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4章 三国鼎立

呉郡に迫る黄祖軍が突如として反転する

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 闇夜団による孫策の拉致が成功した後、于吉が周瑜の元に謝罪しに訪れる。
 于吉「此度は、民衆の支持がワシに集まってしまい申し訳ないことをした」
 周瑜「いや、こちらとしてもあらぬ疑いをかけ于吉殿を追い回して申し訳なかった。今は所用で席を外している我が主君に代わってお詫びする」
 于吉「では、これでお互い水に流すとしよう」
 周瑜「あぁ、了解した」
 伝令「周瑜様、突如として黄祖軍3万が呉郡に襲来」
 周瑜「なんだと!?民衆の支持が2分しているのを見て、好機と捉えたか。流石、荊州水軍を作り、我が軍の行手を何度も防いできた黄祖だ。如何するべきか?」
 于吉「では、迷惑をかけたお詫びに黄祖軍を追い返してやろうと思うのだが如何か?」
 周瑜「そのようなことが可能なのか!?」
 于吉「うむ。なーに、簡単なことじゃ。後ろに脅威が迫っていることを教えてやればそれで良い」
 周瑜「脅威?」
 于吉「なーに、嘘でも良いから劉備が江夏に攻めてきてるぞとでも流せば良いのだ。それで動揺すれば、戻らざるおえまい」
 周瑜「成程、その手があったか!すぐに偽報を流すのだ」
 于吉「いやいや、ここは迷惑をかけたワシに任せてもらおうとしようかのぅ(周瑜が黄祖と接触して万が一にもワシが差し向けたことがバレては敵わんからなぁ)」
 周瑜「わかりました。何卒、よろしくお願いする」
 于吉が黄祖の元に向かった頃、孫策は許貢の屋敷の地下にて、殺さない程度に血を抜かれ続けるという拷問を受けていた。
 孫策「お前らの目的はなんだ?」
 鏑「煩いでやすなぁ。あんまり煩いとこの薬でおねんねしてもらうことになりやすが」
 孫策「こんなことをして何の意味がある?」
 梟「そのことをお前が知る必要はない」
 孫策「何故、首を刎ねたはずの許貢が生きている?」
 許貢「ククク。我が主の力は素晴らしい。こうして、我を現世に呼び戻してくれた」
 孫策「死んだ人間が生き返るわけがないだろう!」
 柊「さぁ、于吉様は不思議な術を使いますから」
 孫策「于吉?于吉だと?民衆を扇動し、反乱を煽った于吉が首謀者だというのか!」
 蕾「えぇ、于吉様はね。あっこれは言っちゃダメなんだった。忘れて~」
 孫策「何を企んでいる。お前たちはどうして力を持ちながらあんな怪しげな道士なんかに従う?」
 翔「あの方が我らの主だからだ」
 孫策「どうして、こうも盲目に于吉を信じる。何故、誰も疑わない」
 蓮「疑う必要などない。我らは于吉様のやることを信じるだけで良い」
 孫策「馬鹿な!コイツらからは正気というものを感じない。まるで誰かの意思に操られている人形のようだ」
 鏑「全く、煩いでやすな。ちょいと黙るでやす」
 鏑が孫策に何かを注射する。
 孫策「やめろ。意識が遠のいていく(公瑾、助けてくれ)」
 于吉が黄祖の元にやってくる。
 黄祖「于吉?何故、民衆の反乱が収まっている。これでは話が違うではないか。我らは何のために兵を出したと思っているのだ」
 于吉「少し、話が変わりましてなぁ。今、呉郡を攻められては困るのじゃ」
 黄祖「貴様、何を言っているかわかっているのか?」
 于吉「何か問題でもあるのかのぅ?」
 黄祖「お前の一言一言で全てが動いているとでも思っているのか!貴様は神にでもなったつもりか」
 于吉「神か。そうじゃなぁ。神は神でもワシは邪神じゃ。この世を混沌に堕とす邪神じゃ」
 黄祖「狂っている。全軍、此奴を殺せ。何故、誰も動かぬ?」
 于吉「残念じゃったなぁ。お前の軍は、早々にワシのこの瞳で、操り人形にしておいたわ」
 黄祖「何を言っている?人を操る?そのようなことができるものなど居ようはずがないだろう」
 于吉「さてさて、黄祖よ。我が瞳を見よ」
 黄祖「何を言っている!こんな時にふざけているのか貴様!うぐっ。なんだこれは頭が痛い」
 于吉「黄祖よ。劉表から江夏が劉備に奪われたから取り返せと言われていたであろう。このようなところで何をしている」
 黄祖「お前は誰だ?」
 于吉「黄祖様にそのことを伝えにきた伝令だ」
 黄祖「そっそうであったな。お勤め御苦労。至急、江夏を取り戻すべく進軍を開始する」
 于吉「では、これにて」
 黄祖軍が反転して江夏を目指し、于吉は呉郡に戻ってきた。
 周瑜「于吉道士、この危機を脱したこと感謝します」
 于吉「良いのじゃ。元はといえばワシが孫策殿に怪しまれるようなことをしたのが問題だったのじゃからな。これからはひっそりとするとしよう。くれぐれも孫策殿に宜しく頼みますぞ」
 周瑜「あぁ、于吉殿は警戒する必要を感じないと伝えておこう」
 于吉「感謝しますぞ周瑜殿」
 于吉は、許貢の屋敷に戻っていく。
 周瑜「まだ伯符は見つからないのか?」
 凌操「探してはいるんだが見つからん」
 鄧当「全く、危機が立ち去ったのに、どこに行かれたのか」
 呂範「最後に見たのは周瑜殿でしたね」
 周瑜「あぁ、路地裏で引っ張られている女性を助けに向かったあたりだ」
 大喬「ひょっとして孫策様の身に何かあったのでは?」
 小喬「お姉ちゃん、そんなに心配しないで、きっと周瑜様が探し出してくれるから。ねっ」
 伝令「ハァハァハァハァ、孫策様の居所がわかりました。許貢という男の屋敷に連れて行かれるのを見たと」
 周瑜「許貢だと!?確か、孫策の危うさを朝廷に対して上奏して、暗殺を企んでいたものだったな。まさか、そいつの家族が関わっているということか?いや、子はおろか妻すら居なかったはずだ。至急、許貢の屋敷を取り囲み。孫策を救出するぞ」
 こうして、周瑜たちが許貢の屋敷を襲撃した時には既に誰も居なく。于吉は孫策を連れ江夏へと向かっていた。
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