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3章 群雄割拠

荒れる蘆江城

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 蘆江城を取り囲む劉備軍を前に徹底抗戦を主張する劉勲とそれを支える袁胤。陸康も孫策軍を軽く追い返した劉備軍に興味を持ち徹底抗戦を主張。降伏派である橋玄の主張を退け、娘たちを人質に取り、監禁した。
 橋玄「劉勲様、どうかお考え直しくだされ。劉備殿に頭を下げ降伏するのです」
 劉勲「我らが帝を誅殺した男に頭を下げよだと馬鹿も休み休みいうのだな」
 橋玄「しかし、劉備軍は、倍の兵数を率いていた孫策を軽く追い返したのですぞ。我らが敵う相手では、ありませぬ」
 劉勲「まだ言うか橋玄。貴様には失望した。こやつの娘たちを監禁せよ。そうだお前の娘たちは、さぞ綺麗であったな。兵たちよ聞けぇい。手柄を上げたものに橋玄の娘を好きにしていい権利をくれてやろう」
 袁術軍残党兵「ヒャッハー。大喬と小喬を好きにできるなんて、たまらないぜぇ」
 橋玄「劉勲様、なっ何を」
 劉勲「俺に反論して、よもや許されるとは思っておらぬであろう」
 劉勲は、橋玄の胸に剣を突き立てた。
 橋玄「ガハッ。このようなことをして、許されるはずが」
 袁胤が橋玄に近づき、腹をチラリと見せ耳元で告げる。その腹には、死んだあの男の顔が浮かんでいた。
 袁胤「ヒッヒッヒ。橋玄殿、勘違いしてはなりませんぞ。貴方は、劉勲に従うただの奴隷。『強いては、朕に従う奴隷じゃ。孫策を虜にするためお前の娘たちを使うつもりであったがこの役立たずが死んで詫びろ』従兄上もこうして仰っておられる」
 橋玄「馬鹿な!袁胤、貴様。よもや人の道理から外れていようとは、むっ無念じゃ。グフッ」
 劉勲「袁胤殿、次はどうすればよいか?」
 袁胤「そうですなぁ。そこで隠れて聞いている馬鹿娘どもを捕らえて、兵たちの慰み者にしましょうか。ヒッヒッヒ」
 血を吐き出し、橋玄は生き絶える。その様子を影から見ていた大喬は父の死に涙を流したい気持ちをぐっと堪え小喬を連れ、外を包囲している劉備軍に助けを求める。
 大喬「(父上、今は涙を流さぬことをお許しください。こちらに気づかれていた以上、小喬を連れて、逃げなくては)」
 小喬「お姉ちゃん、私はここにいるよ。早く乗って」
 小喬が馬に跨っていた。
 大喬「小喬、貴方のお転婆さが役に立ったわね。すぐに逃げましょう」
 機転を効かせた小喬により、何とか窮地を脱したのだが城門は全て閉まっている。
 小喬「お姉ちゃん。私たちは、追われる身だよ。城門は、開けてくれないよぉ~」
 大喬「諦めてはダメよ。何処かに綻びがきっとあるはず」
 袁術軍残党兵「いたぜぇ。ヒャッハー。捕まえて、手篭めにしてやるぜぇ」
 大喬「もう追いついてきたの?」
 小喬「どうしようお姉ちゃん」
 大喬「(神は、私たち姉妹を見捨てると言うの?父上、どうやら私たちもそちらに)」
 その時、目の前の門が破壊される。義賢は、攻城戦となることを前回で予想していた。そのため攻城兵器の一つである衝車しょうしゃを持ってきていた。
 大喬「(神はまだ私たち姉妹を見捨てては居ないのですね)小喬、あの空いた門を突っ切るのよ」
 小喬「わかった。お姉ちゃん、ちゃんと掴まっててよね」
 小喬は馬を飛ばして、空いた門から飛び出すのだが、、、

【劉丁軍】

 呂布「まさか攻城兵器の準備をしていたとはな」
 義賢「劉勲は、十中八九蘆江城に籠り、我々と孫策軍の同時壊滅を狙っていると考えていましたから孫策を退けた後に、攻城戦となることは容易に想像できました。備えあれば憂いなしですよ」
 王允「ゴホッゴホッ。全く、その鬼謀恐れ入りますわい」
 義賢「門が開いたら蘆江城を攻め、逆賊袁術を信奉する劉勲を討ち取るのだ」
 紀霊「(どうしてなのだ劉勲。お前ほど、袁術様に憧れていた漢は居なかったではないか。どうして、袁術様の息子を保護している劉備殿に降らないのだ。俺にお前を討てとそう言うのか劉勲)」
 呂姫「(この戦いで手柄を挙げれば、今後も戦場への帯同を許してもらえるかも。劉勲の首は、私が取るんだから)」
 陳応「(孫策への私怨は、一旦忘れ、今は劉備様の天下のため蘆江を奪取することに集中しなくては)」
 義賢「趙雲将軍・黄忠将軍、門を囲み開いたと同時に突撃を」
 趙雲「この趙子龍の槍に賭けて、殿の天下への足掛かりを手繰り寄せん」
 黄忠「殿の天下への足掛かりのため。このワシの弓に任せておられい」
 義賢「張遼殿・甘寧将軍は、逃げようとする敵兵を逃さぬように」
 張遼「承知した」
 甘寧「またお前とかよ。やれやれ、相性最悪だと思うんだけどなぁ」
 張遼「それはこちらの台詞なのだが。お前のその腕は、買っている」
 甘寧「どうした?熱でもあるんじゃねぇか」
 張遼「煩い、さっきの言葉は取り消す。足を引っ張るなよ甘寧」
 甘寧「それは、こっちの台詞だぜ張遼」
 義賢「呂布殿には、非戦闘員である蘆江の民の保護を」
 呂布「民といえど、攻め寄せてきた相手には、暴徒と化し、襲いかかってくるものだ。保護などできようか?」
 義賢「それらに対し、武器を使わずに迅速に制圧できるのは呂布殿ぐらいでしょう」
 呂布「!?そこまで言われて悪い気はせぬ。民のことは、任せよ劉丁殿」
 樊玉鳳「劉丁様、間も無く門が開きます」
 義賢「全軍、構えよ。突撃~」
 空いた門から見知らぬ女が2人飛び出してくる。趙雲も黄忠も相手が女と見るといきなり斬りかかることもできず取り囲むので精一杯だった。
 大喬「お待ちください、私は、蘆江太守補佐橋玄が娘大喬」
 小喬「同じく小喬だよ~」
 大喬「劉備軍の方々とお見受けいたします。どうか、私たち姉妹を保護してください」
 義賢「(ちょっと待て、大喬と小喬と言えば、江東の二喬と称される美人姉妹で、確か孫策と周瑜の嫁だよな。どうしてここに?まさか孫策のやつ自分の嫁を潜入させてた?それとも結婚前?この2人は、確か赤壁の戦いにおいても開戦に一役買うんだよな。俺たちが保護した場合って、この後どうなるんだ?一応、変な状態になっても歴史的イベントは、起こってるんだよなぁ。それがわかっているから198年になった今、蘆江の奪取に躍起になってるわけだしな。この2年後なんだよ北の覇権が決してしまう戦いが起きるのがその時に合わせて、こちらは荊州攻略へと乗り出すその腹積りなんだ。この姉妹を劉備軍に迎え入れることのデメリットのが大きい気がするのだが。さて、どうしたものか)」
 悩む義賢であった。
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