206 / 531
4章 三国鼎立
南陽郡と江夏郡の間にある小さな郡?
しおりを挟む
江夏を攻略した勢いのまま次なる要所、南陽郡の新野を目指して進軍する劉備軍だったが江夏郡と南陽郡の間にある小さな郡にて、敵の攻撃を受けた。
蒯越「荊州を7郡だと思ったのが運の尽きだな。この荊州8郡の1つ章陵郡にて迎撃してくれるわ」
蒯良「劉備軍とてこの奇襲は計算外でしょう。呉居・頼恭、徹底的にこの地で劉備軍を叩くのです」
呉居「任せよ」
頼恭「奇襲ならば我らにも勝算があろう」
しかしこの奇襲を荀攸は読んでいた。話は少し前の劉備軍本営での話し合いに戻る。
荀攸「劉表軍の軍師蒯越・蒯良が我が軍に仕掛けてくると考えるなら。この章陵でしょう」
義賢「しかし、荊州は南陽郡・南郡・江夏郡・長沙郡・武陵郡・零陵郡・桂陽郡の7郡では?」
徐庶「いや、有名なのはその7郡だけど。もう一つ小さな郡があるんだ。それが南陽郡の南に位置し江夏郡に接しているこの章陵郡なんだ」
荀彧「成程、蒯越のこと。劉丁殿も知らぬ郡。そこに付け入る隙を見出したというわけですね」
荀攸「叔父上の言う通り。殿には、このまま敵の策に乗って知らないフリを通していただく」
劉備「知らないフリをすれば良いのだな。了解した」
荀彧「その隙にこちらの奇襲部隊を持って、蒯越と蒯良を捕らえるということですね」
荀攸「えぇ流石叔父上。蒯越と蒯良は荊州を代表する策士、捕らえて味方にするのが良いでしょう。殿が曹操と戦うにはまだまだ多くの士が必要なのですからな」
義賢「それにしても先ずは奇襲部隊か」
張郃「その役目、この河間の張儁乂にお任せを」
趙雲「いえ、この常山の趙子龍に」
荀攸「確実に叩いておきたいので、趙将軍と張将軍の2人共行ってもらうとしましょう」
張郃「趙雲には負けん」
趙雲「それはこちらの台詞だ」
義賢「2人とも功を競うのは良いですが本分を忘れないように」
田豊「安心せよ。張郃にはワシと沮授がついておる」
沮授「ご安心ください劉丁殿」
樊玉鳳「子龍には私が付いています。ご安心ください」
義賢「御三方が居れば大丈夫でしょう」
そして今に至る。奇襲を計画していた劉表軍は劉備を奇襲するがその背を張郃隊と趙雲隊に突かれる。
蒯越「劉備よ。覚悟せよ」
蒯良「こうもうまくいくとは」
劉備「まさか奇襲とは!?ってなるところなんだが残念だったな。張郃・趙雲、今だ」
張郃「河間の張儁乂を止められるものなら止めてみよ」
趙雲「常山の趙子龍、推参。死にたい奴は前に出よ」
蒯越「!?劉備軍の猛将。張郃と趙雲だと!」
蒯良「まさかこの奇襲が看破されていたというのか!?」
呉居「蒯越殿と蒯良殿はここで失うわけには行かん。新野へと撤退せよ。ここはこの呉居が防ごう」
頼恭「事ここに至っては仕方なし」
蒯越「すまぬ2人とも」
蒯良「劉備軍よ。この場は逃がせてもらう。新野にて雌雄を決すとしよう」
蒯越と蒯良はその場を逃げ出す。
趙雲「待て、流さんぞ」
呉居「趙雲よ。お前の相手はこの俺だ」
蒯越達を追う趙雲の行手を呉居が遮る。
張郃「趙雲はそこで見ていろ。手柄は私のゴホン俺のものだ」
頼恭「やれやれ、事ここに至っては仕方なしと言ったはずだが、どこにも行かせはせんよ」
趙雲の追撃が無理と判断し張郃が追撃しようとするがその行手を頼恭が遮る。
田豊「張郃殿、無理に追う必要はありますまい」
樊玉鳳「子龍もよ。目の前の敵に集中して」
2人の言葉で趙雲は呉居と張郃は頼恭と相対することとなる。
呉居「時間稼ぎをしたい局面で一騎討ちを受けることはできん。武人としては猛将と知られる貴殿と手合わせしたいわけではないがな」
趙雲「意外と冷静な武人と見た」
張郃「一騎討ちを受けよ」
頼恭「やれやれ、劉備軍相手に武が悪いのだが仕方ない。時間稼ぎぐらいはせねばならんので、皆の者、頼むぞ」
劉備「陳到、我らも趙雲と張郃を援護する。呉居、昔馴染みのお前と刃を交えるのは酷だが覚悟せよ」
陳到「殿の御身はこの白毦の陳到が御守り致す」
呉居「ここでお前まで動くのかよ劉備。ったく、容赦ねぇな」
呉居の兵達は、趙雲ではなく趙雲の妻である樊玉鳳を狙おうとするが返り討ちに遭っていた。
呉居の兵「なんだよこの女。べらぼうに強いぞ」
樊玉鳳「女と見て、楽と判断したのなら己の無力を思い知りなさい。血塗れの玉鳳が相手をしてあげましょう」
陳応「だから姐さん、俺たちにも残しといてくれって」
鮑隆「姐さんに言っても無駄だ」
呉居「あの女、ヤベェな」
趙雲「我が妻ながら恐ろしいと思う時が無いこともない」
呉居「へぇ妻ね。妻!?おいおい、猛将の妻もまた猛将ってか。とんでもねぇな劉備軍!」
趙雲「・・・(あの時、樊玉鳳に勝てたことが未だに信じられない時があるのだが手を抜いていた?)」
呉居の兵「時間稼ぎができれば良い。その女に下手に近づくな。やられるぞ」
樊玉鳳「そちらから来ないのであればこちらから行くまでです」
樊玉鳳が呉居の兵達との間合いを詰め槍で薙ぎ払う。
呉居の兵「ぎゃあ」
樊玉鳳「安心しなさい。此度、私たちが受けた命はできるだけ多くの者達を捕えること。峰打ちです」
呉居「ったく。女1人で戦況を変えちまうか。マジかよ。もう時間稼ぎも十分だろ。参った。参った。降参だ」
劉備「相変わらず義理堅い奴だ。蒯越殿達を逃すためだけにその場に留まり、私たちを足止めするとはな」
呉居「そう言うなよ劉備。受けた恩は返す主義なんだ俺はよ」
頼恭「付き合わされるこちらの身にもなってもらいたいのだが」
呉居「頼恭も付き合わせて済まなかったな」
劉備軍は、呉居と頼恭を捕え、蒯越達の待つ南陽郡の新野へと歩みを進めるのだった。
蒯越「荊州を7郡だと思ったのが運の尽きだな。この荊州8郡の1つ章陵郡にて迎撃してくれるわ」
蒯良「劉備軍とてこの奇襲は計算外でしょう。呉居・頼恭、徹底的にこの地で劉備軍を叩くのです」
呉居「任せよ」
頼恭「奇襲ならば我らにも勝算があろう」
しかしこの奇襲を荀攸は読んでいた。話は少し前の劉備軍本営での話し合いに戻る。
荀攸「劉表軍の軍師蒯越・蒯良が我が軍に仕掛けてくると考えるなら。この章陵でしょう」
義賢「しかし、荊州は南陽郡・南郡・江夏郡・長沙郡・武陵郡・零陵郡・桂陽郡の7郡では?」
徐庶「いや、有名なのはその7郡だけど。もう一つ小さな郡があるんだ。それが南陽郡の南に位置し江夏郡に接しているこの章陵郡なんだ」
荀彧「成程、蒯越のこと。劉丁殿も知らぬ郡。そこに付け入る隙を見出したというわけですね」
荀攸「叔父上の言う通り。殿には、このまま敵の策に乗って知らないフリを通していただく」
劉備「知らないフリをすれば良いのだな。了解した」
荀彧「その隙にこちらの奇襲部隊を持って、蒯越と蒯良を捕らえるということですね」
荀攸「えぇ流石叔父上。蒯越と蒯良は荊州を代表する策士、捕らえて味方にするのが良いでしょう。殿が曹操と戦うにはまだまだ多くの士が必要なのですからな」
義賢「それにしても先ずは奇襲部隊か」
張郃「その役目、この河間の張儁乂にお任せを」
趙雲「いえ、この常山の趙子龍に」
荀攸「確実に叩いておきたいので、趙将軍と張将軍の2人共行ってもらうとしましょう」
張郃「趙雲には負けん」
趙雲「それはこちらの台詞だ」
義賢「2人とも功を競うのは良いですが本分を忘れないように」
田豊「安心せよ。張郃にはワシと沮授がついておる」
沮授「ご安心ください劉丁殿」
樊玉鳳「子龍には私が付いています。ご安心ください」
義賢「御三方が居れば大丈夫でしょう」
そして今に至る。奇襲を計画していた劉表軍は劉備を奇襲するがその背を張郃隊と趙雲隊に突かれる。
蒯越「劉備よ。覚悟せよ」
蒯良「こうもうまくいくとは」
劉備「まさか奇襲とは!?ってなるところなんだが残念だったな。張郃・趙雲、今だ」
張郃「河間の張儁乂を止められるものなら止めてみよ」
趙雲「常山の趙子龍、推参。死にたい奴は前に出よ」
蒯越「!?劉備軍の猛将。張郃と趙雲だと!」
蒯良「まさかこの奇襲が看破されていたというのか!?」
呉居「蒯越殿と蒯良殿はここで失うわけには行かん。新野へと撤退せよ。ここはこの呉居が防ごう」
頼恭「事ここに至っては仕方なし」
蒯越「すまぬ2人とも」
蒯良「劉備軍よ。この場は逃がせてもらう。新野にて雌雄を決すとしよう」
蒯越と蒯良はその場を逃げ出す。
趙雲「待て、流さんぞ」
呉居「趙雲よ。お前の相手はこの俺だ」
蒯越達を追う趙雲の行手を呉居が遮る。
張郃「趙雲はそこで見ていろ。手柄は私のゴホン俺のものだ」
頼恭「やれやれ、事ここに至っては仕方なしと言ったはずだが、どこにも行かせはせんよ」
趙雲の追撃が無理と判断し張郃が追撃しようとするがその行手を頼恭が遮る。
田豊「張郃殿、無理に追う必要はありますまい」
樊玉鳳「子龍もよ。目の前の敵に集中して」
2人の言葉で趙雲は呉居と張郃は頼恭と相対することとなる。
呉居「時間稼ぎをしたい局面で一騎討ちを受けることはできん。武人としては猛将と知られる貴殿と手合わせしたいわけではないがな」
趙雲「意外と冷静な武人と見た」
張郃「一騎討ちを受けよ」
頼恭「やれやれ、劉備軍相手に武が悪いのだが仕方ない。時間稼ぎぐらいはせねばならんので、皆の者、頼むぞ」
劉備「陳到、我らも趙雲と張郃を援護する。呉居、昔馴染みのお前と刃を交えるのは酷だが覚悟せよ」
陳到「殿の御身はこの白毦の陳到が御守り致す」
呉居「ここでお前まで動くのかよ劉備。ったく、容赦ねぇな」
呉居の兵達は、趙雲ではなく趙雲の妻である樊玉鳳を狙おうとするが返り討ちに遭っていた。
呉居の兵「なんだよこの女。べらぼうに強いぞ」
樊玉鳳「女と見て、楽と判断したのなら己の無力を思い知りなさい。血塗れの玉鳳が相手をしてあげましょう」
陳応「だから姐さん、俺たちにも残しといてくれって」
鮑隆「姐さんに言っても無駄だ」
呉居「あの女、ヤベェな」
趙雲「我が妻ながら恐ろしいと思う時が無いこともない」
呉居「へぇ妻ね。妻!?おいおい、猛将の妻もまた猛将ってか。とんでもねぇな劉備軍!」
趙雲「・・・(あの時、樊玉鳳に勝てたことが未だに信じられない時があるのだが手を抜いていた?)」
呉居の兵「時間稼ぎができれば良い。その女に下手に近づくな。やられるぞ」
樊玉鳳「そちらから来ないのであればこちらから行くまでです」
樊玉鳳が呉居の兵達との間合いを詰め槍で薙ぎ払う。
呉居の兵「ぎゃあ」
樊玉鳳「安心しなさい。此度、私たちが受けた命はできるだけ多くの者達を捕えること。峰打ちです」
呉居「ったく。女1人で戦況を変えちまうか。マジかよ。もう時間稼ぎも十分だろ。参った。参った。降参だ」
劉備「相変わらず義理堅い奴だ。蒯越殿達を逃すためだけにその場に留まり、私たちを足止めするとはな」
呉居「そう言うなよ劉備。受けた恩は返す主義なんだ俺はよ」
頼恭「付き合わされるこちらの身にもなってもらいたいのだが」
呉居「頼恭も付き合わせて済まなかったな」
劉備軍は、呉居と頼恭を捕え、蒯越達の待つ南陽郡の新野へと歩みを進めるのだった。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。補足説明と登場人物の設定資料
揚惇命
SF
『えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。』という作品の世界観の説明補足と各勢力の登場人物の設定資料となります。
本編のネタバレを含むため本編を読んでからお読みください。
※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる