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3章 群雄割拠

仲国の滅亡リベンジ

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 荊州南四郡を退けた劉備軍は、袁術の籠る寿春城へと進軍した。その道中、族の格好が良く似合う男が道を塞いでいた。
 関羽「何奴」
 黄忠「あれは、関羽殿、少しお待ちくだされ」
 黄忠が道を塞いでいる男に近寄っていく。
 黄忠「おーい甘寧、そこで何しとるんじゃ」
 甘寧「黄忠の爺さんじゃねぇか。アンタこそ何やってんだよ」
 黄忠「劉備軍に降伏したのでな。袁術の討伐に向かうところじゃ」
 甘寧「へぇ、そうかい。俺は、とうとう耐えきれなくなって、こうして海賊に戻ったところだ」
 黄忠「お主、生き別れた妹のことは、もう良いのか?」
 甘寧「こんなに探して見つからねぇんだ。幽州の金持ちに引きとられて、そこで少し生活してたことまでは、掴んだんだが、それ以降の足取りが全くわからねぇ」
 黄忠「だが、妹を探すために得意な海で海賊をやって、商船を護衛して金を稼ぎ。それを費やして、今まで探してきたんじゃろ」
 甘寧「あぁ。でもその稼ぎだけでは、心許なくて、あんなクズみたいな野郎に仕えて、給金を得ようと考えたが、ろくに給金もくれやしねぇ」
 黄忠「そうであったか。同族として、申し訳ない。どうじゃ、我が殿に仕えるというのは?」
 甘寧「黄忠の爺さんの殿ってことは、劉備か。うーん、給金次第だな」
 黄忠「良かろう。後ろの者たちも全て雇い入れてくれるように頼もうぞ」
 甘寧「2つ返事かよ。でも助かる」
 黄忠が戻ってくる。
 黄忠「馴染みのもので、ワシの同族である黄祖の配下だったのですがろくな扱いをされず。出奔したそうです。とても気骨のある良い男ゆえ。殿の元で雇ってもらえぬでしょうか?」
 関羽「うむ。兄者の了解を得なければならぬが。黄忠が面倒を見るということであれば、許可しようぞ」
 黄忠「有難い」
 とりあえず甘寧は、黄忠の預かりとなり、共に袁術討伐へと向かうこととなった。この辺の地理に明るい甘寧の道案内で、迅速に寿春城を包囲することができた。
 田豊「なんとか、寿春城を包囲することはできましたが。これは、かなり厳しい城攻めとなりますな」
 関羽「うむ。よもやこれほど兵を集めるとは」
 孫堅と対峙していた橋蕤の率いる10万が門を防衛していたのである。
 趙雲「城攻めとなると甚大な被害が出るかもしれない」
 樊玉鳳「でも、ここを落とさなければ袁術討伐が成功したとは言えないでしょう」
 沮授「全く、我らが軍師殿は恐ろしいな」
 張飛「義賢がどうしたってんだよ」
 田豊「もう少し見ていればわかりますぞ」
 前回と同じように、袁術が皇帝を僭称したことに反対していた兵や民衆が反乱を起こし、四つの門が開門した。東門では、突撃した張飛が瞬く間に丈八蛇矛で舒邵を討ち取り、東門の兵を降伏させる。西門でも突撃した関羽により陳紀が青龍偃月刀の錆びとなり、西門の兵を降伏させた。ここから少し違うといっても討ち取る将が変わっただけだが。南門では、突撃した趙雲に梁綱が出てくるがその前を樊玉鳳が立ちはだかる。
 趙雲「常山の趙子龍、推参。勝敗は、決した降伏せよ」
 梁綱「ふざけんじゃねぇ。この梁綱様が相手してやるよ」
 樊玉鳳「子龍の元には行かせないわ」
 梁綱「女だと、舐めやがって、その綺麗な顔をズタズタに引き裂いてやるよ」
 樊玉鳳「やれるものならやってみなさい」
 趙雲「玉鳳、無理はするなよ」
 樊玉鳳「えぇ」
 趙雲と互角に戦える樊玉鳳である。梁綱が敵うはずもなく斬り伏せられた。
 梁綱「馬鹿な!この俺が女に負けるだと。ガハッ」
 樊玉鳳「敵将梁綱。樊玉鳳が斬り捨てました」
 梁綱を失った南門の兵は、降伏した。北門では、突撃した張郃を止めるべく李豊が出てくるが討ち取られた。
 張郃「河問の張儁乂、腕に覚えがあるのならかかって参られよ」
 李豊「これ以上、進ませるな。この李豊が相手となろう」
 張郃に李豊が敵うべくもなく。討ち取られた。
 李豊「ここまで精強とは。グハッ」
 張郃「敵将李豊。河問の張儁乂が討ち取った」
 李豊を失った北門の兵も降伏する。そして、この時場内では、問題が起こっていた。
 橋蕤「陛下。ここは危険です。脱出しましょうぞ」
 袁術「そうじゃな。橋蕤よ。案内せよ」
 橋蕤「(こうなれば袁術の首を取り、討伐軍に降るのが上策。悪く思わないでくだされ。操り人形の陛下)」
 袁術が疑うこともなく橋蕤の側に来た瞬間、刀で胸を貫き、首を落とした。
 袁術「これは何だ!何故、朕がこんな目に、橋蕤貴様ー。ギャッ」
 馮方女「キャアーーーーー」
 馮方女は、咄嗟に子供たちの前に立ち抱え込み。叫んだ、気付いた誰かが助けに来てくれると信じたのだ。
 橋蕤「叫ぶんじゃねえ。安心してくれよ。きちんと家族全員同じところに送ってやるからよ」
 橋蕤は、じわりじわりと馮方女たちに近づく。
 紀霊「これは一体、袁術様」
 紀霊が騒ぎを聞きつけて、やってきたがその時には、橋蕤は、馮方女たちのすぐそばまで来ていた。
 馮方女「(この子達だけでも守らないと。私が盾となって時間を稼げば、紀霊将軍が助けてくれる)」
 紀霊「橋蕤、貴様ーーーー」
 橋蕤「悪いな紀霊。俺は、皇帝を僭称した逆賊どもを殺し、英雄となるのだ」
 刃を振り下ろそうとしたその時、3本の矢が飛んできた。それは的確に橋蕤の両肩と頸椎を貫いた。
 橋蕤「ガハッ。一体どこから。矢が。手足が痺れ」
 カランカランと橋蕤は持っていた剣を落とす。動けなくなった橋蕤の元に甘寧が現れた。
 甘寧「おいおい。自分の保身のために主君を裏切り、関係ない人を殺そうとするなんて、許せねぇなぁ」
 橋蕤「クソ。もう少しで英雄になれたのだ。それを。クソ。痺れんじゃねぇ。武器を拾えよ俺の身体」
 橋蕤は、頚椎を損傷したことにより手足が痺れて、その場にへたり込んだ。尚も武器を掴もうとするが掴めない。
 甘寧「介錯してやるよ。ホラよ」
 甘寧により、首を落とされる橋蕤。
 紀霊「お前たちは劉備軍か。袁術様の奥方と子供には手を出さないでもらえるか?」
 甘寧「女子供に手をあげるわけねぇだろう」
 紀霊「そうか、我々は降伏する。皇帝を僭称したとは言え。俺にとって袁術様は、親のようなものなのだ。亡骸を丁重に葬りたい」
 甘寧「あぁ。そうしてやりな。俺たちがもっと早ければ、死ぬことはなかったかも知れねぇ」
 紀霊「それを言うなら、俺も袁術様の側を離れなければ。うっうっ」
 馮方女「紀霊、それは違います。貴方が駆けつけてくれたからこそ。私も子供たちも無事だったのです。感謝します紀霊将軍」
 紀霊「勿体無い御言葉」
 馮方女「劉備軍ですね。貴方たちが攻めてこなければこんなことにはならなかったと恨みの一つも言いたいところですが私たちを救ってくれたことには感謝しています。今は、家族と紀霊だけにしてもらえますか?夫を丁重に弔ってやりたいのです」
 甘寧「あぁ、了解した」
 外に居た黄忠の元に戻る甘寧。
 甘寧「黄忠の爺さん、助かった。お陰で、女と子供には怪我はなかったよ」
 黄忠「そうか」
 甘寧「それにしてもこの距離から的確に動きを止めるとは、流石黄忠の爺さんだな」
 黄忠「ワシには何が起こっているかわからなかった。お前のその目のおかげじゃ」
 甘寧「まぁ、これで、なんとかなんだろ」
 寿春城は陥落し、残った袁術軍は降伏。紀霊は、馮方女と幼い袁燿・袁紅姫と共に袁術の亡骸を丁重に弔い。3人を連れて、小沛へと向かう。
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