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3章 群雄割拠

第二次徐州の戦い(結)

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 話は少し戻り、荀彧が義賢に言ったとある策についてだ。義賢は、悩んでいた。ここで袁家を叩けば、ますます袁紹と曹操が対劉備を名目に結びつくのではないかとそれについて悩んでいたところに荀彧が戻ってきて、策があると言った。その策とは?

【下邳】

 荀彧「劉丁殿は、ここで袁家を叩けば、袁紹と曹操が反劉備殿を名目に結びつくのではないかと恐れているのですね」
 義賢「荀彧殿に隠し事はできませんね」
 劉備「そうなのか丁よ」
 義賢「えぇ。ですがここで袁家の両雄を討ち。我が軍の武名を轟かせる必要があったのです。そのおあつらえ向きに袁紹は、両雄を北海に集結してくれました。しかもその武を信じるがあまり、文醜と顔良のみでです。それがいとも簡単に討ち取られたとしたら袁紹軍の中から劉備軍に寝返るものも出てきましょう。俺の狙いはそこです。ですがこれには懸念点があるのです。袁紹と曹操による勢力統合です」
 劉備「袁紹も曹操も志の高い男だ。それはあり得ないだろう」
 義賢「えぇ、昔の放浪していた時代の我が軍ならそれ程脅威には感じなかったでしょう」
 荀彧「曹操も袁紹も殿を脅威に感じていると劉丁殿は、考えておられるのですね」
 義賢「えぇ。だとしたらを志を捨てても結びつく可能性があるのではないかと。そのきっかけになり得るかもしれないと危惧しているのです」
 荀彧「成程、では、こんなのは、どうでしょう。袁紹と曹操の間に争いの火種を落とすのです。そのきっかけもまた曹操が与えてくれたと言えます。此度の徐州侵攻です。それに、これは劉丁殿が曹操側は、防衛に徹し、袁紹側は攻撃に転じると。それで思い付いたのです」
 義賢「荀彧殿、まさか!」
 荀彧「どうやら劉丁殿は、気付いたようですね。曹操の失態に」
 義賢「えぇ、二虎竸食にこきょうしょくの計ですね」
 荀彧「えぇ、小沛は、落とさせず。北海は、落とすのです。瑯琊と東海を抑え、徐州を制覇する。そこで、北海と小沛を曹操に譲るのです。すると袁紹には、どう映るでしょうか?まるで我が軍と曹操軍が裏で盟約を結んでいたと映るでしょう。すると、袁紹のことです我が殿よりも計略に優れる曹操を疑います。自ずと争い出すでしょう」
 義賢「えぇ。これは面白い策です。兄上」
 劉備「うむ。雲長には、そのように伝えておく。袁紹軍は、徹底的に叩き、道中の曹操領である瑯琊と東海に関しては、将のみを討ち他は逃がせとな」
 荀彧「では、これにて小沛の防衛へと赴きます」
 義賢「荀彧殿、御武運を」
 荀彧「劉丁殿も」
 間も無くして、徐州を劉備が治めることに納得していなかった陶謙の元配下である曹豹が許耽と共に、曹操配下で、徐州の監視を命じられていた郊外にいる車胄シャチュウと共に、曹操にお味方すると反乱を起こした。しかし、曹豹に付く民衆は誰もおらず。それもそのはず。いずれ曹豹が反乱を起こすと読んでいた義賢は、姜鄭義賊団を使って、民衆が劉備に不満を持っているという風に偽ってもらったのだ。これにまんまと引っかかった曹豹は、許耽・車胄と意気揚々と民衆を味方につけようと考えたが誰1人として靡かなかったのである。そして、騒ぎを聞きつけた劉備親衛隊こと白毦兵により、呆気なく兵は殲滅させられ、周りを囲まれ逃げられない状態で陳到と戦い討ち取られたのである。
 曹豹「さぁ民たちよ。今こそ劉備の圧政から立ちあがろうぞ」
 民男「、、、」
 許耽「曹豹様、何かおかしくありませんか?」
 曹豹「そんなことは、どうしたのだ民よ。逆賊劉備を討つために手を貸すのだ」
 民女「、、、」
 車胄「これは、どういうことですかな曹豹殿。まさか謀られたということは、ございますまいな」
 曹豹「安心してください車胄殿。ですからどうかこの任務が成功したら俺を曹操殿の配下に」
 白毦兵「そこ、殿のお膝元で何を騒いでいるのだ。民衆を扇動するとは許せん。お縄につくのだ」
 反乱兵「ヒィーーーー。白毦兵は、関羽に付いて行っていないんじゃなかったのかよ。ギャァ」
 陳到「何を騒いでいるのかと思えば曹豹殿ではありませんか。どうかしたのですか?」
 曹豹「陳到殿!曹操軍の手のものを捕らえたので、殿に報告に行くところだったのです」
 車胄「曹豹、貴様裏切ったな」
 許耽「失礼する」
 許耽により、背中から貫かれた車胄は絶命する。
 許耽「陳到殿、この者が曹操の手先だったのです」
 陳到「そうでしたか。それは、ですが変ですね。曹操軍の手のものがここにいて、我々白毦兵や姜鄭義賊団が誰も気付かないとは。匿っていた者でも居たのでしょうか」
 曹豹「おっ俺は知らない」
 陳到「いや、誰も曹豹殿が知っているなどと言っておりませんが。何か御存知なのですか?」
 曹豹「許耽の仕業なのだ」
 許耽「曹豹様!?」
 陳到「ということらしいですがそうなのですか許耽殿?」
 許耽「匿っていました。そこにいる曹豹と2人でな」
 陳到「刀を抜いたな。皆の者、手を出さず取り囲むのだ。俺が相手をする」
 曹豹「こうなったら陳到。貴様を殺して、曹操軍に亡命する」
 許耽「裏切ったことは許せんが今はそのことで揉めている場合ではない。曹豹、2人がかりで陳到を討つぞ」
 陳到「何もなくて、身体が鈍っていたところだ。鍛錬の糧にさせてもらうとしよう」
 曹豹「こんなに強いなんて聞いてねぇぞ。ギャァ」
 許耽「まさか2人がかりで、赤子同然とは。グフッ」
 陳到「敵将、曹豹・許耽、陳叔至が討ち取った」
 こうして反乱は制圧された。

【広陵】

 下邳の反乱に乗じて、臧覇配下の昌豨も反乱に起こしたが孫観の兄である孫康ソンコウが昌豨を怪しみ張り付いていたため。密告により、臧覇に呆気なく討たれた。
 臧覇「昌豨よ。何故、殿に付くことが生き残ることだとわからぬ」
 昌豨「煩い。あのような男にヘラヘラと媚び諂うなど俺にはできぬ。それに孫康の奴め。まんまと騙されたわ」
 孫康「俺が観の親友である臧覇殿を裏切ると本当に思っていたのか?」
 昌豨「フン」
 臧覇「このような形で友を斬ることになろうとは、残念だ」
 昌豨「せいぜい、あの男の元で、くだらない生涯を過ごすのだな」
 臧覇は、泣いて友である昌豨を斬り捨て、その亡骸を丁重に葬った。

【小沛】

 荀彧の元に孫乾が来た。
 荀彧「孫乾殿が来たということは、策は成功したのですね」
 孫乾「はい。殿より、交渉に当たるようにと」
 荀彧「相手は、曹仁です。チラチラと後方を気にしているあたり、早く終わらせたいと考えているでしょう。被害を最小限に考える御方です。目先の餌に飛びつくことでしょう」
 孫乾「かしこまりました。それでは、行って参ります」
 曹仁の元に、使者が到着した。
 曹仁「待て、向こうから使者が来てくれるとは好都合だ」
 孫乾「劉備軍より、和睦の交渉に参りました孫公祐と申します」
 曹仁「これは御丁寧な挨拶痛み入る。曹操軍の大将を仰せつかっている曹子考である。和睦は、条件次第となろう」
 孫乾「では、北海と小沛を曹操軍に明け渡します。それと引き換えに徐州領である瑯琊と東海から手を引いて頂きたい」
 曹仁「何!小沛と北海を?(代わりに瑯琊と東海、北海を落としたということは、瑯琊と東海は落ちているであろう。いや待て、最短距離で北海を目指したということか?全く意図が読めん。こんな時に軍師殿が居てくれれば良いのだが。生憎、賈詡殿も殿に付いて、兗州へと帰ってしまった。この案にもう一声停戦があれば、すぐにでも頷きたいのだが)」
 孫乾「これだけでは、不服ですか?それならば、お互い無期限の停戦期間で如何ですか?」
 曹仁「何だと!(確かに無期限は魅力的だ。今は一刻も早く殿の本拠地である兗州の反乱を鎮め足元を固めねばなるまい。それに無期限ということは、こちらはその間に兵力を蓄え、袁紹と雌雄を決することもできよう。この案受けて損はないと考える。だが、何か引っかかる。しかし、考えている間に兗州が落ちてしまったら元も子もない。飲むしかあるまい)承知した。その停戦交渉をお受けしよう」
 孫乾「感謝致します。それでは」
 双方、公式文書を交わし、各々兵を引くこととなる。劉備軍は、小沛を明け渡し、小沛の者たちは、一時下邳へと撤収した。曹操軍も曹仁の号令の元、瑯琊と東海から完全撤退する。

【并州・冀州】

 袁紹「逢紀よ。その話は真か?文醜と顔良が討ち取られたなどと」
 逢紀「はい。劉備軍の猛将関羽の前に手も足も出ず一刀の元に斬り捨てられました」
 袁紹「馬鹿な!我が軍の誇る武の双璧だぞ。あり得ん。そして北海は劉備の手に落ちたのだな」
 逢紀「はい」
 伝令「曹操と劉備が和睦しました。曹操軍の被害は無く。それどころか小沛と北海を手に入れたとのこと」
 袁紹「孟徳の奴め。謀りおったな。我が軍に被害だけを押し付け、河北を虎視眈々と狙う計略であったか。許せん。孟徳。いや曹操よ。必ずやこのワシが貴様を討ち取ってくれる。それまで劉備のことは、捨て置くとする。しかし、曹操と組まれても敵わん。逢紀よ。劉備の元に赴き。和睦して参れ」
 逢紀「はっすぐに」
 こうして第二次徐州の戦いは、荀彧の策と甘寧の防衛戦の心得。黄忠による弓兵隊の調練。瑯琊と東海を手に入れ。徐州の守りを厚くし、曹操との無期限の停戦と劉備軍の完全勝利であった。
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