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3章 群雄割拠
界橋の戦いリベンジ(破)
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荀彧は、驚いていた。高覧は、袁紹軍で文醜・顔良に次ぐ武勇を誇っていた。その男が捕縛される。それは即ち、それ以上の武勇のものが公孫瓚軍にいるということである。
荀彧「高覧殿が捕まる?(一体誰ができる。厳綱?ない。田楷?もっとない。単経?いやないだろう。公孫瓚?いや白馬儀従を下げて、自身だけでなんて考えられない。だとしたら、あの白で統一された異様な兵。あんな強い精鋭歩兵隊が公孫瓚軍にいるなど聞いたことがない。馬鹿なだとしたら一体誰が?考えてもわからない。劉備軍?いや、袁術討伐しながらこっちに援軍を送る余力などないだろう)」
王佐の才と呼ばれた男でも考えの付かないことが起こっていた。でもその顔は、不思議と楽しそうな顔をしていた。
荀彧「まぁ、どこの誰かわかりませんが。こっちの出鼻は、挫かれました。だが巻き返しましょう。我が知謀にて」
荀攸「叔父上、なんだか楽しそうですね」
荀彧「えぇ、このまま簡単に公孫瓚軍など踏み潰せると考えていましたから。高柔と韓猛を呼んでください」
荀攸「はっ」
荀彧は、相手の歩兵に対して、戦車騎兵を率いる2人を呼んだ。相手は、あの異様な歩兵だけなのだ。ならば戦車騎兵にて踏み潰そうと考えたのだ。
荀彧「高柔・韓猛、戦車騎兵にて、あの歩兵を蹂躙するのです」
高柔「戦車騎兵の強さ見せましょう」
韓猛「ガハハ。暴れてやるわ」
だがこの考えは、義賢も考えていた。だから戦車騎兵に対抗するべく軽装騎兵も準備していた。白毦兵は、劉備の命を守る近衛兵なのだ。失うわけにはいかない。
義賢「恐らく、相手は、先の戦いの負けを取り戻すべく戦車騎兵を用いて、白毦兵の殲滅を狙うはずです。田豫殿・太史慈殿、軽装騎兵の準備はできていますか?」
田豫「あぁ、烏桓から買った選りすぐりの騎兵隊だ」
太史慈「確か戦車騎兵の側面を狙い槍を投げ、体制を崩すのでしたな」
義賢「えぇ、白毦兵の命は、2人にかかっています」
高柔の号令で、韓猛が第一陣戦車騎兵を歩兵隊に向け突撃させる。これに対し、陳到は、先の戦いで、倒した敵兵を積み上げ、土嚢の代わりとする。塹壕を掘り、その中に入り盾を上に構える。受けきる用意はしていた。陳到にも主君である劉備を命懸けで守る部隊を率いる誇りがある。戦車騎兵に驚いたりはしない。そして、その気概は、白毦兵にも伝染する。韓猛の突撃を受け切り、怪我人を1人も出さないどころか塹壕に脚を取られた。戦車騎兵を討ち取る。これには、義賢も感嘆した。そして、脚を取られた不運な戦車騎兵の中に韓猛が居た。
韓猛「えぇい。この馬鹿馬が動かんか」
馬「ヒヒーン。ブルブル(むーりー)」
陳到「まさか敵将がかかってくれるとは。付いていないな?」
韓猛「貴様がこの異様な兵の指揮官か?フン。俺の前に現れたのだ。付いてないこともあるまい。この韓猛が討ち取ってやる」
陳到「白毦兵を率いるものとして、負けられぬ。陳叔至、参る」
韓猛は、力だけなら文醜や顔良よりも上だと言われていた。しかし、この猪突猛進型が災いとなった。陳到は、それを的確に受け切り、韓猛をどんどんイラつかせる。そして、単調な動きとなった韓猛には、隙が生まれ、その隙を見逃す陳到ではない。
韓猛「オラオラオラ。どうしたその態度か」
陳到「まだまだ」
韓猛「えぇい。オラオラオラ。いい加減に潰れろ」
陳到「まだまだ」
韓猛「クソクソクソ。潰れろって言ってんだろうがおい」
陳到「良し、もう少しだ」
韓猛「オラオラオラ。オラオラオラ。オラオラオラ」
陳到「ここだ」
韓猛「グハッ。この俺が負けた。だ、と」
韓猛はドサリとその場に倒れた。
陳到「敵将韓猛。陳叔至が討ち取った」
高柔は、韓猛が討ち取られたことに驚きながらも第二陣の戦車騎兵を突撃させる。だがその戦車騎兵の横に軽装騎兵が張り付き、槍にて、戦車騎兵を転がした。
高柔「馬鹿な!どこから軽装騎兵が現れた。とにかく対応せよ」
田豫「悪いな」
高柔「傾いてる。うわぁ」
高柔は、地面に投げられて、気絶した。そこを太史慈が捕縛した。
太史慈「敵将、高柔。太史子義が捕らえたり」
荀彧は、この的確な対処法にまた驚いた。驚きつつも笑っていた。
荀彧「戦車騎兵を読んでいましたか。ハハハ。全く、軽装騎兵を隠し、戦車騎兵を釣り出すとは、とんだ知恵者だ。ならこれに対しては、どう対応するかな」
荀攸「こんなに楽しそうな叔父上は、初めて見る。やはり、知恵を奮いたいのだろう。それにしても、叔父上を楽しませる敵が気になってきましたよ俺は」
荀彧「奇遇ですね。私もですよ。ですが、今はまだ楽しませてもらいます。牽招・辛明を呼んでください」
牽招と辛明、見た目、弱そうに見える2人を誘引に使い罠に引き込もうと考えたのだ。
荀彧「牽招・辛明、敵を誘引するのです」
牽招「了解しました」
辛明「必ずや」
ここで義賢は、面白い手に出た。陳到の白毦兵を下げて、劉備を前線に出したのだ。義賢「陳到殿、ここで一旦白毦兵を下げます。そして兄上に前に出てもらい、敵を誘引してもらいます」
そうお互いが誘引策を取ったのだ。
陳到「誘引した兵を叩くと」
義賢「えぇ」
劉備「陳到、そう心配するな。私も暴れたいと思っていたところだ」
陳到「劉備様がそういうのであれば」
荀彧は驚いた。そりゃそうだ。あの異様な兵の正体が劉備軍だと分かったのだから。そして、劉備を見た辛明は、逆に誘引された。それを追い牽招も誘引される。
辛明「貴様は劉備。これはまたとない機会。手柄を上げさせてもらうぞ」
牽招「劉備殿、今は何もいうますまい。刎頸の交わりを結んだ仲。どちらがそうなろうとも悔いはありますまいな」
牽招は若い時に劉備と関わりがあい、その時にお互い首を切られるようなことになっても後悔しない仲である刎頸の交わりを結んだのだ。それゆえ、今自分が劉備の首を打つことになろうとも逆に自分が討たれても後悔しない。そう覚悟を決め、飛び出した辛明を追うのであった。
荀彧「高覧殿が捕まる?(一体誰ができる。厳綱?ない。田楷?もっとない。単経?いやないだろう。公孫瓚?いや白馬儀従を下げて、自身だけでなんて考えられない。だとしたら、あの白で統一された異様な兵。あんな強い精鋭歩兵隊が公孫瓚軍にいるなど聞いたことがない。馬鹿なだとしたら一体誰が?考えてもわからない。劉備軍?いや、袁術討伐しながらこっちに援軍を送る余力などないだろう)」
王佐の才と呼ばれた男でも考えの付かないことが起こっていた。でもその顔は、不思議と楽しそうな顔をしていた。
荀彧「まぁ、どこの誰かわかりませんが。こっちの出鼻は、挫かれました。だが巻き返しましょう。我が知謀にて」
荀攸「叔父上、なんだか楽しそうですね」
荀彧「えぇ、このまま簡単に公孫瓚軍など踏み潰せると考えていましたから。高柔と韓猛を呼んでください」
荀攸「はっ」
荀彧は、相手の歩兵に対して、戦車騎兵を率いる2人を呼んだ。相手は、あの異様な歩兵だけなのだ。ならば戦車騎兵にて踏み潰そうと考えたのだ。
荀彧「高柔・韓猛、戦車騎兵にて、あの歩兵を蹂躙するのです」
高柔「戦車騎兵の強さ見せましょう」
韓猛「ガハハ。暴れてやるわ」
だがこの考えは、義賢も考えていた。だから戦車騎兵に対抗するべく軽装騎兵も準備していた。白毦兵は、劉備の命を守る近衛兵なのだ。失うわけにはいかない。
義賢「恐らく、相手は、先の戦いの負けを取り戻すべく戦車騎兵を用いて、白毦兵の殲滅を狙うはずです。田豫殿・太史慈殿、軽装騎兵の準備はできていますか?」
田豫「あぁ、烏桓から買った選りすぐりの騎兵隊だ」
太史慈「確か戦車騎兵の側面を狙い槍を投げ、体制を崩すのでしたな」
義賢「えぇ、白毦兵の命は、2人にかかっています」
高柔の号令で、韓猛が第一陣戦車騎兵を歩兵隊に向け突撃させる。これに対し、陳到は、先の戦いで、倒した敵兵を積み上げ、土嚢の代わりとする。塹壕を掘り、その中に入り盾を上に構える。受けきる用意はしていた。陳到にも主君である劉備を命懸けで守る部隊を率いる誇りがある。戦車騎兵に驚いたりはしない。そして、その気概は、白毦兵にも伝染する。韓猛の突撃を受け切り、怪我人を1人も出さないどころか塹壕に脚を取られた。戦車騎兵を討ち取る。これには、義賢も感嘆した。そして、脚を取られた不運な戦車騎兵の中に韓猛が居た。
韓猛「えぇい。この馬鹿馬が動かんか」
馬「ヒヒーン。ブルブル(むーりー)」
陳到「まさか敵将がかかってくれるとは。付いていないな?」
韓猛「貴様がこの異様な兵の指揮官か?フン。俺の前に現れたのだ。付いてないこともあるまい。この韓猛が討ち取ってやる」
陳到「白毦兵を率いるものとして、負けられぬ。陳叔至、参る」
韓猛は、力だけなら文醜や顔良よりも上だと言われていた。しかし、この猪突猛進型が災いとなった。陳到は、それを的確に受け切り、韓猛をどんどんイラつかせる。そして、単調な動きとなった韓猛には、隙が生まれ、その隙を見逃す陳到ではない。
韓猛「オラオラオラ。どうしたその態度か」
陳到「まだまだ」
韓猛「えぇい。オラオラオラ。いい加減に潰れろ」
陳到「まだまだ」
韓猛「クソクソクソ。潰れろって言ってんだろうがおい」
陳到「良し、もう少しだ」
韓猛「オラオラオラ。オラオラオラ。オラオラオラ」
陳到「ここだ」
韓猛「グハッ。この俺が負けた。だ、と」
韓猛はドサリとその場に倒れた。
陳到「敵将韓猛。陳叔至が討ち取った」
高柔は、韓猛が討ち取られたことに驚きながらも第二陣の戦車騎兵を突撃させる。だがその戦車騎兵の横に軽装騎兵が張り付き、槍にて、戦車騎兵を転がした。
高柔「馬鹿な!どこから軽装騎兵が現れた。とにかく対応せよ」
田豫「悪いな」
高柔「傾いてる。うわぁ」
高柔は、地面に投げられて、気絶した。そこを太史慈が捕縛した。
太史慈「敵将、高柔。太史子義が捕らえたり」
荀彧は、この的確な対処法にまた驚いた。驚きつつも笑っていた。
荀彧「戦車騎兵を読んでいましたか。ハハハ。全く、軽装騎兵を隠し、戦車騎兵を釣り出すとは、とんだ知恵者だ。ならこれに対しては、どう対応するかな」
荀攸「こんなに楽しそうな叔父上は、初めて見る。やはり、知恵を奮いたいのだろう。それにしても、叔父上を楽しませる敵が気になってきましたよ俺は」
荀彧「奇遇ですね。私もですよ。ですが、今はまだ楽しませてもらいます。牽招・辛明を呼んでください」
牽招と辛明、見た目、弱そうに見える2人を誘引に使い罠に引き込もうと考えたのだ。
荀彧「牽招・辛明、敵を誘引するのです」
牽招「了解しました」
辛明「必ずや」
ここで義賢は、面白い手に出た。陳到の白毦兵を下げて、劉備を前線に出したのだ。義賢「陳到殿、ここで一旦白毦兵を下げます。そして兄上に前に出てもらい、敵を誘引してもらいます」
そうお互いが誘引策を取ったのだ。
陳到「誘引した兵を叩くと」
義賢「えぇ」
劉備「陳到、そう心配するな。私も暴れたいと思っていたところだ」
陳到「劉備様がそういうのであれば」
荀彧は驚いた。そりゃそうだ。あの異様な兵の正体が劉備軍だと分かったのだから。そして、劉備を見た辛明は、逆に誘引された。それを追い牽招も誘引される。
辛明「貴様は劉備。これはまたとない機会。手柄を上げさせてもらうぞ」
牽招「劉備殿、今は何もいうますまい。刎頸の交わりを結んだ仲。どちらがそうなろうとも悔いはありますまいな」
牽招は若い時に劉備と関わりがあい、その時にお互い首を切られるようなことになっても後悔しない仲である刎頸の交わりを結んだのだ。それゆえ、今自分が劉備の首を打つことになろうとも逆に自分が討たれても後悔しない。そう覚悟を決め、飛び出した辛明を追うのであった。
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