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4章 三国鼎立

蘆江にて攻め寄せる劉表軍の迎撃作戦を練る

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 蘆江にて兵を集める劉備の元に急報が届いた。知らせてくれたのは、劉表軍の伊籍機伯イセキキハクという文官の手紙であった。劉表に若い頃から仕えていた人物だったが劉備とも交流を深めていた。最後まで悩んでいたが劉表よりも劉備を選び、劉表軍の急襲作戦を知らせたのだ。
 劉備「なんと!?我々の動きが劉表殿にバレている。なんということだ!」
 劉封「父上、落ち着いてください。まだ、幸い何も起こっておりません」
 荀攸「何を困ることがありましょうや。向こうから来るというのならこの蘆江で迎撃して、その勢いのまま江夏を頂くとしましょう。それで良いですね叔父上?」
 荀彧「致し方ありません。荀攸の言う通りでしょう。ここで迎撃をする。ですが我々は侵攻軍、攻城兵器の準備はしていても防衛の準備は」
 どうしようかと悩む面々を前に1人の青年が声をかけてくる。
 ???「そういうことでしたら俺の出番ですね」
 劉備「其方は?」
 ???「すいません。名乗るのが遅くなりました。姓を劉、名を曄、字を子揚と申します。叔父が劉備様に大変お世話になりました」
 劉備「劉曄殿?叔父?」
 劉曄「はい。私の叔父は劉虞です」
 劉備「劉虞殿の!これは心強い。助かる」
 義賢「劉曄殿?発明家の劉子揚!(まさか、曹操の幕下として数々の献策と発明で助けた人が劉虞殿の甥だったなんてここに来てその縁を嬉しく思う。兄上のために必要と考え公孫瓚から守ったのが功を奏するなんて)」
 劉曄「ハハハ。こんなところまで轟いているとは、お恥ずかしい。防衛とあれば、この連弩車なんてどうでしょう?内部に設置された矢が相手を迎撃してくれる優れものです。実戦で試すのは今回が初めてですが」
 荀彧「劉曄殿でしたね?それは何台用意できますか?」
 劉曄「そうですね。それぞれの門に2台づつ。8台といったところでしょうか。矢は調達してもらわねばなりませんが」
 義賢「(張達ならここで物資の調達なら俺の最も得意とするところとか言って出しゃばるんだろうな。こんな風に?)」
 張達「物資の張達なら俺の最も得意とするところ。任せてください」
 義賢「張達!?」
 張達「ヘェ。劉丁様、何を驚かれているので?」
 左慈「予定が早く終わったのでな。こちらに立ち寄ったのだ」
 義賢「なっ成程。ゴホン(いきなり現れたから嫌いな相手だからついつい呼び捨てにしてしまったよ)では張達殿、至急矢の調達をお願いできますか?」
 張達「任された」
 暫くすると商人と共に矢をたくさん持った張達が帰ってきた。
 義賢「(嘘だろコイツ。まじであの短時間で矢を集めてきたって言うのかよ。実は有能だった?だから翼徳も無茶を頼みすぎたってこと?にしてもこれは使える)」
 劉曄「これだけあれば8台とも動かせるでしょう」
 荀攸「では、それらを各城門前に配置し、劉表軍を削るとしましょうか。徹底的に」
 荀彧「全く、我が甥ながら恐ろしいですね」
 義賢「(成程、初めに見せつけて、投降を呼びかけるってことか。確かにあんなので蜂の巣にされる味方を見れば士気が駄々下がり、投降するものも増えるだろう。確かに相手にとって嫌らしい一手と言えるだろう)」
 甘寧「相手は侵攻軍だろ?ならよ。その兵糧全部頂いちまうってのはどうよ」
 張飛「へぇ、そいつは面白そうじゃねぇか。乗ったぜ」
 荀彧「荷駄隊の急襲ですか。良いですね。焼くでも良いのですか奪えると兵糧が潤沢になりますからね」
 荀攸「では、奇襲の得意な甘寧殿・張遼殿を率いて張飛殿に奪ってきてもらうとしますか」
 張飛「おぅ任せとけ」
 張遼「またコイツとか」
 甘寧「おいおい、足引っ張んじゃねぇぞ張遼」
 張遼「それはこちらのセリフだ」
 張飛「おいおい。味方同士で喧嘩すんじゃねぇぞ。それは劉表軍に取っとけってんだ」
 張飛が甘寧と張遼を連れ、荷駄隊の強襲に向かう。
 義賢「我々も準備を整え劉表軍を迎え撃つとしましょう兄上」
 劉備「うむ(同族である劉表殿を攻めるか。心が痛まないわけではないが曹操が天下を制すれば徐州のような虐殺がどこで起こるかわからない。曹操の率いる野蛮な青州兵は危険すぎる)」
 関羽「兄者、某が御子息を預かって良ろしいのですか?」
 劉備「あぁ雲長の元で実戦を経験させてやってほしい。私は子供たちに甘いからな」
 関羽「そういうことでしたらお引き受けしましょう」
 今回の遠征軍の内訳を見てみよう。劉備率いる本隊2万(陳到率いる白毦兵5000。趙雲率いる軽騎兵5000を含む)。義賢率いる遊撃隊1万(甘寧率いる錦帆賊2000。張遼率いる奇襲部隊2000。黄忠率いる弓兵隊1000を含む)。張飛率いる左軍1万(張郃率いる重装歩兵・騎馬5000を含む)。関羽率いる右軍1万(劉封率いる軽歩兵200。関平率いる軽騎兵200。袁燿率いる工作兵100。公孫続率いる白馬義従100。黄叙率いる弓兵隊200。劉白率いる偵察兵100を含む)。初陣を控える子供達の心中は不安と興奮が半々だった。
 劉封「(関羽叔父上の元で実戦を積む良い機会に恵まれた。父上のため目の前の敵に集中するのみ)」
 関平「(父上の背中とはこうも大きいのか。その背中を見てしっかり学ばなければ)」
 袁燿「(袁術の息子として蔑まれるはずだった僕を養子として迎え入れてくれた養父のため役に立たなければ)」
 公孫続「(父上見てくださっていますか?ここから新たな白馬義従の物語が始まるのです。今日がその第一歩です。養父のため勝利を届けよう)」
 黄叙「(父と同じく弓の適性が高かった。これを活かして、僕なりに役に立つんだ。身体が小さく病弱で武将になることを諦めていた僕に道を示してくれた劉丁殿のために)」
 蘆江にて荊州を巡る戦いの前哨戦が始まろうとしていた。
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