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3章 群雄割拠

間話休題⑥ 劉岱と王匡

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 これは反董卓連合のちょっと後のこと、曹操が徐栄と呂布による待ち伏せに遭い、一足先に郷里である許昌に帰って間も無く反董卓連合の解散が伝えられる。
 曹操「本初よ。何故、反董卓連合を解散させた。所詮、お前も俗人だったということか天子様よりも群雄として生き残る道を選んだ愚かな男と言いたいところだが今ならまだこの一帯にて勢力を誇っていた劉岱と王匡よりも機先を制することができよう。全軍、進軍を開始せよ。目標は兗州の王匡だ」
 青州はこの時黄巾党の残党により攻められていた。劉岱の傘下として青州統治を共に担っていた鮑信は籠城を進言するが劉岱は聞き入れないどころか逆に打って出るという愚策を冒したのである。
 黄巾残党「蒼天まさに死す。黄天まさに立つべし」
 劉岱「頭目を失った残党風情が煩いのじゃ」
 鮑信「烏合の衆とはいえ、相手は大軍。ここは籠城を」
 劉岱「誇り高きワシが籠城などせぬわ。見ておれ黄巾の残党ども。根絶やしにしてくれるわ」
 鮑信「まさか、打って出るつもりか。考え直してくだされ」
 劉岱「聞かぬわ」
 劉岱は兵を引き連れ打って出る。
 劉岱「黄巾の残党ども。この劉公山が相手してくれるわ」
 だが劉岱は外に出てあまりの大軍に身動きできなくなってしまった。それもそのはず血の気の多い者たちが集まってできた30万もの大軍である。対して、劉岱が率いていた兵はせいぜい2万。それどころか太平道を信奉する民100万も後を続いていたのだ。そう、何も考えずに飛び出した劉岱が敵うはずもない。見事に絡み取られてしまったのだ。
 劉岱「何故、頭目を失った黄巾どもがこんなに強大なのだ。認めぬ認められぬ」
 黄巾残党「我らの教養は決して奪わせぬ。我らの怒りを知れ」
 劉岱「こいつら群がって、何をする。ぐっグワァー」
 何度も何度も腑が引きずり出るまで身体中を刺された劉岱の無惨な死体が転がっていた。
 鮑信「劉岱殿、だから言ったのに。曹操殿に至急伝令を」
 伝令「はっ」
 一方その頃、曹操は兗州を治める王匡と決戦に及んでいた。
 王匡「曹操、留守を突くとは、恥を知れ」
 曹操「恨むのなら反董卓連合を解散させた本初を恨むのだな」
 王匡「兗州は渡さぬぞ曹操」
 曹操「兗州は戴くぞ王匡」
 王匡「張邈・張超、何をしている。攻撃を開始するのだ」
 張邈「古き命に従い、我ら兄弟は曹操殿にお味方致す」
 張超「そういうことだ。覚悟してくれ王匡」
 王匡「裏切るというのか。ふざけるな」
 張邈・張超だけでなく兗州の豪族のほとんどが曹操を支持した。
 王匡「貴様らーーーー絶対に許さんぞ。呪ってやる。地獄に早く来るように呪ってやる」
 曹操「俺のいく道は俺が決める」
 曹操による一撃が王匡を捉える。
 王匡「ガハッ」
 胸から鮮血を吹き出し、その場に倒れ込む王匡。
 王匡「(こんなことなら反董卓連合なぞに組せず董卓に付けばよかった)」
 伝令「曹操様、青州の鮑信様から援軍を求む書状にございます」
 曹操「何?鮑信から、あいわかった。すぐに向かう」
 曹操は迅速に青州の鮑信の元へ向かい。城の眼下を埋め尽くす。青州黄巾党を前に大演説を行う。
 曹操「太平を求める黄巾の民たちよ聞けー。かつて、張角が求めたのはお前たちが盗賊となることであっただろうか否。黄巾の頭巾をかぶる者たちが埋め尽くす太平の世の成立である。この曹孟徳がその願いを叶えてやる。この曹孟徳の願いもまた太平の世の創造である。俺は、青州黄巾党の全てを曹孟徳の民とする。共に太平の世を築こうではないか」
 曹操は、こう宣言した後、城門を開け、単騎で青州黄巾党の元へと歩み寄る。
 曹操「この130余万の民の心は教養で満たされていても寄るべき地が無ければ休まらないであろう。民はただ飢えた重荷となり、素晴らしい兵たちもまた略奪に生きるようになる。お前たちのいく末は民を守る政無くして存続できようか」
 黄巾残党「どんなことがあっても我らが切り裂かれたり、また我らの教養が奪われることはないだろうか?」
 曹操「契約を交わそう」
 黄巾残党「教養と殺戮以外知らぬ我らだ。扱いを間違えれば貴殿とて無事ではすまぬぞ。承知の上か」
 曹操「勿論だ」
 黄巾残党「なんという懐の広いお人だ。我ら青州黄巾兵30万とその民100万。曹孟徳に降伏する」
 曹操「そうか、わかってくれたか」
 黄巾残党「はい。我ら曹孟徳の命が尽きぬ限り、貴方様に忠誠を誓いましょう」
 曹操「そなたらの忠節を裏切らぬよう善処する」
 黄巾残党を口説き落とした曹操を遠くから見る男がいた。
 郭嘉「へぇー荀彧殿の見る目は確かだったってことだね。曹操殿か後日、戯志才殿を伴い。会ってみるとしますか」
 曹操は、陶謙の治める小沛以外の豫州・兗州・北海を治める孔融以外の青州と屈強で知られる青州黄巾兵と100万もの民を手に入れることとなった。そして、その中で人知れず散った群雄が居た。劉岱と王匡である。王匡は、財貨を軽んじ、民に施していたため民の人望は暑かったのだが同じ群雄からは、よく思われていなく。これが兗州における連合に亀裂を生じさせ、張邈や張超の曹操への寝返りを招き。その首を打たれることとなった。劉岱は、若かりし頃『もしも明君に劉岱を先に用いらせ、その後に劉繇を引き抜き用いらせたなら、所謂長い道程において2匹の龍を操り、千里の道において1日に千里を駆ける2頭の駿馬を得たようなものです』という過大評価により、プライドの高い人物となり、命の灯火を尽きさせてしまったと言える。惜しむところがあるとするならこの2人が揃っていた場合本当にそうなっていたのか?それは神のみぞ知ると言ったところであろうか。
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