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3章 群雄割拠

益州情勢

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 張宝が涼州で見聞きした事を話し終える。
 劉備「そうか。流石は馬超殿ってところだな」
 荀彧「えぇ、これは我が軍にとっても朗報です。涼州を制覇した馬騰を相手に曹操といえど苦戦するでしょう。暫く北の安全は約束されたものかと」
 諸葛瑾「我々もこの4年で内政をさらに充実させ国力も増えています。この調子を維持できれば、揚州の孫堅殿・涼州の馬騰殿とともに曹操と争うこともできましょう」
 田豊「ますます。虎視眈々と河北を狙う曹操と中原を狙う袁紹の動向が気になりますな」
 沮授「兗州を取り戻したばかりの曹操のことです。しっかりと後顧の憂いを断ち、内政に注力し、袁紹と事を構えるでしょうな」
 王允「このような場に客将であり、老骨であるワシが呼ばれようとは、ですがそうなると袁術が治めていた寿春を劉備殿が取ったのは大きいですな」
 李儒「成程、王允殿の申すとおりですな。未だに袁術皇帝陛下を崇め反乱を繰り返す蘆江に侵攻するのですな」
 劉備「どういうことだ?」
 義賢「このままでは、我が軍は身動きができなくされる恐れがある。それゆえ蘆江を取り荊州への足掛かりを得るべきとそういうことですね」
 荀彧「えぇ、荊州の劉表がどちらに付くかわからない以上、蘆江を抑え、圧力を加えることは極めて重要だと」
 劉備「さっきからそれではまるで、荊州を攻めると言っているようなものでは無いか」
 義賢「そのとおりですが兄上」
 劉備「馬鹿を申すな同族である劉表殿を攻めるなど私は許可できん」
 義賢「(出た同族だから攻められない病。全く、同族だから攻められないとか言い出したら袁紹の嫁も劉氏の出。曹操の嫁も劉氏の出だから全部同族なんだよなぁ)ゴホン。では、兄上は、曹操や袁紹も攻められないですね。あぁ、漢室をお救いすることはできません。あぁ、献帝様、申し訳ありません。うっうっうっ」
 劉備「何故、そうなる?」
 荀彧「(成程、そういう手ですか。良いでしょう。協力しましょう)ゴホン。殿、袁紹の元に居た時に曹操を見かける機会もあった私にはわかります。袁紹の奥方も曹操の奥方も劉氏の出です。即ち、劉丁殿は、同族が攻められないというのなら曹操や袁紹の子供達の代になったら戦はできないということです。劉氏の血が入った。言わば同族なのですから」
 劉備「なんと!そうであったか。しかし」
 田豊「こちらは攻める気が無くとも向こうは、こちらに何度も手を出してきております。仲国攻略戦にて、仲間となった黄忠殿・甘寧殿は、劉表の命で我が軍を攻撃しにきたとそう証言しております」
 沮授「殿、漢室を真にお救いできるのは、殿だけ。どうか御決断くだされ」
 王允「そのような事をせずとも蘆江を取れば、腹黒い劉表のことだ。仕掛けてこよう」
 李儒「それでも、殿は相手にしないとそう申すつもりか」
 諸葛瑾「それに曹操と事を構えるつもりなら徐州だけでは、どうにもなりません。弟や妹たちのいる荊州を攻めるのは、気が引けますが殿に仕えて、これだけは言えます。劉表が荊州を治めるよりも殿が収めた方が民たちの暮らしが良くなると」
 荀彧「(さて、殿のことだ。皆の想いに応えるため決断なさるだろう)」
 劉備「皆の想いをしかと受け止めた。張宝殿の話が終わり次第。蘆江に進軍するとしよう」
 義賢「おぉ兄上、決断してくださいましたか」
 皆が口々に喜びを表現している。
 張宝「皆がまとまり私も嬉しく思います。では、次は益州の情勢についてです」

【成都】

 劉璋は、張任チョウジン厳顔ゲンガン張裔君嗣チョウエイクンシ呉懿子遠ゴイシエン呉班元雄ゴハンゲンユウ龐義ホウギ許靖文休キョセイブンキュウ秦宓子勅シンフクシチョクらに兵を率いらせて、張魯討伐の軍を挙げた。
 劉璋「張魯が劉備に付くとは、運が回ってきおった、張任・厳顔よ。将と兵を率いて、張魯を討伐するのだ」
 張任「了解しました」
 厳顔「ふむぅ。漢中は要害。ちと骨が折れますなぁ。しかし益州制覇のためには、必要な要所ですなぁ」
 劉璋「ククク。張魯も我が大軍を見て、震え上がるであろうさ。すぐに降伏するであろう。カカカ」
 法正「(大軍で脅し付けてすぐ降伏するような男であれば、劉焉様が誼を通じようとは、考えなかったであろう。未だ戻らぬ劉璋様の兄である劉範リュウハン様・劉誕リュウタン様。劉璋様の弟で病弱な劉瑁リュウボウ様。療養すると荊州奥地にある診療所に向かった劉焉様。致し方なく劉璋様を担いだが。いやはやとんだ凡愚であった。このままでは、益州は衰退していくこととなろう。そもそも曹操と劉備で曹操に付くのも間違っている。あの強大な曹操軍を相手に幾度も戦い死んでいない劉備には、天命が味方しているのだ。今の間に張松を使い曹操と劉備を探らせよう)」
 張任と厳顔率いる大軍が漢中に向けて進軍を開始した。

【漢中】

 張衛「兄上、劉璋が大軍で漢中に侵攻してきました」
 張魯「流石、図太い性格の劉璋です。迎撃してあげなさい。でよろしいのですよね母上」
 張姜子「えぇ、こんな時に劉焉おじいちゃんが居ないなんてねぇ」
 劉範「巫女様、馬鹿な弟の迎撃、是非とも我が兄弟にお任せください」
 劉誕「李傕・郭汜から天子様をお救いしようと洛陽へと向かいましたが曹操に奪取されてしまい途方に暮れていた我々を快く迎え入れてくださったのは、巫女様です。父の後を継ぎながら使節を止め、五斗米道を迫害するなど許せぬ行為です」
 張姜子「あらぁ、嬉しいこと言ってくれちゃって、可愛いんだからぁ」
 とても37歳とは思えない妖艶さを放つ張姜子にメロメロな劉範と劉誕である。かつて、この色香で劉焉をも虜にし、五斗米道の布教と漢中の独立を約束させるなど政治手腕も凄まじい。表に立つのは、息子である張魯に任せているが実質裏の権力者は、張姜子であった。
 劉範「巫女様のために。うぉぉぉぉぉぉぉ」
 劉誕「巫女様が微笑んでくださるなんて。よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ。それだけで頑張れるぜ」
 劉璋は、この時32歳。劉範は、37歳、劉誕は、35歳。2人にとって張姜子は、ストライクゾーンだったのである。兄たちと戦うことになるとは思っていない劉璋軍。いやはやどうなることやら。
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