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2章 反董卓連合

虎牢関攻防戦(起)

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 孫堅も劉備も漢王朝を第一に考えている者同士だった。だからこそ利害が一致し、董卓としてこの世から去ろうとしている先代皇帝こと霊帝を救出するために虎牢関へと向かった。虎牢関では、袁紹・袁術・陶謙・公孫瓚・孔融・鮑信が居た。曹操は汜水関での敗戦により撤退、曹操がいなくなったことにより連合軍に義理がなくなった張邈・張超兄弟も撤退を決め。なにかとこの連合を集めたのは袁紹ではなく俺だと騒ぐ橋瑁は、同じ連合軍の劉岱・王匡に鬱陶しがられて、ついには些細ないざこざで討たれた。劉岱と王匡は連合軍に追及されるのを嫌い早々に逃げる。この事態に劉表は、連合軍に意味はないと判断を下し撤退する。馬騰は、董卓の娘婿である牛輔軍に散々に打ち負かされそもそもここに来れてないという。反董卓連合に参加した諸侯のうち半分が居なくなっていた。それに虎牢関に仁王立ちして連合軍の兵を散々に打ち負かしているのは、前漢の将軍である李広リコウの再来と言われた猛将であり鬼神の呂布である。すっかり兵は怯え切っていた。そしてここに来て、馬騰軍を散々に打ち負かした牛輔軍も合流して、虎牢関は盤石といえる布陣となりつつあった。袁紹は苛立ちを隠さないでいた。
 袁紹「えぇい。呂布だけでなく汜水関に居たはずの華雄までそれに呂布の側に控えるあの2人は何者だ。呂布ほどではないにしても十分猛将ではないか。全く、勝手な行動をとる奴らのせいで勝てる戦も勝てぬわ」
 袁術「(汜水関の華雄が居るということは、孫堅は負けたようだな。しめしめ、これで袁紹の権威は失墜。呂布のいる虎牢関を抜けるわけもない。ククク。こんな愉快な話はないぞ)」
 公孫瓚「(この後、河北を制するためには袁紹にはもっと疲弊してもらいたいところであるが、猛将と言われた顔良と文醜が居ないのであれば、これ以上袁紹を疲弊させることはできぬか。でも袁紹の側に控えるあの若武者はなんだ。無名のはずだが惹きつける魅力を持っているな)
 陶謙「(劉備殿に恩を返すつもりで参加しましたがこの場に居ないのであれば徐州に帰るのも手。だがもう少し見極めるとしましょう)」
 鮑信「(曹操殿は無事に撤退できたようだな。張邈殿や張超殿も撤退。自分も引き際を見極める時だ。所詮寄せ集めの意思統一など袁紹には無理だったということだ)」
 孔融「(董卓の専横に異議を唱えて集まったというのにこうも好き勝手する集まりだったとは、漢王朝を救うために動いていたのは、曹操殿と孫堅殿と劉備殿だけではないか。後の奴らはこの先どう優位になるかを考えているだけ。こんな戦に何の意味があるというのだ)」
 袁紹「えぇい、誰か呂布を倒してやるという男はおらんのか」
 ???「じゃあ、俺が行かせてもらうとするぜ」
 袁紹「お前は方悦ホウエツではないか」
 方悦「くだらねぇいざこざを起こした王匡様の配下である俺をそのまま置いてくれてんだ。恩返しの一つでもしねぇとな」
 袁紹「よくぞ申した。行って参れ」
 勢いよく飛び出す方悦であったが呂布に近づくにすれ、圧倒的強者の威圧感に縮こまる。そんな相手であろうと容赦してくれる者などいない。呂布の方天画戟ほうてんがげきにより打ち合うことなくその首を落とされる。
 方悦「(なんだこの男はなんなんだ。河内かわちの猛将と言われたこの俺がまるで赤子じゃねぇか。いくらなんでもこんなに遠いわけねぇ)」
 呂布「なんだ貴様、それでも武将か。へっぴり越しがしゃしゃり出てくるな」
 方悦「ヒィーーーーーーーー」
 袁紹「馬鹿な!?あの方悦が一合も打ち合えないだと!?」
 袁術「従兄弟殿に降ったばかりに哀れですな」
 袁紹「袁術、ではお前なら呂布を討てるのだな。お手並みを拝見するとしようか」
 袁術「(くそ袁紹め。すり替えやがって。俺の配下に呂布と戦いたい馬鹿など居らんわ)」
 ???「では、この俺がひとっ走り図に乗ってる呂布を討ってきやすぜ」
 袁術「兪渉ユショウ、お前がおったな。お前なら安心だ。行って参れ」
 兪渉「お任せくだせぇ」
 勢いよく飛び出す兪渉であったが、呂布に近づくにすれ、圧倒的強者の威圧感に圧倒されて、立ってるのがやっとといった感じだ。一合も打ち合わずにその首が飛んだ。
 兪渉「(この俺が立ってるのがやっとなんて、なんだよコイツ化け物かよ。勝てるわけねぇ)」
 呂布「反董卓連合軍は腑抜けの集まりか。こんなのばかり寄越して、この俺を殺せると思ってるのか」
 兪渉「ヒッ」
 袁術「兪渉が一撃!?」
 袁紹「大口を叩いてこの結果ではないか」
 袁術「ぐぬぬ、兪渉のやつ、恥を晒しおって」
 孔融の配下である武安国や公孫瓚の配下となった潘鳳が飛び出そうとするが双方の主君により止められる。
 趙雲「袁紹殿、この常山の趙子龍にお任せを」
 袁紹「待て、早まるでない」
 趙雲は袁紹の言葉を受け流して呂布へと向かっていく。呂布の強者の威圧感をものともせずに呂布と打ち合う。
 趙雲「駆けよ白竜ハクリュウ
 呂布「ほぅ。俺の威圧感に触れても覇気を失わんか。やっと骨のあるもののようだ」
 趙雲「呂布殿、御相手願う」
 呂布「良いだろう」
 数合打ち合っても決着は付かない。その様子をやっとこの戦場に合流した劉備たちが見ていた。
 劉備「いかん。雲長・翼徳、あの若武者を助けるぞ」
 関羽「兄者、心得申した」
 張飛「大兄者、任せてくれ」
 義賢「兄上、俺も行きます」
 劉備「丁、無理はするなよ」
 義賢「はい」
 劉備と関羽と張飛が趙雲の救援に入り、義賢が弓で狙っていた。
 劉備「助太刀致す」
 趙雲「助かります」
 張飛「それにしても、オメェ呂布相手になかなかやるじゃねぇか」
 趙雲「凌ぐのが精一杯でしたよ」
 関羽「我らで共に呂布を討とうぞ」
 趙雲「了解した」
 呂布「貴様ら如きに討てる呂奉先リョホウセンと思うなよ」
 呂布は遠くで弓を構えている義賢を見つけると董卓から譲り受けた赤兎馬セキトバで距離を取り、弓を構えて義賢を射る。それが義賢の胸に直撃した。
 義賢「(えっ嘘だろ。ここまで上手いこといってたよな。こんな結末アリかよ。しかもこれダメだ。致命傷どころか即死じゃね。だって俺話せてねぇもんな。あぁ兄上、すみません。今回も良い未来には導かないみたいです)」
 劉備「丁ーーーーーーーーーー」
 義賢は薄れゆく意識の中、敬愛する劉備の声を聞いた。
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