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3章 群雄割拠
劉備の器
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糜竺・陳珪・臧覇・王朗・呉範の5人が劉備の幕舎に入ると外とは打って変わって、政務に忙しそうにしている劉備の姿があった。
劉備「皆様らお待たせして申し訳ありませぬ。私が劉備です」
糜竺「徐州の豪商で陶謙殿の相談役を務めております糜竺と申します。政務は劉備殿御自身でやられているのですか?」
劉備「糜竺殿、よろしくお願いいたします。政務に明るいものが我が軍には居なくて、皆様をここまで案内してくれた弟に手伝ってもらいながらやっている感じです」
義賢「兄上、せっかく陶謙殿のところからわざわざ挨拶に来てくださったのですから政務はここまでにしておきましょう」
劉備「あぁ、そうだな。お前たちも休んで良い。宴を楽しんで来るのだ」
役人「有難い。御言葉に甘えて、少し席を外します」
劉備の政務を手伝っていた役人たちがゾロゾロと外に出ていく。
糜竺「成程、手伝ってくださる方はいるという感じなのですね」
劉備「そうですね。こんななんの取り柄もない私に力を貸してくれている元役人たちです」
陳珪「陶謙軍の政務を担当しております。陳珪と申します。でも先程の者たちは皆、目を輝かせておりました。劉備殿のお役に立てて嬉しいのでしょう」
劉備「陳珪殿、よろしくお願いいたします。そうであれば良いのですが私がフラフラとしていたばかりに彼らには苦労をかけっぱなしですから」
呉範「呉範と申します。ハハハ。劉備殿は思った通りの御方だ。私は星占いが得意でしてな。劉備殿は大器の器。必ずや曹操殿に抗える兵力を手にすることができるでしょう」
劉備「呉範殿、よろしくお願いいたします。星占いですか。それは凄いですな。ですが私など曹操殿の足元にも及ばない小石のようなものです。だからこそ、抗うために皆の力を借りるのです」
臧覇「陶謙軍の騎都尉を務めている臧覇だ。自分の弱さを隠さないってのは評価できるが皆の力を借りても強大な力には敵わねぇだろ。どうして抗う?」
劉備「臧覇殿ですね。よろしくお願いいたします。私は全ての民が安寧に暮らせる世界を作りたいのです。此度の件で曹操殿とは相容れぬことがわかりました。私は例え今は敵わなくても何度も抗い続けるでしょう。いつか一矢報いるために」
王朗「今は劉繇軍に身を置いている王朗と申す。劉備殿は王道を目指すのですね。曹操殿の覇道と反対の」
劉備「王道かどうかはわかりませんが私が目指したいのは民が苦しむことがなく平穏で穏やかな毎日を暮らせる世界です」
王朗「辛く険しい道ですな」
劉備「それでも私は此度の徐州においての曹操軍による虐殺のような相手を力でねじ伏せることを認めたくはないのです」
義賢「王朗殿でしたか?」
王朗「劉備殿の弟君でしたな」
義賢「あっこれは名乗らず失礼致しました。劉義賢と申します」
王朗「劉丁殿、それでワシに御用ですかな?」
義賢「王朗殿のような弁舌にも政務にも明るい方が兄上を手伝ってくださるとありがたいのですが」
王朗「ハッハッハ。人目も憚らずに勧誘されるとは。ですが今危機に陥っている劉繇殿を見捨てることなどできぬ」
義賢「そうですか。揚州はいずれ孫堅殿のものとなるでしょう」
呉範「!?。義賢殿ももしや星占いができるのですかな?」
義賢「いえ、勢いのある孫堅殿に対して、人をうまく使いこなせない劉繇殿では敵わないだろうと。あくまで俺なりの人物観察なので、気を悪くしたら申し訳ありません」
王朗「ハッハッハ。気になさらなくても構いませぬ。確かに我が主君は、人の扱いが下手だ」
義賢「でも、恩義があるから離れられないといった感じでしょうか」
王朗「ハッハッハ。その通りじゃ」
義賢「王朗殿、劉繇殿は孫堅殿には勝てないでしょう。俺は王朗殿を失いたくはないと考えています。どうでしょう兄上はこの通り、少し頼りないところが多く見受けられます。政務でも支えてくださる方が必要なのです。共に歩んではくださいませぬか?」
王朗「うーむ。どうして会ったこともないワシをそのように評価してくださるのですかな?」
義賢「俺にもわかりませんが王朗殿が兄上を手伝ってくださったら俺の負担も減るのになと」
王朗「ハッハッハ。普段の分担とは。これは面白いことを言いなさる。確かに劉備殿の役人に対しての接し方、役人たちの顔。この職場をさぞ楽しいでしょうな。ですが、大恩ある劉繇殿を裏切ることなどできぬのです。申し訳ございませぬ」
劉備「丁よ。自分が楽になりたいからと王朗殿をお止めするでない。弟が迷惑をかけて申し訳ない」
王朗「いえ、この職場が楽しそうだと思ったのは事実ですからな」
劉備「私も王朗殿が手を貸してくださったら心強いとは思う。だが恩ある方を裏切らせてまで手伝って欲しいとは思わぬ。それは仁義の無い行為だ。これからも劉繇殿をお支えしてあげてくだされ」
王朗「言われなくてもそのつもりです。ですが、あの件に関しては大いに賛成できると思いました」
劉備「あの件?」
王朗「こちらの話です。お気になさらず」
糜竺「王朗殿も納得してくださったようなので、我々はこれで陶謙殿の元に戻ることにします。劉備殿、くれぐれも小沛を頼みましたぞ」
劉備「わざわざ挨拶に来てくださりありがとうございました。陶謙殿にもお任せくださいとお伝えください」
陳珪「必ず」
糜竺・陳珪・臧覇・王朗・呉範は、陶謙の元に帰るその道中陶謙殿の遺言の件に関して、言葉を交わす。
糜竺「あのように惹きつけられる御仁に初めてお会いした。私は大いに殿の遺言に賛成したいと考えている」
陳珪「うむ。あの謙虚な姿勢も気に入った。ワシも賛成じゃ」
臧覇「強大なものに対して怯まない度胸に感服したぜ。あの大博打は楽しそうだってな」
王朗「政治力が無いなどと申しておりましたが、治安の悪かった小沛の民心があそこまで落ち着いている点は評価できると思いますなぁ」
呉範「私は元より賛成だったので、劉備殿を一目見るだけのつもりでしたが寧ろ弟である劉丁殿に興味が湧きました」
糜竺「では、全員一致で陶謙様亡き後は劉備殿に徐州牧をお願いするということで構いませぬな?」
陳珪・臧覇・王朗・呉範「異議なし」
劉備の人徳に当てられた5人は陶謙の遺言を尊重することを決めるのであった。
劉備「皆様らお待たせして申し訳ありませぬ。私が劉備です」
糜竺「徐州の豪商で陶謙殿の相談役を務めております糜竺と申します。政務は劉備殿御自身でやられているのですか?」
劉備「糜竺殿、よろしくお願いいたします。政務に明るいものが我が軍には居なくて、皆様をここまで案内してくれた弟に手伝ってもらいながらやっている感じです」
義賢「兄上、せっかく陶謙殿のところからわざわざ挨拶に来てくださったのですから政務はここまでにしておきましょう」
劉備「あぁ、そうだな。お前たちも休んで良い。宴を楽しんで来るのだ」
役人「有難い。御言葉に甘えて、少し席を外します」
劉備の政務を手伝っていた役人たちがゾロゾロと外に出ていく。
糜竺「成程、手伝ってくださる方はいるという感じなのですね」
劉備「そうですね。こんななんの取り柄もない私に力を貸してくれている元役人たちです」
陳珪「陶謙軍の政務を担当しております。陳珪と申します。でも先程の者たちは皆、目を輝かせておりました。劉備殿のお役に立てて嬉しいのでしょう」
劉備「陳珪殿、よろしくお願いいたします。そうであれば良いのですが私がフラフラとしていたばかりに彼らには苦労をかけっぱなしですから」
呉範「呉範と申します。ハハハ。劉備殿は思った通りの御方だ。私は星占いが得意でしてな。劉備殿は大器の器。必ずや曹操殿に抗える兵力を手にすることができるでしょう」
劉備「呉範殿、よろしくお願いいたします。星占いですか。それは凄いですな。ですが私など曹操殿の足元にも及ばない小石のようなものです。だからこそ、抗うために皆の力を借りるのです」
臧覇「陶謙軍の騎都尉を務めている臧覇だ。自分の弱さを隠さないってのは評価できるが皆の力を借りても強大な力には敵わねぇだろ。どうして抗う?」
劉備「臧覇殿ですね。よろしくお願いいたします。私は全ての民が安寧に暮らせる世界を作りたいのです。此度の件で曹操殿とは相容れぬことがわかりました。私は例え今は敵わなくても何度も抗い続けるでしょう。いつか一矢報いるために」
王朗「今は劉繇軍に身を置いている王朗と申す。劉備殿は王道を目指すのですね。曹操殿の覇道と反対の」
劉備「王道かどうかはわかりませんが私が目指したいのは民が苦しむことがなく平穏で穏やかな毎日を暮らせる世界です」
王朗「辛く険しい道ですな」
劉備「それでも私は此度の徐州においての曹操軍による虐殺のような相手を力でねじ伏せることを認めたくはないのです」
義賢「王朗殿でしたか?」
王朗「劉備殿の弟君でしたな」
義賢「あっこれは名乗らず失礼致しました。劉義賢と申します」
王朗「劉丁殿、それでワシに御用ですかな?」
義賢「王朗殿のような弁舌にも政務にも明るい方が兄上を手伝ってくださるとありがたいのですが」
王朗「ハッハッハ。人目も憚らずに勧誘されるとは。ですが今危機に陥っている劉繇殿を見捨てることなどできぬ」
義賢「そうですか。揚州はいずれ孫堅殿のものとなるでしょう」
呉範「!?。義賢殿ももしや星占いができるのですかな?」
義賢「いえ、勢いのある孫堅殿に対して、人をうまく使いこなせない劉繇殿では敵わないだろうと。あくまで俺なりの人物観察なので、気を悪くしたら申し訳ありません」
王朗「ハッハッハ。気になさらなくても構いませぬ。確かに我が主君は、人の扱いが下手だ」
義賢「でも、恩義があるから離れられないといった感じでしょうか」
王朗「ハッハッハ。その通りじゃ」
義賢「王朗殿、劉繇殿は孫堅殿には勝てないでしょう。俺は王朗殿を失いたくはないと考えています。どうでしょう兄上はこの通り、少し頼りないところが多く見受けられます。政務でも支えてくださる方が必要なのです。共に歩んではくださいませぬか?」
王朗「うーむ。どうして会ったこともないワシをそのように評価してくださるのですかな?」
義賢「俺にもわかりませんが王朗殿が兄上を手伝ってくださったら俺の負担も減るのになと」
王朗「ハッハッハ。普段の分担とは。これは面白いことを言いなさる。確かに劉備殿の役人に対しての接し方、役人たちの顔。この職場をさぞ楽しいでしょうな。ですが、大恩ある劉繇殿を裏切ることなどできぬのです。申し訳ございませぬ」
劉備「丁よ。自分が楽になりたいからと王朗殿をお止めするでない。弟が迷惑をかけて申し訳ない」
王朗「いえ、この職場が楽しそうだと思ったのは事実ですからな」
劉備「私も王朗殿が手を貸してくださったら心強いとは思う。だが恩ある方を裏切らせてまで手伝って欲しいとは思わぬ。それは仁義の無い行為だ。これからも劉繇殿をお支えしてあげてくだされ」
王朗「言われなくてもそのつもりです。ですが、あの件に関しては大いに賛成できると思いました」
劉備「あの件?」
王朗「こちらの話です。お気になさらず」
糜竺「王朗殿も納得してくださったようなので、我々はこれで陶謙殿の元に戻ることにします。劉備殿、くれぐれも小沛を頼みましたぞ」
劉備「わざわざ挨拶に来てくださりありがとうございました。陶謙殿にもお任せくださいとお伝えください」
陳珪「必ず」
糜竺・陳珪・臧覇・王朗・呉範は、陶謙の元に帰るその道中陶謙殿の遺言の件に関して、言葉を交わす。
糜竺「あのように惹きつけられる御仁に初めてお会いした。私は大いに殿の遺言に賛成したいと考えている」
陳珪「うむ。あの謙虚な姿勢も気に入った。ワシも賛成じゃ」
臧覇「強大なものに対して怯まない度胸に感服したぜ。あの大博打は楽しそうだってな」
王朗「政治力が無いなどと申しておりましたが、治安の悪かった小沛の民心があそこまで落ち着いている点は評価できると思いますなぁ」
呉範「私は元より賛成だったので、劉備殿を一目見るだけのつもりでしたが寧ろ弟である劉丁殿に興味が湧きました」
糜竺「では、全員一致で陶謙様亡き後は劉備殿に徐州牧をお願いするということで構いませぬな?」
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