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3章 群雄割拠
第一次徐州の戦い(破)
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曹操が殺した使者の首が陶謙の元へと届く前、曹操軍による苛烈な攻勢が徐州と兗州の国境付近にて行われていた。
曹操「これで陶謙も家族を失う気持ちが少しでもわかったであろう」
典韋「ですが殿、本当に良かったんでやすか?」
曹操「悪来よ。何がだ?」
典韋「いや、使者殺すってのは戦場では御法度でしょうや」
曹操「確かにそうだが、普通使者というのは、ある程度双方が落ち着いてから送るものだ。向こうは怒りのおさまらぬワシの元にあろうことか自分の息子を使者として送って来たのだ。それも逆情しているワシの元へだ。殺されても文句は言えんであろう。その覚悟が無いのなら使者など送るべきでは無い」
典韋「そういうもんでやすか」
曹操「そういうものだ」
許緒が陶商の遺体を丁重に弔って帰ってきた。
許緒「身体の方は丁重に弔っておいたんだなぁ」
曹操「すまんな虎痴よ。あのようなことをやらせて」
許緒「よくわからねぇから大丈夫だぞ。殿の敵を1人あの世に送ってやっただけだぁ」
曹操「であるな」
曹洪が1人後詰から抜け出て曹操の元に来る。
曹洪「仁の奴はうまくやってんのかね」
曹操「子廉、お前に後詰などを任せて申し訳ないな。本来なら子孝と逆であろうに」
曹洪「殿、気にしないでください。背後だって疎かにできません。曹操軍の矛の力見せてやりますよ」
曹操「全く、楽しい従兄弟たちに囲まれて、幸せ者だ。父上にもこの光景を見せてやりたかった」
曹洪「殿、必ずや勝利にて天まで響かせましょう」
曹操「あぁ、そうだな」
曹洪は後詰に戻っていった。その頃、先鋒を任された曹仁は、破竹の勢いで進軍し陶謙軍の将と対峙していた。
曹仁「我が名は曹子孝。殿の父上様を殺した貴様らを許さぬ。1人残らず殺してくれる」
呂由「陶商様は、説得に失敗したのか。クソ何としてもアイツを防ぐんだ。イケ、イケ~~~」
曹仁「雑兵などどれだけ束になろうがこの鋼の鎧を傷付けることなどできぬ」
陶謙軍兵士「うわーーーーーーーーーバッ化け物だ」
曹仁の威圧感に気圧された陶謙軍兵士が次々と殺される。そう1人残らず投降すると言おうが逃げても追いかけて、虐殺したのだ。呂由もすっかり怯え切っていたが逃げても死しか無い。覚悟を決めて曹仁へと突撃する。
呂由「我が名は呂由。これ以上は進ませぬ」
曹仁「言ってることは立派だが足が震えておる。そのようなものに討たれる某では無い」
呂由「ガハッ。陶謙様、申し訳ございません」
曹仁「敵将呂由、曹子孝が討ち取った」
そんな危機的状況の陶謙軍の中で奮戦していた男がいた。陶謙の騎都尉を務めていた臧覇宣高である。彼は孫観仲台・呉敦・尹礼・昌豨という幼馴染であり配下でもある4人と共に曹操軍の精鋭騎兵虎豹騎隊を抑え込んでいた。
曹純「殿から期待されているのだ。何としても手柄を挙げなくては、皆力を貸してくれ」
虎豹騎兵長「曹純様のためだ。皆奮戦せよ」
虎豹騎兵「オオオオオオ、いつも俺たちのことまで気にかけてくださる御方なのだ」
臧覇「ここはなんとしても食い止めるんだ。敵の精鋭まで都市部に流れ込めばもっと血が流れるぞ」
孫観「宣高、後ろだ。オラァ」
臧覇の背後にまわっていた虎豹騎兵を孫観が仕留めた。
虎豹騎兵「ガハッ」
臧覇「仲台、すまん。助かったぞ」
孫観「気にするな。何としてもこの難局を切り抜けるぞ」
呉敦「流石、精強な曹操軍だな。練度が違いすぎる。こりゃ前線も長くは持たねぇかもな」
尹礼「かといって我らが引くわけにもいかぬであろう。口を動かす前に手を動かせ。馬鹿者」
昌豨「ハァハァハァ。押し留めるので精一杯なんだが」
曹純は押し切れない戦線に初めこそヤキモキしていたが冷静に考えて一つの結論に達した。
曹純「成程、存外陶謙軍にも強者がいるではないか。ならば方針を転換する。虎豹騎隊よ。無理に攻める必要はない。相手をこの場に釘付けにしておくのだ。そうすれば必ずや後から来た殿の本隊と共に押し込めるであろう」
虎豹騎兵長「曹純様がこう申している。皆もそのように致せ」
虎豹騎兵「了解しました」
別の戦線では李通が一軍を率いて、闕宣隊と交戦を開始していた。
李通「反董卓連合でのピンチの時に流行病で休んでいた俺に殿は一軍を与えてくださった。必ずや敵を掃討する。掃討の李文達の名にかけて。全軍、敵を1人残らず掃討するのだ。かかれー」
李通兵「オオオオオオ」
闕宣「垢の良いのがいるみたいだな。どれ相手してやるとするか。者共相手してやれ」
闕宣兵「オオオオオオ」
両者ぶつかるが練度の違いがハッキリと明暗を分けていた。曹操がこの戦で率いていた20万の兵の大半が黄巾兵の中で強者が多かった青州兵なのである。闕宣の兵はみるみる溶ける。
闕宣兵「グハッ」
闕宣「馬鹿な!」
李通「後はお前だけだな。敵将のようだな。俺の名は掃討の李文達、御相手願おうか」
闕宣「フン。この闕宣が貴様を討てば良いだけだ」
李通の槍捌きの前に闕宣は何もすることができず突き殺された。
闕宣「ガハッ。こんなことなら張闓に付くんだったぜ」
李通「敵将闕宣、李文達が討ち取った」
陶謙軍は副将と武官を1人失い、臧覇は足止めされるという最悪の展開となり、曹豹と許耽を残すのみとなる。劉備軍はこの絶体絶命の陶謙軍の救援に間に合うのだろうか。
曹操「これで陶謙も家族を失う気持ちが少しでもわかったであろう」
典韋「ですが殿、本当に良かったんでやすか?」
曹操「悪来よ。何がだ?」
典韋「いや、使者殺すってのは戦場では御法度でしょうや」
曹操「確かにそうだが、普通使者というのは、ある程度双方が落ち着いてから送るものだ。向こうは怒りのおさまらぬワシの元にあろうことか自分の息子を使者として送って来たのだ。それも逆情しているワシの元へだ。殺されても文句は言えんであろう。その覚悟が無いのなら使者など送るべきでは無い」
典韋「そういうもんでやすか」
曹操「そういうものだ」
許緒が陶商の遺体を丁重に弔って帰ってきた。
許緒「身体の方は丁重に弔っておいたんだなぁ」
曹操「すまんな虎痴よ。あのようなことをやらせて」
許緒「よくわからねぇから大丈夫だぞ。殿の敵を1人あの世に送ってやっただけだぁ」
曹操「であるな」
曹洪が1人後詰から抜け出て曹操の元に来る。
曹洪「仁の奴はうまくやってんのかね」
曹操「子廉、お前に後詰などを任せて申し訳ないな。本来なら子孝と逆であろうに」
曹洪「殿、気にしないでください。背後だって疎かにできません。曹操軍の矛の力見せてやりますよ」
曹操「全く、楽しい従兄弟たちに囲まれて、幸せ者だ。父上にもこの光景を見せてやりたかった」
曹洪「殿、必ずや勝利にて天まで響かせましょう」
曹操「あぁ、そうだな」
曹洪は後詰に戻っていった。その頃、先鋒を任された曹仁は、破竹の勢いで進軍し陶謙軍の将と対峙していた。
曹仁「我が名は曹子孝。殿の父上様を殺した貴様らを許さぬ。1人残らず殺してくれる」
呂由「陶商様は、説得に失敗したのか。クソ何としてもアイツを防ぐんだ。イケ、イケ~~~」
曹仁「雑兵などどれだけ束になろうがこの鋼の鎧を傷付けることなどできぬ」
陶謙軍兵士「うわーーーーーーーーーバッ化け物だ」
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呂由「我が名は呂由。これ以上は進ませぬ」
曹仁「言ってることは立派だが足が震えておる。そのようなものに討たれる某では無い」
呂由「ガハッ。陶謙様、申し訳ございません」
曹仁「敵将呂由、曹子孝が討ち取った」
そんな危機的状況の陶謙軍の中で奮戦していた男がいた。陶謙の騎都尉を務めていた臧覇宣高である。彼は孫観仲台・呉敦・尹礼・昌豨という幼馴染であり配下でもある4人と共に曹操軍の精鋭騎兵虎豹騎隊を抑え込んでいた。
曹純「殿から期待されているのだ。何としても手柄を挙げなくては、皆力を貸してくれ」
虎豹騎兵長「曹純様のためだ。皆奮戦せよ」
虎豹騎兵「オオオオオオ、いつも俺たちのことまで気にかけてくださる御方なのだ」
臧覇「ここはなんとしても食い止めるんだ。敵の精鋭まで都市部に流れ込めばもっと血が流れるぞ」
孫観「宣高、後ろだ。オラァ」
臧覇の背後にまわっていた虎豹騎兵を孫観が仕留めた。
虎豹騎兵「ガハッ」
臧覇「仲台、すまん。助かったぞ」
孫観「気にするな。何としてもこの難局を切り抜けるぞ」
呉敦「流石、精強な曹操軍だな。練度が違いすぎる。こりゃ前線も長くは持たねぇかもな」
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曹純「成程、存外陶謙軍にも強者がいるではないか。ならば方針を転換する。虎豹騎隊よ。無理に攻める必要はない。相手をこの場に釘付けにしておくのだ。そうすれば必ずや後から来た殿の本隊と共に押し込めるであろう」
虎豹騎兵長「曹純様がこう申している。皆もそのように致せ」
虎豹騎兵「了解しました」
別の戦線では李通が一軍を率いて、闕宣隊と交戦を開始していた。
李通「反董卓連合でのピンチの時に流行病で休んでいた俺に殿は一軍を与えてくださった。必ずや敵を掃討する。掃討の李文達の名にかけて。全軍、敵を1人残らず掃討するのだ。かかれー」
李通兵「オオオオオオ」
闕宣「垢の良いのがいるみたいだな。どれ相手してやるとするか。者共相手してやれ」
闕宣兵「オオオオオオ」
両者ぶつかるが練度の違いがハッキリと明暗を分けていた。曹操がこの戦で率いていた20万の兵の大半が黄巾兵の中で強者が多かった青州兵なのである。闕宣の兵はみるみる溶ける。
闕宣兵「グハッ」
闕宣「馬鹿な!」
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闕宣「フン。この闕宣が貴様を討てば良いだけだ」
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闕宣「ガハッ。こんなことなら張闓に付くんだったぜ」
李通「敵将闕宣、李文達が討ち取った」
陶謙軍は副将と武官を1人失い、臧覇は足止めされるという最悪の展開となり、曹豹と許耽を残すのみとなる。劉備軍はこの絶体絶命の陶謙軍の救援に間に合うのだろうか。
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