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3章 群雄割拠
界橋の戦い
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劉備軍が袁術討伐に南下した情報を得ると袁紹軍は行動を開始した。公孫瓚と雌雄を決するため界橋に布陣したのだ。対する公孫瓚も冀州を再度手にするため界橋へと大軍を差し向ける。ここに袁紹と公孫瓚による。河北の統一をかけた一大決戦、界橋の戦いの火蓋が切って落とされた。盧植という軍師を失った公孫瓚であったが盧植の戦術の全てを吸収していた。得意な白馬儀従による攻撃により、有利に進める。
袁紹「グヌヌヌ。公孫瓚め。存外やるではないか」
郭図「騎兵の多い我らでは少し不利ですなぁ」
審配「名案があります。歩兵隊に弩を持たせて、白馬儀従を引き込み、弩にて一網打尽にするのです」
袁紹「ほぅ。面白い」
審配「実際、韓馥に攻めて来た公孫瓚の白馬儀従をこのようにして、徹底的に殲滅しました」
袁紹「成程、良い」
???「お待ちください。それは相手の白馬儀従を相手にして畏れぬ心を持つ歩兵がいたからこそ為せた事。我ら袁紹軍には不向きかと。事実歩兵たちを見ればわかります。相手の白馬儀従を前に恐れ慄いています」
袁紹「荀彧か。珍しいな。今まで、何の進言もせんかったお前が急に。どのような心情の変化だ」
荀彧「全ては河北の争乱を治めるためです」
袁紹「まぁ、良いだろう。そこまでいうからには何か策があるのだな」
荀彧「簡単な話です。畏れぬ歩兵がいないのなら作れば良いのです。この戦場で」
袁紹「!?何を言ってるのかわかっているのだろうな」
荀彧「勿論」
袁紹「白馬儀従を相手にどうやって畏れぬ兵を作るというのだ。この阿保うが」
荀彧「歩兵に白馬儀従に対して自信をつけてやれば良いのです。白馬儀従とは馬の上から騎射するという。要は、それだけなのです。馬の高さを利用したことにより、弓矢が盾の隙間。上を通り、それが当たる。それを歩兵たちは盾で防げないと認識しているのです。ならどうするか簡単な話です。近付いて打つ動作に合わせて、こちらも下がり、盾で防げる範囲に引く。もしくはいっそのこと身体を丸めて盾に隠れるのも良いでしょう。打ち終われば相手に隙ができます。そこを審配殿の言う通り、弩で攻撃するのが良いでしょう」
袁紹「ほぅ。流石王佐の才などと呼ばれているだけのことはあるな」
荀彧「お褒めいただき感謝します」
袁紹「今になって進言するなど気に食わないがお前の策を許可してやろう」
荀彧の作戦通りにすると歩兵たちは自分たちに弓矢が当たらないことで自信をつけ、白馬儀従をイライラさせた。そして、より確実に仕留めようと近付いたところを歩兵たちが一斉に立ち上がり、馬を驚かせ。その隙に左右から弩により、白馬儀従を壊滅させたのである。そう、公孫瓚の白馬儀従はまたしても弩による壊滅を受けることとなった。勢いに乗った袁紹軍は公孫瓚軍本陣に切り込んでいく。
厳綱「殿を守るのだ。田楷・単経、あとのことは頼んだ。この戦は我々の負けだ。だが易京城にまで引けば再起することもできよう。2人とも殿のことを頼んだぞ」
田楷「厳綱殿も共に」
厳綱「ならん。ここで敵を食い止めねば殿に攻撃が届くやもしれん」
単経「厳綱殿、御武運を」
厳綱「あぁ、お前たちもな」
厳綱は、敵を死んでも食い止めるという覚悟を持ち殿として戦場に留まった。この厳綱の奮戦が公孫瓚軍を救ったことは言うまでもない。
厳綱「我こそは厳綱。袁紹軍の簒奪者どもよ。かかって来やがれ」
文醜「おもしれぇ奴がいるじゃねぇか」
顔良「おもしれぇ奴がいるじゃねぇか」
文醜「アイツは俺の獲物だ」
顔良「いや俺の獲物だ」
そんな2人の間を通り、厳綱の元へと向かう1人の男。
???「その心意気や良し。この高覧が相手となろう」
厳綱と高覧による一騎討ちが行われる。
厳綱「お前のその太刀筋、昔。韓馥軍にいた男を思い出す」
高覧「そうか。共に高め合って来た同郷の友なのだ」
厳綱「会えると良いな」
高覧「あぁ」
厳綱「私語もこれぐらいとしよう」
数合打ち合うも決着は付かない。さらに数合。さらに数合。2人は打ち合いを続けていた。
文醜「おいおいおい、高覧、俺と代われ」
顔良「ここは義兄に譲ってやんよ」
文醜「できた義弟を持って嬉しいぞ」
顔良「おうよ」
高覧「やっとあったまって来たところです。文醜殿、邪魔は遠慮していただきたい」
文醜「聞こえてんのかよ。まだ打ち合うようなら代われ」
高覧「(この男、中々やる。公孫瓚は有能な者を嫌っていると聞いていたがこの男は有能な部類だ。成程なアイツとも打ち合えたわけだ)」
厳綱「ハァハァ(昔、韓馥軍の将であった男よりは劣るがこいつも中々やる。だが無能であったワシを取り立ててくれた殿のため。たとえ勝てなくとも。討ち取られようとも。時間稼ぎぐらいは務めさせてもらうぞ)」
高覧「(良い覚悟を持った目だ。殺すのは惜しいな)」
さらに数合打ち合った後、高覧の一撃が厳綱に入った。
厳綱「グワァー」
厳綱は、落馬して気を失った。高覧は、厳綱を担ぎ、袁紹軍本陣へと帰還する。縛られた厳綱が袁紹の前へと連れて来られる。
厳綱「このような辱めを受けようとは」
袁紹「厳綱と言ったか?どうだ公孫瓚はもうすぐ終わるワシに付かぬか?」
厳綱「断る。さぁとっととこの首を取れ」
袁紹「そうか。残念だ」
厳綱「(殿、長い間、こんな無能な男によくしてくださり感謝致す。来世でもまた殿にお仕えしたい。先に逝く不忠をお許しください)」
厳綱、凡庸な者とされているがその忠義心は高く。奇しくも公孫瓚が昔言った『役人の家の子弟や立派な人物を取り立てても自分の待遇を当たり前だと考え、感謝しないだろう。だからこそ凡庸な者を登用するのだ』その言葉の通りとなった。凡庸な厳綱は、公孫瓚によく尽くし、そして公孫瓚のために界橋にて必死に時間を稼ぎ、その生涯に幕を閉じたのである。界橋にて、敗戦した公孫瓚は、易京に追い詰められることとなる。
袁紹「グヌヌヌ。公孫瓚め。存外やるではないか」
郭図「騎兵の多い我らでは少し不利ですなぁ」
審配「名案があります。歩兵隊に弩を持たせて、白馬儀従を引き込み、弩にて一網打尽にするのです」
袁紹「ほぅ。面白い」
審配「実際、韓馥に攻めて来た公孫瓚の白馬儀従をこのようにして、徹底的に殲滅しました」
袁紹「成程、良い」
???「お待ちください。それは相手の白馬儀従を相手にして畏れぬ心を持つ歩兵がいたからこそ為せた事。我ら袁紹軍には不向きかと。事実歩兵たちを見ればわかります。相手の白馬儀従を前に恐れ慄いています」
袁紹「荀彧か。珍しいな。今まで、何の進言もせんかったお前が急に。どのような心情の変化だ」
荀彧「全ては河北の争乱を治めるためです」
袁紹「まぁ、良いだろう。そこまでいうからには何か策があるのだな」
荀彧「簡単な話です。畏れぬ歩兵がいないのなら作れば良いのです。この戦場で」
袁紹「!?何を言ってるのかわかっているのだろうな」
荀彧「勿論」
袁紹「白馬儀従を相手にどうやって畏れぬ兵を作るというのだ。この阿保うが」
荀彧「歩兵に白馬儀従に対して自信をつけてやれば良いのです。白馬儀従とは馬の上から騎射するという。要は、それだけなのです。馬の高さを利用したことにより、弓矢が盾の隙間。上を通り、それが当たる。それを歩兵たちは盾で防げないと認識しているのです。ならどうするか簡単な話です。近付いて打つ動作に合わせて、こちらも下がり、盾で防げる範囲に引く。もしくはいっそのこと身体を丸めて盾に隠れるのも良いでしょう。打ち終われば相手に隙ができます。そこを審配殿の言う通り、弩で攻撃するのが良いでしょう」
袁紹「ほぅ。流石王佐の才などと呼ばれているだけのことはあるな」
荀彧「お褒めいただき感謝します」
袁紹「今になって進言するなど気に食わないがお前の策を許可してやろう」
荀彧の作戦通りにすると歩兵たちは自分たちに弓矢が当たらないことで自信をつけ、白馬儀従をイライラさせた。そして、より確実に仕留めようと近付いたところを歩兵たちが一斉に立ち上がり、馬を驚かせ。その隙に左右から弩により、白馬儀従を壊滅させたのである。そう、公孫瓚の白馬儀従はまたしても弩による壊滅を受けることとなった。勢いに乗った袁紹軍は公孫瓚軍本陣に切り込んでいく。
厳綱「殿を守るのだ。田楷・単経、あとのことは頼んだ。この戦は我々の負けだ。だが易京城にまで引けば再起することもできよう。2人とも殿のことを頼んだぞ」
田楷「厳綱殿も共に」
厳綱「ならん。ここで敵を食い止めねば殿に攻撃が届くやもしれん」
単経「厳綱殿、御武運を」
厳綱「あぁ、お前たちもな」
厳綱は、敵を死んでも食い止めるという覚悟を持ち殿として戦場に留まった。この厳綱の奮戦が公孫瓚軍を救ったことは言うまでもない。
厳綱「我こそは厳綱。袁紹軍の簒奪者どもよ。かかって来やがれ」
文醜「おもしれぇ奴がいるじゃねぇか」
顔良「おもしれぇ奴がいるじゃねぇか」
文醜「アイツは俺の獲物だ」
顔良「いや俺の獲物だ」
そんな2人の間を通り、厳綱の元へと向かう1人の男。
???「その心意気や良し。この高覧が相手となろう」
厳綱と高覧による一騎討ちが行われる。
厳綱「お前のその太刀筋、昔。韓馥軍にいた男を思い出す」
高覧「そうか。共に高め合って来た同郷の友なのだ」
厳綱「会えると良いな」
高覧「あぁ」
厳綱「私語もこれぐらいとしよう」
数合打ち合うも決着は付かない。さらに数合。さらに数合。2人は打ち合いを続けていた。
文醜「おいおいおい、高覧、俺と代われ」
顔良「ここは義兄に譲ってやんよ」
文醜「できた義弟を持って嬉しいぞ」
顔良「おうよ」
高覧「やっとあったまって来たところです。文醜殿、邪魔は遠慮していただきたい」
文醜「聞こえてんのかよ。まだ打ち合うようなら代われ」
高覧「(この男、中々やる。公孫瓚は有能な者を嫌っていると聞いていたがこの男は有能な部類だ。成程なアイツとも打ち合えたわけだ)」
厳綱「ハァハァ(昔、韓馥軍の将であった男よりは劣るがこいつも中々やる。だが無能であったワシを取り立ててくれた殿のため。たとえ勝てなくとも。討ち取られようとも。時間稼ぎぐらいは務めさせてもらうぞ)」
高覧「(良い覚悟を持った目だ。殺すのは惜しいな)」
さらに数合打ち合った後、高覧の一撃が厳綱に入った。
厳綱「グワァー」
厳綱は、落馬して気を失った。高覧は、厳綱を担ぎ、袁紹軍本陣へと帰還する。縛られた厳綱が袁紹の前へと連れて来られる。
厳綱「このような辱めを受けようとは」
袁紹「厳綱と言ったか?どうだ公孫瓚はもうすぐ終わるワシに付かぬか?」
厳綱「断る。さぁとっととこの首を取れ」
袁紹「そうか。残念だ」
厳綱「(殿、長い間、こんな無能な男によくしてくださり感謝致す。来世でもまた殿にお仕えしたい。先に逝く不忠をお許しください)」
厳綱、凡庸な者とされているがその忠義心は高く。奇しくも公孫瓚が昔言った『役人の家の子弟や立派な人物を取り立てても自分の待遇を当たり前だと考え、感謝しないだろう。だからこそ凡庸な者を登用するのだ』その言葉の通りとなった。凡庸な厳綱は、公孫瓚によく尽くし、そして公孫瓚のために界橋にて必死に時間を稼ぎ、その生涯に幕を閉じたのである。界橋にて、敗戦した公孫瓚は、易京に追い詰められることとなる。
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