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3章 群雄割拠

長沙から離れる孫堅

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 時はだいぶ巻き戻り、孫堅が玉璽を手に長沙へと帰った時に戻る。袁紹から玉璽の奪取を命じられた劉表軍により急襲を受けた。その際、劉表と交渉することで見逃してもらうことに成功する。
 孫堅「劉表よ。漢室に連なる身でありながら、どうして三公風情の名門袁家などに与するのだ。漢室を憂う気持ちは同じであろう」
 劉表「既に権威など落ちきった漢室のことなど考えていられるか。貴様こそ漢室を憂いているなら何故玉璽を盗んだ。言ってることとやってることに相違あろう。玉璽を渡せばこの場は見逃してやろう」
 孫堅「玉璽など持っていないと言っても聞かんのだろう。どうだ取引をしないか?」
 劉表「どんな取引だ?」
 孫堅「この場を見逃せば、長沙を貴様に明け渡してやる」
 劉表「ほぅ。魅力的な提案だな。良いだろう。しかし、長沙が無事であったならな」
 孫堅「どういう意味だ?」
 劉表「玉璽を狙っているのは、袁紹だけではないというだけのこと。長沙を取り返し、開城すると約束するのならこの場は、見逃してやらんこともない」
 孫堅「足元をみおって、良いだろう」
 劉表「なら、交渉成立だ。皆の者、不本意であろうがこの場は、撤収だ」
 劉表軍が乱れぬ進軍で襄陽へと引き返していく。
 黄蓋「殿、長沙で何か変事が」
 孫堅「あぁ。妻や息子たちが無事であれば良いが」
 韓当「若がそう簡単にやられやしませんって」
 孫堅「そうだな。仮にも虎の子だ。切り抜けていよう」
 程普「ですが長沙を渡すにしてもまず帰らねば何もできますまい」
 孫堅「うむ。全軍急いで戻るぞ」
 孫堅たちが戻った時、長沙城はなんとか無事だった。
 孫権「父上、お帰りをお待ちしておりました。兄上が我々家族を守って」
 孫堅「権、出迎え御苦労。策に何かあったのか?」
 孫策「大丈夫だ。ちっと無理して、へました程度のかすり傷だ」
 孫堅「誰が、こんなことを」
 孫策「袁術軍の奴らだ」
 孫堅「何故袁術が?」
 孫権「母上と我々を人質に父上に何かを迫るつもりのようでした」
 孫堅「策、家族を守ったのだな。それでこそ。俺の子よ。黄蓋、俺は1人で袁術の元に向かう。お前たちは待機せよ」
 孫堅は袁術の元に乗り込んでいった。
 孫堅「袁術、貴様。よくも俺の家族に手を出したな。身体中をギザギザに切りつけてやりたいところだが、お前が欲しいのはこれであろう」
 孫堅は、怒りのまま玉璽を袁術へと投げ捨てる。
 袁術「待て、孫堅。誤解があったことは謝ろう。袁紹と対するためには、お前の力が必要なのだ。協力してくれるよな。なっ」
 孫堅「馬鹿者、馬鹿も休み休みいうのだな。誰が貴様に協力などするか。玉璽をくれてやる。後は好きにするが良い」
 袁術「待て、待ってくれ孫堅。クソ、あの野蛮な男め。ワシに楯突きおって。だが玉璽をこうして手に入れたのは僥倖よ」
 孫堅は、こうして厄介な玉璽を袁術に押し付けることに成功し、長沙へと戻ると荷物を纏めて、劉表に長沙を明け渡すと交州こうしゅうを治める士燮シショウの元に家族共々身を寄せる。
 孫策「せっかく守った長沙を劉表に差し出すなんて本気かよ親父」
 孫堅「あぁ。無駄に家族を危険に晒す必要はない。だが諦めたわけではない広大な揚州を治めるのだ。そのための足掛かりとして、士燮殿を頼るのだ」
 孫策「揚州を取る?そりゃ腕がなるなぁ親父」
 孫権「私も兄上と父上の力となります」
 孫堅「うむ。頼りにしているぞ策・権」
 孫堅が荷物を纏めて出ていくと劉表が長沙へと入る。
 劉表「これで荊州南部も制覇した交州に根を張る士燮と事を構える機会が来たわ」
 蒯越「戦わずして長沙を得られたのは大きいかと」
 蒯良「先ずは民心を安定させるべきかと」
 劉表「うむ。この長沙は韓玄に預ける。異民族の血が混ざっている魏延・命令違反をした黄忠らを置いておけば良いであろう」
 蔡瑁「えぇ、韓玄は曹操と結びつきが強く。魏延は野蛮な血。黄忠は命令違反での異動。楊齡は馬鹿ですから」
 劉表「せめて、民心を高めるぐらいの働きはしてもらわねばな。ハッハッハ」
 こうして姥捨山ならぬ劉表にとって必要の無いものの人材の墓場としての長沙となった。
 士燮は、徳の高い人物として有名であり、孫堅とは劉表に対するものとして、親交があった。
 士燮「ようこそお越しくださいました。孫堅殿」
 孫堅「歓迎してくださり感謝するぞ。士燮殿」
 揚州制覇のため士燮から南海なんかいを借り受け、そこから豫章よしょう会稽かいけいへと攻めこむことにした。
 孫堅「本当に南海を貸してくださるのですか?」
 士燮「そうですなぁ。孫堅殿が揚州を抑えてくれる方が私にとっても良いのです。劉表とのみ対することができますからな」
 孫堅「成程、では遠慮なく南海をお借りいたします。必ずやこのご恩は武働きにてお返しいたしましょう」
 士燮「そのようなこと気にする必要はありませぬ。困った時はお互い様ですからな」
 孫堅「それでは、こちらの気が収まらぬ。必ずやいずれお返し致す」
 士燮「そこまでいうのなら待っていますよ」
 孫堅は、南海へ赴任するとすぐに行動に移す。豫章へと侵攻を開始した。豫章を納めていたのは劉繇である。劉繇の配下に于糜ウビ于茲ウジの兄弟。樊能ハンノウ張英チョウエイ是儀シギ陳横チンオウがいた。豫章にて、大規模な激突となる。
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