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3章 群雄割拠

死に戻りの発動

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 義賢が目覚めたそこは見慣れた空間だった。
 パラレル甘氏「オー劉義賢よ。死んでしまうとは情けない」
 義賢「やっぱり死んだのか。順調過ぎて、油断しました」
 パラレル甘氏「そうねぇ。兄上と再会するとは思わなかったし、あの王佐の才がねぇ。まさか劉備軍に入るとは思わないわよねぇ。それに何と言っても荊州南四郡の事実上の降伏も。確かに蘆江を取れさえすれば劉表から荊州を奪うことも可能であったでしょうねぇ。まぁ簡単では無いけど」
 義賢「何か言いましたか?」
 パラレル甘氏「ううん。なんでもないわよぉ(まさか、あの天才軍師の2人がねぇ。あんなことになってるなんて、言わない方が面白いわよねぇ)」
 義賢「今回は俺の油断が招いた負けなので、次は、油断しないだけです」
 パラレル甘氏「まぁまぁ、そんな生き急ぎなさんな若者よ。私から素敵なプレゼントがあるのよ」
 義賢「プレゼント?」
 パラレル甘氏「えぇい」
 目の前に、俺とよく似た姿をしているがどことなく違う青年が現れた。
 劉丁「こうして、会うのは初めてですね。我が末裔と呼べば良いのでしょうか?」
 義賢「へっ?」
 劉丁「挨拶もせずに申し訳ない。劉丁義賢と申します」
 義賢「それって、こっこの身体の持ち主!?」
 劉丁「まぁ、つい6年ほど前までは、君の身体の中にいたのですが」
 義賢「6年前までは?」
 劉丁「董白殿との間に劉白董賢リュウハクトウケンと名付けた子供ができたでしょう?」
 義賢「劉白がどうした?」
 劉丁「お腹の中の子は、残念ながら息をしていなかったのです」
 義賢「そんな馬鹿な!?だが劉白は元気だ」
 劉丁「私が器の中に入ることで、命を繋ぎ止めたのです」
 義賢「では、あの歳にしてやけに聡いところとか。董白とイチャイチャするときに空気を読むところとか。呂舞に見惚れていたところとか」
 劉丁「最後のは、やめてください。恥ずかしい」
 義賢「成程、舞としか名乗っていなかった彼女の姓が呂だと教えてくれたのも貴方だったんだな。ということは、あの胸が締め付けられる気持ちとかは、先祖様のものだったのか!?」
 劉丁「あはは。何のことでしょうか」
 義賢「成程、成程。歳の差16歳か。前途多難だねぇ。それに呂舞は可愛いから嫁に貰いたい人もたくさんなんじゃ無いのかなぁ」
 劉丁「そんなニヤケ面で、見られると末裔といえども怒りが湧きますねぇ」
 義賢「ヒィ」
 パラレル甘氏「まぁまぁ、私の力で、君が死んだ時だけ、劉白ちゃんの中に居る彼を呼び出すこともできるようになったのよねぇ」
 義賢「ということは劉白の魂は」
 劉丁「残念ながら」
 義賢「董白には決して知られないようにしてくれ」
 劉丁「わかっています。父上」
 義賢「やめてくれ、先祖様に父上と呼ばれるとか無いわ無いわー」
 劉丁「では、この場だけは、義賢と呼びましょう。先ずは、ここまで兄上のため尽力してくださり感謝します。少なからず最悪の戦いから遠ざかっている気はしています」
 義賢「劉備軍の最悪の戦いか。夷陵の戦いだな」
 劉丁「そのことを知っているのを聞くと、改めて遠い未来の人なんだなと自覚しますね」
 義賢「関羽殿が死に血気に逸った張飛殿が部下に暗殺され、劉備殿が復讐に取り憑かれ呉に侵攻し多くの忠臣を失った最悪の戦い。俺もずっとこれを回避させることを考えていました」
 劉丁「こんなことは言いたく無いのですが私は、数万にも及ぶ試行回数を試しましたがその戦いだけは、まるで逃れられない蜘蛛の糸のように絡み取られて、回避することは叶いませんでした」
 パラレル甘氏「そうね。この後を少し覗いてきたんだけど捕らえられた兄上と太史慈殿は、孫策に降伏して、夷陵の戦いにまっしぐらって感じだったわね。恐らく、貴方に心を動かされ紐付けされているものたちは、貴方が亡くなると元の世界に戻ろうと歴史の修正力が働くようなのよね」
 義賢「だから、この力なのでしょう。死んでも巻き戻り劉備殿の天下を引き寄せるため」
 劉丁「どうやら、この話を聞いても心が折れないようで安心した。流石甘氏義姉さんが見染めただけはありますね」
 パラレル甘氏「見染めたって、恋人じゃ無いんだからさ。それよりも劉白ちゃんも長い間、彼の中に入って、現代のこと多く知り過ぎたんじゃ無い。ブーブー」
 劉丁「相変わらず子供っぽい甘氏義姉さんに言われたくありませんよ」
 こんな2人のやり取りを見て、義賢は決して諦めないと改めて決意するのだった。
 義賢「では、そろそろ戻らせてください」
 パラレル甘氏「えぇ、そうね」
 劉丁「そんな悲しそうな顔をしてはなりませんよ。また会えますよ」
 義賢「それって、また俺が死ぬって言ってんの?まぁ死ぬだろうけどさ」
 劉丁「だそうですよ。甘氏義姉さん」
 パラレル甘氏「えぇ、そうね。待っているわ」
 義賢が目覚めるとそこは、劉備の眼前で、隣には、俺に必死に呼びかけている荀彧殿が居た。
 荀彧「劉丁殿、御無事か?返事をしてください」
 劉備「どうして急に?」
 荀彧「わかりません。ですがこのような状態で蘆江攻めの総大将を務めるのは」
 劉備「あぁ、別のものに」
 義賢「2人とも大丈夫です。昨日、劉白と遊び過ぎました。寝不足で、張宝殿の話を聞き、疲れが限界に到達していたようです」
 荀彧「気がついて、よかったです。何度も呼びかけていたのですがまるで魂が入ったない抜け殻のように焦点の合わない状態だったのでどうしたものかと」
 義賢「御心配をおかけしました。1日、ここでしっかり休んで体調を整えてから出陣します」
 劉備「うむ。そうせよ」
 義賢は、しっかりと休むことにして、呂布たちや趙雲たちと足並みを揃えることにしたのだ。
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