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4章 三国鼎立
官渡前哨戦 白馬の戦い(後編)
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白馬では劉延の防備を打ち崩すため攻防戦を開始し始める淳于瓊・呂威璜・郭図の3将軍。
淳于瓊「衝車を出せ、白馬の砦を破壊するのだ」
郭図「劉延は腑抜けですかな。出てきて一騎討ちを受けよ」
劉延「やれやれ煩いやつじゃ。ワシを討てば、白馬は落ちると思っているようじゃが例えワシが死んでも白馬は落ちんぞ」
呂威璜「アレが劉延だ。弓を射かけよ」
劉延「やれやれ。今度は不意打ちか。袁紹軍の者たちは、戦を知らんようじゃ。弓は高所からのほうが威力が高い。本当の弓の威力を見せてやるのじゃ」
淳于瓊「盾を構えーーーー」
郭図「相手はこれで矢を消費してくれましたな。衝車隊、突撃せよ」
劉延「衝車が近づいてくるぞ。油を撒けーい」
郭図「何だと!」
劉延「藁束に火を付けて落とせーい」
衝車が勢いよく燃え、衝車を押していた兵たちが火だるまとなる。
淳于瓊「チッ。中々やる」
呂威璜「淳于瓊、こちらの方が物量は上だ。このまま攻め立てれば相手は疲労でやがて疲れる」
郭図「うむ。衝車がやられたのならそれもやむおえん。次の衝車の準備をせよ」
淳于瓊「いやここは、井闌車を用い弓兵を駆逐する」
劉延「何とか第一陣は凌いだかの」
白馬の民「劉延様、敵は劉延様を執拗に狙っている様子です。少しお下がりくださいませ」
劉延「何をいう。お前たちを巻き込んでおいて、ワシだけ後方に待機などできるか。お前たちと共に敵に抗うぞ」
白馬の兵「お前たち、気持ちは有難いがこれが劉延様が皆から慕われる所以だ。共に戦ってくれるお前たちにも敬意を持って接する。どんなに危険であろうとも率先して率いる。こういう方だからこそ我らも命を賭けられるのだ。皆で劉延様を守るぞー」
白馬の民「オーーーーーーーーーーー」
郭図「全く煩い蠅の集まり共が」
淳于瓊「いや、我らはとんでもない男を相手にしておるのかもしれんな。劉延か敵ながら天晴れな御仁よ」
呂威璜「感心してる場合じゃねぇぞ。ここを落とさなければ、曹操軍はたったの10万。俺たちは100万を号する大軍だぞ。負けは許されん」
淳于瓊「うむ。しかし、戦は数ではない。将の質とも言える。我らは武の象徴である顔良殿と文醜殿を先の反劉備連合において、亡くした。その結果、武の要とも称される2人を失ったことで、再編を余儀なくされた」
呂威璜「俺じゃ。役不足だって言ってんのか。あぁ」
淳于瓊「そうではない。ただ、御2人がいればと思う時があるだけだ。無いものをねだっても仕方あるまい」
郭図「淳于瓊ともあろうものが随分と弱気ですな。ここはあやつらの出番ですな。蒋奇・孟岱、安心しきっている奴らに夜襲を仕掛けるのだ」
蒋奇「ヒッヒッヒ。無事に役目を果たした暁には、あの件よろしくお願いしますよ」
孟岱「デュフフ。敵軍を寝かせはしませんよ。デュフフ」
劉延は夜襲を警戒し、半分の兵を休ませると残り半分の兵で夜襲に備えていた。
白馬の兵「劉延様、奴ら夜襲を仕掛けてくるでしょうか?」
劉延「十中八九仕掛けてくる。この白馬を落とすために昼夜問わず仕掛けるはずじゃ」
白馬の民「半分の民は寝かせました」
劉延「すまぬな。お前たちにまで苦労をかける」
白馬の民「劉延様、何をおっしゃいます。苦楽を共にしてこそです」
劉延「そうであったな。さて、どう出てくる」
白馬の兵「太守様は、休んでください。我らが見ておりますゆえ」
劉延「案ずるな。もうしばらく耐えれば必ず曹操様の援軍が来てくださるからな。それまで、寝はせんよ」
太鼓の音と共に夜襲を仕掛ける蒋奇・孟岱。
蒋奇「ヒッヒッヒ。油断している奴らを蹂躙するのだ」
孟岱「デュフフ。どんどんいくぞ」
劉延「フン。夜襲を読めぬほど衰えてはおらんよ。者共、ノコノコとやってきた奴らに弓の雨を浴びせてやれ」
蒋奇「備えてやがっただと!」
孟岱「ええい。やむおえん。撤退だ」
蒋奇「チクショー。ムカつく審配の野郎を失脚させる目論見がおじゃんじゃねぇか」
孟岱「次に期待するしか無い」
こんなことが半年程続いた。
白馬の兵「太守様、流石にこれ以上は」
劉延「うむ。ワシも限界を迎えてきたわい」
白馬の民「流石にもうこれ以上は」
劉延「曹操様の援軍はまだ来ぬか。最早覚悟を決めるしかあるまい」
白馬の兵「太守様、死地への旅路お供いたしますぞ」
白馬の民「劉延様のためなら我々も」
劉延「良き兵と良き民に巡り会えたわ」
淳于瓊「やっとか。半年も粘られるとはな」
呂威璜「これで、終わりだな」
郭図「何とか事なきを得られそうだ」
白馬が落ちると思われたその時淳于瓊の本陣を襲う曹操軍の援軍が現れた。
淳于瓊「一体何処から?混乱するな。足並みを揃えて迎え撃て」
曹洪「散々、白馬を攻め立ててくれたみてぇだな。こっちも動きが察知されないように道を探りながら行くのが大変だったぜ」
淳于瓊「くっ。曹操の矛と名高き曹洪とはな。マズいな」
夏侯惇「俺を忘れてはもらっては困るな」
呂威璜「曹操の懐刀の夏侯惇か。武が悪い」
史奐「包囲している敵を蹴散らすのだ」
韓浩「左右から挟撃してやれ」
郭図「ここは引くのが得策」
淳于瓊「曹洪よ。此度は、そちらの勝ちだ。引かせてもらうぞ」
曹洪「待て、逃げるのか」
呂威璜「じゃあな夏侯惇」
夏侯惇「逃がさん」
しかし袁紹軍の兵たちが行手を遮り、何とか逃げ出すことに成功した淳于瓊・呂威璜・郭図であったが倍の数で攻めたにも関わらず得るもののない戦いとなった。
淳于瓊「衝車を出せ、白馬の砦を破壊するのだ」
郭図「劉延は腑抜けですかな。出てきて一騎討ちを受けよ」
劉延「やれやれ煩いやつじゃ。ワシを討てば、白馬は落ちると思っているようじゃが例えワシが死んでも白馬は落ちんぞ」
呂威璜「アレが劉延だ。弓を射かけよ」
劉延「やれやれ。今度は不意打ちか。袁紹軍の者たちは、戦を知らんようじゃ。弓は高所からのほうが威力が高い。本当の弓の威力を見せてやるのじゃ」
淳于瓊「盾を構えーーーー」
郭図「相手はこれで矢を消費してくれましたな。衝車隊、突撃せよ」
劉延「衝車が近づいてくるぞ。油を撒けーい」
郭図「何だと!」
劉延「藁束に火を付けて落とせーい」
衝車が勢いよく燃え、衝車を押していた兵たちが火だるまとなる。
淳于瓊「チッ。中々やる」
呂威璜「淳于瓊、こちらの方が物量は上だ。このまま攻め立てれば相手は疲労でやがて疲れる」
郭図「うむ。衝車がやられたのならそれもやむおえん。次の衝車の準備をせよ」
淳于瓊「いやここは、井闌車を用い弓兵を駆逐する」
劉延「何とか第一陣は凌いだかの」
白馬の民「劉延様、敵は劉延様を執拗に狙っている様子です。少しお下がりくださいませ」
劉延「何をいう。お前たちを巻き込んでおいて、ワシだけ後方に待機などできるか。お前たちと共に敵に抗うぞ」
白馬の兵「お前たち、気持ちは有難いがこれが劉延様が皆から慕われる所以だ。共に戦ってくれるお前たちにも敬意を持って接する。どんなに危険であろうとも率先して率いる。こういう方だからこそ我らも命を賭けられるのだ。皆で劉延様を守るぞー」
白馬の民「オーーーーーーーーーーー」
郭図「全く煩い蠅の集まり共が」
淳于瓊「いや、我らはとんでもない男を相手にしておるのかもしれんな。劉延か敵ながら天晴れな御仁よ」
呂威璜「感心してる場合じゃねぇぞ。ここを落とさなければ、曹操軍はたったの10万。俺たちは100万を号する大軍だぞ。負けは許されん」
淳于瓊「うむ。しかし、戦は数ではない。将の質とも言える。我らは武の象徴である顔良殿と文醜殿を先の反劉備連合において、亡くした。その結果、武の要とも称される2人を失ったことで、再編を余儀なくされた」
呂威璜「俺じゃ。役不足だって言ってんのか。あぁ」
淳于瓊「そうではない。ただ、御2人がいればと思う時があるだけだ。無いものをねだっても仕方あるまい」
郭図「淳于瓊ともあろうものが随分と弱気ですな。ここはあやつらの出番ですな。蒋奇・孟岱、安心しきっている奴らに夜襲を仕掛けるのだ」
蒋奇「ヒッヒッヒ。無事に役目を果たした暁には、あの件よろしくお願いしますよ」
孟岱「デュフフ。敵軍を寝かせはしませんよ。デュフフ」
劉延は夜襲を警戒し、半分の兵を休ませると残り半分の兵で夜襲に備えていた。
白馬の兵「劉延様、奴ら夜襲を仕掛けてくるでしょうか?」
劉延「十中八九仕掛けてくる。この白馬を落とすために昼夜問わず仕掛けるはずじゃ」
白馬の民「半分の民は寝かせました」
劉延「すまぬな。お前たちにまで苦労をかける」
白馬の民「劉延様、何をおっしゃいます。苦楽を共にしてこそです」
劉延「そうであったな。さて、どう出てくる」
白馬の兵「太守様は、休んでください。我らが見ておりますゆえ」
劉延「案ずるな。もうしばらく耐えれば必ず曹操様の援軍が来てくださるからな。それまで、寝はせんよ」
太鼓の音と共に夜襲を仕掛ける蒋奇・孟岱。
蒋奇「ヒッヒッヒ。油断している奴らを蹂躙するのだ」
孟岱「デュフフ。どんどんいくぞ」
劉延「フン。夜襲を読めぬほど衰えてはおらんよ。者共、ノコノコとやってきた奴らに弓の雨を浴びせてやれ」
蒋奇「備えてやがっただと!」
孟岱「ええい。やむおえん。撤退だ」
蒋奇「チクショー。ムカつく審配の野郎を失脚させる目論見がおじゃんじゃねぇか」
孟岱「次に期待するしか無い」
こんなことが半年程続いた。
白馬の兵「太守様、流石にこれ以上は」
劉延「うむ。ワシも限界を迎えてきたわい」
白馬の民「流石にもうこれ以上は」
劉延「曹操様の援軍はまだ来ぬか。最早覚悟を決めるしかあるまい」
白馬の兵「太守様、死地への旅路お供いたしますぞ」
白馬の民「劉延様のためなら我々も」
劉延「良き兵と良き民に巡り会えたわ」
淳于瓊「やっとか。半年も粘られるとはな」
呂威璜「これで、終わりだな」
郭図「何とか事なきを得られそうだ」
白馬が落ちると思われたその時淳于瓊の本陣を襲う曹操軍の援軍が現れた。
淳于瓊「一体何処から?混乱するな。足並みを揃えて迎え撃て」
曹洪「散々、白馬を攻め立ててくれたみてぇだな。こっちも動きが察知されないように道を探りながら行くのが大変だったぜ」
淳于瓊「くっ。曹操の矛と名高き曹洪とはな。マズいな」
夏侯惇「俺を忘れてはもらっては困るな」
呂威璜「曹操の懐刀の夏侯惇か。武が悪い」
史奐「包囲している敵を蹴散らすのだ」
韓浩「左右から挟撃してやれ」
郭図「ここは引くのが得策」
淳于瓊「曹洪よ。此度は、そちらの勝ちだ。引かせてもらうぞ」
曹洪「待て、逃げるのか」
呂威璜「じゃあな夏侯惇」
夏侯惇「逃がさん」
しかし袁紹軍の兵たちが行手を遮り、何とか逃げ出すことに成功した淳于瓊・呂威璜・郭図であったが倍の数で攻めたにも関わらず得るもののない戦いとなった。
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