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2章 反董卓連合

呂布を説得する

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 連合軍本陣が董卓軍による奇襲による壊滅的打撃を受けている頃、劉備たちは捕らえた呂布の説得を行っていた。
 呂布「もう逃げはせぬ。好きにするが良い」
 張飛「とっとと首刎ねちまおうぜ。親殺しは許せねぇ」
 関羽「待て、翼徳。お前は義賢の話を聞いておったのか。馬鹿者」
 劉備「翼徳、ここは堪えてくれ」
 趙雲「先程から何の話をしているのです?」
 馬超「虎牢関を抜いて洛陽に行くなら呂布の首は取らなければならないだろう」
 黄忠「早く献帝様をお救いしましょうぞ」
 義賢「御三方の言うことも最もですが皆様は呂布殿のことを勘違いされている。呂布殿は丁原殿を殺してなどいませんよ」
 呂布「!?ゴホン。いや、俺は董卓様に降るため義父であった丁原の首を切り差し出した親殺しという大罪人だ。その事は間違いない事実だ。そこにどんな真実が隠されていようとな」
 呂布は義賢を睨みつけ、それ以上この場で話すなという威圧感を放っていた。
 義賢「わかりました。今はその言葉だけで十分です。では、本題に入りましょう。徐栄、あの話を呂布殿にしてあげてください」
 徐栄「かしこまった」
 呂布「徐栄殿、貴殿は連合軍に降られたのだな。してあの話とは何だ?」
 徐栄「うむ。董卓様が霊帝様だという事だ」
 呂布「馬鹿な!?丁原様より霊帝様は病で亡くなったと聞いている。董卓が霊帝様など信じられん」
 徐栄「信じられないのも無理はないだろう。だが董卓様は、死に場所を探しておられるように見受けられる時があるのだ。略奪に関しても指示したことは一度もない。献帝様や王栄様に向ける眼差しは親が子に向ける眼差しと愛しき人への恋慕だ。それに村娘たちを宮中に呼び裸を晒したとなっているが董卓様は身体に傷を持つ女性だけを手元に置き、他は返し熱心に話を聞いていたのだ。その眼差しは自国の民を慈しむ帝そのものだった。それに昔から仕えている俺にはわかる。黄巾の乱以前と以降とではまるで人が違うのだ。入れ替わりがあったとしてもおかしくないとは思わないか」
 呂布「では、何故義父は霊帝である董卓へ逆らったというのだ?」
 義賢「呂布殿。こうは考えられませんか?丁原殿は聡い御方だった。霊帝様が董卓と成り代わっていたことに気付いた。気付いた上で丁原殿は董卓に刃向かった」
 呂布「そうだとしたら全くわからぬ。義父は、漢王朝を第一に考えていた。霊帝様が生きていたのなら喜び仕えるだろう。刃向かうなど考えられない」
 義賢「じゃあ、答えは決まってるじゃないですか。丁原殿は霊帝様を救うため刃向かったのです」
 呂布「何だと?どうして刃向かうことが救う事になる?」
 孫堅「口を挟んですまぬが。丁原殿のことはよく知っている。武闘派に見えて知恵もある御方だ。そこに気付いたのなら霊帝様が人知れず死に場所を探していた事にも気付いたのではないか。だとしたら刃向かうことが止める事に繋がると考えたとかな」
 呂布「義父は、死に際に呼び出し董卓を殺せと言ったのだ」
 義賢「本当に殺せとはっきり言いましたか?」
 呂布「どういう意味だ?」
 義賢「内部から崩すならという言い方だったのではないかと」
 呂布「!?たっ確かに殺せとはっきり言われなかった気がする」
 義賢「丁原殿は、義息子である呂布殿を信じていたのでしょう。きっと御自身で意図に辿り着いてくれると」
 呂布「俺は義父の信頼を裏切るところだったのだな」
 張飛「さっきから丁原のことを様で呼んだり義父って呼んだりしてるけどよ。殺したのはテメェだろ。どういうことだよ?」
 関羽「うむ。まるで丁原殿が病死であるかの言い方ですな」
 呂布「あぁ。その通りだ。義父は病にてこの世を去った。その死に際、自身の首を手土産に全軍を連れて董卓へと降れと申したのだ」
 趙雲「そんな、それでは呂布殿は親殺しなどではないではありませんか」
 馬超「それが真実なら呂布殿は義父の想いを聞き届けた義の人ではないか」
 黄忠「それにしても董卓が霊帝様であったとは、反董卓連合全てが逆賊ですぞ」
 義賢「これら全てを描いて己の首を取らせようと考えている霊帝様は我らより数歩先を進んでいるのです」
 張飛「呂布~お前良い奴だったんだなぁ」
 関羽「翼徳。泣くでない。某も涙が出ようぞ」
 劉備「呂布殿は1人で耐えていたのだ。だが世間からの親殺しの目が消えることはない。その罪を背負って生きていく覚悟を決めた。そこには並々ならぬ想いがあったに違いない」
 呂布「話して少し軽くなった気はする。だが董卓が霊帝様だとして、お前はどうやって救うつもりだ」
 義賢「霊帝様には死んでもらいます」
 孫堅「何を申しておるのだ」
 劉備「丁、それは許されない」
 義賢「これは失言を。董卓様として死んでいただきます。勿論替え玉を用いて、その役目を呂布殿に担って欲しいのです。宮中に信頼できる人は居ませんか?」
 呂布「いる。董卓を誅殺しようと考えている司徒の王允、それに同郷の李粛リシュクだ。上手く用いれば替え玉を葬り、霊帝様を城外へ逃すことは可能だろう」
 義賢「成程。お願いします。(やはり霊帝様は数段先を行っていたようだ。董卓として暗殺されるなら呂布殿しか居ないとそのための赤兎馬と義息子としての信頼。ハハハ。全くこれを覆すのは骨が折れそうだがやるしかない)」
 呂布「わかった」
 張遼や高順が捕らわれている呂布を見て、こちらに攻撃を仕掛けようと突撃の構えを見せる。
 呂布「張遼・高順、やめるのだ。話はまとまった洛陽に帰るぞ」
 張遼「何かわからぬが心得た」
 高順「殿が決めたのなら従いましょう」
 呂布は張遼と高順を連れて洛陽へと退却した。趙雲と馬超と黄忠は、霊帝様の行く末を見届けたいということで客将として、同行することとなったのである。
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