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3章 群雄割拠

蘆江攻略作戦リベンジ(転)

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【孫策軍 本陣】

 突然鳴り響く陣太鼓。だが、一向に燃やされることもないこの異常事態に周瑜は頭を悩ませていた。かといって、奇襲はもう無いと言い兵を休ませることもできなかった。いや、それどころか陣太鼓の音で寝られないだろう。
 周瑜「どういうことだ?何故、劉備軍は攻めてこないのだ。被害は?」
 呂範「それがどの荷車も燃やされたと報告は上がってきません」
 周瑜「まさか、荷車が囮だと看破されたのか?テント内に運び込んだ兵糧はどうだ?」
 呂範「被害は無いとのことです」
 周瑜「何を何を狙っている?一体」
 呂範「兵たちは、休ませますか?」
 周瑜「いやこの騒ぎだ。眠ることなどできないだろう(それを利用して、こちらから奇襲をかけるか。いや待て、釣り出すことが目的かもしれない。この俺が畏れている。この得体の知れぬ相手に)」
 呂範「昼間、孫策様は、的確にぶつけてきたと言ってましたが、実はそうではなく相手に知恵者など居ないのでは?」
 周瑜「いや、それは考えられない(事実、この俺が翻弄されているのだ。これで、相手に知恵者が居なくて場当たり的だったとかだと立ち直れる気がしない。十中八九、これも何かの策のための前段階だ。一体何を何を狙っているというのだ)」
 伝令「周瑜様、道端に迷い込んだ少女が劉備軍に襲われていたので、助けたのですが」
 周瑜「なんだと!?(何か情報を得られるかも知れぬ)すぐにお通しするのだ」
 伝令「はっ」
 呂姫「御助けくださり感謝します。この近くの村に住んでいる者です」
 周瑜「そうでしたか?何があったのかお聞きしても構いませんか?」
 呂姫「はい、我々の村に劉備軍が攻め込み、食糧と女を強奪しようとしたのです」
 周瑜「それは大変でしたね(この近くの村?まさか、人質による蘆江城の開城か!だが、しようとしたということは失敗したということだ。見たところ身なりが良い。村長の娘なのでは無いだろうか?味方に付ければ、蘆江城を開場させることができるかもしれない)」
 呂範「見たところ服は泥だらけですが育ちの良さが窺えます。有力者の娘なのでは無いでしょうか?」
 呂姫「そっそうです。あっ、それで村の者たちと協議した結果、どうせ奪われるのなら孫策様に使って貰いたいと食料と酒をお持ちしたところをまた襲われそうになって、そちらの伝令さんが率いる兵士さんたちに助けていただいたという流れです」
 周瑜「(見たところ嘘をついているようには見えない。受け答えに違和感も感じない。後ろの男達も敵側が送り込んできた間者には見えない。事実、食糧の補給は有難い。遠征軍であり、揚州南を抑えた後休まずにこの蘆江に来ている。正直、兵糧は大いに越したことはない。この提案受け入れるべきだ)有り難く使わせてもらいます。李術、兵糧をテント内に運ぶのだ」
 李術「はっ」
 呂姫「受け取ってくださり、私も嬉しいです」
 周瑜「劉備軍が襲うほどの村ということは、重要な拠点なのであろう。蘆江城を開城させることは可能か?」
 呂姫「お察しの通りです。実は、私はその袁術と所縁のある生まれでして、劉勲も私の頼みなら開城するかも知れません」
 周瑜「これは、朗報だ。蘆江城を開城して、合図をくれ。それでこの戦、劉備軍と戦わずして、我らの勝利ぞ」
 呂姫「それでは、いって参ります」
 呂姫はこうして、義賢から託された役目を果たして、無事に戻ることが出来た。呂姫の任務とは、酒樽の何個かに兵を隠す。兵糧俵の中に兵を忍ばせる。この2点である。そう、外にある荷車が既に囮だと見抜いていたのだ。なら本物のところに敵の方から案内して貰えば良い。その際、必要な兵は数人で構わない。燃やしたらすぐに離脱するようにも伝えている。朝駆けと合わせて、大きな痛手を与える。その功労者になりつつあった。間も無く夜が明け、夜襲はなかったと安心した孫策軍兵士に衝撃が走る。劉備軍による朝駆けと食糧庫の一斉炎上である。これを受け、周瑜は、あの村娘も劉備軍の手の者だと思い至る。
 周瑜「クソッ。まさか村娘に扮して、我々を謀るとは」
 孫策「公瑾、今更後悔してもおせぇだろ。朝駆けしにきた奴らを迎え撃つしかねぇ」
 周瑜「そうだな伯符(しかし、明らかに村娘であった。とても将には見えなかったのだがな)」
 李術「孫策様、申し訳ありません。私が中身を改めなかったばかりに。この責任は、武働きにて」
 孫策「待て、無茶をするんじゃない李術」
 李術は、勢いよく突撃していくが張遼によりすれ違い様に一撃で仕留められる。
 李術「ギャッ」
 張遼「何かが向かってきたから反射的に斬ったがまぁ一兵卒であろう」
 李術が斬られたことを見た徐逸が復讐のため飛び出す。
 徐逸「あの将が李術を許さねぇ」
 孫策「待て、徐逸。お前が敵う相手じゃねぇ。引け」
 向かってきた徐逸に対し、張遼は戟を横振りし、身体を真っ二つに斬る。
 徐逸「ガハッ(空を飛んでる。いや、きっ斬られたのか)」
 張遼「敵は混乱状態にあるようだな。存外やるではないか甘寧、それに錦帆賊よ」
 孫策は、李術と徐逸を目の前で斬られて黙っていられる男ではない。張遼に向かっていく。
 孫策「俺の部下に何してくれてんじゃ」
 張遼「貴様は、何を言っている?ここは戦場だぞ。人の生き死にの発生しない戦などあるのか?」
 孫策「俺の名は、孫堅が長子、孫伯符だ。お前は、ぜってぇ許さねぇ」
 張遼「ほぅ。お前が総大将か。この戦の決着を付けさせてもらうとしよう。我が名は、張文遠。参るぞ」
 孫策と張遼が打ち合う。
 孫策「なんて力だ。昨日の男よりも上だ」
 張遼「昨日の男?あぁ太史慈殿のことだな」
 孫策「これならどうだ」
 張遼「そんな単調な連続攻撃が通用すると思っているのか?」
 孫策は、距離を取り、引き継いだ祖郎が突撃してくる。
 祖郎「孫策様は、一旦お引きください。ここは俺が引き継ぎます」
 孫策「待て、祖郎。お前が敵う相手ではない」
 祖郎「勿論、わかっております。ですがここで孫策様を失うわけには参りません。わかってくだされ」
 孫策「くっすまねぇ」
 孫策は、遠くへと遠ざかる。
 張遼「主君を逃がすとは、敵ながら天晴れぞ」
 祖郎「余裕綽々なのが気なくわないが少しでも傷を付けさせてもらうぞ」
 張遼「名を聞いてやろう」
 祖郎「祖郎だ」
 張遼「では、祖郎よ。この張文遠を止めてみよ」
 鍔迫り合いのまま押し切られて、討ち取られる祖郎。
 祖郎「力で押し切られている。やはり敵わない。ぐわぁー」
 張遼「敵将、祖郎。張文遠が討ち取ったー。これぐらいで良いだろう。本番はこの後だからな。皆、撤収するぞ」
 張遼の朝駆けにより、3人の将を討ち取り、呂姫と甘寧率いる錦帆賊の共同により、兵糧庫を燃やすことにも成功した。
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