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3章 群雄割拠
河北争乱(前編)
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劉備が徐州の救援に向かい。小沛の城主となった頃、河北を巡る状況は、公孫瓚の元から劉備が去ったことにより徐々に袁紹に傾いていた。袁紹はこれを好機と捉え、公孫瓚と結ぶ張燕の討伐を開始する。対する公孫瓚は、田楷からの報告を聞き、劉備の手綱を握るべく、楼桑村の民を人質にとるべく行動を開始した。
田楷「殿、劉備は油断ならぬ男。まんまと陶謙の諫言に乗り、小沛城を手に入れ、曹操と停戦しました」
公孫瓚「うむ(先生を連れ、俺の元から離れるか劉備よ。許せん)厳綱、楼桑村の民を捕らえよ。劉備に見せつけるのだ。ワシを裏切れば民がどうなるかを」
厳綱「承知しました」
公孫越「従兄上、俺も厳綱と共に向かいます」
公孫瓚「頼んだぞ、越よ」
楼桑村では、劉虞に受けた恩を返すため丘力居たち烏桓族が駐屯して、治安と民を守っていた。そこに公孫瓚軍の公孫越率いる白馬儀従。厳綱率いる歩兵が侵攻してくる。
厳綱「楼桑村の民に継ぐ。この地を捨て、速やかに易京城に参られよ。聞き入れぬのであれば、強硬手段に出る」
公孫越「所詮は、従兄上の庇護下にある民、少し脅せば降伏するだろう」
だがこの安易な考えは崩れる。民たちは、劉備の母・田豫の母を中心に徹底抗戦の構えを見せたのだ。この劉備のことを思う民たちの想いを無駄にしないため烏桓族を束ねる丘力居は、命を張ることを決める。
丘力居「貴方方は、どうやら聡いようだ。その気骨、気に入りましたぞ。この烏桓族の丘力居が守りましょう」
劉備の母「公孫瓚の狙いなんて、分かってるさね。あたしらを人質に取り、子供たちを意のままに利用することさ」
田豫の母「息子の足枷になるのなんてごめんだよ。そんなことになるぐらいなら公孫瓚軍と差し違えてやるさね」
民老人男「当たり前じゃ。ここはあの悪ガキだった劉備様の故郷じゃ。ワシらが守ってやるんじゃ」
民女「そうよそうよ。ここには公孫瓚の元に捕らわれに行く人なんて1人もいないわ」
民男「俺たちの息子も劉備様に仕えてんだ。子供達が操られるのを指を咥えて見ているつもりはねぇぞ」
蹋頓「全く、劉備とやらはこうも民を活気づけるか。だがこの気骨嫌いではない。公孫瓚には同胞を多数殺された恨みもある。雪辱戦としよう。難楼・蘇僕延・鳥延・速附丸よ。我ら烏桓の力を見せつけてやるのだ」
難楼「腕がなるぜ」
蘇僕延「馬鹿共に撤退を」
鳥延「同胞たちの敵を取る」
速附丸「必ずや勝利せん」
丘力居率いる烏桓族が楼桑村から出てきたことにより、厳綱・公孫越は戦を覚悟した。烏桓族の勢いは凄まじく。厳綱の歩兵隊は壊滅、厳綱は命からがら易京に撤退。だが逃げ遅れた公孫越は、烏桓族に密かに密書を送っていた袁紹軍の来襲により、討ち死にする。
厳綱「歩兵隊、構え」
丘力居「烏桓騎兵の恐ろしさ見せつけてやれ。突撃ー」
厳綱「烏桓騎兵の強さを侮ったか。我が歩兵が壊滅するなど。いかん。このままでは、撤退せねば」
蹋頓「どこに行く。逃げるのか腰抜けが」
丘力居「今は追うな蹋頓。劉備様の故郷の村を守るのが最優先だ」
蹋頓「分かってる」
公孫越「我が白馬儀従は負けん」
厳綱を壊滅させることに成功した烏桓族も公孫越が率いる白馬儀従には手を焼いていた。
丘力居「まずいな。我々が押されている」
蹋頓「クソーまたしても白馬儀従かよ」
丘力居「だが我々が引けば劉備様はこの先公孫瓚の傀儡となろう。それだけは阻止せねばならん。ここが踏ん張りどころぞ。耐えるのだ」
烏桓騎兵「オオオオオ」
そんな烏桓族を救ったのが袁紹軍から救援として来た周昂だった。周昂の弓により、公孫越は討ち取られ、指揮官を失った白馬儀従は散り散りに逃げ出した。
公孫越「ハハハ。我が白馬儀従の強さに恐れ慄け蛮族ども」
周昂「馬鹿な奴もいたものだ。あれだけ悪目立ちすれば、自分が指揮官だと明かしているも同じ。我が弓にて、死ぬがいい」
公孫越「ガハッ、いったいどこから。従兄上、申し訳ございません。グフッ」
白馬儀従「公孫越様が討ち取られた。引け引けー」
周昂「追う必要はない。今は、袁紹様の命に従い。烏桓と誼を通じる時。恩を与えた今なら容易いことよ」
周昂と丘力居が話し合う。
丘力居「袁紹殿とは書状でやりとりをしておりました。此度の救援誠に感謝致す」
周昂「いえいえ。御無事で何よりでした。公孫瓚は、自国の民にすら手を出す野蛮な男。烏桓族を束ねる丘力居殿には、是非我が殿袁紹に付いてもらいたいのです」
丘力居「うーむ。確かに我らは公孫瓚に恨みがある。良いでしょう。対等な同盟ということであればお受けしましょう」
周昂「有難い。これで我が殿にも良い報告ができるというものです」
丘力居「では、これよりは盟友として、共に公孫瓚に当たりましょうぞ」
周昂「えぇ(何故こんな辺鄙な村に烏桓族が滞在しているのかはわかりませんがこれで烏桓を利用することはできましょう)」
公孫越が袁紹の配下に討たれたことを知った公孫瓚は袁紹に怒りの矛先を向けることとなる。
公孫瓚「何!?越が討ち死にしただと!?許さぬ許さぬぞ袁紹」
厳綱「楼桑村に袁紹軍が現れたということは、田楷の言葉にも真実味が増すかと」
公孫瓚「劉備め。恩を仇で返すか。よもや曹操・袁紹と結ぶとは。良いだろう。袁紹の次は貴様だ劉備よ」
人を信じられない公孫瓚は、重用する無能な家臣の言葉しか信じない。劉備は、兄弟子である公孫瓚のことを変わらず友として慕っているとは知らずに。
田楷「殿、劉備は油断ならぬ男。まんまと陶謙の諫言に乗り、小沛城を手に入れ、曹操と停戦しました」
公孫瓚「うむ(先生を連れ、俺の元から離れるか劉備よ。許せん)厳綱、楼桑村の民を捕らえよ。劉備に見せつけるのだ。ワシを裏切れば民がどうなるかを」
厳綱「承知しました」
公孫越「従兄上、俺も厳綱と共に向かいます」
公孫瓚「頼んだぞ、越よ」
楼桑村では、劉虞に受けた恩を返すため丘力居たち烏桓族が駐屯して、治安と民を守っていた。そこに公孫瓚軍の公孫越率いる白馬儀従。厳綱率いる歩兵が侵攻してくる。
厳綱「楼桑村の民に継ぐ。この地を捨て、速やかに易京城に参られよ。聞き入れぬのであれば、強硬手段に出る」
公孫越「所詮は、従兄上の庇護下にある民、少し脅せば降伏するだろう」
だがこの安易な考えは崩れる。民たちは、劉備の母・田豫の母を中心に徹底抗戦の構えを見せたのだ。この劉備のことを思う民たちの想いを無駄にしないため烏桓族を束ねる丘力居は、命を張ることを決める。
丘力居「貴方方は、どうやら聡いようだ。その気骨、気に入りましたぞ。この烏桓族の丘力居が守りましょう」
劉備の母「公孫瓚の狙いなんて、分かってるさね。あたしらを人質に取り、子供たちを意のままに利用することさ」
田豫の母「息子の足枷になるのなんてごめんだよ。そんなことになるぐらいなら公孫瓚軍と差し違えてやるさね」
民老人男「当たり前じゃ。ここはあの悪ガキだった劉備様の故郷じゃ。ワシらが守ってやるんじゃ」
民女「そうよそうよ。ここには公孫瓚の元に捕らわれに行く人なんて1人もいないわ」
民男「俺たちの息子も劉備様に仕えてんだ。子供達が操られるのを指を咥えて見ているつもりはねぇぞ」
蹋頓「全く、劉備とやらはこうも民を活気づけるか。だがこの気骨嫌いではない。公孫瓚には同胞を多数殺された恨みもある。雪辱戦としよう。難楼・蘇僕延・鳥延・速附丸よ。我ら烏桓の力を見せつけてやるのだ」
難楼「腕がなるぜ」
蘇僕延「馬鹿共に撤退を」
鳥延「同胞たちの敵を取る」
速附丸「必ずや勝利せん」
丘力居率いる烏桓族が楼桑村から出てきたことにより、厳綱・公孫越は戦を覚悟した。烏桓族の勢いは凄まじく。厳綱の歩兵隊は壊滅、厳綱は命からがら易京に撤退。だが逃げ遅れた公孫越は、烏桓族に密かに密書を送っていた袁紹軍の来襲により、討ち死にする。
厳綱「歩兵隊、構え」
丘力居「烏桓騎兵の恐ろしさ見せつけてやれ。突撃ー」
厳綱「烏桓騎兵の強さを侮ったか。我が歩兵が壊滅するなど。いかん。このままでは、撤退せねば」
蹋頓「どこに行く。逃げるのか腰抜けが」
丘力居「今は追うな蹋頓。劉備様の故郷の村を守るのが最優先だ」
蹋頓「分かってる」
公孫越「我が白馬儀従は負けん」
厳綱を壊滅させることに成功した烏桓族も公孫越が率いる白馬儀従には手を焼いていた。
丘力居「まずいな。我々が押されている」
蹋頓「クソーまたしても白馬儀従かよ」
丘力居「だが我々が引けば劉備様はこの先公孫瓚の傀儡となろう。それだけは阻止せねばならん。ここが踏ん張りどころぞ。耐えるのだ」
烏桓騎兵「オオオオオ」
そんな烏桓族を救ったのが袁紹軍から救援として来た周昂だった。周昂の弓により、公孫越は討ち取られ、指揮官を失った白馬儀従は散り散りに逃げ出した。
公孫越「ハハハ。我が白馬儀従の強さに恐れ慄け蛮族ども」
周昂「馬鹿な奴もいたものだ。あれだけ悪目立ちすれば、自分が指揮官だと明かしているも同じ。我が弓にて、死ぬがいい」
公孫越「ガハッ、いったいどこから。従兄上、申し訳ございません。グフッ」
白馬儀従「公孫越様が討ち取られた。引け引けー」
周昂「追う必要はない。今は、袁紹様の命に従い。烏桓と誼を通じる時。恩を与えた今なら容易いことよ」
周昂と丘力居が話し合う。
丘力居「袁紹殿とは書状でやりとりをしておりました。此度の救援誠に感謝致す」
周昂「いえいえ。御無事で何よりでした。公孫瓚は、自国の民にすら手を出す野蛮な男。烏桓族を束ねる丘力居殿には、是非我が殿袁紹に付いてもらいたいのです」
丘力居「うーむ。確かに我らは公孫瓚に恨みがある。良いでしょう。対等な同盟ということであればお受けしましょう」
周昂「有難い。これで我が殿にも良い報告ができるというものです」
丘力居「では、これよりは盟友として、共に公孫瓚に当たりましょうぞ」
周昂「えぇ(何故こんな辺鄙な村に烏桓族が滞在しているのかはわかりませんがこれで烏桓を利用することはできましょう)」
公孫越が袁紹の配下に討たれたことを知った公孫瓚は袁紹に怒りの矛先を向けることとなる。
公孫瓚「何!?越が討ち死にしただと!?許さぬ許さぬぞ袁紹」
厳綱「楼桑村に袁紹軍が現れたということは、田楷の言葉にも真実味が増すかと」
公孫瓚「劉備め。恩を仇で返すか。よもや曹操・袁紹と結ぶとは。良いだろう。袁紹の次は貴様だ劉備よ」
人を信じられない公孫瓚は、重用する無能な家臣の言葉しか信じない。劉備は、兄弟子である公孫瓚のことを変わらず友として慕っているとは知らずに。
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