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3章 群雄割拠

公孫瓚の元に戻ろうとする劉備を止める陶謙

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 和平交渉がなり、平穏を取り戻した徐州を離れて、公孫瓚の元に帰る支度をする劉備を陶謙が止める。
 陶謙「劉備殿が居なくなれば曹操は約束を反故にして攻めてくるやもしれませぬ。どうか小沛城に留まってくれませぬか?」
 劉備「そうしたいのは山々なのですが兄弟子も今河北にて袁紹と争っているのです。私は見捨てることができません」
 だがここで意外な人物が助け舟を出した。
 田楷「良いのではないですか?確かにまた徐州が曹操軍に攻められた救援を頼むと何度も来られてもかないませぬ。それなら劉備殿が暫く駐屯なさると良い。公孫瓚様には俺の方から話しておきましょう」
 劉備「そうですか。ではお言葉に甘えましょう。田楷殿、兄弟子にくれぐれもよろしくお願いいたします」
 田楷「そちらも陶謙殿に迷惑をかけぬよう気をつけられよ」
 劉備「承知しました」
 そう田楷はここで起こったことを有る事無い事を公孫瓚に盛って話をするために邪魔であった劉備をここに駐屯させることに同意したのだ。そして意気揚々と帰っていくのである。そして劉虞・盧植との別れの時が来た。
 劉虞「鮮于輔・田籌よ。劉備殿のことを頼んだぞ」
 鮮于輔「殿、お任せくだされ。殿もどうか健やかに」
 田籌「殿から受けた恩は忘れませぬ。どうか健やかに」
 劉虞「うむ。2人ともありがとう。鮮于銀・魏攸、参るとするぞ」
 ???「劉虞様~お待ちください」
 2人の異民族の男が向かってきた。
 劉虞「おお、お主たちは烏桓の丘力居キュウリキキョとその従兄弟の蹋頓トウトンではないか?まさか公孫瓚に何かされたのか?」
 丘力居「いえ、劉虞様のお陰で何事もなく暮らせております。この度、荊州の奥地へと赴任するとお聞きし、ご挨拶に参りました」
 劉虞「相変わらず律儀なやつじゃ。紹介しよう。劉備様じゃ」
 劉備「劉虞殿、様付けはやめてくだされ」
 劉虞「何をいう、ワシはもう家臣の1人なのじゃぞ」
 蹋頓「アンタが劉備か。劉虞様が仕えるに値するやつなのかねぇ」
 丘力居「やめぬか蹋頓」
 蹋頓「すまねぇ」
 丘力居「我ら烏桓はいつまでも劉虞様から受けた恩を忘れませぬ。劉虞様が信頼する劉備殿にいつでも兵をお貸しすることをお約束致します。軍馬が御入用の際は我らに頼ってくだされ」
 劉備「過分な申し出、感謝致します。劉虞殿の見送りに来てくださり重ね重ね感謝申し上げる」
 丘力居「フッ劉虞様が惹かれた理由がわかりました。劉備殿、これから末長いお付き合いをよろしくお願いいたしますぞ」
 劉備「こちらこそ」
 劉虞「丘力居・蹋頓よ。見送りに感謝する」
 丘力居「どうかお元気で」
 蹋頓「歳なんだから身体労ってくれよな」
 ???「父上のことはオラに任せておけ」
 丘力居「まさか劉和リュウワ様か。大きゅうなられたな」
 丘力居が劉和の頭をガシガシ撫でる。
 劉和「こら、痛いではないか丘力居。楼班ロウハンは元気にしてるのか」
 丘力居「元気にしております」
 劉和「そうか。今までよくしてくれて感謝する」
 丘力居「必ずや伝えましょう」
 劉和「よろしく頼む」
 鮮于銀「兄貴、こっちのことは任せとけ」
 魏攸「頼らない鮮于銀殿には任せられないのではありませんかな」
 鮮于銀「言ったな魏攸」
 鮮于輔「2人とも、殿のことを頼む」
 鮮于銀「任せとけ」
 魏攸「鮮于輔殿も劉備様のことをよろしく頼みましたぞ」
 鮮于輔「あぁ」
 こうして、劉虞・劉和・魏攸・鮮于銀は盧植たちが劉備との別れを惜しんでいるのを見届けていた。
 盧植「劉備よ。もしも公孫瓚が頼ってくるようなことがあれば助けてやってくれ」
 劉備「先生。わかっております」
 盧植「すまぬ。苦労をかける」
 劉備「先生には荒くれ者だった私を熱心に指導してもらった恩があります。高誘兄・公孫瓚兄と共に学んだ日々が遠く懐かしい思い出となりここに残っております」
 盧植「そう言ってくれるのなら師匠冥利に尽きるな。劉備よ。くれぐれも身体に気をつけるのだぞ」
 劉備「先生も」
 高誘「先生のことは俺に任せとけ劉備」
 劉備「高誘兄もどうかお元気で」
 高誘「おぅ、落ち着いたら手紙で近況知らせる」
 劉備「楽しみにお待ちしております」
 高誘「おぅ」
 盧植「では、劉虞殿をあまり待たせても悪かろう。参るぞ高誘」
 高誘「はい先生」
 劉虞「盧植殿、別れの挨拶は済みましたかな?」
 盧植「うむ。劉虞殿、お待たせして申し訳ない」
 劉虞「いえいえ、では行きましょう」
 劉虞・劉和・鮮于銀・魏攸・盧植・高誘は、荊州の奥地で劉宏寺を開いた霊帝とその近くで診療所を営んでいる張角の元へと向かっていくのであった。それを見送り、解散となるがここで丘力居から以外な提案があった。
 丘力居「劉備殿でしたな。我らは貴方を主君として臣従致します。それゆえ、軍馬・兵力が入用の際はどうぞお呼びください。まだ安定している都市を持たぬとお聞きしました。故郷である楼桑村の人々のことがさぞ心配でありましょう。護衛は我ら烏桓が担いましょう。安心なさってください」
 劉備「なんと!?過分な申し出、ありがたく頂戴いたします」
 義賢「丘力居殿でしたね」
 丘力居「確か、劉備殿の弟君であられる劉丁殿でしたか?」
 義賢「はい。我らは守りに徹するあまり騎兵の重要性を疎かにしておりました。今回田楷から借り受けていた馬も手放した上、我らの馬は2000程しかいないのです。馬の調達をお願いできませんか?勿論、金はお支払いします」
 丘力居「ハハハ。皆烏桓と聞けば近づこうともしないのに、さすが劉虞様がお認めになるだけのお方だ。1万ほど見繕ってきましょう。少し値は張りますがお近づきの印に3000頭お譲りしましょう。残りは資金が出来次第ご連絡いただければその都度お渡ししましょう」
 義賢「感謝致します丘力居殿」
 丘力居「我らは劉備殿に臣従するのです。丘力居と呼び捨てで構いませぬ。そうか臣従するのですから劉備殿では失礼でしたな。劉備様」
 劉備「丘力居殿、良き友を得て私は幸せ者だな。劉虞殿になんと御礼を申せば良いか」
 丘力居「こちらこそ劉虞様の命をお助けくださり感謝しています。あのままだったら近いうちにきっと公孫瓚に殺されていたでしょう。その恩に報いるためならその程度のこと大したことではありませぬ」
 劉備「感謝する」
 こうして、劉備は劉虞を通して、烏桓という異民族との交流を深めることとなり、楼桑村のことは丘力居に任せて、小沛城へと向かうのであった。
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