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3章 群雄割拠

まだまだ列を成している人材

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 歩騭が一歩下がり次のものが前へと出る。
 ???「諸葛瑾子兪シヨカツキンシユと申します。戦乱を避け南へと逃げる途中で、立て札を見て、思い留まり。コチラに参った次第。父を曹操の虐殺により失い。まだ幼い弟たちを養わなければならぬ身。ですが弟たちには荊州にいる知り合いの元に預けようと考えております。その際の護衛をお借りできれば嬉しいのですが」
 劉備「弟たちのことがさぞ心配であろう。趙雲」
 趙雲「はっ」
 劉備「諸葛瑾が弟たちを荊州へと避難させる際の護衛を任せる。務めを果たすのだぞ」
 趙雲「必ずや御期待に応えます」
 劉備「うむ。趙雲は我が軍でも5本の指に入る猛将だ。心配せずとも安心して弟たちを送り届けるだろう」
 諸葛瑾「過分な御配慮に感謝いたします。これよりは殿とお呼びし、お仕え致します」
 劉備「諸葛瑾の働きに期待する」
 諸葛瑾「はい」
 諸葛瑾が一歩下がると次の者が前へと出る。
 ???「厳畯曼才ゲンシュンマンサイと申します。此度は曹操による徐州の大虐殺をお止めくださり感謝いたします。戦乱を避け、先ほど挨拶した友たちと共に南へと逃げようとしていたところ立て札を目にしまして、このままではダメだと思い立ち。曹操と戦っている劉備様に力添えをしようとコチラに参った次第。よろしくお願いいたします」
 劉備「罪もない民を大虐殺など許されることではない。それを止めるのは当然のこと。そんなに頭を下げぬでも良い。地位も何も持たぬ大業だけ高いだけの男になどな」
 厳畯「その大業、我らもお支え致しましょう」
 劉備「厳畯、感謝する。その働きに期待する」
 厳畯「お任せを」
 厳畯が下がると次の者が前へと出る。
 ???「衛旌エイセイと申します。歩騭と親友でしてな。歩騭に付いてコチラに参った次第。よろしくお願いいたします」
 劉備「よく来てくれた。衛旌の働きに期待する」
 衛旌「はっ」
 衛旌が下がると次の者が前へと出た。かなり若い見た目の青年であった。
 ???「徐盛文嚮ジョセイブンキョウと申す。曹操の虐殺のせいで俺たちは多くの友達を失った。仕返ししてやりてぇ。でも、俺は護衛なんて向いてねぇ。広く才ある者を求めるって書いてた。この一文で来た。劉備様、どうか俺を雇ってくれねぇか」
 現代だと高校生ぐらいの歳の子が劉備に頭を深く下げて頼み込んでいた。
 劉備「ハッハッハ」
 徐盛「何がおかしいんだよ。ふざけんなよ。こんなに頼み込んでんだぞ」
 劉備「いやいや。すまん。まさか、堂々と曹操殿に復讐したいなどと申す者がいるとは思っていなくてな。皆、その気持ちはあったであろう。やっとできた安住の地を曹操殿の父を殺したという名目で大虐殺されたのだ。それも何の罪もない民たちがだ。だが皆必死に耐え、口には出さなかった。だが、お前は堂々と言ったのでな。なんと義侠の熱い男かと」
 関羽「兄者。この若者を某の元に預けてくださらぬか?」
 劉備「私も雲長の元が良いだろうと考えていた。徐盛よ。雲長の元で、励むが良い」
 徐盛「へっ?俺を雇ってくれんのか?」
 劉備「そう言っている」
 徐盛「感謝するぜ。いや、これじゃダメだな。感謝します劉備様」
 劉備「良い良い。そんなに気負うな。普通にせよ」
 徐盛「じゃあ、お言葉に甘えるとすっか。あんがとよ劉備の旦那」
 関羽「徐盛、兄者にそのような態度を」
 劉備「ハッハッハ。実に面白い男だ。徐盛よ。その働きに期待しているぞ」
 徐盛「任せてくれ」
 皆の挨拶が終わると劉備は広く集まった兵たちに声を掛ける。それも1人1人に。
 田豫「あぁいうところだろうな殿が民や配下や役人にも慕われてんのは」
 義賢「そうですね」
 田豫「義賢、1つ書いておきたいことがあったんだが、お前いつから記憶が無い」
 義賢「!?隠し通せませんか」
 田豫「初めからおかしいと思ってたんだ。俺と会った時もまるで初めましてって顔してたしよ。お前の小さい時から知ってる俺だぞ。忘れてもしなければあんな反応にはならねぇよ。それによ。舞のことだ。舞と話してる時もまるでぎこちなかった。でも殿が何も言わねぇんだ。俺が言えるわけもないだろう。それに俺は感謝してんだ。お前のおかげでオフクロは元気になった。産まれた時から女手1つで俺のことを育ててくれた大事な母さんだ。黄巾の乱の時、間違って張宝を殺してたらって思うと怖くなる」
 義賢「田豫殿」
 田豫「湿っぽくなっちまったな。俺はお前に感謝してるってことを言っときたかっただけだ。お前の記憶が無いってことをこれ以上詮索するつもりもねぇから安心しな」
 簡雍「いやいや。男2人で密談かい。怖いねぇ。さては俺の悪口かい」
 田豫「そんなところだ」
 義賢「えぇ。仕事ができるのにおちゃらけてるところとか」
 簡雍「やめてくれやめてくれ。適度に気を抜くのが良いんだ。今は麗のやつもこっちに来てねぇからな。危ねぇってことで家族はみんな楼桑村に預けてるからな」
 義賢「そうだった。ってことはここに来てる女って董白だけ。やばい兵士たちに」
 簡雍「もう囲まれた待ってるかもしれないねぇ」
 田豫「俺たちのことは良いから、救ってきな」
 義賢「それでは失礼します」
 田豊「義賢様は、どうかなされたのか?」
 沮授「愛馬に跨り猛スピードとは何か問題が?」
 田豫「気にすんな。女が兵士に取られるかもって気が気じゃ無いだけだ」
 簡雍「えぇ、そうですねぇ。ニヤニヤ」
 黝廉に跨り、猛スピードで董白の元へと向かう義賢であった。
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