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4章 三国鼎立

長沙城の攻防

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 義賢が荊州南部の討伐隊に選んだのは、張郃・趙雲・黄忠・呂姫・太史慈の5将軍であった。
 張郃「久々に腕がなる」
 趙雲「河間の張儁乂には負けんぞ」
 張郃「こちらこそ常山の趙子龍には負けん」
 黄忠「魏延には妻と子を救ってもらった恩を返さねばならんと思っておった。ワシを選んでくださり感謝しますぞ劉丁殿」
 呂姫「私が一軍を率いる将ですか?私を選んでくださった義賢様に恥じぬ働きを」
 太史慈「劉丁殿に某の守りはもう必要ありませんな。存分に暴れさせてもらいますよ」
 義賢「皆の働きに期待する」
 張郃軍の面々は、軍師の田豊・副軍師の沮授、重装騎兵を率いる高覧・盾と弩を持つ独自の兵を操る麹義・重装歩兵を率いる藩鳳。
 趙雲軍の面々は、妻でもあり軍師でもある樊玉鳳、弓隊を率いる陳応。歩兵を率いる鮑隆。そして、新たに趙雲と故郷が同じで親友でもある夏侯蘭が騎兵を率いる。
 黄忠軍の面々は、此度は白馬に統一された弓を扱う白馬儀従を率いる公孫続と息子で弓隊を率いる黄叙・工作隊を率いる袁燿の3人を組み入れた。
 呂姫軍の面々は、今回の大抜擢に大層喜んだ父より、山賊のことなら元山賊がよくわかるだろうということで張燕。そして、猛将である魏越と成廉の2人を補佐に付けてくれた。
 太史慈軍はまだできたばかりで配下の将はおらず。兵士のみであった。
 義賢軍には、補佐として田豫が加わっていた。
 これらと総勢10万の大軍を動員し、長沙城の救援に向かう。その頃、長沙では徹底抗戦が続いていた。
 魏延「ここが荊州南部、最後の砦だ。ここまで、失えば、我らは劉備殿に合わせる顔が無くなるぞ。何としても死守するのだ」
 趙範「奴らの勢いは凄まじい。盗賊であり、異民族でもあり虎を乗り回しているあの女は危険だ」
 魏延「まさか、李杏リキョウの奴まで与するとは」
 邢道栄「知り合いか?」
 魏延「幼馴染だ」
 金禕「恋人だったのか?」
 魏延「馬鹿言うな!俺とアイツはそんなんじゃねぇ」
 鞏志「それにしても。ここまで山賊と異民族が徒党を組むとは」
 ???「どうやら先程名前に出た女盗賊がそれらを束ねているとのことです」
 邢道栄「潘濬ハンシュン、戻ったか報告御苦労」
 潘濬「邢道栄様、あり難き」
 魏延「まぁ、アイツなら不思議と納得できちまうな。だが、勝利するのは俺たちだ」
 そこに張羨が帰ってくる。
 張羨「劉備殿が援軍を派遣してくださるとのことです。もう暫くの辛抱ですぞ」
 魏延「よくやった。張羨殿。このまま暫く耐えるぞ」
 皆が頷く。一方こちらは、反乱軍を率いる女盗賊の李杏たち。
 李杏「やっぱり長沙は硬いわね。流石、魏延。やるじゃない。厄介なことになったわね。時間をかけると劉備軍がやってくるわ。それまでに荊州南部を制圧するわよ。鯨胡ゲイコ牙狼ガロウ兎臥トガ猿鴎エンオウ羊潜ヨウセン牛齕ギュウコツ鶏欒ケイラン、もっと攻め立てるのよ」
 李杏の命を受け、鯨胡・牙狼・兎臥・猿鴎・羊潜・牛齕・鶏欒の7将が攻める。
 李杏「魏延、アンタだけは絶対に許さないから!(アンタがアタシ以外の女を助けたなんて許さないから。しかも子連れだったとか。アタシ以外と子を成すなんて、絶対に許さない!あの話を聞いた時から周りの異民族を全部屈服させて、山賊も吸収。今やここはアタシの庭だから!覚悟してよね)」
 長沙を囲む7将。
 鯨胡「やれやれ姫様にも困ったもんじゃわい」
 牙狼「姫様を泣かせた魏延が悪いのだ」
 兎臥「姫様を泣かせるなんて魏延はいつから悪い子になったのだ?」
 猿鴎「それをワシらがわからせてやろうとしておるんじゃろうが」
 羊潜「姫様の愛は偉大だからね~」
 牛齕「やれやれ、魏延にも困ったものだな」
 鶏欒「暴れられるってもんだ」
 この7将を見る魏延。
 魏延「おいおい。嘘だろ。アイツらまで(いや、李杏はお嬢だしな。当然、お前らも協力してるか。趙範や邢道栄や金禕が勝てないのも無理はない。アイツらは筋金入りの化け物だからな。俺1人じゃ無理だ。劉備殿が良い援軍を送ってくれることを祈らないとな)」
 趙範「決して城内に入れるでないぞ」
 邢道栄「弓を射かけてやれ」
 鞏志「手伝います邢道栄殿」
 金禕「門が歪んでるぞ!押さえつけて、攻撃の手が緩んだら新しいのに変えるんだ」
 潘濬「これほどの異民族を束ねられる者が居ようとは、李杏とやらは恐ろしい」
 李杏親衛隊の7将が攻めれば魏延たちは城内に踏み込ませないように城門を固く死守するのだが。数と力で扉に攻撃を加える7将を前に、四つの城門は悲鳴をあげていた。
 魏延「おいおい。アイツら本気か?見ない間にどんだけ力つけてやがんだ。南がヤバいな。打って出て、追い返さないとまずい」
 張羨「武の要たる魏延殿が打って出てもしものことがあっては」
 魏延「わかっている(だが俺の次となると邢道栄だが討ち取られかねないことがわかってて打って出させられん。劉備殿、急いでくれ)」
 外では7将が椅子を囲んで、長沙城の様子を見ていた。
 鯨胡「ようやくじゃな」
 牙狼「さーて、姫様を弄んでくれた礼をしてやろうじゃねぇか」
 兎臥「牙狼ちゃん、もてなしちゃダメなんだよ~」
 猿鴎「やれやれ、緊張感がなさすぎるぞお主ら」
 羊潜「姫様を泣かせた魏延をとっ捕まえて姫様の前に連れてったら良いんだよね?」
 牛齕「おぅよ。他の奴らは殺しても構わねぇとよ」
 鶏欒「我らが降してきた山賊や異民族では打ち取れなかったらしいからなぁ。楽しみだぜい」
 そんな面々を前にして、ようやく援軍を率いて義賢が到着するのだった。
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