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3章 群雄割拠

美女連環の計

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 呂布と王允が居なくなった後の長安では李傕・郭汜が献帝を意のままに操り、民たちに恐怖政治を強いていた。この状況下で献帝は王允から預かった養女である貂蝉を用いて、李傕・郭汜を罠にはめ仲違いさせる計略を密かに行う。同時に漢王朝を存続させるために自身が傀儡にされることは承知の上で曹操を頼ることにする。そのための使者として董承も送った。
 貂蝉「本当に曹操様で良いのでしょうか?」
 献帝「欲を言えば父も信頼していた劉備殿。いや皇室の流れを汲むものなら叔父上としての敬称である皇叔と呼ぶことにしよう」
 董承「では、劉備殿に頼れば良いのではありませんかな?」
 献帝「欲を言えばな。だが、今は何の力も持たぬ皇叔に頼ったところで皇叔を殺して、朕を傀儡にしようと考えるだけであろう。ならば父も言っていた通り傀儡にされようとも漢王朝を守るならば力あるものが良いだろう」
 董承「成程、それで兗州で力をつけている曹操殿なのですな」
 献帝「うむ。貂蝉、お前には苦労をかけるが李傕・郭汜のこと頼むぞ」
 貂蝉「お任せください献帝様」
 献帝「うむ。董承、お前も何としても曹操の救援を取り付けるのだ。頼んだぞ」
 董承「お任せくだされ」
 2人が出ていくと献帝は漢王朝の忠臣であり粛清されてしまった人のことを考えていた。
 献帝「こんな時に朱儁と皇甫嵩が居てくれれば良かったが李傕と郭汜め。まさか董卓の近くにいながら守れなかったという理由で粛清するとは、不甲斐ない皇帝ですまない」
 ???「その言葉だけで父も喜びましょう。お呼びと聞き駆けつけました」
 ???「同じく」
 献帝「朱皓・皇甫堅寿、よく来てくれた」
 朱儁の子である朱皓文明シュコウブンメイと皇甫嵩の子である皇甫堅寿コウホケンジュの2人が献帝に呼ばれて来ていたのである。
 朱皓「献帝様、我らにどのような御用件でしょうか?」
 献帝「うむ。貂蝉の策が成功した後、貂蝉を連れてここを発って欲しいのだ」
 皇甫堅寿「何故ですか?」
 献帝「お前たちまで曹操の傀儡になる必要はない。その役目は朕1人で十分だ。お前たちには貂蝉を守って欲しいのだ」
 朱皓「献帝様の命とあれば」
 皇甫堅寿「献帝様、どうか健やかに」
 献帝「お前たちもな」
 2人に策が成功した後の貂蝉のことを託し、献帝は貂蝉の策の成功を待つのである。貂蝉はまず李傕の寝所を訪れていた。
 貂蝉「お酌させていただきます」
 李傕「ハハハ、こんないい女と酒が飲めるなんて最高だぜ」
 貂蝉「李傕様、私もです。ずっと一緒にいてくださったら良いのに」
 李傕「俺もずっと一緒にいてぇ。結婚しようぜ貂蝉」
 貂蝉「嬉しいですわ。でもそれは叶いません。郭汜に強引に言い寄られているのです。彼の方をどうにかしませんと」
 貂蝉は李傕の前で大袈裟に泣いて見せる。
 李傕「何だと郭汜の奴め。ふざけやがって。安心しろ。隙を見て俺が必ず殺してやる」
 貂蝉「李傕様、嬉しいです」
 貂蝉は涙を止め安心したように李傕に抱きつく。
 李傕「ガハハ。愛しい貂蝉のためだからな」
 そして、今度は郭汜の寝所へと向かう貂蝉。
 貂蝉「失礼します」
 郭汜「待っていたぞ。どうして今日は遅かったのだ」
 貂蝉「実は、李傕が中々離してくれなくて、私が何度も郭汜様の元へ行くと言ってるのに、あんな野蛮なやつなど捨て置けと。私は郭汜様に早く逢いたかったのにシクシク」
 今度は郭汜の前で大袈裟に泣いて見せた。
 郭汜「李傕の奴め。俺の貂蝉を独占しようとしやがって。もう我慢できねぇ。必ず殺してやる。そうしたら一緒になろうぜ」
 貂蝉「郭汜様、嬉しい。私その日が来ることをいつまでも待ってますわ」
 貂蝉は郭汜の胸に飛び込む。
 郭汜「ワハハ。愛しいお前を待たせたりなんかするかよ。善は急げってな。軍勢を整えて李傕を殺してやる」
 間も無くして長安にて李傕と郭汜による内乱が始まる。張済は、この意味のない争いに参加せずにえんへ引き独立する。樊稠は巻き込まれるが命からがら韓遂を頼り涼州へと逃げることに成功する。王方は李傕に付き、李蒙は郭汜に付いた。
 張済「李傕も郭汜も何をやっておるのだ。馬鹿馬鹿しい。俺は宛に帰るぞ」
 張繍「叔父上、お供いたします」
 賈詡「共に参るとしましょう」
 樊稠「お前ら、、何故俺を狙う」
 李傕兵「へへへ、何でだろうな」
 樊稠「クソ、やってられるか。同郷の韓遂の元に身を寄せるとしよう」
 王方「李傕様に味方しやすぜ」
 李蒙「郭汜様にお味方致す」
 そして内乱は李傕が李蒙を殺し、郭汜が王方を殺し、一騎討ちとなる。そこに曹操軍が現れ、李傕・郭汜共に討ち取られたのである。
 李傕「李蒙、恩を仇で返すとは死ね」
 李蒙「煩い。いつも美味しいところだけを持っていくお前が気に入らなかったんだ死ね」
 ザシュッと李傕が李蒙を一刀両断した。
 李傕「口ほどにもない。次は郭汜だ」
 郭汜「王方、貴様、何故あんな奴の肩を持つ」
 王方「ウルセェ。俺は好きに暴れられる方についただけだ。悪く思うなや郭汜」
 郭汜が王方を突き殺した。
 郭汜「たわいもない。李傕ー次は貴様だ」
 2人が刃を交える時、曹操軍の夏侯惇・夏侯淵が現れ、李傕と郭汜を斬り捨て、献帝を保護し、曹操軍の首都である許昌へと護送した。
 李傕「郭汜、よくも貂蝉に乱暴を働いてくれたな」
 郭汜「その言葉、そっくりそのままお前に返してやる」
 夏侯惇「そこの敵将、李傕だな。孟徳の覇道のため。お前には消えてもらうぞ」
 李傕「誰だ、貴様。ガハッ」
 夏侯淵「お前さんが郭汜だな。殿のため。消えてもらうけど許してくれよな」
 郭汜「何でここにお前らが。ガハッ」
 献帝「曹操軍の者たちであるな。助かったぞ」
 夏侯惇「献帝様、ここは危ないので許昌に来てもらうぞ」
 献帝「うむ。わかった。道中迷惑をかける」
 夏侯淵「安心してくださいや。俺と惇にぃがいるんだ。道中も安全に護送しますってな」
 夏侯惇「淵、気を抜くなよ」
 夏侯淵「わかってらぁ」
 こうして、献帝は無事に曹操軍に保護され、貂蝉も朱皓・皇甫堅寿と共に養父である王允が身を寄せる呂布の元へと向かうのであった。
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