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4章 三国鼎立

左慈の術とは

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 義賢は左慈についていき人目が無いところで話しかけられる。
 左慈「この辺りで良かろう。劉義賢と申す未来人よ」
 義賢「!?(そりゃ、あの世界のこと知ってるなら素性がバレていてもおかしく無いか)」
 左慈「安心めされよ。小生はどうこうするつもりはない。劉玄徳に仇なさないのであればな」
 義賢「それはないと約束する。で話とは?」
 左慈「小生が天界で話したことの続きだ」
 義賢「あれって本当だったんだ。于吉は呪術を溜め込んだ不老不死で倒すことができるのは同じく不老不死の左慈殿だけとか人式神とかだっけ?」
 左慈「少し違う。小生の操る式神は特殊でな。呪いをかけられている者と呪われていない者を媒介にする必要があるのだ。そのため、あの4人を小生に預けてもらいたい」
 義賢「4人って、増えてないか?3人って話じゃ?」
 左慈「小生をみくびらないでもらおう。あの麋芳とやらも劉玄徳の道を阻んだ者であろう」
 義賢「!?(そのことも知ってるってことは、この人が言っていた悠久の時を生きるってのは、あながち嘘では無いのか?それともマジシャンが使うトリックか何かか?)」
 左慈「そう心配する必要はない。小生もまた劉玄徳の勝つ未来を見たい者の1人よ」
 義賢「今は、その言葉を信じることにしましょう。して、あの4人で何をするつもりで?」
 左慈「なーに、小生の技を持って、于吉の術を無効化するだけのこと。お貸し頂けますな?」
 義賢「あぁ。兄上に頼むとしよう。では戻りましょう」
 左慈「うむ」
 2人は劉備の元に戻る。
 劉備「左慈殿のお話は何だったのだ?」
 義賢「左慈殿から先程の唯才是挙で来てくれた張達殿・范疆殿・士仁殿と麋芳殿をお借りしたいと相談を受けていました」
 荀彧「その人達をどうされるおつもりですか?良ければお聞きしたい」
 左慈「そう警戒なさいますな。小生の策を披露するため必要なこと」
 荀彧「策?」
 左慈「今はまだひた隠しにしていることのお手伝いをしてしんぜようかと」
 荀彧「!?」
 左慈「安心めされよ。曹操に悟られるわけにはいきますまいことは承知している。小生の策とは即ち、とある男を動けなくするために必要なこと。その者は劉玄徳殿に災いをもたらすと出ている」
 荀彧「その者とは?」
 左慈「道士と名高き于吉。悪化外道の術にて、人々を扇動する者。またの名を呪術師于吉と言う」
 荀彧「しかし、その方は確か張角殿が退治したと劉丁殿からお聞きしていたのですが」
 義賢「どうやら。呪術の力で致命傷を回避したみたいです。そして、その刃が張角殿と協力関係にある我らに飛び火すると。左慈殿は、そう考えているみたいです」
 左慈「うむ。して小生は早めに手を打つべく少数で動きたい。それにはあまり劉備軍と知られていない者たちの力が必要なのだ」
 荀彧「それなら麋芳殿は適さないでしょう。殿の奥方の1人の弟で、親族です。顔が割れていましょう。別の者が良いのではありませんか?」
 左慈「いや、そのことを知っているのは、劉備軍のものだからであろう。現に小生は今言われるまで知らなかった」
 荀彧「うーん、確かにあまり目立つ方ではありませんがむしろ逆に良いのか?わかりました。私としても殿に何かしようとしている輩を野放しにするわけにはまいりません。左慈殿の言葉を信じ、お預けしましょう。いいですね殿?」
 劉備「あぁ。荀彧や丁が良いのなら問題はない。だがくれぐれも宜しく頼む」
 左慈「うむ。感謝しますぞ」
 こうして、左慈は張達・范疆・士仁・麋芳の4人を連れ、荊州を治める劉表の本拠地襄陽へと赴いた。
 左慈「ふむ。この辺りで良かろう」
 張達「劉備軍に入って始めの仕事がまさかこんな胡散臭そうなジジイの子守りか」
 范疆「ジジイなんて言うなよ。お爺さんだよ」
 張達「うるさいんだよ。お前の声は響くんだ。聞こえるだろ」
 士仁「これも立派な仕事だ。そう言うな」
 麋芳「やれやれ何で俺まで(俺は殿の親族だぞ。こんな扱いとは。そんな知名度無いのか?)」
 左慈「小生は確かにジジイだ。貴君らよりも300歳ほどな」
 張達「はいはい。もう良いってそういうの。で、殿に対する危険因子は見つかったのかよ」
 范疆「300歳!凄いお爺さんですね。元気なのが1番ですよ」
 士仁「確か、我々が殿の軍だと知られてはいけなかったのですな?」
 麋芳「はぁ。とっとと終わらせて帰りたい」
 左慈「うむ。間も無く現れよう。それまでは待機じゃ。貴君らにはこれを渡しておこう」
 左慈は懐から人の形に切り抜いた紙を手渡す。
 張達「何だよこれ?蔡瑁?」
 范疆「名前が書いてありますね。劉表?。僕の名前は范疆なのですが?」
 士仁「俺のには兵士って書いてるな」
 麋芳「こっちも兵士だ」
 左慈「それは呪詛受けの式。かけられた相手の呪詛を肩代わりするもの。どこから敵が来るかわからんゆえ。安心せよ。小生は呪詛を解除できるゆえ貴君らに受けてもらう。信用できぬのであれば、それも良いが。小生は劉玄徳殿に貴君らの無事を託されている。気休めかもしれんが死なせはせんとだけ約束しよう」
 張達「こんなので呪詛の肩代わりなぁ。ジジイ、痛い人だってよく言われんだろ。誰が信じんだよ」
 范疆「呪詛の肩代わり?それが役に立つのならやります」
 士仁「勿論、殿のためならこれも立派な務めと心得ている」
 麋芳「仕方ない(ヒィー、こんな爺さんの言葉を信じていないが本当に呪われたらどうすれば良いのだ)」
 左慈「信じないか。それも良かろう。じきにわかるであろう」
 士仁と麋芳が苦しみ出す。
 士仁「ぐっなんだこれは。まるで内側を支配されるかのような。強く意志を保たねば」
 麋芳「おいおいマジかよ士仁?ぐっ、今度は俺にも。ハァハァハァハァ。これが呪い?」
 左慈「来おったな。さてさて呪いを吸い取れ百足ヒャクソク
 百の足を持つというムカデの式神が現れる。
 百足「御主人様に呼んでもらえるのは久しぶりね。頑張っちゃうんだから」
 張達「何だよ。これ?俺は夢でも見てんのか?何でこんなでかい生き物がいんだよ!」
 范疆「凄い。お爺さん凄いです」
 百足により呪いだけが綺麗に吸い取られ、士仁と麋芳が苦しみから解放される。
 麋芳「さっきまでのが嘘のように楽に」
 士仁「助かりました左慈殿」
 そう、この時あの男が襄陽城に押し入ろうとしている時だったのである。
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