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4章 三国鼎立

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 義賢はいつもの空間にいた。
 パラレル甘氏「オー劉義賢よ。死んでしまうとは情け無い」
 義賢「いや、ちょっと待てーい。めちゃくちゃ苦しかったわ。なんで焼死なんだよ。ふざけんな。意味わかんねぇよ」
 パラレル甘氏「ちょっとイレギュラーが発生しまして、このままでは不味かったので、一度こちらに来てもらうために理不尽に死んでもらうことにしました」
 義賢「それにしても焼死はねぇわ。めちゃくちゃ苦しかった。それよりイレギュラーの発生って何?」
 パラレル甘氏「はい実は。于吉が生きています」
 義賢「、、、はっ?ええええええええ、張角たちが殺したんじゃなかったの?どういうことだよ」
 パラレル甘氏「あの男は時代を混沌に導く悪魔よ。呉郡に潜伏し、孫策軍に紛れ込み魏延・張角・孫策・周瑜・凌操・鄧当を殺したの」
 義賢「でも、それって孫策軍に関しては兄上にとっては有利になりそうじゃない?孫策と周瑜は、孫堅と違って兄上に敵対的な態度だったし、その部下の凌操と鄧当が死んでも兄上には痛手にはなり得ないんじゃないか?」
 パラレル甘氏「貴方は有り余る力を手にし、少し天狗になっているようですわね。確かに孫策殿に関しては史実通りと言える死だったわねぇ。これだけなら私も見逃していたでしょう。ですが事はそこで止まらなかったのよね。于吉が孫策に殺されず逆に孫策を殺しちゃって、完全なイレギュラーの発生って感じよね。それどころか独自の兵を組織して、今後も暗躍すると考えると少なからず玄徳様にも影響が出るとは思わないかしら?」
 義賢「確かにその点に関しては懸念点だと思うけど全く関わらないところで起こったことを戻ったからってどうにかできるわけがないだろう」
 パラレル甘氏「えぇ、ですから今回に関しては協力者を予めこちらにお呼びしました」
 目の前に白髪で白い髭を生やし、いかにも仙人といった出立で片眼に虫眼鏡のような物を付け、手には陰陽師の使う霊符を持った初老の男性が現れた。
 ???「小生が劉玄徳の助けとなろう」
 義賢「誰だよ」
 ???「小生としたことがこれは失礼した。小生の名は左慈元放サジゲンホウと申す者。劉玄徳の王道のいく末を見守る者であり悠久の時を生きる者なり。道士であり、その有り余る呪力を持ち悠久の時を生きる于吉に対抗できるのもまた悠久を生きる小生を置いて他には居ない」
 左慈だって!?酒をどんだけ飲んでも酔わない。羊を丸々一頭平らげてもお腹が一杯にならない。投獄されても簡単に脱獄した。2000~3000人の人を自身と同じにして、曹操がその全ての首を斬り落としたら立ち上がった煙から左慈が現れ曹操を呪い殺したっていうあの逸話だらけの左慈か。こんな見た目だったのか。確かに未来人っぽく見えるし、逆に古代の人にも見える。不思議な見た目をした老人だ。
 左慈「小生の提案は如何か?」
 義賢「すっすみません。あまりにも唐突だったので考えが止まっていました。ここ死後の世界なんですよね?左慈殿もまた死んでるってことですか?」
 左慈「これは異なことを言われる。小生は死を超越した存在、悠久を生きる仙人と申したと思うのだが」
 義賢「はぁ。それなら于吉も同じ存在なのですよね?どう対処できるというのですか?」
 左慈「于吉は道士を騙る呪術師、要は悪鬼外道の塊。小生と同等に騙るなどもってのほかである。悪鬼外道の類ならば、滅することができよう」
 義賢「はぁ」
 いや、全く話が噛み合ってない気がするのは俺だけか?左慈自身は悠久の時を生きる仙人と言い張り、于吉も悠久の時を生きる道士だと言っておきながらそれは有り余る呪力あってのことと言い、滅せると言う。全く意味がわからない。この世界はファンタジーの世界か?それともSFか?もしや現代における秘密結社によるオーバーテクノロジー?そのせいで俺も過去に飛ばされた?なんだか考えが全然まとまらない。要は、于吉のことを任せるとそう言えば良いのか?預かり知らぬところで起こったことを俺にどう対処しろと?こんな意味のわからぬことで殺されるのはこれっきりにしてもらいたい。
 パラレル甘氏「でどうかしら?なんとかできそう?」
 義賢「えっ?今ので、俺にどうしろと?むしろ余計頭がパニックなのですが」
 左慈「何、簡単な事。突如現れた小生を劉玄徳に蘆江の才子を登用したと伝えるだけで良い。後は、小生が于吉をなんとかしよう。貴公は、先程と同じように荊州を攻めるが良かろう」
 義賢「要は、徐庶殿が加わった蘆江の唯才是挙をやり直せって事?」
 左慈「うむ」
 めんどくせぇ。あの唯才是挙は、嫌だったんだよ。だって、張飛を殺した馬鹿2人と麋芳の友達とか言う関羽の死に直結する馬鹿まで来たんだから。当然、俺はあの手この手で3人の仕官を認めず徐庶殿だけ登用したんだけどさ。そのせいで麋芳と親族になった兄上に睨まれたりとかしてさ。だってあいつらを登用する方がヤバいだろ。未来を知ってる者としてはさ。それなのに、あの胃の痛いあれをもう一回やり直せだなんて。
 パラレル甘氏「あの3人の登用しなかったのは、玄徳様の義弟である2人の死に直結してるからかしら?」
 義賢「そうだよ」
 左慈「うむ。では、その3人は小生が受け持とう。我が式神を宿す器としてな」
 いま式神って言った!?式神なんて言葉。日本の最強陰陽師、安倍晴明アベノセイメイでしか聞いた事ねぇよ。それを人に宿す?とんだオカルトチックになってんじゃねぇか。要は、そうすれば兄上に睨まれず麋芳はどうでも良いけど糜竺殿に睨まれなくて済む訳か。まぁ、良いか。騙されたと思って、この左慈とかいう仙人を信じるか。
 義賢「わかりました。それでは戻ります」
 パラレル甘氏「はーい、よろしくね~」
 こうして義賢は、荊州の戦いが起こる少し前の蘆江での唯才是挙の時に戻るのであった。
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