164 / 644
3章 群雄割拠
蘆江の戦後処理
しおりを挟む
陸績は、兄である陸儁に言われて、袁胤の魔の手から逃れるため民たちや子供を連れ、隠れていた。そんな皆んなが戻った蘆江を目にして、嗚咽していた。袁胤により血を吸い尽くされた者たちの異臭。それらを掃除する劉丁軍の面々の中には、吐き気を催している者が多数いた。陸績・大喬・小喬は、それぞれ家族の遺体の元に。紀霊は、かつて袁術の臣下として苦楽を共にした劉勲の遺体のもとへと向かう。
陸績「父上・兄上、このような姿にさせてしまい、申し訳ありません。必ずやこの陸公紀が陸家の新たな党首となり、皆を支えます。だからどうか安心して眠っていてくだされ」
大喬「父上、思惑通りとは行かなさそうです。存外劉備軍を束ねる軍師殿は手強いです」
小喬「あんな男となんて絶対嫌」
大喬「えぇ、そうね。でも、仇を討ってくれたことには感謝しないとね」
小喬「私たちを女だと侮ってるんだよ。それにお姉ちゃんを疑うなんて失礼しちゃう」
大喬「えぇ、でも今の私たちは保護されている身。勝手はできないわ」
小喬「父上の目が節穴だから、私たち困っちゃってるんだからね」
大喬「憎まれ口が叩けるのなら父上も安心しているわよきっと」
小喬「そうだといいな」
紀霊「劉勲、お前ほどの男が袁胤に利用されるとはな。馮方女様と袁燿様・袁紅姫様は、任せよ。一足先に袁術様と向かうで待っていてくれ」
蘆江では、義賢が孫堅との交渉のため諸葛瑾を呼んでいた。
義賢「諸葛瑾殿、遠路はるばる御苦労をおかけします」
諸葛瑾「気になさいませんように。それにしても蘆江の奪取は、大変嬉しいですが孫策には困ったものですね。交渉は孫劉同盟の維持でよろしいですか?」
義賢「あぁ、そのための交渉材料として、亡き橋玄の美人姉妹をと考えています」
諸葛瑾「ふむふむ。確か、孫堅殿の嫡男である孫策は、まだ妻をとっておりませんでしたな。こちらから要求することは、寿春と蘆江で良いのですか?」
義賢「あぁ、それでお願いできるか?」
諸葛瑾「わかりました。やってみましょう」
諸葛瑾が孫堅の建業へと向かう。
【建業】
建業では、孫策が劉備と揉めたことに対し、孫堅が怒っていた。
孫堅「策、劉備殿と揉めたそうだな。申し開きはあるのだろうな」
孫策「親父、揚州は俺たちの再出発に必要な要地だ。それを勝手に、劉備の野郎は手を出した。許せるわけがねぇ」
孫堅「馬鹿者が劉備殿とは、漢室復興のため足並みを揃えなければならんのだ。それをお前という奴は」
周瑜「大殿、俺も伯符と同じ気持ちです。劉備をこれ以上助長させるのは良くないかと。やがて荊州にも目を向けます。その先は益州です。そうなってからでは、我々は劉備の庇護下に置かれましょう」
孫堅「俺は漢室がそれで助かるのなら本望だ」
孫策「親父はいつからそんなに牙が抜けた。虎が聞いて呆れるぜ。今の親父は猫だ。曹操や劉備に恐れて丸くなってる猫だ。俺は俺のやり方で、家族を守る」
孫堅「待て策。イタタタ」
黄蓋「殿、そう興奮なさいますな」
程普「劉備殿と刃を交え、牙を折られるかと思っていましたが」
韓当「若虎の牙は想像以上に鋭かったみたいなんだなぁ」
孫静「兄上、劉備殿の使者が参っています」
孫堅「なんだと!すぐに通してくれ」
劉備の使者が入ってくると孫堅は深々と頭を下げる。
孫堅「此度は我が愚息が迷惑をかけたようだ。申し訳ない」
諸葛瑾「そのことでは、こちらも蘆江を攻めることを伝えて居ませんでした。おあいこということで、我が殿から孫劉同盟の更なる結び付きの強化をと」
孫堅「それは願ってもない」
諸葛瑾「蘆江にて、橋玄殿の姉妹を保護したのですが、この2人を我が殿である劉備玄徳の養女とし孫堅殿の御子息である孫策殿に嫁がせたい」
孫堅「では、こちらからは我が娘である孫尚香を劉備殿の妻に」
諸葛瑾「それはお待ちください。こちらは、保護した姉妹を養女としてなのです。その対価に孫堅殿の娘では釣り合いませんでしょう」
孫堅「策や権も妹には甘い。その妹が劉備殿に嫁げば、無茶はしないであろう」
諸葛瑾「しかし!」
孫堅「更なる結び付きの強化なのだろう。これ程良いことはあるまい。元々、娘を劉備殿の妻にという話はしていたしな」
諸葛瑾「ふむぅ。しかし、孫尚香殿は、8歳なのでは?流石に若すぎる」
孫堅「ハッハッハ。なーに30程の歳の差では無いか」
諸葛瑾「そこまで、仰られるのでしたら。一度2人に会ってもらいましょう」
孫堅「うむ。こちらもその姉妹と会って決めてもらうとしよう」
諸葛瑾「では、これで失礼致します」
孫堅「うむ。良い返事を期待している」
諸葛瑾が蘆江へと戻ってくる。
【蘆江】
義賢「あの話がまだ生きていたか。だが、確かに成立すれば強固な孫劉同盟となろう(でも確か孫尚香って、侍女を武装させて侍らせたり、我儘で劉備軍を困らせた挙句。阿斗を連れ去ろうとしたトラブルメーカーだよな。うーん、頭が痛くなってきた)」
諸葛瑾「劉丁殿、如何いたしますか?」
義賢「その件を兄上に伝えて、こう付け加えてくれ。断るなと」
諸葛瑾「了解しました」
その頃、下邳でも問題が起こっていた。
【下邳】
???「曹操様の使者として参りました。性を楊。名を脩。字を徳祖。楊脩徳祖と申します。我が主、曹操様は袁術討伐で得た寿春と蘆江について、話がしたいとのことです。御同行願えますか?」
劉備「わかりました。献帝様にお返ししなければならないものもありますので、同行しましょう」
楊脩「あーそうでした。荀彧殿の御同行もとのことです」
荀彧「!?わかりました(十中八九、郭嘉の策ですね。私が劉備軍にいることがバレてしまいましたか。説得して、曹操に仕えさせたいといったところでしょうか。やれやれ。やりにくい相手ですね。ですが殿を1人で行かせるわけにも行きませんね。何としても寿春と蘆江の統治を認めさせなければ)」
劉備は荀彧と共に献帝と曹操のいる許昌へと向かうのだった。
陸績「父上・兄上、このような姿にさせてしまい、申し訳ありません。必ずやこの陸公紀が陸家の新たな党首となり、皆を支えます。だからどうか安心して眠っていてくだされ」
大喬「父上、思惑通りとは行かなさそうです。存外劉備軍を束ねる軍師殿は手強いです」
小喬「あんな男となんて絶対嫌」
大喬「えぇ、そうね。でも、仇を討ってくれたことには感謝しないとね」
小喬「私たちを女だと侮ってるんだよ。それにお姉ちゃんを疑うなんて失礼しちゃう」
大喬「えぇ、でも今の私たちは保護されている身。勝手はできないわ」
小喬「父上の目が節穴だから、私たち困っちゃってるんだからね」
大喬「憎まれ口が叩けるのなら父上も安心しているわよきっと」
小喬「そうだといいな」
紀霊「劉勲、お前ほどの男が袁胤に利用されるとはな。馮方女様と袁燿様・袁紅姫様は、任せよ。一足先に袁術様と向かうで待っていてくれ」
蘆江では、義賢が孫堅との交渉のため諸葛瑾を呼んでいた。
義賢「諸葛瑾殿、遠路はるばる御苦労をおかけします」
諸葛瑾「気になさいませんように。それにしても蘆江の奪取は、大変嬉しいですが孫策には困ったものですね。交渉は孫劉同盟の維持でよろしいですか?」
義賢「あぁ、そのための交渉材料として、亡き橋玄の美人姉妹をと考えています」
諸葛瑾「ふむふむ。確か、孫堅殿の嫡男である孫策は、まだ妻をとっておりませんでしたな。こちらから要求することは、寿春と蘆江で良いのですか?」
義賢「あぁ、それでお願いできるか?」
諸葛瑾「わかりました。やってみましょう」
諸葛瑾が孫堅の建業へと向かう。
【建業】
建業では、孫策が劉備と揉めたことに対し、孫堅が怒っていた。
孫堅「策、劉備殿と揉めたそうだな。申し開きはあるのだろうな」
孫策「親父、揚州は俺たちの再出発に必要な要地だ。それを勝手に、劉備の野郎は手を出した。許せるわけがねぇ」
孫堅「馬鹿者が劉備殿とは、漢室復興のため足並みを揃えなければならんのだ。それをお前という奴は」
周瑜「大殿、俺も伯符と同じ気持ちです。劉備をこれ以上助長させるのは良くないかと。やがて荊州にも目を向けます。その先は益州です。そうなってからでは、我々は劉備の庇護下に置かれましょう」
孫堅「俺は漢室がそれで助かるのなら本望だ」
孫策「親父はいつからそんなに牙が抜けた。虎が聞いて呆れるぜ。今の親父は猫だ。曹操や劉備に恐れて丸くなってる猫だ。俺は俺のやり方で、家族を守る」
孫堅「待て策。イタタタ」
黄蓋「殿、そう興奮なさいますな」
程普「劉備殿と刃を交え、牙を折られるかと思っていましたが」
韓当「若虎の牙は想像以上に鋭かったみたいなんだなぁ」
孫静「兄上、劉備殿の使者が参っています」
孫堅「なんだと!すぐに通してくれ」
劉備の使者が入ってくると孫堅は深々と頭を下げる。
孫堅「此度は我が愚息が迷惑をかけたようだ。申し訳ない」
諸葛瑾「そのことでは、こちらも蘆江を攻めることを伝えて居ませんでした。おあいこということで、我が殿から孫劉同盟の更なる結び付きの強化をと」
孫堅「それは願ってもない」
諸葛瑾「蘆江にて、橋玄殿の姉妹を保護したのですが、この2人を我が殿である劉備玄徳の養女とし孫堅殿の御子息である孫策殿に嫁がせたい」
孫堅「では、こちらからは我が娘である孫尚香を劉備殿の妻に」
諸葛瑾「それはお待ちください。こちらは、保護した姉妹を養女としてなのです。その対価に孫堅殿の娘では釣り合いませんでしょう」
孫堅「策や権も妹には甘い。その妹が劉備殿に嫁げば、無茶はしないであろう」
諸葛瑾「しかし!」
孫堅「更なる結び付きの強化なのだろう。これ程良いことはあるまい。元々、娘を劉備殿の妻にという話はしていたしな」
諸葛瑾「ふむぅ。しかし、孫尚香殿は、8歳なのでは?流石に若すぎる」
孫堅「ハッハッハ。なーに30程の歳の差では無いか」
諸葛瑾「そこまで、仰られるのでしたら。一度2人に会ってもらいましょう」
孫堅「うむ。こちらもその姉妹と会って決めてもらうとしよう」
諸葛瑾「では、これで失礼致します」
孫堅「うむ。良い返事を期待している」
諸葛瑾が蘆江へと戻ってくる。
【蘆江】
義賢「あの話がまだ生きていたか。だが、確かに成立すれば強固な孫劉同盟となろう(でも確か孫尚香って、侍女を武装させて侍らせたり、我儘で劉備軍を困らせた挙句。阿斗を連れ去ろうとしたトラブルメーカーだよな。うーん、頭が痛くなってきた)」
諸葛瑾「劉丁殿、如何いたしますか?」
義賢「その件を兄上に伝えて、こう付け加えてくれ。断るなと」
諸葛瑾「了解しました」
その頃、下邳でも問題が起こっていた。
【下邳】
???「曹操様の使者として参りました。性を楊。名を脩。字を徳祖。楊脩徳祖と申します。我が主、曹操様は袁術討伐で得た寿春と蘆江について、話がしたいとのことです。御同行願えますか?」
劉備「わかりました。献帝様にお返ししなければならないものもありますので、同行しましょう」
楊脩「あーそうでした。荀彧殿の御同行もとのことです」
荀彧「!?わかりました(十中八九、郭嘉の策ですね。私が劉備軍にいることがバレてしまいましたか。説得して、曹操に仕えさせたいといったところでしょうか。やれやれ。やりにくい相手ですね。ですが殿を1人で行かせるわけにも行きませんね。何としても寿春と蘆江の統治を認めさせなければ)」
劉備は荀彧と共に献帝と曹操のいる許昌へと向かうのだった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。補足説明と登場人物の設定資料
揚惇命
SF
『えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。』という作品の世界観の説明補足と各勢力の登場人物の設定資料となります。
本編のネタバレを含むため本編を読んでからお読みください。
※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる