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2章 反董卓連合

出仕しない者たち

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 公孫瓚は目を丸くしていた。韓馥がいきなり降伏すると告げに来たのだから。それもそのはずだろう。
 韓馥「公孫瓚様に降伏いたします」
 劉子恵「お仕えいたします」
 沮授「これからよろしくお願いいたします」
 沮宗「兄上共々よろしく頼みます」
 潘鳳「この潘鳳を使いこなせますかな」
 公孫瓚「仕官を許す。それにしても、我が白馬儀従を散々にしてくれた者の姿が見えぬが」
 韓馥「麴義なら、お仕えできぬとのことです」
 公孫瓚「そうか、では首を刎ねよ」
 韓馥「!?」
 義賢「お待ちください。何故首を刎ねるのですか?」
 公孫瓚「義賢か。当然であろう。白馬儀従を散々に打ち負かしてくれたのだ。我に仕えぬのなら脅威でしかない。脅威は摘み取らねばならぬ」
 義賢「成程、では劉備軍に迎え入れるのなら構わないということですね」
 公孫瓚「ならん」
 義賢「何故ですか?公孫瓚殿は我々が裏切るとそう警戒しておられるのですか?」
 公孫瓚「客将の部下の分際で口を慎め」
 義賢「成程、公孫瓚殿は心の狭い御方であることがわかりました。ですが韓馥軍を降伏に追い込んだのは我々劉備軍であることをお忘れですか?負けて逃げ帰り城に篭っていた御方に首を刎ねる権利があるとお思いですか?」
 公孫瓚「貴様、この俺を愚弄するか。劉備の弟だからと甘く見ていると思っているのだな。容赦せぬ。首を刎ねよ」
 厳綱「殿、お待ちください。確かに孤立した俺たちを救ってくれたのは劉備軍のおかげです。説得が成功しなかったら殺すで良いのではありませんかな」
 公孫瓚「ふむぅ。そこまで言うのであれば好きにせよ」
 劉備「兄弟子殿、我が弟の不義をお許しください。丁、お前も頭を下げぬか」
 義賢「興奮して熱くなってしまいました。申し訳ありませんでした」
 公孫瓚「もう良い。俺も熱くなった」
 劉備たちは外に出ていく。
 劉備「丁、頼むから波風を立てないでくれ」
 義賢「兄上、申し訳ありません」
 関羽「うむ。素直に謝るのは大事である。だが、某も義賢と同じ気持ちぞ。麴義殿の首を刎ねるのは勿体なかろう」
 張飛「俺もよ。張郃って奴を説得してみてぇんだがよ。かまわねぇか大兄者」
 義賢「兄上、俺は田豊殿の説得をしてみたいと考えています」
 劉備「わかった。わかった。そんな目で見るでない。雲長には麴義殿の説得を翼徳には張郃殿の説得を丁には田豊殿の説得を任せるとしよう」
 関羽「心得ましたぞ」
 張飛「おぅ任してくれ」
 義賢「兄上、ありがとうございます」
 3人がそれぞれの邸宅に説得しに向かう。
 関羽は麴義の邸宅に着いた。トントンと扉を叩く。
 麴義「また出仕の話か。今は誰にも仕える気はない。お帰りいただこう」
 関羽「某、関雲長と申す」
 麴義「関羽殿か。これは失礼致した」
 関羽「兄者に仕官してくれる気はないか?」
 麴義「すまぬが。今は誰にも仕える気はない」
 関羽「そうか。邪魔して悪かった。其方とであれば競い合う相手としても不足はなかったのだが」
 麴義「俺なんて、関羽殿の足元にも及ばない。前回のが良い例だ。あのままやり合っていれば討ち取られていたか捕虜となっていた。逃げるのが精一杯だった」
 関羽「某は、そうは思わん。磨けば光るものを持っていると思うがな。まぁ役職もないただの義勇軍の一兵卒の言葉だ。流してくれて構わぬ」
 麴義「そこまで買ってくれるのか。わかった。劉備殿にお仕えしよう。関羽殿と共に参る」
 関羽「かたじけない」
 義賢は田豊の元を訪ねていた。
 田豊「どちら様ですかな」
 義賢「劉備義勇軍にて軍師を務めております。劉義賢と申します」
 田豊「ほぅ。貴方が公孫瓚軍を撤退させて意気揚々としていた韓馥軍を叩く策お見事でしたな」
 義賢「田豊殿が策を弄していれば負けていたでしょう」
 田豊「御謙遜を。私も沮授殿と同じく進軍策を推していましたよ」
 義賢「いえ、田豊殿は公孫瓚軍の奥に控える軍が何者かを知りたくて、献策を遠慮したのです。その捨て石に本隊を使ったのは間違いですがね」
 田豊「おっしゃる通り。ですが虎穴に入らずんば虎子を得ずと申すでしょう」
 義賢「その成果はありましたか?」
 田豊「えぇ、こうして訪ねてきて欲しい人が訪ねてきてくれましたからな。公孫瓚ではなく劉備殿にお仕えしましょう。我が献策を照覧いただきましょう」
 義賢「!?。ハハハ。とんだ食わせ者ですな」
 田豊「劉丁殿こそ」
 張飛は張郃の元を訪ねていた。
 張飛「ここが張郃ってやつの家みたいだな」
 トントンと扉を叩くが反応がない。
 張飛「ん?留守か?仕方ねぇ出直すか」
 向こうから大きな猪を担いだ張郃が帰ってきた。
 張郃「来訪者か?すまぬ。狩りに出ていた」
 張飛「見事な猪だな。捌いてやるぜ?」
 張郃「張飛殿か。お気になさらず。このまま丸焼きにするだけですから」
 張飛「勿体ねぇぜ。ちょいと貸してくれ」
 張飛は手慣れた感じで猪の皮を剥ぎ、血抜きをして肉を切り分けた。
 張郃「凄いですね」
 張飛「おぅ。元肉屋だったんでな。美味しく食べてもらいてぇんだよ。お節介して悪かったな」
 張郃「いえ。助かりました。張飛殿が訪ねてくるとはどういった御用件ですかな?」
 張飛「おぅ。大兄者に仕官してくれねぇかと思ってよ」
 張郃「劉備殿にですか。それもアリかもしれませんな。ですが腹ごしらえも済んだことです。一戦手合わせ願えますかな」
 張飛「良いねぇ。そういうの嫌いじゃねぇぜ」
 数百合打ち合うが決着が付かない。
 張郃「やはり、貴方は素晴らしい武勇の持ち主だ」
 張飛「オメェもな。燻らせとくのは勿体ねぇぜ」
 張郃「えぇ。決めました。こんなに競い合える相手がいるのなら劉備殿へ仕官致しましょう」
 張飛「嬉しいぜ。今後とも頼むぜ張郃」
 張郃「こちらこそよろしくお願いしますよ。張飛殿」
 こうして劉備軍は麴義・張郃・田豊という3人の優秀な者の仕官を成功させた。公孫瓚軍も韓馥軍を加えて、反董卓連合が駐屯しているという汜水関しすいかんへと向かうのであった。
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