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3章 群雄割拠

何度やってもピースが足りない

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 徐州救援前に戻った義賢は、必死に欠けたピースを探す。だが何度やっても陶謙の長子陶商が曹操に交渉に向かい殺される。そう、そもそも劉備義勇軍が駆けつけた時には陶商は死んでいるのだ。ここは変えられないのかと思いたち何か変えないと意味がないと逆に陶応の暗殺をしてみた。弓が得意な義賢ならではの遠距離暗殺だ。しかしその一部始終を臧覇に見られていたとかで追及され、劉備義勇軍を追放となり、野武士により殺される。これが1回目だ。2回目は、陶商の暗殺を防ごうと1人馬を飛ばして曹操の幕舎に突っ込んだところを義賢のことを知らない親衛隊長2人により刺殺される。「オー劉義賢よ。死んでしまうとは情けない」パラレル甘氏によるこの言葉を聞くのも3回目になる。義賢は心が折れかけていた。
 義賢「良い加減ヒント頂けないかと」
 甘氏「甘えるな馬鹿者。だがそうじゃな。妾がチュートリアル終了の時に申したことを思い出すのじゃ。ではな、もうすぐ四年に一度のワールドカップなるものが始まるのじゃ。みたいのでな。アディオス」
 義賢「ワールドカップって、各スポーツの祭典だよね。あれって1年に一回じゃなかったっけ?4年に一度はオリンピックなんじゃないか。まぁどっちでもええけど。パラレル甘氏さんが言ってたことね。うーん。確か。1つ、パラレル甘氏の望まぬ結果の場合は強制終了という名の死が与えられる。2つ、御自身で答えを見つけろ。結局これかよ。クソー。どうしたら良いんだ。流石に3回も同じことの繰り返しで変わり映えしないまま死に続けるのはごめんだぜ」
 義賢が思いの丈を吐き出すと意識が覚醒する。
 義賢「ハッハァハァハァ」
 劉備「丁、大丈夫か?急に倒れて」
 田豊「気が付かれたようで安心しましたぞ」
 沮授「いきなり倒れたので、どうしたら良いのか狼狽えてしまいましたが流石劉備様ですな。的確に簡易ベッドを作るとそこに運んで寝ころばせて、額を水に濡らしたタオルで看病しておられました」
 劉備「沮授、みなまで言うでない。恥ずかしいであろう」
 沮授「申し訳ありませぬ」
 義賢「兄上、御心配をおかけして申し訳ありません」
 劉備「良いのだ。お前に心労ばかり与えている兄を許してくれ。落ち着ける土地を早く見つけねばならんな」
 張飛「こんなに何回も意識無くしてて大丈夫なのかよ。お前さんは」
 義賢「えぇ、特に異常は感じませんね」
 関羽「一度、張角殿に診てもらうのは如何か?」
 田豊「張角?黄巾党の党首が生きているのですか!」
 張角という言葉を聞き驚く田豊や沮授を含めた黄巾の乱以降の武将たちに説明をした。
 沮授「成程、にわかには信じられませぬが」
 田豊「いや、納得した。実は韓馥軍に仕官する前の話なのだがしつこい流行病を患った時に張角殿に治してもらったことがある。拡大する賊徒を抑え込むために朝廷を巻き込むとは恐れ入るが。でも、そういう味方が居るのは心強いでしょうな。一度診ていただいたらよろしいかと」
 義賢「大丈夫ですよ。ただの疲れか。暑くなってきたので貧血ですよ」
 関羽「そこまでいうのであればもう何もいうまい」
 張飛「まぁ、この大事な時期に抜けられても困るしな」
 劉備「丁、無理はするなよ」
 麋芳「話はすみやしたか?」
 劉備「麋芳殿、申し訳ない。これより陶謙殿の救援に向かう」
 麋芳「助かりやすぜ」
 こうして、また救援に向かうのだが相変わらず陶謙の長子陶商は曹操軍との交渉に向かい無惨な姿となり果てる。だったら兄上に徐州牧を辞任させようと頼むが頼みを断ることはできないと言われてしまい。暗殺当日を迎え、部屋の交換が行われる。そして陶謙の次子陶応と臧覇たち、曹豹たちが襲撃してくる。今度は起きて、対処してみる。
 義賢「誰だ!」
 陶応「チッまだ起きていやがったか。かまわねぇ。やっちまえ」
 起きて対処しても多勢に無勢だ。1人で抗えるわけもない。何人かを弓で射殺すのが精一杯だった。
 義賢「ガハッ。兄上申し訳ありませぬ」
 陶応「兄上?クソコイツ劉備じゃねぇ」
 駆けつけた劉備軍により殲滅される暗殺者たち。
 劉備「私が部屋を変わって欲しいなどと申したばかりにすまぬ丁」
 義賢「あ、に、う、え、ど、う、か。ゴフッ」
 劉備「丁、丁ーーーーーーーー」
 こうして4回目の死を迎えた義賢は、またパラレル甘氏の「オー劉義賢よ。死んでしまうとは情けない」という言葉を聞く。一体どうすればここから巻き返しができるのだろうか?だが今回の分岐点は陶謙軍への救援前だ。これは変えられない。詰みなのだろうか?
 甘氏「詰みだと考えているのならそれはあり得ないとだけ断言してやるのじゃ」
 義賢「うお。まだ話せたのか」
 甘氏「全く、困ったものじゃ。こんなに物覚えの悪い男であったとは、本来死ぬはずだったものがお前との縁で繋がって生きているであろう。ということはその者の中にはお前との感応度の高い者が居るはずじゃ。その者たちと共に考えてみるのじゃ」
 義賢「感応度?」
 甘氏「えぇい、なんでも聞き返すでない。後は自分で考えよ」
 義賢「ヘイヘイ」
 甘氏「では、妾の望む結末を楽しみにしておる。アディオス」
 義賢の意識が覚醒する。そこは劉備の幕舎であった。
 義賢「うーん」
 董白「フン、この私が看病してるんだから気が付いて当然よね(気が付いて、本当に良かった。このまま目が覚さなかったら私)」
 義賢「えっええええ董白。どうしてここに」
 董白「何よ。来たらダメなのかしら(義賢が心配で来たなんて、言えない)」
 劉備「私も驚いたよ。急に現れて、『義賢が死んじゃう~』って泣きながら駆け込んできたのだからな。そして今まさに倒れたお前を運んだところだったわけだから。そのな。さっきまでずっと泣いていた。でも側を離れずにずっと看病していたのだ。後は2人にしてやろう」
 義賢「えっ兄上、ちょっと」
 劉備はそんな義賢の言葉など聞こえぬと後にする。
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