ありってやつか。ひょっとしてそうなのか?)」
藩鳳が回想している間に、犇鱓の方も準備ができたようで、鋼鉄の棘鎧を脱ぎ、体当たりの構えに入り突っ込んできた。
藩鳳「(十分に惹きつけて)今だ」
犇鱓「ぬわぁにー。もう止まらぬ。このままでは、袋の針鼠になってしまう。ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
犇鱓の身体中から鮮血が吹き出し、絶命した。
藩鳳「姐さん、これとんでも無く凄いっす」
藩鳳はそう呟くのだった。
飂「俺は別に2人相手でも構わなかったんだが」
麹義「へっお前の相手は、俺だけで十分だ。それにしても、お前、どんな化け物だよ。拳で俺の盾を砕きにくるなんて。それに、全然疲れてねぇのか。ハァハァハァ」
飂「この程度で、疲れることはない。それにしても、ここまで乱撃を加えて盾が壊れなかったのは貴様が初めてだ。もっと楽しませてもらおう」
麹義「ハァハァハァハァ(ヤバいな。流石に、だが最悪相打ち覚悟でもここでコイツを倒す。倒し損ねたら張郃殿を助けに向かった高覧が危機に陥っちまうからな。俺の愛用の盾がここまでボコボコにされちまうとは、好機は一瞬だ。アイツが乱撃を加えるその刹那の隙に眉間に弩を撃ち込む。これしか俺の勝ち筋は無い)」
飂「さて、そろそろ終わりにしよう。その盾も限界だろう。よく、俺の攻撃にここまで耐えた。お前は、俺の歴史に刻まれる。俺の名は飂。貴様も名を言え」
麹義「そうかい。そりゃ嫌な歴史になるな。張郃軍、特殊歩兵隊の隊長、麹義だ。ハァハァハァ」
飂「そうか、麹義よ。実に面白い試合であったわ」
麹義「(ここだ。失敗すれば、俺が死ぬ。一か八かの大博打。でも成功させるしか無い)」
飂が高覧に近付き拳による乱撃を放つ刹那の隙、麹義は盾の中にずっと隠していた弩を盾を落とした瞬間に撃ち込む。その時間、刹那。
飂「うぐっ。まさかこんな隠し玉を残していようとは、だが残念ながら仕留め損なったようだな」
麹義「そうでも無いさ。お前の腕、動かないだろう」
飂「!?何故」
麹義「腱を断ち切ったからな。使い物にならなくなったその身体だと力が全ての蛮族に居場所は無いだろう?ハァハァハァ」
飂「フフフ。アーハッハッハ。久々に笑ったさね。確かに、この腕じゃ任務の続行は無理さね。アタイの負けさね」
麹義「というか、お前、普通に話せたんだな。しかも声が高い。そうか。良かった。つ・か・れ・た」
麹義は安堵して、その場に倒れ込む。
飂「全く、腕の腱を切られたとは言え、絶命していない相手の側で、倒れるかね。全く、面白い男さね。もしかしたら、この人達なら本当に慚戯を討てるかもしれないね。あの、欲望と権力に取り憑かれた暴君を(アンタ、アタイの役目もこれで果たせたかな。南蛮の名を汚した零陵蛮を壊滅させるために潜入だなんて、しかも男のフリしてって。全くうちの人も何考えてんだろうね。でも、そういう人や民を大事にするアンタだからこそ。アタイは結婚したんだけどね。でも、この腕はどう説明するさね。確か、荊州の奥地に名医が居るって話してたのを逃してあげた民から聞いたね。ここは、取り敢えず大丈夫さね。アタイも早く建寧に戻るため、そこに行ってみるさね)」
その頃、藩鳳と犇鱓の戦いも決着を迎えようとしていた。
犇鱓「俺様のこの全身棘鎧の体当たりにここまで耐えたやつは、お前が初めて」
藩鳳「耐えたか。笑えるな。俺がお前の体当たりを盾で受け止めていただけだとでも?」
犇鱓「馬鹿な!?この鋼鉄の棘鎧が割れてるだと!?」
藩鳳「(いや、アイツ馬鹿かよ。紐切っただけだっての。でも、割れてるって誤解してくれてるなら。良いか)どうした、その棘鎧が無ければお得意の体当たりはできないのか?」
犇鱓「馬鹿にしよって。そんなにお望みなら見せてやろう」
藩鳳「(アイツ、馬鹿だ。じゃあ、今持ってる盾を突進に合わせて、これを押すんだったよな。俺の新兵器、串刺盾、下邳の城下町にいる腕利の鍛治師の姐さんに作ってもらったんだなぁ。あの姐さん、可愛かったなぁ)」
下邳での一幕。
藩鳳「アンタが腕利の鍛治師か?」
舞「腕利かどうかは知らない。でも、劉備軍の御用達なのは確か。で、何の用?」
藩鳳「(愛想が無い。でも、そこが妙に良い。かっ可愛い)」
舞「で、何の用?って聞いてんだけど」
藩鳳「あっすまない。盾を作って欲しいんだ。俺は、重装歩兵隊の隊長をしていて、盾で攻撃できたらって考えてよ。こんなの作れないか?」
舞は藩鳳の描いてきた設計図らしいのを受け取ると目を輝かせる。
舞「良い。これ良い。作れる。でも、みたところ安月給そうだけど、金払える?」
藩鳳「でっできるなら。なっ何とかする」
舞「じゃあ、作る。1ヶ月後、取りに来て、名前は?」
藩鳳「藩鳳と言う。わかった必ず受け取りに行く」
1ヶ月経ち、注文の品を取りに来る藩鳳。
舞「あっ藩鳳!できてるよ。最高傑作の盾が。早く、こっちこっち」
藩鳳「(今度は、愛想が良すぎる。そこも良い。最高だ)うむ」
舞「じゃあ、説明するね。これが藩鳳の新しい盾、串刺盾だよ。普段は、普通の盾として使えて、軽くて硬いから壊れない。そして相手が近付いてきたらこの凹凸を押す。するとあら不思議、棘が飛び出してきて、相手を串刺しにしちゃうんだ。ねっ凄いでしょ」
藩鳳「あっあぁ。だが値段なのだが(武器の事となるとこんなに饒舌になるんだな。だがそこも良い。凄く良い)」
舞「こんなに良い物を作らせてくれたのは藩鳳のお陰だよ~。料金は、1ヶ月の給料の3割で良いよ」
藩鳳「本当に?それだけでいいのか?」
舞「うんうん。その代わり、また面白いの思い付いたら教えてね」
藩鳳「うむ(これって脈ありってやつか。ひょっとしてそうなのか?)」
藩鳳が回想している間に、犇鱓の方も準備ができたようで、鋼鉄の棘鎧を脱ぎ、体当たりの構えに入り突っ込んできた。
藩鳳「(十分に惹きつけて)今だ」
犇鱓「ぬわぁにー。もう止まらぬ。このままでは、袋の針鼠になってしまう。ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
犇鱓の身体中から鮮血が吹き出し、絶命した。
藩鳳「姐さん、これとんでも無く凄いっす」
藩鳳はそう呟くのだった。
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