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4章 三国鼎立

蘆江での唯才是挙

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 于吉という悪魔の出現によりイレギュラーで死に戻りをした義賢。そして戻ったのは、官渡の戦いが起こる少し前に蘆江で行った唯才是挙の時である。
 劉備「ぼーっとしてどうした丁?」
 義賢「兄上、申し訳ありません」
 劉備「さては緊張しているんだろう。まぁ、無理もない。さて今回はどのような者がくるのであろうな」
 義賢「(今から胃がイタタだ。劉備軍の将来の戦犯ともいえる3人が来るんだからな。はぁ。それにしても左慈だっけ?本当に何とかできるんだろうな)」
 まず1人目が入ってきた。将来張飛を暗殺するあの馬鹿どもの1人だ。勿論、この時点でこのことを知ってるのは俺だけなのだが。
 ???「劉備様がこの地にて、優秀な才を持つ者を求めているとお聞きし参った張達チョウタツと申す。仕官をお許し頂きたい」
 死に戻りの前の時、俺は名前を聞いた時点で、怒りで速攻拒否したんだよな。それがいけなかった。兄上には不審を抱かせ、その後も入ってきた2人をなんの理由もなく拒否した。その結果、兄上だけでなく多くの者の不審を買った。極め付けは荀彧殿に『劉丁殿らしくありません。せっかく仕官を求めて来たものを好き嫌いで選んでは、今後殿に仕官する者が居なくなります。すぐさま撤回を』とそれに対して、俺は勿論撤回しなかったんだ。アイツらのことを知ってる俺が雲長と翼徳の命を守らないとってな。今回は、左慈殿からも登用するように言われている。なんだっけ?人式神とやらの器に利用したいとか言ってたっけ?そもそもそんなものの器に利用して、逆に俺が恨まれたりしないだろうか?そもそも、追い返した時点で前の時は恨まれてるだろうし今更気にすることでもないな。こんな奴らがどうなろうと。
 劉備「どのような才を持っているのだ?」
 張達「全く恥ずかしい話なのですが名前から調達の張達と呼ばれておりましてな。物資面の調達が得意で」
 劉備「良いではないか。なぁ丁?」
 義賢「えっ?(兄上、俺に振らないでください。きっと相当嫌悪感を示した顔になってるだろうから)そうですね。そういう人材は貴重だと思います。良いのではないですか」
 荀彧「えぇ、私もそう思います」
 劉備「うむ。これからの働きに期待する」
 張達「はっ。仕官をお許し頂き感謝致す」
 張達が下がると次はアイツが入ってきた。もう1人の張飛暗殺の首謀者の1人だ。胃が痛い。痛すぎる。
 ???「ふわぁ。ダリィ。母がアンタの熱狂的な信者でして。俺の名前は范疆ハンキョウっていうんですけど。このでかい声がよく反響するとかで。母から『それも立派な一芸じゃない。仕官してきなさい』と」
 劉備「ほぅ。よく響く声は戦場にて広く浸透させたい時に役に立ちそうだな。良いではないか。なぁ丁?」
 義賢「へっ?(何でもかんでも俺に振らないでくださいよ兄上。范疆の声で反響。寒いダジャレしか出て来んわ。コイツにも俺はムカついてる)ゴホン。まぁ、戦で役に立つか使ってみれば良いかと」
 荀彧「えぇ、よく響くというのがどの程度か分かりませんし、時と場合によってはこっちの場所を知られるなど不利益もあるかもしれません。使ってみなければその辺りのことはよくわからないかと」
 劉備「うむ。范疆だったな。仕官を認めよう」
 范疆「ですよね~これで俺もまた引きこもりに。ってえっ採用?ありがとうございます」
 范疆が嬉しそうに去っていく。そして、あの男が麋芳に連れられて入ってきた。将来、関羽の死に直結する荊州失陥の戦犯者だ。
 麋芳「こちら俺の友人で名を士仁君義シジンクンギと言います。殿にお会いしたいと」
 士仁「おお。やはり貴方様でしたか。隣は、劉丁殿ですね。お懐かしい。かつて、義勇兵の一員として、参加していたのですが覚えておいででしょうか?」
 はっ?コイツ、いきなり何ボラこいてんだ?義勇兵の面々は誰1人抜けずに兄上に付き従ってる最古参だボケ。その中にお前なんかいるかよ。兄上?
 劉備「懐かしいな士仁。確か、蘆江にいる祖父母の容態が悪化したとかで、途中で抜けたのだったな。またお前に会えて嬉しく思うぞ。勿論お前の仕官を許す」
 士仁「こちらこそです。また殿のため働くことができるとは、嬉しく思います」
 へっ?マジなの?でも俺こんなやつのこと知らないんだけど?というか前回はすぐ追い返したからこんなやり取りもなかったから困惑なんだが。そして、本命のあの軍師が入ってくる。俺は、前回も大興奮だった。寡兵にて、曹操軍最強の男、曹仁を打ち破った劉備軍の初代軍師。資料を読んでその孝行心にも心打たれたんだよな。
 ???「お初にお目にかかります。単福と申します。故あって仕官先を探していまして、こんな俺で良ければ雇ってもらえませんか?策謀になら多少心得があります」
 劉備「お前の中に何か私と同じものを感じる。不思議なものだ。今日初めて会った男にな。お前が何者でも構わない。私を支えてくれ」
 単福「噂通りの方ですね。試すようなことをしました。俺の本当の名は徐庶元直と言います。人の仇討ちを引き受け役人に捕らわれるような不器用な男です。殿の誠意にお応えするため、誠心誠意お仕え致しましょう」
 関羽「なんと義侠心に溢れた御仁だ。兄者、良い味方を得られましたな」
 張飛「これからよろしく頼むぜ徐庶」
 徐庶「こちらこそ。宜しく頼みます」
 そして、前回はここで終わったのだが今回はもう1人来るんだよな。
 陸績「失礼します」
 劉備「お前は陸績ではないか。如何した?」
 陸績「殿の蘆江の統治を見て、決心したのです。この陸績を幕下にお加えください。殿のため、誠心誠意お支え致します」
 劉備「こんな私で良いのか?元はといえば、私がここに攻め込まなければお前の父も兄もあんなことには」
 陸績「それは違います。父と兄を殺したのは袁胤です。殿が御自身を責める必要はありません」
 劉備「そうか。こんな私で良ければ、助けてくれ」
 陸績「はっ」
 陸績の連れてる幼い子供って確か夷陵で兄上の陣営を焼き討ちした呉の名将だよな。えっ何これ?あの3人を速攻で断った時は来なかったんだけど。なんで?あの3人を登用した方がうまいこと行くの。マジないわ。マジないわ~。そして左慈と申す者が入ってきた。
 左慈「劉玄徳殿、お初にお目にかかる小生は左慈と申す者。方士である。其方の王道を支えるべく参った」
 いや。そんな感じだと兄上は。
 劉備「高名な左元放に来てもらえるとは、有難い。これから宜しく頼みます」
 左慈「うむ。では劉義賢殿を少しお借りするがよろしいか?」
 劉備「丁を?」
 義賢「兄上、少し行ってきます」
 劉備「あぁ」
 左慈が話したいことってあのことだよな。さてさてどうなることやら。
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