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3章 群雄割拠
第二次徐州の戦い(承)
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【曹操軍】
夏侯惇による10万の兵が小沛へと迫る。
夏侯惇「逆賊劉備を征討するのだ。突撃」
???「お待ちください。向こうには、夏侯淵様の姪の夏侯月姫様がおられるのです」
???「そうです。何故我々が同じ夏侯家の者と戦わねばならんのだ」
???「そもそも前回に引き続き、今回も民衆の大虐殺を命令するなど曹操様は何を考えておられるのだ」
???「このような暴挙を許して良いのか」
夏侯惇「夏侯蘭・夏侯博・夏侯纂・夏侯承。それ以上孟徳の悪口を言うのであれば粛清する。逆賊と運命を共にするのが嫌ならあの御触れで逃げ出せば良かったのだ。逃げなかったということは、討たれても仕方なかろう」
このように一枚岩に見えて、曹操軍の内部は、ガタガタであった。それゆえ、攻城戦に覇気が無い。
甘寧は、よく小沛を守り通した。危ないところには、率先して駆け出し、兵たちを鼓舞し、城壁の上にいる黄忠の指揮による弓兵隊により、確実に曹操軍へと被害を与えていた。荀彧は、周りを見回し、綻びのできているところへ趙雲・張繍・徐盛の軍を送り込むなど補佐を徹底していた。
夏侯惇「馬鹿な!これがあの劉備軍だと」
伝令「夏侯蘭様が趙雲に捕まりました」
伝令「夏侯博様・夏侯纂様・夏侯承様、劉備軍に寝返りました」
夏侯惇「なんだと!夏侯の面汚しどもめ」
韓浩「夏侯惇様、ここは撤退するしかありません。殿の本隊と合流して、雪辱を果たしましょう」
李典「夏侯惇殿、相手の防備が固すぎる」
于禁「夏侯惇殿、時に引くことも大事かと」
夏侯惇「ぐぬぬ。撤退だ」
先鋒10万のうち生き残ったのは、2割であった。
【小沛】
甘寧「よーし、お前ら声出していくぞ。危ないところは、遠慮せずに危ないっていえ。俺が助けてやる」
小沛守備軍「はい」
荀彧「まさか、こんなにも防衛戦で士気を高めるとは」
甘寧「これが俺のやり方だ。辛気臭ぇ顔なんかしてたら防衛戦はできねぇ」
荀彧「えぇ、その通りです。劉丁殿は、甘寧殿の才覚を見抜いていた?」
甘寧「なんか言ったか軍師の先生」
荀彧「軍師の先生ですか。それなら軍師殿とか先生とかだけで良いのでは?」
甘寧「そんなこと細かいこと気にすんな。禿げるぞ」
荀彧「禿げてませんよ。私は城壁の上から周りを見回して的確に指示を出します」
甘寧「おぅ。下の方は任せてくれ軍師の先生」
荀彧「えぇ、お任せします」
荀彧が上に上がると黄忠が新米の弓兵隊に指導を付けていた。
黄忠「馬鹿者、確実に仕留めるんじゃ。ワシらが仕留めればそれだけ下の守りが楽になるんじゃ」
弓兵隊「はい。こうでしょうか?」
黄忠「うむ。筋が良くなった」
弓兵隊「ありがとうございます」
黄忠「なんじゃ軍師先生もこっちに来たのかのぅ」
荀彧「えぇ、この場で調練を?」
黄忠「うむ。戦場の経験は、何事にも代え難いであろう」
荀彧「成程(下も上も鉄壁ですね。なら私は趙雲殿たちを動かすとしましょう。相手の綻びは、あの辺り士気が低そうですね)趙雲殿、右の敵に突撃を」
趙雲「かしこまりました」
趙雲が突撃したところの将軍は見覚えのあるやつであった。
趙雲「夏侯蘭か!」
夏侯蘭「まさか、常山の趙雲が相手とはな。旧知とはいえ手加減はせぬ」
趙雲「あぁ」
3合打ち合う。
夏侯蘭「どうした趙雲、その程度か」
趙雲「お前こそ、鈍っているのではないか」
夏侯蘭「言ってくれる」
さらに5合程打ち合う。
趙雲「終わりだ」
夏侯蘭「ここまでか」
趙雲「敵将、捕らえたぞ」
趙雲が夏侯蘭を捕らえて、小沛へと戻ってくる。荀彧は、趙雲が敵将を捕らえたことで士気の下がった三箇所を見逃さず。樊玉鳳・張繍・徐盛を出陣させていた。
夏侯博「夏侯蘭が捕まったか」
樊玉鳳「敵将、見つけたわよ」
夏侯博「女?いや劉備軍か、待て、降伏する」
樊玉鳳「では、捕まえさせてもらいます」
夏侯纂「夏侯蘭が捕まるとは」
張繍「敵将、この張繍の相手をせよ」
夏侯纂「劉備軍か。最早これまで。降伏する」
張繍「わかった。捕まえさせてもらうぞ」
夏侯承「夏侯蘭が捕まった。この戦に大義などあるのだろうか」
徐盛「曹操軍の将だな。徐州をこれ以上荒らさせねぇぞ。覚悟しやがれ」
夏侯承「これも曹操による虐殺の結果だな。待て、劉備軍の将よ。降伏する」
徐盛「降伏したやつを殺せば、曹操と同じとなろう。縄で縛らせてもらうぞ」
夏侯蘭・夏侯博・夏侯纂・夏侯承、曹操の出身母体である夏侯にゆかりのある将の寝返り。それは少なからず曹操軍に動揺を与えるのであった。そこに曹操の本隊が到着した。
【曹操軍】
夏侯惇「孟徳、大口を叩いておきながら申し訳ない。夏侯家から裏切り者まで出す始末。どうか俺を罰してくれ」
曹操「元譲よ。勝敗は兵家の常だ。そう気を落とすな。一度兗州へと戻り、状態を整えて参れ」
夏侯惇「すまぬ孟徳」
曹操「劉備め。ここまで精強になっていようとはな。だが、このワシが来た。小沛は貰うぞ。全軍突撃」
甘寧と黄忠と荀彧による防衛線は完璧で、そこに的確に趙雲らの急襲を受ける。百戦錬磨の曹操が小沛で苦戦するという。そしてもたらされる。
伝令「曹操様、兗州にて大規模な反乱。主導しているのは、張邈様です」
曹操「なんだと!孟卓、何故反乱など」
典韋「殿、このまま徐州を攻めてる間に兗州を失ったら元も子もないですぜ。ここは一旦引きやしょう」
曹操「今引けば、何かあったと劉備の追撃を受けよう。子考、ここは任せる。劉備軍に悟られなよう睨み合いを続けよ」
曹仁「はっ」
曹操「反乱を起こしたのは、張邈だけか?」
伝令「いえ、張超様・張楊様、それに兗州の豪族たち多数です」
曹操「何故、こんなことに」
伝令「どうやら呂布を招き入れたとのこと」
曹操「呂布だと!」
兗州に呂布軍が来襲した。これが公孫瓚によるささやかな援護であった。呂布は、公孫瓚の元に来ていた。
【易京】
公孫瓚「まさか、お前が1人で訪ねてこようとはな。何用だ」
呂布「袁紹相手に苦戦しているようだな。手を貸しに来た。袁紹には、こちらも散々な目に遭わされそうになったのでな」
公孫瓚「そうか。なら劉備を助けてやってくれ。兗州の曹操領を攻撃してやるといい。ここは近いうちに落ちる。ワシに手助けなど不要。それに義父殺しの呂布など迎え入れてはな」
呂布「兗州の攻撃には何か意図を感じている。我が軍に来た陳宮という者が何度も進言してくるのだ」
公孫瓚「猪突猛進と思っていたお前が裏を読もうとしているとはな。呂布よ。何を恐れている。何かあれば劉備の元に逃げると良い。そんなに心配なら先に妻子でも預けておいたらどうだ」
呂布「成程、それは考えたことが無かった。確かに、良いかも知れんな。吹っ切れたぞ。感謝する公孫瓚殿」
公孫瓚「呂布よ。劉備のこと頼んだぞ」
呂布「あぁ、承知した」
この後、呂布は配下の妻子を連れ、密かに劉備のいる下邳へと来た。
【下邳】
呂布「劉備殿、久しぶりだな」
劉備「呂布殿、霊帝様を助けた以来だな」
呂布「曹操に攻められて苦労していると聞いた。妻子を預かってくれないか。我が軍が兗州を急襲しよう」
義賢「願ってもないことですが良いのですか?」
呂布「公孫瓚殿にも頼まれたのだ。気にする必要はない」
劉備「兄弟子殿が?」
呂布「うむ。易京一都市に追い込まれておるのに、お前のことを心配しておった」
劉備「兄弟子殿。この戦が終われば、兄弟子を救援しに向かう。呂布殿、手を貸してもらえるか?」
呂布「心得た」
劉備「妻子の件、丁重にお預かりしよう」
呂布「感謝する。では、行ってくるとしよう」
呂布は赤兎馬に跨ると兗州方面へ向かっていった。
夏侯惇による10万の兵が小沛へと迫る。
夏侯惇「逆賊劉備を征討するのだ。突撃」
???「お待ちください。向こうには、夏侯淵様の姪の夏侯月姫様がおられるのです」
???「そうです。何故我々が同じ夏侯家の者と戦わねばならんのだ」
???「そもそも前回に引き続き、今回も民衆の大虐殺を命令するなど曹操様は何を考えておられるのだ」
???「このような暴挙を許して良いのか」
夏侯惇「夏侯蘭・夏侯博・夏侯纂・夏侯承。それ以上孟徳の悪口を言うのであれば粛清する。逆賊と運命を共にするのが嫌ならあの御触れで逃げ出せば良かったのだ。逃げなかったということは、討たれても仕方なかろう」
このように一枚岩に見えて、曹操軍の内部は、ガタガタであった。それゆえ、攻城戦に覇気が無い。
甘寧は、よく小沛を守り通した。危ないところには、率先して駆け出し、兵たちを鼓舞し、城壁の上にいる黄忠の指揮による弓兵隊により、確実に曹操軍へと被害を与えていた。荀彧は、周りを見回し、綻びのできているところへ趙雲・張繍・徐盛の軍を送り込むなど補佐を徹底していた。
夏侯惇「馬鹿な!これがあの劉備軍だと」
伝令「夏侯蘭様が趙雲に捕まりました」
伝令「夏侯博様・夏侯纂様・夏侯承様、劉備軍に寝返りました」
夏侯惇「なんだと!夏侯の面汚しどもめ」
韓浩「夏侯惇様、ここは撤退するしかありません。殿の本隊と合流して、雪辱を果たしましょう」
李典「夏侯惇殿、相手の防備が固すぎる」
于禁「夏侯惇殿、時に引くことも大事かと」
夏侯惇「ぐぬぬ。撤退だ」
先鋒10万のうち生き残ったのは、2割であった。
【小沛】
甘寧「よーし、お前ら声出していくぞ。危ないところは、遠慮せずに危ないっていえ。俺が助けてやる」
小沛守備軍「はい」
荀彧「まさか、こんなにも防衛戦で士気を高めるとは」
甘寧「これが俺のやり方だ。辛気臭ぇ顔なんかしてたら防衛戦はできねぇ」
荀彧「えぇ、その通りです。劉丁殿は、甘寧殿の才覚を見抜いていた?」
甘寧「なんか言ったか軍師の先生」
荀彧「軍師の先生ですか。それなら軍師殿とか先生とかだけで良いのでは?」
甘寧「そんなこと細かいこと気にすんな。禿げるぞ」
荀彧「禿げてませんよ。私は城壁の上から周りを見回して的確に指示を出します」
甘寧「おぅ。下の方は任せてくれ軍師の先生」
荀彧「えぇ、お任せします」
荀彧が上に上がると黄忠が新米の弓兵隊に指導を付けていた。
黄忠「馬鹿者、確実に仕留めるんじゃ。ワシらが仕留めればそれだけ下の守りが楽になるんじゃ」
弓兵隊「はい。こうでしょうか?」
黄忠「うむ。筋が良くなった」
弓兵隊「ありがとうございます」
黄忠「なんじゃ軍師先生もこっちに来たのかのぅ」
荀彧「えぇ、この場で調練を?」
黄忠「うむ。戦場の経験は、何事にも代え難いであろう」
荀彧「成程(下も上も鉄壁ですね。なら私は趙雲殿たちを動かすとしましょう。相手の綻びは、あの辺り士気が低そうですね)趙雲殿、右の敵に突撃を」
趙雲「かしこまりました」
趙雲が突撃したところの将軍は見覚えのあるやつであった。
趙雲「夏侯蘭か!」
夏侯蘭「まさか、常山の趙雲が相手とはな。旧知とはいえ手加減はせぬ」
趙雲「あぁ」
3合打ち合う。
夏侯蘭「どうした趙雲、その程度か」
趙雲「お前こそ、鈍っているのではないか」
夏侯蘭「言ってくれる」
さらに5合程打ち合う。
趙雲「終わりだ」
夏侯蘭「ここまでか」
趙雲「敵将、捕らえたぞ」
趙雲が夏侯蘭を捕らえて、小沛へと戻ってくる。荀彧は、趙雲が敵将を捕らえたことで士気の下がった三箇所を見逃さず。樊玉鳳・張繍・徐盛を出陣させていた。
夏侯博「夏侯蘭が捕まったか」
樊玉鳳「敵将、見つけたわよ」
夏侯博「女?いや劉備軍か、待て、降伏する」
樊玉鳳「では、捕まえさせてもらいます」
夏侯纂「夏侯蘭が捕まるとは」
張繍「敵将、この張繍の相手をせよ」
夏侯纂「劉備軍か。最早これまで。降伏する」
張繍「わかった。捕まえさせてもらうぞ」
夏侯承「夏侯蘭が捕まった。この戦に大義などあるのだろうか」
徐盛「曹操軍の将だな。徐州をこれ以上荒らさせねぇぞ。覚悟しやがれ」
夏侯承「これも曹操による虐殺の結果だな。待て、劉備軍の将よ。降伏する」
徐盛「降伏したやつを殺せば、曹操と同じとなろう。縄で縛らせてもらうぞ」
夏侯蘭・夏侯博・夏侯纂・夏侯承、曹操の出身母体である夏侯にゆかりのある将の寝返り。それは少なからず曹操軍に動揺を与えるのであった。そこに曹操の本隊が到着した。
【曹操軍】
夏侯惇「孟徳、大口を叩いておきながら申し訳ない。夏侯家から裏切り者まで出す始末。どうか俺を罰してくれ」
曹操「元譲よ。勝敗は兵家の常だ。そう気を落とすな。一度兗州へと戻り、状態を整えて参れ」
夏侯惇「すまぬ孟徳」
曹操「劉備め。ここまで精強になっていようとはな。だが、このワシが来た。小沛は貰うぞ。全軍突撃」
甘寧と黄忠と荀彧による防衛線は完璧で、そこに的確に趙雲らの急襲を受ける。百戦錬磨の曹操が小沛で苦戦するという。そしてもたらされる。
伝令「曹操様、兗州にて大規模な反乱。主導しているのは、張邈様です」
曹操「なんだと!孟卓、何故反乱など」
典韋「殿、このまま徐州を攻めてる間に兗州を失ったら元も子もないですぜ。ここは一旦引きやしょう」
曹操「今引けば、何かあったと劉備の追撃を受けよう。子考、ここは任せる。劉備軍に悟られなよう睨み合いを続けよ」
曹仁「はっ」
曹操「反乱を起こしたのは、張邈だけか?」
伝令「いえ、張超様・張楊様、それに兗州の豪族たち多数です」
曹操「何故、こんなことに」
伝令「どうやら呂布を招き入れたとのこと」
曹操「呂布だと!」
兗州に呂布軍が来襲した。これが公孫瓚によるささやかな援護であった。呂布は、公孫瓚の元に来ていた。
【易京】
公孫瓚「まさか、お前が1人で訪ねてこようとはな。何用だ」
呂布「袁紹相手に苦戦しているようだな。手を貸しに来た。袁紹には、こちらも散々な目に遭わされそうになったのでな」
公孫瓚「そうか。なら劉備を助けてやってくれ。兗州の曹操領を攻撃してやるといい。ここは近いうちに落ちる。ワシに手助けなど不要。それに義父殺しの呂布など迎え入れてはな」
呂布「兗州の攻撃には何か意図を感じている。我が軍に来た陳宮という者が何度も進言してくるのだ」
公孫瓚「猪突猛進と思っていたお前が裏を読もうとしているとはな。呂布よ。何を恐れている。何かあれば劉備の元に逃げると良い。そんなに心配なら先に妻子でも預けておいたらどうだ」
呂布「成程、それは考えたことが無かった。確かに、良いかも知れんな。吹っ切れたぞ。感謝する公孫瓚殿」
公孫瓚「呂布よ。劉備のこと頼んだぞ」
呂布「あぁ、承知した」
この後、呂布は配下の妻子を連れ、密かに劉備のいる下邳へと来た。
【下邳】
呂布「劉備殿、久しぶりだな」
劉備「呂布殿、霊帝様を助けた以来だな」
呂布「曹操に攻められて苦労していると聞いた。妻子を預かってくれないか。我が軍が兗州を急襲しよう」
義賢「願ってもないことですが良いのですか?」
呂布「公孫瓚殿にも頼まれたのだ。気にする必要はない」
劉備「兄弟子殿が?」
呂布「うむ。易京一都市に追い込まれておるのに、お前のことを心配しておった」
劉備「兄弟子殿。この戦が終われば、兄弟子を救援しに向かう。呂布殿、手を貸してもらえるか?」
呂布「心得た」
劉備「妻子の件、丁重にお預かりしよう」
呂布「感謝する。では、行ってくるとしよう」
呂布は赤兎馬に跨ると兗州方面へ向かっていった。
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