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3章 群雄割拠
間話休題③ 少年秦宜禄悪を討つ
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ここに1人の少年がいる悪を許さず正義を求め武を磨き、愛を貫く男だ。名を秦宜禄という。并州雲中郡の生まれで、并州~幽州一帯にて豪商として名を馳せる誡拳に仕える杜豈という人の娘である杜美艶に惚れ、後に軍神と称される関羽雲長と奪い合いの果てに勝利し、関羽と友情を育み。生涯の主人として呂布に従事し、しんがりとしての任務を全うし死んだ男。これはそんな男の少年時代の話である。
秦宜禄「誡拳のことは気に食わないけどその人に仕えている杜豈さんの娘の杜美艶ちゃんが可愛いんだよなぁ。この時間は、庭先にいるはずだ見に行かなきゃ」
庭先に1人佇む、麗しい女性がいる。
杜美艶「父上は、いつまで誡拳様と話していらっしゃるのかしら?退屈すぎてつまんない」
庭の外にある大きな木を登り、杜美艶を見ている秦宜禄。
秦宜禄「今日もかっ可愛い。あんな娘と付き合えたら最高なんだけど。僕は身分の低い出だ。大豪商に護衛として仕えている人と身分が違いすぎる」
言い合う2人の声が聞こえる。
誡拳「あの鍛治師の娘を2年も探して見つからなかっただと?でおめおめと帰ってきたというのか!このノロマの木偶の坊が。その村を滅ぼしてこい」
杜豈「何を言うのですか誡拳様?」
誡拳「そこで足取りが消えたのなら十中八九、その村の者が匿っているに決まっているであろう。とっとと滅ぼしてこい。わかったな」
杜豈「ですが!」
誡拳「くどい。代わりは貴様の娘に務めてもらっても良いのだぞ」
杜豈「やはりあの噂は本当であったか!このような男に今まで護衛として仕えていたなど自分が情けない。お前に天誅を与えてやる」
誡拳「ほほぅ。これは手間が省けたわ。お前の娘を手篭めにしようと考えていたが、まさか向こうから転がり込んでくるとはな。お前たち、コイツを消せ」
野盗の一味「お頭、すいやせんねぇ。これも仕事でやすから」
杜豈「お前たち、俺よりも誡拳を選んだのか?」
野盗の一味「金払いの良い方につくのが賊というものでやすよ」
杜豈「グハッ。ゴホッ。ガハッ(すまぬ美艶よ。父の罪は思いの外大きかったようだ。願わくば誰か俺の代わりに誡拳の首を)」
杜豈「死んだか馬鹿めが。お前たち庭にいるコイツの娘を連れてこい」
野盗の一味「ヘイ」
これを偶然にも聞いてしまった正義の男秦宜禄は、杜美艶の救出作戦を実行する。
秦宜禄「とんでもねぇ話を聞いちまった。杜豈のおっちゃん、杜美艶のことは俺が守るぜ」
といっても、入り口には門番が居て、通してくれるわけないよな。考え事をしていた秦宜禄の横にいつのまにか立派な髭を生やした偉丈夫が登ってきていた。
???「ほほぅ、これはなんとも綺麗な御仁だ」
秦宜禄「うわぁ。オッサン、いつの間にって歳にも見えねぇな」
???「某のことをオッサンと呼ぶとは。ワハハ。某の名は関雲長と申す。ゆえあって正義を実行したところ追われる身となりましてな。あの御仁を救いたいのであれば、どうであろう協力せぬか?」
秦宜禄「正義を実行したら追われる身になった?それって正義じゃねぇんじゃ。アンタ、何しでかしたんだよ」
関羽「なーに、ここの豪商と同じような男だ。1人の女を息子の嫁に迎えるためにその娘の両親を殺した悪党を成敗したら人殺しとして追われる身となっただけのこと」
秦宜禄「そいつクソだな」
関羽「クソか。そうかクソであったか。ワッハッハ。面白い小童だ。名をなんと申す?」
秦宜禄「正義を愛し、杜美艶を愛する男、秦宜禄ってのはオイラのことだ」
関羽「ほほぅ。では恋のライバルじゃな。どうじゃ、某と秦宜禄、あの娘を助けた方が告白するというのは?」
秦宜禄「賭けの対象が杜美艶って時点で、本人の許可がってまぁ良いか乗ったぜ(こうでもしなきゃ身分の低い俺に好機なんて巡ってこないもんな。このオッサンと会えたのも何かの縁だろ)俺が絶対に杜美艶を助けるんだ」
秦宜禄は、木から飛び降りて、一気に杜美艶の元に駆けていく。
関羽「待て、秦宜禄。そこから入っては。ええぃ、仕方ない小童だ。だが、その心意気見事という他ない。協力してやろう。お尋ね者らしくな」
関羽は、自身がお尋ね者ということを活かして、声を高らかに衛兵たちを惹きつける。
関羽「お尋ね者の関雲長が、悪徳豪商誡拳を成敗しに参った。主人を守りたければ、挑んでくるが良い」
誡拳の私兵長「賞金首の関羽だと。アイツを殺せば金がたんまりと。お前ら行くぞー」
誡拳の私兵たち「オオオオオオオ」
関羽「簡単に釣られよって、援護はしてやったからな秦宜禄よ」
その頃、中では騒ぎを聞きつけた誡拳と野盗の一味が少年秦宜禄を取り囲んでいた。
誡拳「このガキ、何処から入りやがった。そこの女を渡せ」
秦宜禄「嫌だ。杜豈のおっちゃんを殺したお前を俺は許さねぇ」
杜美艶「貴方は、何を言ってるの?父上が死んだ?それは本当のことなの?」
誡拳「惑わされるな。ワシが護衛隊長を務める杜豈を殺すわけがないだろう」
杜美艶「それならどうして父が側にいないのです?」
誡拳「それはだな。ええぃ煩わしいわ。早くそのガキを殺せ」
野盗の一味「そういうこった。悪く思うなよガキ」
秦宜禄は杜美艶を壁を背にして守りつつ周りを取り囲んだ野盗の群れを相手に大立ち回り、最初の1人の股下をくぐり抜けながら男の大事な部分を斬り捨て、反転して剣を突き立てながら股下をくぐり抜け、男の腹から大事な部分までをざっくりと切り裂いた。次々に向かってくる野盗の群れだが後ろにいる杜美艶に危害を加えるわけに行かず。動きが散漫になる。その隙をつき1人づつ確実にその命を奪っていった。
誡拳「ヒィー。待て、待て小僧。わかった杜美艶には、近付かん。じゃから命だけは助けてくれぇ」
秦宜禄「お前は、そういった人を何人も殺してきたんじゃないのか。お前のような男を生かしておくわけにはいかない。地獄に送ってやる」
誡拳「ぎゃババババババババ」
血塗れの秦宜禄に抱きつく杜美艶。
杜美艶「父の仇だけでなく私の命まで救ってくれてありがとう。貴方は私の正義の英雄だよ。エヘヘ」
秦宜禄「ボボボボボボボボ」
好意を寄せている相手から抱きつかれて頬に口付けされ、あまつさえ正義の英雄だなんて言われたのだ。顔を真っ赤にしてその場に倒れるのも不思議ではない。
関羽「何をしているのだ」
駆け付けた関羽により抱き抱えられた2人と共に近くの民家に隠れる。
秦宜禄「うーん」
関羽「気が付いたか?」
秦宜禄「オッサン、無事だったか!えっへん勝負は俺の勝ちだな」
関羽「そのようだな。全く、意中の相手を射止める胆力、誠見事よ。某と同じく義の心を重んじる同士として認めよう」
杜美艶「これから先どうすれば?母は私を産んだ時に亡くなり、男手1人で育ててくれた父も。うっひぐっ」
秦宜禄「安心しろ、美艶のことは俺が守る」
関羽「馬鹿者、子供2人でどうやって生きていくというのだ。ここに行け」
関羽は荊州の山中を指した。
秦宜禄「ここは?」
関羽「そこに孤児を預かる寺を営んでいる男が居るそうだ。お互い好き同士なら先ずは、衣食住であろう。そこでなら全て揃っている」
秦宜禄「オッサン、いや関羽殿、このご恩は忘れねぇ。いつか必ず返す」
関羽「そうか、期待せずに待っている」
こうして秦宜禄と杜美艶は結ばれた。そしてこの時の約束が奇しくも関羽に杜美艶と息子秦朗を託すという形で果たされることとなった。
【現在の時間軸】
関羽「全く、こんな幼い子供を置いて、先に逝くなど不義理者の大馬鹿者だ秦宜禄の奴め。だが、主君に忠を尽くしたのであろう。それもまた義を貫き通したと言えよう。立派よな」
秦朗「パパ」
関羽「ヨチヨチ。某はお前のパパではないでちゅよ」
杜美艶「戦場では恐れられている関羽様もそのような顔をされるのですね」
関羽「ゴホン。あの時よりもさらに美しくなられましたな」
杜美艶「関羽様は、あの時よりも貫禄というのでしょうか?増し増しになられましたね」
関羽「そうであろうか。だとしたら兄者のおかげだ。某もようやく生涯仕えるべく主君に出会えた。美艶や朗のことも守ってやる(だから秦宜禄よ。安心してあの世で先に待っているのだ。某が死んだ時、お前の息子の成長した姿を思う存分聞かせてやるからな)」
秦宜禄の想いも乗せて関羽は更なる成長を約束するのであった。
秦宜禄「誡拳のことは気に食わないけどその人に仕えている杜豈さんの娘の杜美艶ちゃんが可愛いんだよなぁ。この時間は、庭先にいるはずだ見に行かなきゃ」
庭先に1人佇む、麗しい女性がいる。
杜美艶「父上は、いつまで誡拳様と話していらっしゃるのかしら?退屈すぎてつまんない」
庭の外にある大きな木を登り、杜美艶を見ている秦宜禄。
秦宜禄「今日もかっ可愛い。あんな娘と付き合えたら最高なんだけど。僕は身分の低い出だ。大豪商に護衛として仕えている人と身分が違いすぎる」
言い合う2人の声が聞こえる。
誡拳「あの鍛治師の娘を2年も探して見つからなかっただと?でおめおめと帰ってきたというのか!このノロマの木偶の坊が。その村を滅ぼしてこい」
杜豈「何を言うのですか誡拳様?」
誡拳「そこで足取りが消えたのなら十中八九、その村の者が匿っているに決まっているであろう。とっとと滅ぼしてこい。わかったな」
杜豈「ですが!」
誡拳「くどい。代わりは貴様の娘に務めてもらっても良いのだぞ」
杜豈「やはりあの噂は本当であったか!このような男に今まで護衛として仕えていたなど自分が情けない。お前に天誅を与えてやる」
誡拳「ほほぅ。これは手間が省けたわ。お前の娘を手篭めにしようと考えていたが、まさか向こうから転がり込んでくるとはな。お前たち、コイツを消せ」
野盗の一味「お頭、すいやせんねぇ。これも仕事でやすから」
杜豈「お前たち、俺よりも誡拳を選んだのか?」
野盗の一味「金払いの良い方につくのが賊というものでやすよ」
杜豈「グハッ。ゴホッ。ガハッ(すまぬ美艶よ。父の罪は思いの外大きかったようだ。願わくば誰か俺の代わりに誡拳の首を)」
杜豈「死んだか馬鹿めが。お前たち庭にいるコイツの娘を連れてこい」
野盗の一味「ヘイ」
これを偶然にも聞いてしまった正義の男秦宜禄は、杜美艶の救出作戦を実行する。
秦宜禄「とんでもねぇ話を聞いちまった。杜豈のおっちゃん、杜美艶のことは俺が守るぜ」
といっても、入り口には門番が居て、通してくれるわけないよな。考え事をしていた秦宜禄の横にいつのまにか立派な髭を生やした偉丈夫が登ってきていた。
???「ほほぅ、これはなんとも綺麗な御仁だ」
秦宜禄「うわぁ。オッサン、いつの間にって歳にも見えねぇな」
???「某のことをオッサンと呼ぶとは。ワハハ。某の名は関雲長と申す。ゆえあって正義を実行したところ追われる身となりましてな。あの御仁を救いたいのであれば、どうであろう協力せぬか?」
秦宜禄「正義を実行したら追われる身になった?それって正義じゃねぇんじゃ。アンタ、何しでかしたんだよ」
関羽「なーに、ここの豪商と同じような男だ。1人の女を息子の嫁に迎えるためにその娘の両親を殺した悪党を成敗したら人殺しとして追われる身となっただけのこと」
秦宜禄「そいつクソだな」
関羽「クソか。そうかクソであったか。ワッハッハ。面白い小童だ。名をなんと申す?」
秦宜禄「正義を愛し、杜美艶を愛する男、秦宜禄ってのはオイラのことだ」
関羽「ほほぅ。では恋のライバルじゃな。どうじゃ、某と秦宜禄、あの娘を助けた方が告白するというのは?」
秦宜禄「賭けの対象が杜美艶って時点で、本人の許可がってまぁ良いか乗ったぜ(こうでもしなきゃ身分の低い俺に好機なんて巡ってこないもんな。このオッサンと会えたのも何かの縁だろ)俺が絶対に杜美艶を助けるんだ」
秦宜禄は、木から飛び降りて、一気に杜美艶の元に駆けていく。
関羽「待て、秦宜禄。そこから入っては。ええぃ、仕方ない小童だ。だが、その心意気見事という他ない。協力してやろう。お尋ね者らしくな」
関羽は、自身がお尋ね者ということを活かして、声を高らかに衛兵たちを惹きつける。
関羽「お尋ね者の関雲長が、悪徳豪商誡拳を成敗しに参った。主人を守りたければ、挑んでくるが良い」
誡拳の私兵長「賞金首の関羽だと。アイツを殺せば金がたんまりと。お前ら行くぞー」
誡拳の私兵たち「オオオオオオオ」
関羽「簡単に釣られよって、援護はしてやったからな秦宜禄よ」
その頃、中では騒ぎを聞きつけた誡拳と野盗の一味が少年秦宜禄を取り囲んでいた。
誡拳「このガキ、何処から入りやがった。そこの女を渡せ」
秦宜禄「嫌だ。杜豈のおっちゃんを殺したお前を俺は許さねぇ」
杜美艶「貴方は、何を言ってるの?父上が死んだ?それは本当のことなの?」
誡拳「惑わされるな。ワシが護衛隊長を務める杜豈を殺すわけがないだろう」
杜美艶「それならどうして父が側にいないのです?」
誡拳「それはだな。ええぃ煩わしいわ。早くそのガキを殺せ」
野盗の一味「そういうこった。悪く思うなよガキ」
秦宜禄は杜美艶を壁を背にして守りつつ周りを取り囲んだ野盗の群れを相手に大立ち回り、最初の1人の股下をくぐり抜けながら男の大事な部分を斬り捨て、反転して剣を突き立てながら股下をくぐり抜け、男の腹から大事な部分までをざっくりと切り裂いた。次々に向かってくる野盗の群れだが後ろにいる杜美艶に危害を加えるわけに行かず。動きが散漫になる。その隙をつき1人づつ確実にその命を奪っていった。
誡拳「ヒィー。待て、待て小僧。わかった杜美艶には、近付かん。じゃから命だけは助けてくれぇ」
秦宜禄「お前は、そういった人を何人も殺してきたんじゃないのか。お前のような男を生かしておくわけにはいかない。地獄に送ってやる」
誡拳「ぎゃババババババババ」
血塗れの秦宜禄に抱きつく杜美艶。
杜美艶「父の仇だけでなく私の命まで救ってくれてありがとう。貴方は私の正義の英雄だよ。エヘヘ」
秦宜禄「ボボボボボボボボ」
好意を寄せている相手から抱きつかれて頬に口付けされ、あまつさえ正義の英雄だなんて言われたのだ。顔を真っ赤にしてその場に倒れるのも不思議ではない。
関羽「何をしているのだ」
駆け付けた関羽により抱き抱えられた2人と共に近くの民家に隠れる。
秦宜禄「うーん」
関羽「気が付いたか?」
秦宜禄「オッサン、無事だったか!えっへん勝負は俺の勝ちだな」
関羽「そのようだな。全く、意中の相手を射止める胆力、誠見事よ。某と同じく義の心を重んじる同士として認めよう」
杜美艶「これから先どうすれば?母は私を産んだ時に亡くなり、男手1人で育ててくれた父も。うっひぐっ」
秦宜禄「安心しろ、美艶のことは俺が守る」
関羽「馬鹿者、子供2人でどうやって生きていくというのだ。ここに行け」
関羽は荊州の山中を指した。
秦宜禄「ここは?」
関羽「そこに孤児を預かる寺を営んでいる男が居るそうだ。お互い好き同士なら先ずは、衣食住であろう。そこでなら全て揃っている」
秦宜禄「オッサン、いや関羽殿、このご恩は忘れねぇ。いつか必ず返す」
関羽「そうか、期待せずに待っている」
こうして秦宜禄と杜美艶は結ばれた。そしてこの時の約束が奇しくも関羽に杜美艶と息子秦朗を託すという形で果たされることとなった。
【現在の時間軸】
関羽「全く、こんな幼い子供を置いて、先に逝くなど不義理者の大馬鹿者だ秦宜禄の奴め。だが、主君に忠を尽くしたのであろう。それもまた義を貫き通したと言えよう。立派よな」
秦朗「パパ」
関羽「ヨチヨチ。某はお前のパパではないでちゅよ」
杜美艶「戦場では恐れられている関羽様もそのような顔をされるのですね」
関羽「ゴホン。あの時よりもさらに美しくなられましたな」
杜美艶「関羽様は、あの時よりも貫禄というのでしょうか?増し増しになられましたね」
関羽「そうであろうか。だとしたら兄者のおかげだ。某もようやく生涯仕えるべく主君に出会えた。美艶や朗のことも守ってやる(だから秦宜禄よ。安心してあの世で先に待っているのだ。某が死んだ時、お前の息子の成長した姿を思う存分聞かせてやるからな)」
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